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2人の王子
隠された秘密
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ルークがその2人、ピラティス・ガルと戦い始めてすぐに本来の魔法を封じての力に限界を感じるぐらいには、その強さは強力で確かなものだった。
ガルはその大柄な体を生かした力技と、土の魔法を使った融合技。
土の壁で防御をしながら、自分の体を地面に潜らせ姿と気配を完全に消しながら相手に忍び寄って相手の不意をつき襲う。
ピラティスはその翼で上空に飛び上がり、風の魔法で起こした竜巻と、持ち前の機動力を生かした目にも止まらなぬスピードで繰り出す羽を刃に変化させて襲いかかってくる。
上空と地下から、2人は会話をせずともぴったりと息を合わせ相手を同時に襲う攻撃を何よりも得意としていた。
「フフ・・・・・すごいね」
ニッコリといつもの笑顔は浮かべているものの、すでにその顔には珍しく汗が流れている。
『なるほど、手加減しているとはいえ我ら2人相手に1人で戦えるとは』
『ここまで骨のある魔導師は、久しぶりじゃないか!面白いっ!!』
ガルはその実力をたたえ彼にしては珍しく笑顔を浮かべ、ピラティスは興奮にその頬を高揚させていく。
ルークの腕の『魔封じの腕輪』は、彼自身の手によってすでに外されていた。
そうしなければ、早々にやられていただろう。
その代わり周囲に漂う闇の魔力が体を蝕むが、クローディアよりは抵抗力が高いルークは体が重くなり動きにくさはあるものの戦えなくなるほどではない。
それでも長時間この場所にいることは、じわじわと毒に身体が蝕まれているのと同じようなものなのだが。
「長期戦は・・・・ちょっとまずいかもね」
このまま体力を奪われながら、おそらく神達と同レベルのこの強者2人と全力で戦い続けることは、いくらルークでも勝機は低い。
残されているのは、残された魔力を一気に使っての短期戦。
一瞬になるが、魔力を爆発的に上げられる魔具ならばすでに装備してきてある。
あとは、タイミングを見極めて発動の呪文を唱えればいい。
だが、そのタイミングを少しでも見誤れば魔力が空っぽのところを、2人の強力な技を同時にぶつけられて終わりだ。
「まさか、こんな強敵が隠れていたなんてね」
しかも、封印された神殿の中に。
そもそも彼らをこの場所に封印したのは、誰なのだろうか?
こんな強敵が理由もなく、おとなしくこの場所にただ留まっているなんておかしすぎる。
彼らほどの実力ならば、少し本気を出せばこの程度の封印など内側から簡単に破れたはずだ。
それに、彼らの言動の何かが頭に引っかかるような気がしてならない。
「いや・・・・・今はそれよりも、目の前の2人をなんとかする方が先か」
そうでなければ無事に王子を救出したクローディア達がこの場に合流した際、危険に見舞われるのはあの3人。
それだけは、絶対にごめんだ。
「こんなんじゃ、僕の方が彼女に笑われてしまうね」
神に愛され、不思議な魔力をその身に宿したクローディア =シャーロット。
彼女の前で情けない姿は決して見せたくない。
「・・・・・・・・」
闇の魔力の影響で息が切れ始めた呼吸を整え、心を鎮める。
彼ら2人の戦いのパターンはだいたい見えた。
あとはタイミングを合わせれば、勝機は十分にある。
「・・・・・・・ッ!」
今まさに、右手に杖を握り反対側の手で魔具に触れながら発動の呪文を唱えようとしたその時。
ルークの体に、覚えのある魔力が暖かな温もりとともに流れ込んだ。
『ここでお前に倒れられては困るのだ、古の血を引くエルフの王子よ』
「!?」
