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知らない想いと届かない心
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○大学
【SE 自動ドア】
未優「すぅーはあ。
よし、出来ることやろう」
未優 スタジオに向かう。
未優「あれ、立花ちゃんに智史くん。
いつもより早い」
未優 フリースペースに
立花と智史を見つける。
未優「二人に相談してみるのも、
やれることだよね、うん」
立花「役を下りてもらおうと思うわ」
未優「え」
智史「そうか」
立花「やっぱり、あの子には
難しかったのかもしれない」
智史「だろうな。誰かの後ろを
ついて回るタイプの人間だ」
立花「このまま脱退されても本末転倒だし。
ううん、明が上手くやってくれたら
それはないんだろうけど」
未優「明くん・・・?」
智史「なんにせよ、
彼女には荷が勝ち過ぎた。
使い物にならなくなる前に
手を打つべきだろう」
立花「そうね、今日にでも未優に伝えるわ」
未優「嘘・・・だよね」
遠くから歩いてくる三人。
勇介「ふあぁ。おはよう明」
明 「おはよ、二人とも」
未優「少しは信用されてるって思ってた」
伙音「おはよう。
勇介のクマひどくなってる」
明 「お前ちゃんと寝てるのか?」
勇介「おう!
さっきまでバイト先で寝てたぜ」
未優「私を見てくれてるって思ってた」
明 「実家暮らしの奨学金生活の
どこにそのお金は消えるんだ」
伙音「女・・・」
勇介「ちゃうわ!」
未優「私、捨てられるの?
使えないから?」
明 「あ、未優、おはよう」
未優 涙目で振り返る。
明 「未優、どうした⁈」
明 未優に手を伸ばす。
立花『明が上手くやってくれたら
それはないんだろうけど』
未優「っ⁉」
未優 駆け出す。
【SE 走る音】
勇介「なんだなんだ?」
伙音「未優泣いて」
明 「未優!」
【SE 走る音】
立花「朝から騒がしいわよ、
あんた、た・・・ち、うそ、未優」
智史「聞かれてたな」
立花「あんたたち、なにぼさっとしてるの!
未優を追いなさい!」
勇介「お、おう!」
智史「おそらく、屋上に向かうだろう、
お前たちだけでも先回りしろ!
最悪は回避したい」
勇介「オーライ!」
伙音「分かった」
勇介&伙音 駆け出す。
【SE 走る音二つ】
智史「しかし、面倒なことになったな」
立花「何他人事みたいに言ってるのよ、
このスカポンタン!
元はと言えばあんたが
扉閉め忘れたのが原因でしょう!」
智史「僕に責任を押し付けるな、
チンチクリンツインテール!
二十歳にもなって
恥ずかしくないのか」
立花「あんたこそ、
二十歳にもなって友達が本だけとか
恥ずかしくないわけ。
まだ、空飛ぶアンパンの方が
有能じゃない」
智史「愛と勇気という虚無なものを
友と呼ぶ奴に僕が劣るものか!
ええい、今は責任の所在も
友人の有無もどうでも良いだろう、
現状をどうにかする方が先決だ」
立花「そうね」
【SE 走る音】
明 大学内を駆け抜ける。
明 未優に追いつく。
明 「捕まえた」
明 未優の腕を掴む。
未優「嫌、放して!」
明 「どうしたんだよ。
放すから、暴れるなって」
明 手を放す。
明 「それで、どうしたんだ?」
未優「別に」
明 「別にって」
未優「もう私のことは放っておいて」
明 「未優」
明 未優に手を伸ばす。
未優「嫌っ! 触らないで!!」
明 「え⁈」
明 伸ばした手が
何かに弾かれたかのように
後方に飛ばされる。
未優 駆け出す。
勇介 掴み損ねる明を目撃。
勇介「なにやってんだ、明!」
明 「分からない、
触れようとしたら、
何かに手が弾かれた」
勇介「なんだそりゃ。いいから走れ!」
明 「ああ」
明 再び追いかける。
勇介 並走。
勇介「俺は先回りするから、
未優ちゃんを絶対見失うなよ」
明 「あ、ああ、分かった」
勇介「じゃ、あとで!」
勇介 明と別行動に。
少し後方にて。
立花「その読み合ってるんでしょうね」
智史「一人になれて、
人目がつかないところと言えばだ。
ただ鬼ごっこしてるよりマシだろう」
立花「これで外れてたら、
髪の毛あぶるわよ」
伙音「あぶる私のセリフ」
智史「さて、もう少しで目的地だが」
未優「二人ともどうして・・・」
勇介「正直よくわかってない」
明 「同じく」
立花「んもう、このバカ正直者。未優」
未優「ひ!? 立花ちゃん・・・」
立花「未優、誤解してるわ」
未優「い、嫌っ」
立花「別にあなたに
今すぐ辞めろって話じゃなくて」
未優「嫌!! それ以上来ないで!!!」
強い風が立花と
未優の間を掛け抜ける。
立花「え・・・何よ、これ」
明 「さっきと同じ感覚」
勇介「足が動かねえ」
智史「どういうことだ、これは」
立花「分からない」
未優()「なんでよ・・・」
伙音「未優?」
未優()「どうして、
みんな私の邪魔をするの?
