36 / 149
アークライト
1
しおりを挟む
フェルを猛獣たちから守ろうと思ったのはジュリアスのためだった
普段ならそのような些末なことに心を砕いたりしないアークライトだったが
物心ついた頃からの幼馴染のこの冷徹無表情な王子が感情を顕にしたあの時
まだその感情の中身をジュリアス自身が気づいていないとしても
いつか気づくその時のために
なんとしてもこの無垢な天使を綺麗なまま保存しなければ…と思ったのだ
Petit frèreにしてから毎週水曜日の放課後に生徒会室でおしゃべりをする
呼んでもいないのに仕事もない時でさえ必ず同席していたジュリアス
フェルと話すたわいない話を
聞いていない風を装いながら耳を立てているのを見ると
笑いがこみ上げてきて押さえるのに苦労した
「お茶のおかわりはいかが?」
極上の笑みをフェルに向けるアークライトに
耳を真っ赤にし俯くフェル
その様子を(無意識だろうが)鬼のような目つきで睨みつけている親友を見て
『早く自分の気持ちに気づけよな…』と呆れ呟く
フェルもジュリアスのことを気にしているようで
アークライトと向き合って話をしているのに
コッソリとジュリアスのほうを盗み見たりしている
フェルの安全を思えば
早くアークライトのPetit frèreだと公言したほうがいいのはわかっている
わかっているが…
ジュリアスが自分の気持ちに気づき
王子という枷をはねのけてフェルをPetit frèreにするのを待っていた
そうこうしているうちに
デレックが襲った
『フェルをオレのPetit frèreだと公言するから!文句は言わせない!!』
そう言った時のあいつの顔…
未だかつて見たことがない
諦めと後悔が入り混じった苦しげな表情だった
学院に激震が走った
「副会長が!?あの男色嫌いの!!?」
「Petit frèreだって!」
「マジでええええええ!?あのちっこい1年生かよ!」
食堂棟中の視線を一身に浴び
騒然とする中 仲間たちと昼食をとるフェル
いつも以上に体を小さくして目立たないようにしようとするが無駄である
ネヴィルとその仲間たちが囲むように守るフェルの襟元には
Petit frèreの証であるアークライトのラ・フォートリエ公爵家の
紋章のブローチが光り輝いていた
「なんであんな冴えないのが…」
「うそだろ…ずっと憧れてたのに」
悪意に満ちた言葉が突き刺さり
食事どころではないフェル
Petit frèreになるということが
こんなことになるなんて思いもしなかった
大勢の悪意に晒され恐怖しかなかった
普段ならそのような些末なことに心を砕いたりしないアークライトだったが
物心ついた頃からの幼馴染のこの冷徹無表情な王子が感情を顕にしたあの時
まだその感情の中身をジュリアス自身が気づいていないとしても
いつか気づくその時のために
なんとしてもこの無垢な天使を綺麗なまま保存しなければ…と思ったのだ
Petit frèreにしてから毎週水曜日の放課後に生徒会室でおしゃべりをする
呼んでもいないのに仕事もない時でさえ必ず同席していたジュリアス
フェルと話すたわいない話を
聞いていない風を装いながら耳を立てているのを見ると
笑いがこみ上げてきて押さえるのに苦労した
「お茶のおかわりはいかが?」
極上の笑みをフェルに向けるアークライトに
耳を真っ赤にし俯くフェル
その様子を(無意識だろうが)鬼のような目つきで睨みつけている親友を見て
『早く自分の気持ちに気づけよな…』と呆れ呟く
フェルもジュリアスのことを気にしているようで
アークライトと向き合って話をしているのに
コッソリとジュリアスのほうを盗み見たりしている
フェルの安全を思えば
早くアークライトのPetit frèreだと公言したほうがいいのはわかっている
わかっているが…
ジュリアスが自分の気持ちに気づき
王子という枷をはねのけてフェルをPetit frèreにするのを待っていた
そうこうしているうちに
デレックが襲った
『フェルをオレのPetit frèreだと公言するから!文句は言わせない!!』
そう言った時のあいつの顔…
未だかつて見たことがない
諦めと後悔が入り混じった苦しげな表情だった
学院に激震が走った
「副会長が!?あの男色嫌いの!!?」
「Petit frèreだって!」
「マジでええええええ!?あのちっこい1年生かよ!」
食堂棟中の視線を一身に浴び
騒然とする中 仲間たちと昼食をとるフェル
いつも以上に体を小さくして目立たないようにしようとするが無駄である
ネヴィルとその仲間たちが囲むように守るフェルの襟元には
Petit frèreの証であるアークライトのラ・フォートリエ公爵家の
紋章のブローチが光り輝いていた
「なんであんな冴えないのが…」
「うそだろ…ずっと憧れてたのに」
悪意に満ちた言葉が突き刺さり
食事どころではないフェル
Petit frèreになるということが
こんなことになるなんて思いもしなかった
大勢の悪意に晒され恐怖しかなかった
0
お気に入りに追加
336
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる