110 / 119
6章
18
しおりを挟む
「こえ、おいちいやった」
永遠の横で食後のガビエ茶を注いでいたクテニ族に、また出してほしいものを暗にねだる永遠が今日も可愛い。
クテニ族は吊り目で大きな耳の黄土色の髪、長いフサフサな尻尾な種族で体格は永遠と同じくらい。
「かしこまりました、厨房にお伝えしておきますね」
ニッコリほほ笑むこのクテニ族は、永遠専用につけてもらってる複数人のまとめ役だ。
ほほ笑むと弧を描く目が開くと他のクテニ族よりも大きくて、吊り目じゃなく俺たちと同じような形をしている。
名をラウミと言う。
他のクテニ族は寡黙なのに対して、永遠の話し相手にもなってくれる。
ここにきて数ウユーたつが、他のクウガ族やクテニ族は季節ごとに入れ替わるのに、この屋敷にいる者は変わらない。
宰相に理由を聞くと、最初からその人選をしているとのことだった。
最初はラウミがあの蛇族の交易の女のように俺を油断させ安心させて永遠を攫うのじゃないかと危惧していたが、細やかな気遣い、ワガママにはピシャリと注意する、常に永遠のことを第一に考え、心から永遠を大事に思ってくれていて、今は俺も信頼している。
クテニ族は体格の割に強い。
それはあの鳶尾を倒し捕縛したクテニ族に限らず、小さな体を利用した体術と、色んな小道具で戦う術を幼体の頃から親に教えられて育つかららしい。
「おぇ、とわさきに…いってくるね。らうみー、おふろ」
他のクテニ族やクウガ族がいる部屋だからだろう、小声で話す永遠。
たまに油断すると【おぇ】と呼んでしまうのも、ここが私的な場所で安心しているからだろう。
ラウミと共に、寝所のほうへ行ってしまった永遠に数人のクテニ族が篭や布を手についていく。
「おかわりはいかがですか?」
声をかけてきたのはクウガ族のアージュネイトだ。
「ああ頼む」
クウガ族にしては小柄で華奢な青年は、宰相の甥にあたるらしい。
新しいのに取り替えたのであろうガビエ茶からは湯気があがっている。
「ありがとう」
礼を言う必要はないと何度も言われたが、それは人としてどうかと思う。
少し熱めの独特な苦味のあるガビエ茶は先ほどまでのと違い濃い。
これも俺の好みを理解してくれてるがゆえだ。
本当にありがたい。
*
ガビエ茶を飲みながら宰相とのやり取りを思い出す。
「俺には人を着けないでくれ、落ち着かないし、いざという時は自分で戦える」
ずっと一人で暮らしてきた俺にとって、何人にも見られ守られると言う生活は窮屈だった。
何度も何度も話し、結論としてアージュネイトを家の中で、外ではクウガ族の戦士たちがわからないように警護するという話で落ち着いた。
「警護といいましても、この街に入れるのは私が発行した通行手形を持つ者だけですし、厳選して数ムンセ毎に入れ替わりはしますが、皆 久遠様と永遠様を神のごとく崇めている者たちです。もし天災や咄嗟の事故があっても、そこら中にいる彼らが勝手に守るでしょう」
人数を減らすことに抵抗していた宰相がそんなことを言ったので、
--------結局は数が減ったのかどうかわからないじゃないかと俺はクスリと笑った。
永遠の横で食後のガビエ茶を注いでいたクテニ族に、また出してほしいものを暗にねだる永遠が今日も可愛い。
クテニ族は吊り目で大きな耳の黄土色の髪、長いフサフサな尻尾な種族で体格は永遠と同じくらい。
「かしこまりました、厨房にお伝えしておきますね」
ニッコリほほ笑むこのクテニ族は、永遠専用につけてもらってる複数人のまとめ役だ。
ほほ笑むと弧を描く目が開くと他のクテニ族よりも大きくて、吊り目じゃなく俺たちと同じような形をしている。
名をラウミと言う。
他のクテニ族は寡黙なのに対して、永遠の話し相手にもなってくれる。
ここにきて数ウユーたつが、他のクウガ族やクテニ族は季節ごとに入れ替わるのに、この屋敷にいる者は変わらない。
宰相に理由を聞くと、最初からその人選をしているとのことだった。
最初はラウミがあの蛇族の交易の女のように俺を油断させ安心させて永遠を攫うのじゃないかと危惧していたが、細やかな気遣い、ワガママにはピシャリと注意する、常に永遠のことを第一に考え、心から永遠を大事に思ってくれていて、今は俺も信頼している。
クテニ族は体格の割に強い。
それはあの鳶尾を倒し捕縛したクテニ族に限らず、小さな体を利用した体術と、色んな小道具で戦う術を幼体の頃から親に教えられて育つかららしい。
「おぇ、とわさきに…いってくるね。らうみー、おふろ」
他のクテニ族やクウガ族がいる部屋だからだろう、小声で話す永遠。
たまに油断すると【おぇ】と呼んでしまうのも、ここが私的な場所で安心しているからだろう。
ラウミと共に、寝所のほうへ行ってしまった永遠に数人のクテニ族が篭や布を手についていく。
「おかわりはいかがですか?」
声をかけてきたのはクウガ族のアージュネイトだ。
「ああ頼む」
クウガ族にしては小柄で華奢な青年は、宰相の甥にあたるらしい。
新しいのに取り替えたのであろうガビエ茶からは湯気があがっている。
「ありがとう」
礼を言う必要はないと何度も言われたが、それは人としてどうかと思う。
少し熱めの独特な苦味のあるガビエ茶は先ほどまでのと違い濃い。
これも俺の好みを理解してくれてるがゆえだ。
本当にありがたい。
*
ガビエ茶を飲みながら宰相とのやり取りを思い出す。
「俺には人を着けないでくれ、落ち着かないし、いざという時は自分で戦える」
