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モブ女子、いざ死の山へ!

選択肢は最初から決まってます!

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おかしいぞ!?


さっきから、村から離れようと走ってるはずなのに何で俺はまた村の前に戻って来てるんだッ!?

目の前には、穏やかな雰囲気の見覚えのある光景が広がっている。
こうしてここにたどり着くのは、村を出て走り出してからこれで5回目だ。



「な、何で俺はここに戻って来てしまうんだ??」

「それは、レオが私とこの村を大好きだからよ♪」

「ろ、ローズ!!」



振り向いた先には、森の手前で分かれたはずの幼馴染・ローズ。

ニコニコと笑った彼女はゆっくり歩いてくると、俺の腕にそっと手を添える。



「レオったら突然私を置いて走って行っちゃうものだから、心配したのよ?」

「な、何でッ!?」

「なんだか忘れてるみたいだけど、あなたは病気で体が弱かったんだから」

「!!??」



ドクンッ!!と、その途端にレオの心臓が大きく跳ねる。


な、なんだ?

体が急に重くーーーーッ!?




「無理をしてはダメよ、レオ。そうじゃないと・・・・・」

「ゴボッ、ゴボッ!ガハッッ!!」


そしてニッコリと、俺を見ながらローズが笑みを浮かべる。



「死んでしまうわよ?」

「!!??」


突然咳き込みだし口元に当てていた俺の手のひらには、赤い血が大量に吐き出されていた。



「そ、そんな・・・・・最近は大分落ち着いていたのに!!」

「レオは病気なんだから、私と一緒にこの村にいてゆっくり休んだ方がいいわ」

「ろ、ローズ!!」



全身から力が抜けていき、胸の奥から湧く痛みに震えが止まらなくなっていく。



「ふふ・・・・怖いでしょう??」

「ーーーーーーッ!!」



こ、怖い!!

苦しい!!

誰か、誰か助けてくれ!!

俺の体が、体がどんどん壊れていくッ!!



「大丈夫よ、レオ。私がそばにいてあげる。死ぬまでずっと、私がそばにいてあげるわ」

「ろ・・・・ローズ??」



目の前には、怪しげな雰囲気で笑うローズ。



『レオーー!私、レオの笑顔がだーい好き!』

『レオの笑顔見てると、私までつられて笑っちゃうんだもん♪』

『レオが病気の時は私が笑ってあげる!元気になったら、また一緒に笑おう~♪』



記憶の中に蘇る、ローズはいつも明るい笑顔で俺にとっては光のような存在だった。

だが、目の前の存在はなんだ??

ローズなのに、ローズじゃない気がしてならない。


「お、お前は・・・お前は誰だッ!?」


全身に激しい震えと痛みが出てきた体を必死に抑えながら、レオは叫んだ。



「ふふ・・・私はローズよ。あなたの幼馴染のローズ=カロリーナ」

「嘘だ!!お前は、ローズなんかじゃないッ!!」

「可愛いレオ。あなたはいい子で、眠っていればいいのよ」

「な、何ッ!?」

「眠ってしまいなさい、レオナルド=ラティーート。起きた時にはよりステキなプレゼントを用意してあげましょう♪」


「!!??」



ローズが片手を伸ばしてレオの方に指を向けると、そこから大量の吹雪が生まれてレオを一気に包み込む。



「ふふ・・・彼女がここまで来れたら、ね」



ローズの目の中には、全身を氷漬けにされて、その中で苦しげな顔で眠るレオが映されていた。














どうしようーーーーーッ!?

なんでこんなことになっちゃったの!!



『我が眠りをじゃまするのは、お前達か?』



いえいえ、どうぞ我々に遠慮なく二度寝をなさって下さい!!

今すぐに!!

布団ならありったけ用意しますから!!



「くっ、ドラゴンがなぜこんなところに!!」



団長、あれはただのドラゴンじゃないんです!!


「クローディア、俺の後ろから離れるんじゃないぞ!」

「は、はい!!」



私を守ろうとしてくれるあなたにはときめきますが!!

そんなことをしてる場合じゃない状況が、心から喜びきれない~~~!!



『下賤な、人間めが!!』



グオォォォォーーーーーーーーッ!!!


非常に怒った様子のブラックドラゴンが激しい炎を吐いて、それが戦いの始まりの合図となった。



カキン!!

ガキンッ!!



『フハハハッ!!どうした人間よ!!そのなまくらな剣では我の体にかすり傷1つ負わせられぬではないか!!』


「くッ!!」



あぁ、どうしよう!!

ブラックドラゴンは普通の物理攻撃がほとんど効かないメタ○スライムみたいなやつで、攻撃方法はほぼ物理攻撃しかない団長との相性は最悪だ。

会心の一撃って、現実の場合はどうやってだすんだっけ?



『フハハハハッ!!無力な人間どもだが、そこの小娘は面白い魔力を持っているな。あとで我が喰ろうてやろう!!』


「!!??」



いやいやいやいやいや!!!

私なんて全然美味しくないですよ、ブラックドラゴンさん!!

こんなゲテモノ、お腹を壊しておしまいですって!!



「クローディアを喰らうだと!?そんなことをさせてたまるものかッ!!」


『!!??』



あぁ!!

団長の剣がついにブラックドラゴンの鱗にッ!!



カッッキーーーーーンッ!!!




弾かれたぁぁぁぁーーーーーーーーッ!!!


そこはグサッ!!っと行くところじゃないですか?

私のことで怒りに燃えた団長の、必殺技か会心の一撃が出るところですよねッ!!



『フハハハハッ、愚かな人間が!!我に逆らうなど、100万年早いわ!!』


「くっ・・・くそっ!!!」



ギャァァァーーーーーーー!!!

だ、団長がついにブラックドラゴンの手に捕まってしまったぁぁぁぁーーーーーーーッ!!!


『小僧、もしあの小娘を我に渡すのならお前の命だけは助けてやっても良いぞ??』


「な、何だとッ!?」


「!!??」




あ!分かった。そっか、これ。

ゲームで見たことある場面だ!

聖なる印を持つローズを捧げるならと、ブラックドラゴンに取引を持ちかけられた団長がそんなことを誰がするか!!

と怒って、ローズにお前だけは逃げろ!!というイベントの場面。



その後に『逃げる』『逃げない』の2つの選択肢が現れる。


ローズが『逃げる』を選び泣く泣くその場を離れると、団長がブラックドラゴンに殺されて死亡となりバットエンド。


ローズのステータスが高く『逃げない』を選ぶとローズがブラックドラゴンに必殺技を決めて、見事にイベントクリアー!


ステータスが低くて、『逃げない』を選ぶと。



「・・・・・・」



どうなるかは、充分分かってる。

だって何回もそのルートエンディング見たもの。

ほら、もうすでに恐怖で足元が震えてるよ。



ここはゲームの世界じゃないから、選択肢を間違えてもコンテニューはできない。

死亡しても、命は1つきりだから『生き返る』こともできない。 


もしこの選択をすれば、私は多分そうなるだろう。

私はステータスなんてほぼないモブだ。




でも、それでも私はーーーーーーッ!!




「ジークフリート様、私はどうなっても構いません!!だから、あなただけは逃げてくださいッ!!」


「クローディアッ!!」



私はあなたに生きていて欲しいから、

『逃げない』を選びます。


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感想 18

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