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2章

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 昨日は更新忘れてしまってすみませんでした。
 お気に入りも100超えてて嬉しいです!
 読んでくださりありがとうございます。
            angel






 ****************************************

 窓から朝日が差し、鳥のセゼモの声が聞こえる。
 洞窟から戻りいつもの生活、いつもと変わらない朝だったのに。

「アルゼ朝だぞ。起きて朝飯をつく…」

 掛け布を捲り、左脇腹のアルゼを見た俺は最後まで言葉が続けられなかった。



 真っ白の髪の裸の子供がそこに居たからだ。


 肌の色は真白玉のように白く、細く長い手足。
 閉じた目には長い輝く白いまつげ、チョコンと愛らしい鼻とピンク色の小さな口。
 ゆっくりと開いた瞳は見慣れた大きな黒い瞳で、幼体の時と変わらず濡れたようにキラキラしている。

「ア…ルゼ……?」

 まだ眠いのか目をパシパシさせながら見上げるアルゼが自分の変化に気づきじっと手を見る。
 ニギニギと指を動かし自分の顔を触る。

「あ…ぅ…」

 人化した獣人は最初はうまく話せない。
 今までは心話で話していたが、人化してから心話は使えない。

「アルゼ…人化できたんだな、おめでとう」

 人化するというのは大人への第一歩だ。
 俺が人化した時も両親はおめでとうと言ってくれた。

 なんの獣人かわからないアルゼだったが人化しても変わらず頭の上には大きな白い耳があるし、尻尾もフサフサだ。

「…うぁ、お?…あぅ」

「あわてなくていい、ゆっくりだ」

 話すのもそうだが、体の動かし方から学んでいかなければいけない。
 体を支えてやり座らせ。手足をさすってやる。

「違和感があるだろうがすぐに慣れるぞ、心配ない」

 俺にもたれかかるように座らせるとスッポリと腕の中に納まる小さい体。
 足の間にはピンク色の小さな牡の象徴が見え、慌てて目をそらす。

「…ぉ、あぅぇ」

 手を伸ばし自分の足を触った後、俺の足を触り

「ぃ…っ、ちょ」

 と俺を見上げながらヘニャリと笑う。
 人化してもやっぱりアルゼはアルゼだと愛おしさがこみあげる。

「ああ、一緒だ」

 こんな愛らしい子供を見たことがない。
 俺なんかと一緒なわけない--------と思いつつ、そんな感情は閉じ込める。

「服を作ってやろうな。靴もいるな」

 村から報酬でもらった新しい布はまだたんまりとある、靴は…俺に作れるだろうか?
 とりあえず俺の上着を羽織らせ、長すぎる袖を折る。
 釦を留めてやり立たせると、うまく下半身が隠れた。

「下履きもいるか、とりあえずはこれで我慢しててくれ」

「…ぉえ、で、い」


 何を言ってるのかわからないが舌の使い方が慣れるまでだ。
 頭を撫でてやると嬉しそうにニパァと笑う人化したアルゼに胸がドキンとした。


(牡だぞ--------)


 さっき見えたピンク色の牡の象徴を思い出すと、信じられないことに俺の陰茎が反応をする。
 馬鹿な。

 自分で自分の顔を殴ると、アルゼが不思議そうに可愛らしい顔を傾げた。









「顔を突っ込むな、匙を使うんだ」

 幼体の頃からの定位置の俺の膝の上に座り、器に顔を突っ込んで食べようとするのを止め、手に匙を握らせる。
 大人用の匙はアルゼの小さな手には大きすぎて、これも作ってやらねばと算段する。

 匙にルンカンの焼いたのを乗せようと格闘しているが、まだ手をうまく使えないせいで机にルンカンが転がった。

「ごえんぁさい」

 慌てて手で拾おうとするが摘まめずさらに転がるルンカンを俺が匙ですくって口元へ運んでやると、首をコテンと傾げて匙と俺を交互に見つめる。

「あーん、しろ」

 俺が大きく口を開いて言うと、パカッと小さな口が開いた。
 ルンカンを放り込んでやるとシャクシャクと音を鳴らしてたべだした。

「おぃち、ね」

 匙を持ったままの手を頬に添え、ヘニャリと笑う。
 ただ焼いただけのルンカンなのに美味しいと言ってくれて有難い。
 俺も一口食べてみると歯ごたえと適度な旨味が染み出して、今年のルンカンは去年よりも美味しい気がした。

 匙を机に置いてパカッと口を開き、次のルンカンを催促するアルゼ。
 開いた口の中を観察するとリウアン族にあるような、前歯の両横にある牙がないことに気づいた。



(やはり草食獣人か--------?)


「あー、あぁーー」

 口を開いたまま早くくれと訴えるのがセゼモの雛のようだ。


「自分で食べれるように練習しないと駄目なんだぞ」

 机の上に置かれたままの匙を指さすと、眉をしかめて嫌そうな顔をした。

 *




 食事の後片付けをしたあと、日課の畑の見回りをする。
 夏野菜のムゼニの葉をいくつか収穫しながら、俺は先ほどの食事の光景を反芻していた。

 匙をもっと持ちやすく作れないだろうか。
 俺が子供の頃使っていた匙は持つところが短くて太かったと記憶している。
 アルゼの小さな口に入るくらい小さな匙を作ってやろう。

 アルゼのパカッと開いた口の中はピンク色で、俺は昨日見た幼い陰茎を思い出した。

 チョコンとあったそれは、自分の幼いころを思い出してみても同じとは思えないくらい綺麗で可愛らしいものだった。
 ムクムクと下半身に違和感を感じ、慌てて頭を振り考えを外に追い出す。

(何を考えているんだ、アイツは牡だというのに)

 人化してしばらく経った頃、父親に下半身がムズムズすると訴えたら、それは大人になった証だと自慰のやり方を教わった。
 自分の手で好きな人を想像しながら交尾する想像をしなさいと。

 好きな人なんて--------

 誰からも嫌われ逃げられる俺が?
 怯えた顔、憎しみの顔、そんなのしか向けられないのに、どう想像しろと。






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