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9章
露天風呂
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「海を見ながらお風呂に入れるって贅沢だね」
そうだなと返事しつつ隣の体を横目で見る。
2年前に中学の修学旅行で見た時よりも胸板が厚くなってて腕の筋肉も引き締まっててカッコイイな。
いつのまにか子供たちもいなくなり人も減って露店風呂が静かになっていた。
「髪一人で洗えるとこ見せてもらおうかな」
「おう 成長したオレにおののくなよ」
湯の中で手をもみながら軽口を言い、心臓のドキドキをごまかす。赤くなった顔は温泉のせいだと言い聞かせる。
かがり火の灯りが揺らめく水面を照らし、見えそうで見えない股間につい目が行ってしまうのを堪える。最近のオレのおちんちんは自慰のしすぎのせいで皮がむけてきていた。心配になって父ちゃんに相談したら大人になっていってる証拠だって言ってた。オレのは通常時は皮をかぶったままだけど大人になったらムケるんだって。海瑠のはムケてるんだろうか…。湯の向こうにキャラメルブラウンの茂みが見える。金に近い髪色より下の毛は濃いのかななんて考えてたらノボせてきた。
タオルを腰に巻き、髪を洗うのを見せた。うつむきで片手で目を押さえながらシャワーで手早く洗う。どんなもんだと自慢するとスゴイね!って褒められた。へへっ
もう一度風呂に浸かってから出ようと二人で大きなツボのような浴槽に入る。大人3人も入ると満員になりそうなそれは貸し切りのようで楽しいけど狭いから密着してしまい足の一部が触れる。狭いからだ。心の中で言い訳しながら体を寄せると腕も触れ合った。狭いからひっついてても変じゃないのに他の宿泊客が見てないかあたりを見回してしまう。
「寝湯があったらよかったのにね」
「ん?スーパー銭湯にあった寝ころぶ風呂か?」
「うん、大好きでしょ?」
「まぁ…うん、オレはジェットバス風呂のほうが好きかな」
腰が赤くなるほどのジェット噴射が好きだったからそう答えたけど、夜空を見上げながら思い出すように微笑う海瑠に気づいてしまった。
アイツが好きだったのか。
(異世界にも露天風呂があったのか?)聞きたいけど聞きたくない。オレとの二人きりの旅行でも、ふいにアイツが邪魔をしてくる。オレを見てほしいのに海瑠はいつもオレの向こうにいるあいつを探している。
「先にあがるぞ」
こみ上げる嫌な気持ちに耐え切れず一人で先に部屋に戻った。
部屋に戻り、濡れた髪のままベッドに入りシーツを頭までかぶった。
何度こんなことに遭遇しても慣れない。明日は前世を思い出すキッカケ探しに行くらしいが行きたくないって思ってしまう。なぜだか悔しいんだ。思い出してなんかやらないっていじわるな気持ちが芽生えてしまう。
部屋のドアが開く金属音が聞こえる。しばらくして寝室のドアが薄く開きぼんやりと部屋が明るくなるのをシーツ越しに見る。寝たふりをしてるのがバレないかドキドキする。今は顔を合わせたくない。絶対オレ変な顔しちゃうから。そっとしといて。
パタンと閉じられた扉にホッとする。せっかくの旅行なのに、まだまだおしゃべりをして楽しい夜を一緒に過ごせるのに。こんな態度しか取れない自分の心の狭さが嫌になる。開けたままのバルコニーに通じる窓から聞こえる波の音が優しくて悲しい。
明日はちゃんとしよう。海瑠が言うキッカケってやつにちゃんと向き合って思い出せるように…
そうだなと返事しつつ隣の体を横目で見る。
2年前に中学の修学旅行で見た時よりも胸板が厚くなってて腕の筋肉も引き締まっててカッコイイな。
いつのまにか子供たちもいなくなり人も減って露店風呂が静かになっていた。
「髪一人で洗えるとこ見せてもらおうかな」
「おう 成長したオレにおののくなよ」
湯の中で手をもみながら軽口を言い、心臓のドキドキをごまかす。赤くなった顔は温泉のせいだと言い聞かせる。
かがり火の灯りが揺らめく水面を照らし、見えそうで見えない股間につい目が行ってしまうのを堪える。最近のオレのおちんちんは自慰のしすぎのせいで皮がむけてきていた。心配になって父ちゃんに相談したら大人になっていってる証拠だって言ってた。オレのは通常時は皮をかぶったままだけど大人になったらムケるんだって。海瑠のはムケてるんだろうか…。湯の向こうにキャラメルブラウンの茂みが見える。金に近い髪色より下の毛は濃いのかななんて考えてたらノボせてきた。
タオルを腰に巻き、髪を洗うのを見せた。うつむきで片手で目を押さえながらシャワーで手早く洗う。どんなもんだと自慢するとスゴイね!って褒められた。へへっ
もう一度風呂に浸かってから出ようと二人で大きなツボのような浴槽に入る。大人3人も入ると満員になりそうなそれは貸し切りのようで楽しいけど狭いから密着してしまい足の一部が触れる。狭いからだ。心の中で言い訳しながら体を寄せると腕も触れ合った。狭いからひっついてても変じゃないのに他の宿泊客が見てないかあたりを見回してしまう。
「寝湯があったらよかったのにね」
「ん?スーパー銭湯にあった寝ころぶ風呂か?」
「うん、大好きでしょ?」
「まぁ…うん、オレはジェットバス風呂のほうが好きかな」
腰が赤くなるほどのジェット噴射が好きだったからそう答えたけど、夜空を見上げながら思い出すように微笑う海瑠に気づいてしまった。
アイツが好きだったのか。
(異世界にも露天風呂があったのか?)聞きたいけど聞きたくない。オレとの二人きりの旅行でも、ふいにアイツが邪魔をしてくる。オレを見てほしいのに海瑠はいつもオレの向こうにいるあいつを探している。
「先にあがるぞ」
こみ上げる嫌な気持ちに耐え切れず一人で先に部屋に戻った。
部屋に戻り、濡れた髪のままベッドに入りシーツを頭までかぶった。
何度こんなことに遭遇しても慣れない。明日は前世を思い出すキッカケ探しに行くらしいが行きたくないって思ってしまう。なぜだか悔しいんだ。思い出してなんかやらないっていじわるな気持ちが芽生えてしまう。
部屋のドアが開く金属音が聞こえる。しばらくして寝室のドアが薄く開きぼんやりと部屋が明るくなるのをシーツ越しに見る。寝たふりをしてるのがバレないかドキドキする。今は顔を合わせたくない。絶対オレ変な顔しちゃうから。そっとしといて。
パタンと閉じられた扉にホッとする。せっかくの旅行なのに、まだまだおしゃべりをして楽しい夜を一緒に過ごせるのに。こんな態度しか取れない自分の心の狭さが嫌になる。開けたままのバルコニーに通じる窓から聞こえる波の音が優しくて悲しい。
明日はちゃんとしよう。海瑠が言うキッカケってやつにちゃんと向き合って思い出せるように…
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