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誘拐
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ボクの背中にある傷とソックリの、引き攣れた無数のピンクの傷。
「それ…にぃさまに…?それとも義母上に…?」
返事は返ってこない。
「君は何歳なの?いつからここにいるの?」
床に座り込んだままのコピーのガラス玉のような茶色い瞳は、どこを見てるのかわからないような光を失ったかのような目だった。
「ここは伯爵邸だとしたら…王都から遠い…?」
「2年くらい…」
「…?」
何に対する返答か…ここに来て2年くらいと言うことか?
どうにも会話がスムーズに進まない。
「2年もここにいるの?君のご両親は?」
「……」
ダメだ、とにかくここを出よう。
コピーを引きずってでも椅子で扉を壊す!
腕を掴み立たせようとしていたら
「随分仲良しになったみたいだな」
ドアの向こうからカーティスの声がして、カギを開け入ってきた。
思わず後ずさるが、コピーの足と鎖で繋がれているので限界があった。
カーティスが迫りくる。
「あれから2年…3年か?元気そうだな」
昔馴染みとの会話のように話しかけてくる。
「…かえして、ボクとコピーを解放して」精一杯の低い声で睨みつける。
「あの時…お前を庇ってケガをして生死を彷徨った義兄に言うセリフか?」
クックックッと楽しげにフェルを壁際まで追い詰める。
逃げ場がなくなったフェルの二の腕を掴み壁に押し付けた。
「あの後オレは、半年間も意識が戻らず生死を彷徨ったんだぞ」
腕を掴む手がギリギリと締め上げる。
「目が覚めたらお前は消えてて、母は死んでたよ」
「えっ…」
「あの直後死んだらしい、あのナイフで自分の喉を突いてな」
『お前さえ産まれなければ!』血まみれの伯爵婦人の顔が脳内を駆け巡る。
動揺するフェルにかまわず、カーティスは足元に蹲ったままのコピーに短く指示した。
「こいつを吊る用意しろ」
コピーは今までの緩慢な動きがウソのように、ポケットから小さなカギを取り出すとカチャカチャと自分の足の枷を外し、奥の机に向かった。
信じられないという目で見つめるフェルの前まで何かを持って戻ってくる。
手にしているのは足の枷と同じ素材の革製のベルトで、カーティスに抑えられ動けないフェルの首に装着した。
「やめて…!コピー!なんでっ…?」
フェルを引きずるように部屋の真ん中まで進んだカーティスは、天井から下がる鎖を首輪の金属に繋ぐ。
コピーがドア近くの機械を操作すると鎖がキリキリと巻き上げられ、フェルの踵がかろうじて床につく高さに調節された。
「コピー逃げて!」
(今ならドアのカギはかかってない…早く逃げて助けを呼んできて)と願う。
だがコピーは上半身裸のままドア近くから動かず、ボンヤリとフェルとカーティスを見ていた。
「腕もだ」
その言葉にコピーが動き出し、また机に行き何かを取り出す。
カーティスがフェルの腕を後ろに回させコピーが同じ革の枷で拘束した。
「よく躾けてあるだろう?」口端を上げて嘲笑うカーティスにゾッとした。
カーティスの指がボクの首に伸びて、夜光石のネックレスをはずす。
「やめろ!返せよ!!ボクのだ… おねがい…それだけは返して!!」
聞こえないかのようにフェルのネックレスをコピーの首にかけた。
「似合うな…これでまた完璧に近づいた」ウットリと言う。
コピーはボンヤリとネックレスを見つめていた。
「返せっ!」
足以外、自由にならないフェルは右足でカーティスを蹴ろうとするがよけられ、その細い足首をギリギリとすごい力で掴まれる。
「痛っ…ぃ」
「お前もしつけが必要なようだな」
カーティスの右手には短いナイフが握られていた。
「それ…にぃさまに…?それとも義母上に…?」
返事は返ってこない。
「君は何歳なの?いつからここにいるの?」
床に座り込んだままのコピーのガラス玉のような茶色い瞳は、どこを見てるのかわからないような光を失ったかのような目だった。
「ここは伯爵邸だとしたら…王都から遠い…?」
「2年くらい…」
「…?」
何に対する返答か…ここに来て2年くらいと言うことか?
どうにも会話がスムーズに進まない。
「2年もここにいるの?君のご両親は?」
「……」
ダメだ、とにかくここを出よう。
コピーを引きずってでも椅子で扉を壊す!
腕を掴み立たせようとしていたら
「随分仲良しになったみたいだな」
ドアの向こうからカーティスの声がして、カギを開け入ってきた。
思わず後ずさるが、コピーの足と鎖で繋がれているので限界があった。
カーティスが迫りくる。
「あれから2年…3年か?元気そうだな」
昔馴染みとの会話のように話しかけてくる。
「…かえして、ボクとコピーを解放して」精一杯の低い声で睨みつける。
「あの時…お前を庇ってケガをして生死を彷徨った義兄に言うセリフか?」
クックックッと楽しげにフェルを壁際まで追い詰める。
逃げ場がなくなったフェルの二の腕を掴み壁に押し付けた。
「あの後オレは、半年間も意識が戻らず生死を彷徨ったんだぞ」
腕を掴む手がギリギリと締め上げる。
「目が覚めたらお前は消えてて、母は死んでたよ」
「えっ…」
「あの直後死んだらしい、あのナイフで自分の喉を突いてな」
『お前さえ産まれなければ!』血まみれの伯爵婦人の顔が脳内を駆け巡る。
動揺するフェルにかまわず、カーティスは足元に蹲ったままのコピーに短く指示した。
「こいつを吊る用意しろ」
コピーは今までの緩慢な動きがウソのように、ポケットから小さなカギを取り出すとカチャカチャと自分の足の枷を外し、奥の机に向かった。
信じられないという目で見つめるフェルの前まで何かを持って戻ってくる。
手にしているのは足の枷と同じ素材の革製のベルトで、カーティスに抑えられ動けないフェルの首に装着した。
「やめて…!コピー!なんでっ…?」
フェルを引きずるように部屋の真ん中まで進んだカーティスは、天井から下がる鎖を首輪の金属に繋ぐ。
コピーがドア近くの機械を操作すると鎖がキリキリと巻き上げられ、フェルの踵がかろうじて床につく高さに調節された。
「コピー逃げて!」
(今ならドアのカギはかかってない…早く逃げて助けを呼んできて)と願う。
だがコピーは上半身裸のままドア近くから動かず、ボンヤリとフェルとカーティスを見ていた。
「腕もだ」
その言葉にコピーが動き出し、また机に行き何かを取り出す。
カーティスがフェルの腕を後ろに回させコピーが同じ革の枷で拘束した。
「よく躾けてあるだろう?」口端を上げて嘲笑うカーティスにゾッとした。
カーティスの指がボクの首に伸びて、夜光石のネックレスをはずす。
「やめろ!返せよ!!ボクのだ… おねがい…それだけは返して!!」
聞こえないかのようにフェルのネックレスをコピーの首にかけた。
「似合うな…これでまた完璧に近づいた」ウットリと言う。
コピーはボンヤリとネックレスを見つめていた。
「返せっ!」
足以外、自由にならないフェルは右足でカーティスを蹴ろうとするがよけられ、その細い足首をギリギリとすごい力で掴まれる。
「痛っ…ぃ」
「お前もしつけが必要なようだな」
カーティスの右手には短いナイフが握られていた。
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