転生した先のBLゲームの学園で私は何をすればいい?

赤蜻蛉

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転・個人恋愛ルート、続編

ラジエルルート 2

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「・・・・・ん」


部屋のカーテンが勢いよく開けられ、窓から差し込む光が顔に当たって眩しいとロードが目を覚ます。

視界の先には見知った顔が映り、彼の名を呼ぼうと開けた口をぱくりと唇で塞がれた。


「ら・・・・んっ、う・・・・ふっ」


その後、すぐさま入り込んできたロードのモノより熱い舌がロードの口の中をざらりと舐め、避けようとする舌をどこまでも逃さないとより深く絡められ、呼吸がしだいに苦しくなる。

ピチャクチャと水音とともにどちらのモノとも分からない唾液が唇の端からこぼれ、その唾液すらも舐め取られた。


「んっ、んんっ・・・・・ぷはっ!!もう、朝っぱらからいい加減にしろ、ラジエルっ!!」

「おっと!思いっきり蹴り上げなくたっていいだろがっ!」

「ばかやろう!!起き抜けにしつっこいキスばっかしてくんなよ!」

「この間出かけにしたら、お前怒っただろ?」

「お、怒るに決まってんだろ!?俺はもうやめろって言ったのにお前が中々離さないから、もう少しで俺たち揃って遅刻するところだったんだからな!!」


ラジエルとの濃厚過ぎるキスのおかげで、予想以上に過剰反応してしまった下半身を鎮めるのにも相当苦労した。


「んじゃ、やっぱり深いのは夜だな♪」

「!!??」


ロードの脳裏に数日前にやられた、それはそれは深~くてなが~くて、焼けるように熱かったキスが蘇る。





初めは軽いキスが多かった。

キスの練習と言えども頰や額に触れるだけ、遊びや悪ふざけの延長のように軽く触れられてそれで終わり。

それがしだいに物足りなくなってきたのか、ラジエルはより深いキスをだんだんと数多く求めるようになってきた。

その日も、『キス』には場所によって意味が違うことをクラスメートから聞いてきたのだと、コーヒーを自室で飲みながらそんな話が突然始まった。


『ロード、キスにはする場所で意味があるって知ってたか?』

『はぁ?いや、詳しくは知らないけど』

『おでこは、祝福なんだぜ?』


ちゅっ、と音を立ててラジエルがロードの額に口付ける。


『ちょっ!い、いきなりすんなよ!!』

『ははっ!まぶたは、情景』


ちゅっ。


『!?』

『耳は、誘惑』

『み、耳元でしゃべんな!この規格外イケボが!!』


ちゅっ。


『鼻は、愛玩。ほっぺは、親愛』


ちゅっ、ちゅっ。


『お、おいっ!くすぐったいから、もうやめろって!』


『手の甲は敬愛、手の平は懇願。首元は、執着』

『 !!??』


ふいにラジエルに掴まれたロードの左手の手の平をペロリとラジエルが舐めると、そのまま後ろにあったベットにロードを押し倒したあとで今度は首にキスされる。


『お、おいっ!もう今日はじゅうぶん』

『そして唇は、愛情ってな』


ペロリと自身の唇を舐めながら、ロードを見下ろす体勢になったラジエルが意地の悪そうな笑顔で笑いながらロードの唇を塞いだ。


『んんっ!!』


もうやめろと手足をばたつかせて抵抗したものの、その日のラジエルは聞く耳を持たずロードの両手を自分の手で押さえながら途中で角度を変え強引に何度も口付けられた。


『ぷはっ!!ら、ラジエル・・・・んっ!もう、やめろって!!』

『悪い、ロード。止められない』

『やめっ・・・・・んんっ!!」


一体、それから
何分・何十分それが続いたのか。

ようやくラジエルが唇を離した頃には、暴れ疲れたロードの息は絶え絶えになり意識は朦朧としてしまっている。



『はぁ、はぁ。バカ・・・・やろ、う』

『!!??』


上気したロードの、普段とは違う表情にラジエルがゴクリと唾を飲んだ。


『・・・・・し、だ』

『え?』


ぐいっと、息をきらしたままのロードが睨みをきかせながらラジエルの襟元のシャツを掴み自分の方へとぐっと引き寄せる。


