フユノホタル〜色と光と音の交響曲（シンフォ二ー）〜

すずねこ脚本リスト

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Ａｎｄａｎｔｅ

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　　　　〇音楽室

　【照明　全体】

琴音「歌おうか、彩ちゃん」

彩歌「はい。みなさんが来る前に」

　　　　藍　　上手から登場

藍　「積極的だね、二人とも」

琴音「もちろん
　　　ＭＶが私たちを待ってるんだから！
　　　って、藍ちゃん？！　授業は？」

藍　「抜けてきちゃった。
　　　じっとしてられなくて。
　　　考えたんだ、私。
　　　今、自分が何をすべきか。だから」

琴音「そっか」

藍　「うん。ごめんね、
　　　遅くなって、副長なのに」

彩歌「いいえ。おかえりなさい」

藍　「ただいま」

琴音「うん」

　　　　満月　上手から登場

満月「おはよう！」

琴音「満月ちゃん？！
　　　午前はお休みだからバイトって
　　　この前言ってなかったっけ？！」

満月「休んだ！　全部！」

琴音「休んだ？！」

藍　「全部？！」

満月「うん、今週分だけね」

藍　「よくそんなこと」

満月「お父さんの説得より
　　　店長と女将の方が大変だった。でも
　　　みんな最後には応援してくれたわ。
　　　びしっと決めて来いって」

琴音「よかったね！」

満月「宣伝もしてくれるらしいわ」

琴音「すごい事が大きくなってるね
　　　彩ちゃん！」

彩歌「はい・・・」

藍　「でも、眞白は今日も休みで」

彩歌「登さんもです」

　　　　眞白　上手から登場

眞白「え・・・」

全員「え」

藍　「眞白・・・」

　　　　眞白　上手に退場

　　　　間

琴音「藍ちゃん、追わなきゃ！」

藍　「う、うん」

一星「え、いや、はい、お、眞白？！
　　　なんだなんだなんだなんだ？
　　　なにがどうしてどうなってんだ
　　　コイツは」

眞白「放して！」

満月「女を捕まえる天才ね、アイツ」

琴音「気を付けるんだよ、彩ちゃん」

彩歌「琴音さんは鈍いのか
　　　敏感なのかわかりませんね」

　　　　一星　眞白を捕獲

一星「おい、一体全体どういうことだ？」

藍　「眞白、授業いなかったのに
　　　どうして」

眞白「登くんから話したいことがあるから
　　　音楽室まで来てって」

藍　「また登・・・」

彩歌「告白でしょうか」

琴音「んー違うかなー？」

一星「彩ちゃんも
　　　そっち側の人間だったのな」

彩歌「そっち側？」

眞白「きっとこのことだったんだね・・・」

藍　「え？」

眞白「復活おめでとう」

藍　「違う！　違うよ！　これは」

眞白「始めから藍が
　　　サークル長してれば良かったね！
　　　私じゃやっぱりダメだった！」

藍　「ううん」

眞白「ずっと思ってたんだ。
　　　私いらないんじゃないかって
　　　いない方が
　　　上手くいくんじゃないかって」

藍　「そんなこと！」

眞白「ほんと引き受けるんじゃんかったなー
　　　サークル長なんて。
　　　私、壊すことしかできない。　　　
　　　ごめんね、みんな。頑張って」

藍　「待って」

眞白「じゃあ、私行くね、バイバイ」

藍　「待って、眞白」

満月「眞白」

　　　　満月　眞白の頬を叩く

　　　　間

満月「違うって言ってるでしょ」

眞白「・・・・・・」

満月「待ってって
　　　声も今のあんたには届かないの？」

眞白「そんな」

満月「ほんと向いてないわ、今のあんた」

全員「え」

満月「サークル長に！」

藍　「それは違う」

一星「今のは言い過ぎだろ」

琴音「頑張ってたよ
　　　満月ちゃんだって
　　　知っているでしょう？」

満月「はあ。あんた