その気配は彼女のものに違いないのに、そこに知らない何かが同時に存在し、ルークの身体がそのあまりに巨大な力を感じたことで無意識に震えていた。
そっとルークの肩に彼女の手が乗る。
振り返った際に見かけた彼女は、神々しい緑の輝きを放ちながらこちらに向けて僅かに笑い、その手が離れるとともにルークの横を音も立てず静かに通り過ぎていく。
先ほどまで、闇の魔力に蝕まれていたはずの身体が一気に軽くなっていた。
『彼女』の深い緑の瞳とすれ違う際に目が合うが、すぐにそれが『彼女』ではないと分かる。
「・・・・・・ッ!!」
そして、さらに信じられない光景がそこにはあった。
エメラルドのオーラに包まれた彼女に、先ほどまで強気な態度で戦っていたガル・ピラティスが揃って膝をつき、深々と頭を下げているのだ。
『我が君、お久しぶりでございます』
『どれだけお会いしたかったことか!』
2人の姿には、クローディアへの尊敬・忠誠といったものが強く感じられ、そんな2人にいつもとは違う表情を浮かべる『彼女』もより柔らかい笑みを浮かべて、2人を見つめている。
『あなた様がここにいるということは、あやつは?』
『・・・・・あぁ、ベノムなら私が殺した。無理矢理この体を壊そうとしたのでな』
『な、何という無礼なことを!!』
真っ先に顔を真っ赤にして怒りを現しているのは、ピラティス。
だが、ガルもその眉間のシワが無言のまま深くなったのを見れば、彼も同じ感情なのはすぐに読み取れた。
この2人とクローディアに、どんな関係があるというのか?
そもそも、彼女の中に感じるこの巨大な魔力は一体何だというのか?
『そうだった、お前の記憶を預かることの方が先であったな』
「!?」
ルークの全身が再び彼女と目が合った瞬間、何か強い力に縛られた。
クローディアはルークの目の前まで静かに歩いてくると、その顔を両手で包み込む。
『忘れるがいい。今見たことも、感じたことも。これからこの神殿は破壊されるが、それはベノムに追い詰められたクローディアが、感情とともにその身の内にあった大きな魔力を爆発させたことによるもの。そして静かに、眠るがいいーーーーーーエルフの子よ』
「く、クローディア・・・・君に、なに・・・・が?」
突然強烈な眠気に襲われ、ルークの視界がぼやけていき目が意思とは関係なく自然と閉じられ、その体は床にゆっくりと崩れ落ちた。
『ピラティス、ガル』
『『 はっ!! 』』
ルークが深い眠りに落ちたことを見届けたクローディアが、2人に声をかけると跪いたままの2人が大きな声をあげる。
『私は再び眠りにつく。お前達はこの神殿を破壊した後、ベノムが死んだことであちこちで目覚めるだろうベノムの仲間を探しだし、1人残らず捕らえて殺せ。あいつを生かしておけば、他の輩が目覚めぬからとお前達に長いこと見張らせていたが、初めからこうしておけばよかったのだ』
『『 御意っ!! 』』
『面倒ばかりかけてすまない。だが私はまだこの世界の為に、完全に目覚めるわけにはいかぬ』
最後にそれだけを呟くようにして声に出すと、クローディアは自分の顔に両手を重ねて濃い緑の光を放ち、そのまま意識を失って倒れる。
『我が君っ!!!』
その体が地面に倒れる前に、ピラティスが彼女の体を支えてそのまま横抱きにして持ち上げた。
宝物を扱うように、大事に抱えながらピラティスはクローディアとともに軽やかに翼を羽ばたかせ、出口へとまっすぐに向かう。
ガルも、床に倒れたルークを背中に担ぎ、両手にそれぞれクローディアがこの場に運んできた2人の王子を片腕ずつ抱えると、ピラティスの後を追ってドスドスと力強い足取りで走っていった。
その後、4人を無事に外に連れ出すと、ピラティスとガルは命令通り古代神殿を強力な破壊魔法で一気に爆発させる。