『はぁ、はぁ。1週間、キスだけじゃなくて・・・・お前は俺に触れるのすら禁止だ大バカやろうっ!!』

『ろ、ロード!?ちょ、ちょっと待てって!!』


真っ赤な顔でラジエルをもう一度強く睨みつけたロードがフラフラな体のまま、前かがみでトイレへと逃げる。

ラジエルもすぐに追いかけようとするが、ラジエルの下半身もこれまでにないぐらい過剰に反応しておりすぐには動けない。


その後、約束通り必要以上にラジエルがロードに触れない期間を経た1週間後は、それはもうひどかった。

あまりの落ち込みようにかわいそうな気になって、少しだけならとうっかり許したら。

当然のようにただのキスだけでは止まらず、まさかのキスでお互いの高ぶった部分をラジエルの手によって一緒に刺激され、深いキスをしながら同時に果てるというどこぞのBL漫画で散々見た場面を、まさかの3次元体験させられるとは。




「よ、夜はもう絶対に何があってもダメだっ!!」


夜は時間の制限がない分、気持ちが盛り上がりやすくラジエルの歯止めがきかなくなってしまいあまりにも危険だ。


「じゃあ、やっば起きた時しかないだろう?」

「いや、しないって選択肢はそこにないのかよ!」


それにもうすぐ、ハニエル君が転校してくる運命の時期だ。

そうすればラジエルとルームメイトとなるのは、ハニエル君であり自分は別部屋へと強制的に移動することになるだろう。


それが正しい、本来の形だ。


「それに、最近さっきみたいなキスはしてこなかったのに」

「・・・・今朝、夢見てさ」

「夢?」


顔を洗い終わり、制服に着替え始めたロードの視界の端ですでに着替え終わったラジエルがロードのネクタイを渡してくる。


「サンキュ!夢って、どんな?」

「うん・・・・・ちょっとな」



ラジエルは笑っていたが、なんだからしくない笑顔だと思った。


「なんだよ、俺には教えてくれないのか?」

「・・・・・・ッ!!」


ロードは何か起こるとすぐに相談するのはいつだってラジエルだったのに、ラジエルからは何も話してくれないのかとちょっと悲しくなってむくれたように顔をそむける。

自分が頼りになるとは思わないが、隠されて何も話されないでいるのも面白くはない。


「ロード!」

「なに・・・・・うむっ!?」


出かける直前はあんなにやめろと言ったのに、ラジエルは夢の内容がよほどよろしくなかったのかロードの頰と腰に手を当てて引き寄せると、ごまかすようにして朝には不釣り合いなほどの熱いキスをしてきた。


慣れとは本当に恐ろしいもので、ラジエルとのキスがそこまで嫌じゃなくなっていることにヤバイなと危機感を感じつつ、それももう少しで終わりなんだと自身に言い聞かせながら日々を過ごしていた。









そして、ついに運命の日がやってくる。



「みんな、今日から我がクラスでともに学ぶことになった新入生を紹介する!!」

「ハニエル・ハルモニーと言います。この学園のことはまだまだ分からないことだらけなので、どうぞこれからよろしくお願いします!」



キタァァーーーーーーー!!!




担任が立つ教壇の横には、ハニーブロンド色の柔らかい髪質のあちこち跳ねている髪と、琥珀色の大きなクリッとした瞳をした明るく元気な表情のハニエル君が眩しい笑顔で立っていた。


待ってた!!

首を長くして、君のことを待ってたよハニエル君!!


「みんな、ハルモニーと仲良くな!あと、席はグレイシーズの隣が空いてるな。グレイシーズ、頼んだぞ!」

「・・・・・・あ、はい!」


なんと、ルームメイトだけでなく教室でも隣同士になったのはラジエルだった。


「えっと、グレイシーズくん。これからよろしくね!」

「・・・・・・お、俺はラジエルだ。よろしくな、ハニエル!」


ニッコリとお互いに爽やかな笑顔を浮かべながら、2人は挨拶とともに握手を交わした。


うんうん、いい場面だ!


いよいよここからスタートするんだな、友人からのBOYS  LOVEが!



「グレイシーズ!お前放課後、ハルモニーに学内を案内してやってくれないか?」

「え?あ、はい。分かりました!」

「ごめんね、君の貴重な時間なのに」

「い、いや・・・・・大丈夫だ」


担任、それはいい選択だ!

グッジョブ!!