　　　これでも悲劇のヒロインのつもり？」

眞白「でも」

満月「でもとかだけどとか
　　　そんな逃げいらない！
　　　向き合わないための言い訳ばっか」

眞白「だって」

満月「一生懸命だと思ってたわ。
　　　見損なった」

眞白「そうじゃない！
　　　私だって、私だって分かんないなりに
　　　私は精一杯やった！」

満月「うん」

眞白「その結果がこれなんだよ！」

満月「うん」

眞白「これ以上私にどうしろっていうの！
　　　どうしたら、良かったの！」

満月「うん」

　　　　満月　眞白に触れる

満月「つらかったね」

眞白「え・・・」

満月「ずっと一人でつらかったね」

眞白「・・・・・・」

満月「あなたは頑張った。
　　　よく頑張った、一生懸命やったよ」

眞白「私は全然、なにも・・・」

満月「苦しかったでしょう」

彩歌「満月さん」

満月「間違ってたんだよ、私たち」

眞白「え？」

満月「独りでやろうだなんて
　　　最初から間違ってたんだよ」

眞白「独り・・・」

満月「そう」

一星「『大きな舞台で歌いたい』
　　　俺らの想いに応えようとした。
　　　そのことは誇っていいと思うぞ！
　　　だから、サークル長」

眞白「でも、私じゃまた」

満月「大丈夫よ、眞白。
　　　私がいる、私たちがいる。
　　　ほら、サークル長」

琴音「早く行先決めて欲しいぞ
　　　サークル長？」

彩歌「どちらに進んだらいいのでしょうか
　　　サークル長さん」

　　　　各々　眞白を中心に集まる

　　　　全員　藍を見る

眞白「みんな・・・」

藍　「眞白・・・」

琴音「藍ちゃん。
　　　届かなくなってから叫んだって
　　　遅いんだんだからね」

　　　　藍　　手を差し出す

藍　「ごめんね」

眞白「ううん」

藍　「眞白」

眞白「私こそ」

　　　　藍　　手を出す

　　　　眞白　藍の手を取る

藍　「おかえり、眞白」

眞白「ただいま」

琴音「んーこれであと１人だね！」

一星「へ、誰かいたっけ？」

彩歌「登さん」

一星「ああ、そうだったそうだった。
　　　でも、アイツいる？
　　　音痴だしアイツいなければ
　　　ここ俺のハーレムになるわけだし」

藍　「登・・・」

　　　　藍　　駆け出す

一星「はあ、やっとか」

琴音「大丈夫かね、御２人さんは？」

彩歌「大丈夫です、きっと」

満月「あなたたち、他人の心配してる場合？」

全員「え？」

満月「『え？』じゃないわ！
　　　ＭＶ忘れたの？」

眞白「あー」

　　　　満月　プッチーン

　　　　眞白　ぷりーん

一星「もちろん、覚えてたぜ！」

彩歌「一星さんが言うと
　　　ウソらしく聞こえますね」

一星「辛辣・・・」

琴音「サークル長は
　　　本気で忘れてたみたいだけどね」

満月「はあ、呆れた。
　　　あなたたち覚悟はいい？
　　　本番まであと３日。
　　　正直、今までの完成度からしたら
　　　参加しない方がいいわよ？
　　　練習時間だってそんなにない。
　　　このままじゃ到底間に合わないけど
　　　辞める？」

　　　　間

彩歌「やりたい・・・」

　　　　彩歌　小さくて聞こえないように

彩歌「私はやりたい！」

　　　　彩歌　一歩前へ

　【照明　彩歌ピンスポ】

全員「彩歌（彩）ちゃん」

彩歌「だって、ここで諦めたら同じだから。
　　　私、進みたい、歌いたい。
　　　ＭＶにみんなと出たい！」

琴音「彩ちゃん・・・」

　【照明　彩歌を中心に広がるように】

一星「誰も諦める選択肢なんて
　　　考えてねえよ」

眞白「ちょっと踏み出す勇気が
　　　なかっただけで・・・」

満月「サークル長～？」

眞白「ごめんなさい！！！」

全員「（笑い）」

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