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6章

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「こえ、おいちいやった」

永遠とわの横で食後のガビエ茶を注いでいたクテニ族に、また出してほしいものを暗にねだる永遠とわが今日も可愛い。
 クテニ族は吊り目で大きな耳の黄土色の髪、長いフサフサな尻尾な種族で体格は永遠とわと同じくらい。

「かしこまりました、厨房にお伝えしておきますね」

 ニッコリほほ笑むこのクテニ族は、永遠とわ専用につけてもらってる複数人のまとめ役だ。
 ほほ笑むと弧を描く目が開くと他のクテニ族よりも大きくて、吊り目じゃなく俺たちと同じような形をしている。

 名をラウミと言う。
 他のクテニ族は寡黙なのに対して、永遠の話し相手にもなってくれる。
 ここにきて数ウユーたつが、他のクウガ族やクテニ族は季節ごとに入れ替わるのに、この屋敷にいる者は変わらない。

 宰相に理由を聞くと、最初からその人選をしているとのことだった。


 最初はラウミがあの蛇族の交易の女のように俺を油断させ安心させて永遠とわを攫うのじゃないかと危惧していたが、細やかな気遣い、ワガママにはピシャリと注意する、常に永遠とわのことを第一に考え、心から永遠とわを大事に思ってくれていて、今は俺も信頼している。

 クテニ族は体格の割に強い。
 それはあの鳶尾いちはつを倒し捕縛したクテニ族に限らず、小さな体を利用した体術と、色んな小道具で戦うすべを幼体の頃から親に教えられて育つかららしい。

「おぇ、とわ永遠さきに…いってくるね。らうみー、おふろ」

 他のクテニ族やクウガ族がいる部屋だからだろう、小声で話す永遠とわ
 たまに油断すると【おぇ】と呼んでしまうのも、ここが私的な場所で安心しているからだろう。

 ラウミと共に、寝所のほうへ行ってしまった永遠とわに数人のクテニ族が篭や布を手についていく。


「おかわりはいかがですか?」

 声をかけてきたのはクウガ族のアージュネイトだ。

「ああ頼む」

 クウガ族にしては小柄で華奢な青年は、宰相の甥にあたるらしい。
 新しいのに取り替えたのであろうガビエ茶からは湯気があがっている。

「ありがとう」

 礼を言う必要はないと何度も言われたが、それは人としてどうかと思う。

 少し熱めの独特な苦味のあるガビエ茶は先ほどまでのと違い濃い。
 これも俺の好みを理解してくれてるがゆえだ。
 本当にありがたい。


 *

 ガビエ茶を飲みながら宰相とのやり取りを思い出す。

「俺には人を着けないでくれ、落ち着かないし、いざという時は自分で戦える」

 ずっと一人で暮らしてきた俺にとって、何人にも見られ守られると言う生活は窮屈だった。

 何度も何度も話し、結論としてアージュネイトを家の中で、外ではクウガ族の戦士たちがわからないように警護するという話で落ち着いた。

「警護といいましても、この街に入れるのは私が発行した通行手形を持つ者だけですし、厳選して数ムンセ毎に入れ替わりはしますが、皆 久遠様と永遠様を神のごとく崇めている者たちです。もし天災や咄嗟の事故があっても、そこら中にいる彼らが勝手に守るでしょう」

 人数を減らすことに抵抗していた宰相がそんなことを言ったので、

 --------結局は数が減ったのかどうかわからないじゃないかと俺はクスリと笑った。
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