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空を見れば星
しおりを挟む明 「大分、長居してしまった。
台本は明日渡せばいいよな」
【SE 自動ドア】
明&未優「え⁈」
明 出ようとして、
入ってきた未優と正面衝突。
未優「ひゃっ!」
明 「おっと」
明 未優を受け止める。
未優「ご、ごめんなさい!
すぐに離れます!」
明 「そんな慌て動き出したら、
バランスが」
未優「え・・・」
明 「今度は後ろか!」
明 後方に倒れる未優の手を
掴み、引き寄せる。
明 「ほら、言わんこっちゃない」
未優「ごめんなさい・・・」
明 「って、未優⁈」
未優「え・・・明くん? 明くん⁈
あ、明くん⁈」
明 「わっちょ、暴れるなよ」
未優「いつまで手を握ってるんですか、
離れて下さい、離して下さい」
明 「え、あ、すまない。ほら」
未優「ふぅ・・・」
立花『未優のことお願いね』
明 「んーーあーー最近さ」
未優「ん?」
明 「・・・熱いよな」
未優「夏真っ盛りだからね」
明 「熱中症には気をつけないとな」
未優「そうだね」
明 「・・・」
未優「・・・」
明 「ところで、どうして大学に?」
未優「え、あ、それは・・・」
明 「あ、もしかして、台本?」
未優「え・・・うん」
明 「それだったら、ほら」
明 鞄から
未優の台本を取り出す。
未優「ありがとう」
未優 台本を受け取る。
未優「見た?」
明 「え、やあ、ちょっぴり?」
未優「じーー」
明 「あはははは」
未優「馬鹿みたいだよね、
こんなに書いてて成果が出ないって」
明 「未優・・・。
あーとりあえず歩こう、
ここにいると警備員にまた怒られる」
未優「また?」
明 「気にしちゃいけないとこ」
明 未優と歩き出す。
【SE 鈴虫】
明 「送るよ、ここ地元だし」
未優「いや、大丈夫だよ。
家すぐそこだから」
明 「ああ、公園の向こうにあるアパート?
なら、尚更遠い距離じゃないし、
送るよ」
未優「え・・・」
明 「迷惑かな?」
未優「いや、その・・・お願い」
明 「お任せあれ~」
未優「勘定奉行?」
明 歩き出す。
明 「俺はさ、舞台のことは
良く分からないだけどさ。
その台本を見た時、
俺、凄いって思ったよ」
未優「凄い?」
明 「余白が足りないくらい考察されてて、
日々のダメ出し全部メモってあって、
正直尊敬した」
未優「別に凄くないよ。普通のこと」
明 「その普通が俺には分からなかった。
分かってても
そこまで実行できてないと思うし」
未優「それは・・・」
明 「それに、出来て当たり前なことを
当たり前に出来るのって
凄いことだよ?」
未優「そうなのかな」
明 「そうだよ。だから大丈夫さ。
その努力は必ず
実を結んでくれるよ!」
未優「ありがとう」
明 「悩んで一生懸命生きてるのに、
報われないなんて有り得ないからさ」
未優「有り得ないの?」
明 「だって理不尽じゃん?」
未優「ふふ、明くんは凄いね」
明 「なにが?」
未優「いつも前を見てる。
私にはそんな明くんが
凄く輝いて見えるよ」
明 「なんか恥ずかしいんだけど。
別に俺は」
未優「ううん。
だって弱音を一度も
吐いてないでしょう」
明 「吐いてる時間がないだけだよ」
未優「それでも立ち止まったりしない」
明 「油断したら、
すぐ楽な方に流れてくから」
未優「辛くないの?」
明 「どうだろう?
ただ主役を与えられたから」
未優「うん」
明 「俺が、主役に成れるってさ」
未優「うん」
明 「それが凄く楽しみで」
未優「それがあるから頑張れるの?」
明 「ああ」
未優「単純だね」
明 「男ってのは単純な生き物なんだよ、
きっと」
未優「勇介くんみたいなこと言うね」
明 「げっ」
未優 笑う。
明 つられて笑う。
明 「久しぶりに見た
未優が心から笑うところ」
未優「え」
明 「よくは分からないけど。
そういう時ほど
笑った方がいいんだよ、
何より笑ってる方が可愛いし」
未優「可愛い⁈」
明 「ああ。
楽しそうにしてる未優が
一番可愛いよ。
もっとこう気楽に行こう、楽しくさ」
未優「楽しく」
明 「そう、楽しく。楽しんでやって、
やれること全部やって、
それでダメなら考える。
そんなんでいいと思う」
未優「楽しく、やれること全部」
明 「そう。あ、練習しよう」
未優「今から?」
明 「いいだろう、
そこの公園で男役と女役で分けて、
一本通すんだ、面白いと思うんだ」
未優「明くんって意外と子どもなんだね。
そんなふうに笑うんだ」
明 「え、何か変か」
未優「ううん、やろう」
明 「よし」
未優「ありがとう、明くん」
明 「あ、待って、
冒頭のナレーションって
性別ってどっちだ‼」
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