この両手を伸ばした先に

angel

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Petit frèreの相手は?

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ジュリアス様がいなくなってしまう…

騎士学院は初等部・中等部・高等部・大学部まで同じ敷地内にあり
中等部3年のジュリアス様があと7ヶ月で卒業するのはわかっていたが
高等部に入られるだけで校舎棟も寮棟も近く
今までとたいして変わらず一緒にいられると思っていたのに

いなくなってしまう?
いつまで?

好きって言ってもらえて
永遠に一緒にいられるような気になっていた―――

「フェル…?」

心配げにボクの顔を覗き込むジュリアス様
カッコイイ…大好き…
ずっと一緒にいたい…いれると思ってた
胸にこみ上げてくるものをグッと飲み込む

胸ポケットからブローチを取り出しギュッと握りしめ胸に抱く

手のひらを開きジュリアス様に差し出し満面の笑みを作りながらボクは言った

「Petit frèreにはなれません」


引きつった笑顔かもしれない
泣かないように歯を食いしばりながら口端を必死に上げる

「な………んっ…」

手の中のブローチとボクの顔を交互に見るジュリアス様の顔が
見る見る赤くなってき

ボクのその手をブローチごと掴みテーブルのコーヒーセットを左手で薙ぎ払った

ガシャンパリーン

生徒会室に響き渡る音にボクは肩をすくめた

「なぜだ!?Petit frèreになりたくない理由でもあるのか?」

そう詰め寄るジュリアス様は髪を振り乱し苦しげな表情をしていて
ボクはなんてことを言ってしまってるんだろうと後悔するが
テオフィルさんに言われた言葉が脳裏をよぎる

『下賤の者がジュリアス様のPetit frèreなどと厚かましいにもほどがある』


あと7ヶ月しか一緒にいられないなら
Petit frèreになんてならないほうがジュリアス様のためなんだ
王子様が男色だなんて公表することにメリットなんて1つもない

『ジュリアス様のオモチャとしてせいぜいお楽しみさせてあげるがいい』



せめてあと7ヶ月…その間お側にいることだけは許してください
そう願いつつ視線をテオフィルさんに送る

テオフィルさんは真っ直ぐ前を見つめ無表情だ


「ごめんなさい…Petit frèreにはなれません
     でもジュリアス様のことは大好きです
 騒ぎにならないようがんばるのでどうか…ゆるしてください」

涙が出そうになりそれだけ言うとボクはブローチをテーブルに置き、生徒会室を後にした


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