「それなら、チャーミーも一緒に行く!!あ、ボクはチャミエルって言うの♪チャーミーって呼んでね!」

「ちゃ、チャーミーくん?よろしくね!」

「ブブーー!!チャーミーって呼んでくれなきゃ、チャーミーすねちゃう!」


頰を可愛らしく膨らませたチャミエルに、ハニエルは苦笑しながらすぐに『チャーミー』と言い直し、チャミエルはすぐさまご機嫌な様子であれこれと話しかけている。

ちなみに席順はラジエルの前がロード、ロードの左隣でありハニエル君の前がチャミエルだ。


「あ、それと、シュトラーゼ!お前は放課後伝えたいことがあるから、教官室に来てくれ」

「!!??」

「わ、分かりました!」



来た来た!!

このタイミングなら、間違いなくハニエル君絡みの寮の部屋移動のことだろう。



「ロード、お前何かやらかしたのか?」

「いや、やらかしてはないけど。多分大したことじゃないって」

「・・・・・後で、ちゃんと教えろよな?」

「なんだよ!心配性だな、ラジエルは。大丈夫だって!」


呼び出しをくらったロードよりも真剣な様子でロードを見つめてくるラジエルの表情に、思わず心臓がドキッとする。



いやいや、ドキッってなんだよ?



お昼休みは、いつものラジエル・チャミエルの3人に、ハニエル君も誘って4人で食堂で昼食を食べてから屋上で盛り上がっていた。


「ねぇ、ねぇ!これチャーミーが大好きなドーナツ!ハニーにも一個あげるね☆」

「ありがとう!」


屋上では、さっそくハニエル君を気に入ったらしいチャミエルがあだ名をハニーと名付けてあれこれ楽しそうに話していた。

一緒に屋上に来ていたラジエルは、本当に今朝は夢見が悪くてあまり眠れなかったようで、ロードの足を枕に寝息をたてながら熟睡している。


実物のハニエル君はやっぱりとても可愛い。

チャミエルのように美少女の様な可愛さではなくて、彼の純粋で素直でまっすぐな人柄が表情や雰囲気に滲みでているというか、何も汚れてないクリアーな透明感を感じるあの無邪気な笑顔を見ているだけで心が洗われてしまう。

早くそんなハニエル君が攻略者達を相手に恋に快楽に溺れて、照れて真っ赤になったり、困った顔や泣き顔、気持ち良さに悶える顔が見たいとうずうずしてしまうのは、やっぱり俺自身が腐っている変態ということなのだろうか。

いや、チャミエルとハニエル君の百合百合しいほのぼのな感じも大変可愛らしいのだが。


「そこ、危ないっ!!」

「避けろッ!!」

「!!??」


その時、突然どこからか悲鳴が上がると同時にハニエル君とチャミエル達の頭上にいくつかの炎の玉が降り注ぐ。

きっとどこぞで悪ふざけした生徒たちのいたずら魔法が暴走したのだろうが、ロードがそれを認識した時にはすでにその炎はその場から弾かれていた。


「姫っ!!大丈夫かっ!!」

「う、うん。ありがとう、ラジエル」


チャミエルを庇って火の玉の前に出ていたハニエル君の前には、彼を守る騎士のようにして立つラジエルが立っていた。

あの瞬時にハニエル君の元へ飛び出すと同時に魔法でコーティングした拳で、降り注いでくる火の玉を殴り飛ばしたのだ。


さすがは戦隊モノでいえば、真ん中に立つレッドカラー!!

ポーズも決まってる!!

それに、その後もラジエルがはまるで姫に仕える騎士のようにハニエル君の手を取ると、手の甲に『敬愛』の口づけを落とした。





「・・・・・・ッ」






そこに一陣の風が吹き、近くにあった紅葉している赤・黄・代々・に染まった木の葉を巻き上げ、まるでゲームによくあるイベントスチルのようにキレイな場面に見惚れる。


「ちょっと、ラジエル!たしかにハニーは可愛いけど、さらに可愛いチャーミーを差し置いて姫ってなんなのッ!!プンプン!!」

「はぁ?お前は見た目が可愛いだけのゴリラだろ?」

「ひっどぉ~~いっ!こ~んなにか弱いチャーミー向かって!ラジエルのバカッ!!」

「うおっ!!こんな強烈なパンチするやつのどこがか弱いって!?」

「ふ、2人とも落ち着いて!あ、あの!」


いつも通り激しい喧嘩を繰り広げ、その傍らでオロオロ戸惑っているハニエル君3人の微笑ましい光景をこうして間近で見れることになんだか嬉しくなってロードは笑った。









夕方、担任から言い渡されたのは予想通り部屋移動の件だった。

本来ハニエル君が入室するはずだった部屋の水道管が故障し、しばらく使えなくなったことから別部屋に移動となったが、途中転入のハニエル君が1人部屋を使うのは心配だとハニエル君のご両親がかなりの文句を言ってきたそうで。