4人が目覚めた時、古代神殿はその形を微塵も残しておらず、粉々に砕かれた岩ばかりの荒れ地と成り果てていたーーーーーーーーー。
ガルはその大柄な体を生かした力技と、土の魔法を使った融合技。
土の壁で防御をしながら、自分の体を地面に潜らせ姿と気配を完全に消しながら相手に忍び寄って相手の不意をつき襲う。
ピラティスはその翼で上空に飛び上がり、風の魔法で起こした竜巻と、持ち前の機動力を生かした目にも止まらなぬスピードで繰り出す羽を刃に変化させて襲いかかってくる。
上空と地下から、2人は会話をせずともぴったりと息を合わせ相手を同時に襲う攻撃を何よりも得意としていた。
「フフ・・・・・すごいね」
ニッコリといつもの笑顔は浮かべているものの、すでにその顔には珍しく汗が流れている。
『なるほど、手加減しているとはいえ我ら2人相手に1人で戦えるとは』
『ここまで骨のある魔導師は、久しぶりじゃないか!面白いっ!!』
ガルはその実力をたたえ彼にしては珍しく笑顔を浮かべ、ピラティスは興奮にその頬を高揚させていく。
ルークの腕の『魔封じの腕輪』は、彼自身の手によってすでに外されていた。
そうしなければ、早々にやられていただろう。
その代わり周囲に漂う闇の魔力が体を蝕むが、クローディアよりは抵抗力が高いルークは体が重くなり動きにくさはあるものの戦えなくなるほどではない。
それでも長時間この場所にいることは、じわじわと毒に身体が蝕まれているのと同じようなものなのだが。
「長期戦は・・・・ちょっとまずいかもね」
このまま体力を奪われながら、おそらく神達と同レベルのこの強者2人と全力で戦い続けることは、いくらルークでも勝機は低い。
残されているのは、残された魔力を一気に使っての短期戦。
一瞬になるが、魔力を爆発的に上げられる魔具ならばすでに装備してきてある。
あとは、タイミングを見極めて発動の呪文を唱えればいい。
だが、そのタイミングを少しでも見誤れば魔力が空っぽのところを、2人の強力な技を同時にぶつけられて終わりだ。
「まさか、こんな強敵が隠れていたなんてね」
しかも、封印された神殿の中に。
そもそも彼らをこの場所に封印したのは、誰なのだろうか?
こんな強敵が理由もなく、おとなしくこの場所にただ留まっているなんておかしすぎる。
彼らほどの実力ならば、少し本気を出せばこの程度の封印など内側から簡単に破れたはずだ。
それに、彼らの言動の何かが頭に引っかかるような気がしてならない。
「いや・・・・・今はそれよりも、目の前の2人をなんとかする方が先か」
そうでなければ無事に王子を救出したクローディア達がこの場に合流した際、危険に見舞われるのはあの3人。
それだけは、絶対にごめんだ。
「こんなんじゃ、僕の方が彼女に笑われてしまうね」
神に愛され、不思議な魔力をその身に宿したクローディア =シャーロット。
彼女の前で情けない姿は決して見せたくない。
「・・・・・・・・」
闇の魔力の影響で息が切れ始めた呼吸を整え、心を鎮める。
彼ら2人の戦いのパターンはだいたい見えた。
あとはタイミングを合わせれば、勝機は十分にある。
「・・・・・・・ッ!」
今まさに、右手に杖を握り反対側の手で魔具に触れながら発動の呪文を唱えようとしたその時。
ルークの体に、覚えのある魔力が暖かな温もりとともに流れ込んだ。
『ここでお前に倒れられては困るのだ、古の血を引くエルフの王子よ』
「!?」
その気配は彼女のものに違いないのに、そこに知らない何かが同時に存在し、ルークの身体がそのあまりに巨大な力を感じたことで無意識に震えていた。
そっとルークの肩に彼女の手が乗る。
振り返った際に見かけた彼女は、神々しい緑の輝きを放ちながらこちらに向けて僅かに笑い、その手が離れるとともにルークの横を音も立てず静かに通り過ぎていく。