そんなに私のことが嫌い?
私が何をしたの?」
立花「嫌ってなんていないわ!」
未優「利用したいからってまた。
信じたのに、
私のことを見てくれているって
思ったのに」
立花「見てるわ、あなたのこと」
未優()「嘘だよ、立花ちゃん。
だって知らないでしょう?」
立花「え」
未優「私がどんな思いでいたか
知らないでしょう?」
立花「・・・」
未優()「そんなことも分からないのに、
何を見てたって言うの?」
立花「それは・・・」
未優「結局、使えなくなったら切り捨てる。
変わらない、何も変わらない」
立花「私はあなたを友だちだと」
未優()「どこがよ!
利用するだけ利用して、
全部私に押し付けて!」
明 「未優!」
未優「明くん・・・どうして、
立花ちゃんを庇うの?
やっぱり二人して、私を」
明 「俺たちはお前の味方だ」
未優()「味方だったら、
敵になるのをやめて、
私に優しくしてよ」
明 「未優・・・」
未優()「都合いいことばっか
口にしないでよ!
じゃあ知ってるの?
私がどれだけ頑張ったか!
私がどれだけ苦しんだか‼」
明 「・・・」
未優()「誰も私を理解してくれない・・・
誰も私を見てくれない・・・
私はここにいるのにっ‼」
明 「未優 俺は」
未優()「もういらない! もう信じない!
そうやってみんな私を傷つける!
死んじゃえ・・・
どうせ、こんな世界なら、
こうなるんだったら、いっそみんな」
明 「ダメだ、未優。
それ以上は口にしちゃいけない」
未優()「みんな、
死んじゃえばいいんだ!!!」
未優 明のセリフを
待たなくていい。
強い風が世界全土に吹き抜ける。
【SE 自動ドア】
未優「すぅーはあ。
よし、出来ることやろう」
未優 スタジオに向かう。
未優「あれ、立花ちゃんに智史くん。
いつもより早い」
未優 フリースペースに
立花と智史を見つける。
未優「二人に相談してみるのも、
やれることだよね、うん」
立花「役を下りてもらおうと思うわ」
未優「え」
智史「そうか」
立花「やっぱり、あの子には
難しかったのかもしれない」
智史「だろうな。誰かの後ろを
ついて回るタイプの人間だ」
立花「このまま脱退されても本末転倒だし。
ううん、明が上手くやってくれたら
それはないんだろうけど」
未優「明くん・・・?」
智史「なんにせよ、
彼女には荷が勝ち過ぎた。
使い物にならなくなる前に
手を打つべきだろう」
立花「そうね、今日にでも未優に伝えるわ」
未優「嘘・・・だよね」
遠くから歩いてくる三人。
勇介「ふあぁ。おはよう明」
明 「おはよ、二人とも」
未優「少しは信用されてるって思ってた」
伙音「おはよう。
勇介のクマひどくなってる」
明 「お前ちゃんと寝てるのか?」
勇介「おう!
さっきまでバイト先で寝てたぜ」
未優「私を見てくれてるって思ってた」
明 「実家暮らしの奨学金生活の
どこにそのお金は消えるんだ」
伙音「女・・・」
勇介「ちゃうわ!」
未優「私、捨てられるの?
使えないから?」
明 「あ、未優、おはよう」
未優 涙目で振り返る。
明 「未優、どうした⁈」
明 未優に手を伸ばす。
立花『明が上手くやってくれたら
それはないんだろうけど』
未優「っ⁉」
未優 駆け出す。
【SE 走る音】
勇介「なんだなんだ?」
伙音「未優泣いて」
明 「未優!」
【SE 走る音】
立花「朝から騒がしいわよ、
あんた、た・・・ち、うそ、未優」
智史「聞かれてたな」
立花「あんたたち、なにぼさっとしてるの!
未優を追いなさい!」
勇介「お、おう!」
智史「おそらく、屋上に向かうだろう、
お前たちだけでも先回りしろ!
