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恋人編
51 夜会のご招待
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レイと恋人になってから1ヶ月が経った。
特に私たちの間に変化はない……………。
でもレイいわく、今はまだ慣らしている最中らしい。
ニヤッと笑って言われたときはなんだか寒気がした………。
一体私に何を慣らそうとしているんだか…………。
なんだか慌ただしくもあっという間に過ぎてしまった二学期だったが、三学期は更に忙しい。上級生になればなるほどその傾向がある。
理由は簡単で、卒業シーズンが近いからだ。
特に5年生なんかは将来の就職先を決める大事な時期であるため、なんだかピリピリしている。
来年は私たちの番なんだろうなぁ、なんて呑気に考えていたが、貴族である以上避けては通れないビックイベントの存在をすっかり忘れていた。
そう、王家主催の夜会である。
この夜会は言ってみれば下は男爵から上は公爵まですべての貴族が揃い、王家に忠誠を誓う年に一度の大切な行事だ。
この夜会のために貴族はマナーを磨き、豪勢な衣装を新調し、情報を集める。
例えば、どこどこさん家の令嬢は婚約したらしいわよー、みたいな話を集めるのだ。
なぜって?この夜会は王家に忠誠を誓うなんてほとんど形骸化したもので、皆の真の目的はより良い縁談を探して、自分の一家を繁栄させることにあるからだ。
王族が主催ということもあって、跡取りになるであろう一家の長男と、16歳以上の男女が集まると決められているのだ。この夜会に出ることで、一族に認められた、と見なすことができ、しっかりした相手に出会えるのだ。(問題ありと一族から見なされたものは、16歳以上であろうと出席は認められない。)
この先程から出ている一族と一家は異なるものだ。
この国には3つの一族がある。これが要は三大公爵家と呼ばれるものだ。
知のブルーノ公爵家
武のレザール公爵家
魔術のミュラー公爵家
この3つの一族が王国建国当初にセントリクス家を支えたと言われ、その他の家はこの三大公爵家の分家に当たるのだ。因みにわがシュタイナー家はブルーノ公爵家の分家に当たる。
私は無事に本家のブルーノ公爵家に認められたらしく、夜会への招待状が届いた。
夜会なんていつぶりだろう、というくらい久しぶりなので、本当に緊張する。
本当はレイにエスコートを頼みたかったんだけど、16歳より下は原則パートナーなしで親に付いて出席するものだから、無理なのだ。婚約者ならいいけれど、まだ、レイと私は婚約していない。
じゃあ、しょうがないからお父様にエスコートしてもらおうかなーと呑気に考えていたら、なんと本家が私のエスコート役を用意してくれるらしい。
お父様が苦々しげにドレスももう届いていて本家の要求だから断れないといってきたときは本当に驚いた!!
まさか本家の人が伯爵家のエスコート事情まで把握していてドレスまで用意してくれているなんて考えもしないよね、普通!
一体誰が来るんだろう。
レイにも一応その話はしたけど、顔を青くしてずっと黙ったままだった。
なんだかただ事じゃない雰囲気で、私まで不安になってしまった。どうしたのかな、レイ。
でも、その日の別れ際に「絶対にそのエスコート役に気を許すな」と念を押されたから心配事があったのかもしれない。
気にはなったが、夜会のための準備が忙しくてすぐに気にしている暇がなくなってしまった。
夜会はもう明日に迫っている。
――――――――――――――――――――
ヤバイ予感が…………
特に私たちの間に変化はない……………。
でもレイいわく、今はまだ慣らしている最中らしい。
ニヤッと笑って言われたときはなんだか寒気がした………。
一体私に何を慣らそうとしているんだか…………。
なんだか慌ただしくもあっという間に過ぎてしまった二学期だったが、三学期は更に忙しい。上級生になればなるほどその傾向がある。
理由は簡単で、卒業シーズンが近いからだ。
特に5年生なんかは将来の就職先を決める大事な時期であるため、なんだかピリピリしている。
来年は私たちの番なんだろうなぁ、なんて呑気に考えていたが、貴族である以上避けては通れないビックイベントの存在をすっかり忘れていた。
そう、王家主催の夜会である。
この夜会は言ってみれば下は男爵から上は公爵まですべての貴族が揃い、王家に忠誠を誓う年に一度の大切な行事だ。
この夜会のために貴族はマナーを磨き、豪勢な衣装を新調し、情報を集める。
例えば、どこどこさん家の令嬢は婚約したらしいわよー、みたいな話を集めるのだ。
なぜって?この夜会は王家に忠誠を誓うなんてほとんど形骸化したもので、皆の真の目的はより良い縁談を探して、自分の一家を繁栄させることにあるからだ。
王族が主催ということもあって、跡取りになるであろう一家の長男と、16歳以上の男女が集まると決められているのだ。この夜会に出ることで、一族に認められた、と見なすことができ、しっかりした相手に出会えるのだ。(問題ありと一族から見なされたものは、16歳以上であろうと出席は認められない。)
この先程から出ている一族と一家は異なるものだ。
この国には3つの一族がある。これが要は三大公爵家と呼ばれるものだ。
知のブルーノ公爵家
武のレザール公爵家
魔術のミュラー公爵家
この3つの一族が王国建国当初にセントリクス家を支えたと言われ、その他の家はこの三大公爵家の分家に当たるのだ。因みにわがシュタイナー家はブルーノ公爵家の分家に当たる。
私は無事に本家のブルーノ公爵家に認められたらしく、夜会への招待状が届いた。
夜会なんていつぶりだろう、というくらい久しぶりなので、本当に緊張する。
本当はレイにエスコートを頼みたかったんだけど、16歳より下は原則パートナーなしで親に付いて出席するものだから、無理なのだ。婚約者ならいいけれど、まだ、レイと私は婚約していない。
じゃあ、しょうがないからお父様にエスコートしてもらおうかなーと呑気に考えていたら、なんと本家が私のエスコート役を用意してくれるらしい。
お父様が苦々しげにドレスももう届いていて本家の要求だから断れないといってきたときは本当に驚いた!!
まさか本家の人が伯爵家のエスコート事情まで把握していてドレスまで用意してくれているなんて考えもしないよね、普通!
一体誰が来るんだろう。
レイにも一応その話はしたけど、顔を青くしてずっと黙ったままだった。
なんだかただ事じゃない雰囲気で、私まで不安になってしまった。どうしたのかな、レイ。
でも、その日の別れ際に「絶対にそのエスコート役に気を許すな」と念を押されたから心配事があったのかもしれない。
気にはなったが、夜会のための準備が忙しくてすぐに気にしている暇がなくなってしまった。
夜会はもう明日に迫っている。
――――――――――――――――――――
ヤバイ予感が…………
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