先ほどまで、闇の魔力に蝕まれていたはずの身体が一気に軽くなっていた。
『彼女』の深い緑の瞳とすれ違う際に目が合うが、すぐにそれが『彼女』ではないと分かる。
「・・・・・・ッ!!」
そして、さらに信じられない光景がそこにはあった。
エメラルドのオーラに包まれた彼女に、先ほどまで強気な態度で戦っていたガル・ピラティスが揃って膝をつき、深々と頭を下げているのだ。
『我が君、お久しぶりでございます』
『どれだけお会いしたかったことか!』
2人の姿には、クローディアへの尊敬・忠誠といったものが強く感じられ、そんな2人にいつもとは違う表情を浮かべる『彼女』もより柔らかい笑みを浮かべて、2人を見つめている。
『あなた様がここにいるということは、あやつは?』
『・・・・・あぁ、ベノムなら私が殺した。無理矢理この体を壊そうとしたのでな』
『な、何という無礼なことを!!』
真っ先に顔を真っ赤にして怒りを現しているのは、ピラティス。
だが、ガルもその眉間のシワが無言のまま深くなったのを見れば、彼も同じ感情なのはすぐに読み取れた。
この2人とクローディアに、どんな関係があるというのか?
そもそも、彼女の中に感じるこの巨大な魔力は一体何だというのか?
『そうだった、お前の記憶を預かることの方が先であったな』
「!?」
ルークの全身が再び彼女と目が合った瞬間、何か強い力に縛られた。
クローディアはルークの目の前まで静かに歩いてくると、その顔を両手で包み込む。
『忘れるがいい。今見たことも、感じたことも。これからこの神殿は破壊されるが、それはベノムに追い詰められたクローディアが、感情とともにその身の内にあった大きな魔力を爆発させたことによるもの。そして静かに、眠るがいいーーーーーーエルフの子よ』
「く、クローディア・・・・君に、なに・・・・が?」
突然強烈な眠気に襲われ、ルークの視界がぼやけていき目が意思とは関係なく自然と閉じられ、その体は床にゆっくりと崩れ落ちた。
『ピラティス、ガル』
『『 はっ!! 』』
ルークが深い眠りに落ちたことを見届けたクローディアが、2人に声をかけると跪いたままの2人が大きな声をあげる。
『私は再び眠りにつく。お前達はこの神殿を破壊した後、ベノムが死んだことであちこちで目覚めるだろうベノムの仲間を探しだし、1人残らず捕らえて殺せ。あいつを生かしておけば、他の輩が目覚めぬからとお前達に長いこと見張らせていたが、初めからこうしておけばよかったのだ』
『『 御意っ!! 』』
『面倒ばかりかけてすまない。だが私はまだこの世界の為に、完全に目覚めるわけにはいかぬ』
最後にそれだけを呟くようにして声に出すと、クローディアは自分の顔に両手を重ねて濃い緑の光を放ち、そのまま意識を失って倒れる。
『我が君っ!!!』
その体が地面に倒れる前に、ピラティスが彼女の体を支えてそのまま横抱きにして持ち上げた。
宝物を扱うように、大事に抱えながらピラティスはクローディアとともに軽やかに翼を羽ばたかせ、出口へとまっすぐに向かう。
ガルも、床に倒れたルークを背中に担ぎ、両手にそれぞれクローディアがこの場に運んできた2人の王子を片腕ずつ抱えると、ピラティスの後を追ってドスドスと力強い足取りで走っていった。
その後、4人を無事に外に連れ出すと、ピラティスとガルは命令通り古代神殿を強力な破壊魔法で一気に爆発させる。
4人が目覚めた時、古代神殿はその形を微塵も残しておらず、粉々に砕かれた岩ばかりの荒れ地と成り果てていたーーーーーーーーー。
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