最悪は回避したい」
勇介「オーライ!」
伙音「分かった」
勇介&伙音 駆け出す。
【SE 走る音二つ】
智史「しかし、面倒なことになったな」
立花「何他人事みたいに言ってるのよ、
このスカポンタン!
元はと言えばあんたが
扉閉め忘れたのが原因でしょう!」
智史「僕に責任を押し付けるな、
チンチクリンツインテール!
二十歳にもなって
恥ずかしくないのか」
立花「あんたこそ、
二十歳にもなって友達が本だけとか
恥ずかしくないわけ。
まだ、空飛ぶアンパンの方が
有能じゃない」
智史「愛と勇気という虚無なものを
友と呼ぶ奴に僕が劣るものか!
ええい、今は責任の所在も
友人の有無もどうでも良いだろう、
現状をどうにかする方が先決だ」
立花「そうね」
【SE 走る音】
明 大学内を駆け抜ける。
明 未優に追いつく。
明 「捕まえた」
明 未優の腕を掴む。
未優「嫌、放して!」
明 「どうしたんだよ。
放すから、暴れるなって」
明 手を放す。
明 「それで、どうしたんだ?」
未優「別に」
明 「別にって」
未優「もう私のことは放っておいて」
明 「未優」
明 未優に手を伸ばす。
未優「嫌っ! 触らないで!!」
明 「え⁈」
明 伸ばした手が
何かに弾かれたかのように
後方に飛ばされる。
未優 駆け出す。
勇介 掴み損ねる明を目撃。
勇介「なにやってんだ、明!」
明 「分からない、
触れようとしたら、
何かに手が弾かれた」
勇介「なんだそりゃ。いいから走れ!」
明 「ああ」
明 再び追いかける。
勇介 並走。
勇介「俺は先回りするから、
未優ちゃんを絶対見失うなよ」
明 「あ、ああ、分かった」
勇介「じゃ、あとで!」
勇介 明と別行動に。
少し後方にて。
立花「その読み合ってるんでしょうね」
智史「一人になれて、
人目がつかないところと言えばだ。
ただ鬼ごっこしてるよりマシだろう」
立花「これで外れてたら、
髪の毛あぶるわよ」
伙音「あぶる私のセリフ」
智史「さて、もう少しで目的地だが」
未優「二人ともどうして・・・」
勇介「正直よくわかってない」
明 「同じく」
立花「んもう、このバカ正直者。未優」
未優「ひ!? 立花ちゃん・・・」
立花「未優、誤解してるわ」
未優「い、嫌っ」
立花「別にあなたに
今すぐ辞めろって話じゃなくて」
未優「嫌!! それ以上来ないで!!!」
強い風が立花と
未優の間を掛け抜ける。
立花「え・・・何よ、これ」
明 「さっきと同じ感覚」
勇介「足が動かねえ」
智史「どういうことだ、これは」
立花「分からない」
未優()「なんでよ・・・」
伙音「未優?」
未優()「どうして、
みんな私の邪魔をするの?
そんなに私のことが嫌い?
私が何をしたの?」
立花「嫌ってなんていないわ!」
未優「利用したいからってまた。
信じたのに、
私のことを見てくれているって
思ったのに」
立花「見てるわ、あなたのこと」
未優()「嘘だよ、立花ちゃん。
だって知らないでしょう?」
立花「え」
未優「私がどんな思いでいたか
知らないでしょう?」
立花「・・・」
未優()「そんなことも分からないのに、
何を見てたって言うの?」
立花「それは・・・」
未優「結局、使えなくなったら切り捨てる。
変わらない、何も変わらない」
立花「私はあなたを友だちだと」
未優()「どこがよ!
利用するだけ利用して、
全部私に押し付けて!」
明 「未優!」
未優「明くん・・・どうして、
立花ちゃんを庇うの?
やっぱり二人して、私を」
明 「俺たちはお前の味方だ」
未優()「味方だったら、
敵になるのをやめて、
私に優しくしてよ」
明 「未優・・・」
未優()「都合いいことばっか
口にしないでよ!
じゃあ知ってるの?
私がどれだけ頑張ったか!
私がどれだけ苦しんだか‼」
明 「・・・」
未優()「誰も私を理解してくれない・・・
誰も私を見てくれない・・・
私はここにいるのにっ‼」
明 「未優 俺は」
未優()「もういらない! もう信じない!
そうやってみんな私を傷つける!
死んじゃえ・・・
どうせ、こんな世界なら、
こうなるんだったら、いっそみんな」
明 「ダメだ、未優。
それ以上は口にしちゃいけない」
未優()「みんな、
死んじゃえばいいんだ!!!」
未優 明のセリフを
待たなくていい。
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