ずっと一人で暮らしてきた俺にとって、何人にも見られ守られると言う生活は窮屈だった。
何度も何度も話し、結論としてアージュネイトを家の中で、外ではクウガ族の戦士たちがわからないように警護するという話で落ち着いた。
「警護といいましても、この街に入れるのは私が発行した通行手形を持つ者だけですし、厳選して数ムンセ毎に入れ替わりはしますが、皆 久遠様と永遠様を神のごとく崇めている者たちです。もし天災や咄嗟の事故があっても、そこら中にいる彼らが勝手に守るでしょう」
人数を減らすことに抵抗していた宰相がそんなことを言ったので、
--------結局は数が減ったのかどうかわからないじゃないかと俺はクスリと笑った。
42
お気に入りに追加
566
あなたにおすすめの小説
【完結】マジで滅びるんで、俺の為に怒らないで下さい
白井のわ
BL
人外✕人間(人外攻め)体格差有り、人外溺愛もの、基本受け視点です。
村長一家に奴隷扱いされていた受けが、村の為に生贄に捧げられたのをきっかけに、双子の龍の神様に見初められ結婚するお話です。
攻めの二人はひたすら受けを可愛がり、受けは二人の為に立派なお嫁さんになろうと奮闘します。全編全年齢、少し受けが可哀想な描写がありますが基本的にはほのぼのイチャイチャしています。
運命の番が解体業者のおっさんだった僕の話
いんげん
BL
僕の運命の番は一見もっさりしたガテンのおっさんだった。嘘でしょ!?……でも好きになっちゃったから仕方ない。僕がおっさんを幸せにする! 実はスパダリだったけど…。
おっさんα✕お馬鹿主人公Ω
おふざけラブコメBL小説です。
話が進むほどふざけてます。
ゆりりこ様の番外編漫画が公開されていますので、ぜひご覧ください♡
ムーンライトノベルさんでも公開してます。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
【完結】僕の大事な魔王様
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。
「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」
魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。
俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/11……完結
2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位
2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位
2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位
2023/09/21……連載開始
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
【完結】魔力至上主義の異世界に転生した魔力なしの俺は、依存系最強魔法使いに溺愛される
秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)
BL
【概要】
哀れな魔力なし転生少年が可愛くて手中に収めたい、魔法階級社会の頂点に君臨する霊体最強魔法使い(ズレてるが良識持ち) VS 加虐本能を持つ魔法使いに飼われるのが怖いので、さっさと自立したい人間不信魔力なし転生少年
\ファイ!/
■作品傾向:両片思い&ハピエン確約のすれ違い(たまにイチャイチャ)
■性癖:異世界ファンタジー×身分差×魔法契約
力の差に怯えながらも、不器用ながらも優しい攻めに受けが絆されていく異世界BLです。
【詳しいあらすじ】
魔法至上主義の世界で、魔法が使えない転生少年オルディールに価値はない。
優秀な魔法使いである弟に売られかけたオルディールは逃げ出すも、そこは魔法の為に人の姿を捨てた者が徘徊する王国だった。
オルディールは偶然出会った最強魔法使いスヴィーレネスに救われるが、今度は彼に攫われた上に監禁されてしまう。
しかし彼は諦めておらず、スヴィーレネスの元で魔法を覚えて逃走することを決意していた。
【完結】悪役に転生した俺、推しに愛を伝えたら(体を)溺愛されるようになりました。
神代シン
BL
主人公の青山朶(あおやまえだ)は就活に失敗しニート生活を送っていた。そんな中唯一の娯楽は3ヵ月前に購入したBL異世界ゲームをすること。何回プレイしても物語序盤に推しキャラ・レイが敵の悪役キャラソウルに殺される。なので、レイが生きている場面を何度も何度も腐るようにプレイしていた。突然の事故で死に至った俺は大好きなレイがいる異世界にソウルとして転生してしまう。ソウルになり決意したことは、レイが幸せになってほしいということだったが、物語が進むにつれ、優しい、天使みたいなレイが人の性器を足で弄ぶ高慢無垢な国王だということを知る。次第に、ソウルがレイを殺すように何者かに仕向けられていたことを知り、許せない朶はとある行動を起こしていく。
※表紙絵はミカスケ様よりお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる