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「いい度胸だ…」と言うや否やテーブルにあったコップを壁に投げつける
不穏な空気に食堂の空気が張り詰める
ガタガタ震えるのが止まらないフェルに触れない距離で前に立ち上級生たちと睨み合う
(ボクのせいでネヴィルが…どうしよう)
接触恐怖症を知るネヴィルが自分のために騒ぎになるのも厭わず守ってくれている
(なんとか…なんとかしないと でもどうやって…)
睨み合いにしびれを切らしたデレックがネヴィルを押しのけフェルにつかみかかった
その時
「そこまでだ」
食堂棟に響き渡る凛とした声
ゆっくりと中二階から降りてくる銀髪の長身 副会長アークライトだった
公爵家の長男で将来王家の重要なポストを担うであろう美貌の副会長の登場にどよめく
優美な動きで中二階の王子を振り返りながら
「ジェイが怒ってるよ?」
とニッコリと微笑んだ様は
審判の女神かと見紛うばかりに神々しく、背筋が凍りそうな冷たい瞳だった
(なんで 食事棟になんているんだ…)
チッと舌打ちし逃げ出すデレックは
普段は食事棟に来ない王族たちを見て不運を嘆いた
食事棟に安堵と羨望のため息が充満する
「だいじょうぶ?」
とサラリと銀髪をなびかせ小首を傾げるアークライトに
「だ!!だいじょうぶっすう!ありがとうございます!!」と鼻息荒く答えたネヴィル
「その子…だいじょうぶそうじゃないけど医務室連れてったほうがいいんじゃ?」
と問われフェルを見ると真っ青な顔で口を抑え震えていた
******************************
『ジェイが怒ってるよ?』
(ジェイって言った…あのひとジェイって…)
医務室から自室へ戻りベッドに横になりながら天井を見上げるフェル
夜着に着替え同じようにベッドに横になっているネヴィルは興奮冷めやらず
「あーーーっ!!なんという美しさ!神々しかった~!たまらんっ はぁ~っ…」
と顔を紅潮させもだえている
「ネヴィル…ごめんねボクのせいで…」
シーツを頭までかぶりボソッと言うフェルに
「気にすんなよ!悪いのはあいつらなんだから」とあっけらかんと笑う
「でもさぁ~まさかジュリアス様まで食堂棟におられるとは思わなかったよな~」
「そうなの?」
「そりゃそうさ 王族だぞ
いつもは最上階の自室で俺らとは違うもっとすんばらし~い料理を召し上がってるんだぞ」と威張るように言う
「そうなんだ…」
「そうそう アークライト様はな~」と副会長の素晴らしさを熱弁するネヴィルの話も上の空で
頭に浮かぶのは中二階から自分を見る黒い瞳
(ジュリアス様…王子様 黒い髪 黒い瞳…
ジェイって呼ばれてた
ジェイ…?本当に…?)
記憶がおぼろげになり顔も思い出せないが
生きる価値もないと虐待される日々の心の支えだった
もう一度会えるまで何があろうと死ねないと固く誓った唯一の人
もしかして…
「なぁったら!」
上の空なフェルにプゥーッと頬をふくらませ不満顔のルームメイト
その顔がなんとも愛嬌がありププッと吹き出す
「笑った!」
「え?」
「フェルがはじめて笑った!」
とこの人の良いルームメイトはとてもうれしそうにニカッと笑う
(本当にいい人とルームメイトになれてよかった)
心が暖かくなるのを感じながら
二人で笑い合って初日の夜はふけていった
不穏な空気に食堂の空気が張り詰める
ガタガタ震えるのが止まらないフェルに触れない距離で前に立ち上級生たちと睨み合う
(ボクのせいでネヴィルが…どうしよう)
接触恐怖症を知るネヴィルが自分のために騒ぎになるのも厭わず守ってくれている
(なんとか…なんとかしないと でもどうやって…)
睨み合いにしびれを切らしたデレックがネヴィルを押しのけフェルにつかみかかった
その時
「そこまでだ」
食堂棟に響き渡る凛とした声
ゆっくりと中二階から降りてくる銀髪の長身 副会長アークライトだった
公爵家の長男で将来王家の重要なポストを担うであろう美貌の副会長の登場にどよめく
優美な動きで中二階の王子を振り返りながら
「ジェイが怒ってるよ?」
とニッコリと微笑んだ様は
審判の女神かと見紛うばかりに神々しく、背筋が凍りそうな冷たい瞳だった
(なんで 食事棟になんているんだ…)
チッと舌打ちし逃げ出すデレックは
普段は食事棟に来ない王族たちを見て不運を嘆いた
食事棟に安堵と羨望のため息が充満する
「だいじょうぶ?」
とサラリと銀髪をなびかせ小首を傾げるアークライトに
「だ!!だいじょうぶっすう!ありがとうございます!!」と鼻息荒く答えたネヴィル
「その子…だいじょうぶそうじゃないけど医務室連れてったほうがいいんじゃ?」
と問われフェルを見ると真っ青な顔で口を抑え震えていた
******************************
『ジェイが怒ってるよ?』
(ジェイって言った…あのひとジェイって…)
医務室から自室へ戻りベッドに横になりながら天井を見上げるフェル
夜着に着替え同じようにベッドに横になっているネヴィルは興奮冷めやらず
「あーーーっ!!なんという美しさ!神々しかった~!たまらんっ はぁ~っ…」
と顔を紅潮させもだえている
「ネヴィル…ごめんねボクのせいで…」
シーツを頭までかぶりボソッと言うフェルに
「気にすんなよ!悪いのはあいつらなんだから」とあっけらかんと笑う
「でもさぁ~まさかジュリアス様まで食堂棟におられるとは思わなかったよな~」
「そうなの?」
「そりゃそうさ 王族だぞ
いつもは最上階の自室で俺らとは違うもっとすんばらし~い料理を召し上がってるんだぞ」と威張るように言う
「そうなんだ…」
「そうそう アークライト様はな~」と副会長の素晴らしさを熱弁するネヴィルの話も上の空で
頭に浮かぶのは中二階から自分を見る黒い瞳
(ジュリアス様…王子様 黒い髪 黒い瞳…
ジェイって呼ばれてた
ジェイ…?本当に…?)
記憶がおぼろげになり顔も思い出せないが
生きる価値もないと虐待される日々の心の支えだった
もう一度会えるまで何があろうと死ねないと固く誓った唯一の人
もしかして…
「なぁったら!」
上の空なフェルにプゥーッと頬をふくらませ不満顔のルームメイト
その顔がなんとも愛嬌がありププッと吹き出す
「笑った!」
「え?」
「フェルがはじめて笑った!」
とこの人の良いルームメイトはとてもうれしそうにニカッと笑う
(本当にいい人とルームメイトになれてよかった)
心が暖かくなるのを感じながら
二人で笑い合って初日の夜はふけていった
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