クラスでも面倒見がよく、先生方からの信頼も厚いラジエルとの同室の話が持ち上がったらしい。

まぁ、かなり色々と現実的には無理がある状況説明だがその辺はBL学園、ご都合主義展開はお約束だ。


「すまないな、シュトラーゼ。お前はグレイシーズとも仲良くやっていたのに」

「いえ、ラジエルとはクラスでも寮内でも会えますから!それで、いつ部屋移動したらいいんですか?」

「それが、かなり急で悪いんだが・・・・」


移動日はロードの予想通り、なるべく早くとのことで明日かあさって中とのことだった。







その日の夜、お互いがお風呂から上がってすぐに明日にはこの部屋を出ることをラジエルに伝えた。


「・・・・・はぁっ!!??」


初めて見たんじゃないかというくらい、目と口が開いたままコーヒーを入れたマグカップを持ったままのラジエルが動きを止めた。


「本当に急だけどな。引っ越しするにしても俺の荷物自体は少ないし、お前には迷惑かけないから安心しろよ」

「!!??」


近々ハニエル君が転入してくることが分かっていたから物は極力増やさないよう気をつけたし、荷物もすぐに移動できるようある程度はすでにまとめてある。

引っ越し先は元々空き部屋の1つで掃除も終わってるとのことだから、明日の夕方にはすぐに移動できるだろう。




ドンッ!!!




「!?」


無言だったラジエルが持っていたマグカップをテーブルに強く打ち付け、中身も少し溢れてしまっている。


「おい、何やって」

「・・・・お前は、それを聞いてあっさり承諾したのか?」

「え?」


ラジエルは、ひどく怒っていた。

キスのことで喧嘩した時だって怒っていたのはロードばかりで、ラジエルがロードに対して本気で怒ったことはこれまで別のことだって一度もない。


「お前は、簡単に承諾しちまうぐらい、そんなに俺と暮らすのが嫌だったのかよ」

「ちょっと、待てってラジエル!お前何言って・・・・・ッ!!」


俯いたまま小声で話すラジエルの声がきちんと聞こえないものの、普段と様子の違うラジエルの側に駆け寄ったロードをベットに勢いよく突き飛ばし、その上にラジエルがロードを閉じ込めるようにしてまたがる。



「お、おい!!いきなり何す・・・・んんッ!!」


そのまま、ロードの唇に噛みつくようにして口付ける。


「ふ・・・・うぅ!ラジエル、待てって!!」

「お前は、俺とこんな風にキスするのがそんなに嫌だったのか?」

「!!??」


 ロードの耳元で、破壊力満点のイケボイスが囁く。

普段より低い声で、キスの合間の熱のこもったラジエルの声はとにかくまずい。

下半身が嫌でも勝手に反応してしまう。


「ち、ちが・・・・そうじゃ・・・・んぁっ!!」


決してラジエルのことが嫌になったわけじゃない、と伝えたいのに怒ったラジエルは容赦なくロードを攻めてくる。


「んっ・・・・・やめっ!」


なんとか逃げようとするロードの舌を逃すまいと捉えて、魂まで吸われるんじゃないかと思ったぐらい強くひどく扱われ呼吸すらもまともに許してくれない。

両手を頭上で1つにされたままラジエルの片手で掴まれ、もう片方のラジエルの右手がロードの身体を無理矢理に高ぶらせる。



「あっ・・・・ん・・・・んんっ!!」



深くキスを交わしたままの状態で、ラジエルの手の中にあったロードの熱が激しく震えながら果てた。


「はぁ、はぁ・・・・・ラジ、エル?」

「・・・・・・ッ!!」


無理やりひどいことをされたのはロードの方だというのに、見上げた先のラジエルの方が傷つけられたような顔をして顔を歪ませている。


「お前が本気で嫌がってるのにも気づかなくて、悪かったな」

「え・・・・?おい、待てって!ラジエル!!」


ラジエルはそのまま、振り返ることなく黙って部屋を出て行く。

フラフラの身体をなんとか起こして急いで探しに部屋を出たロードだったが、タイミング悪く点呼にきた寮長に途中の廊下でばったり遭遇してしまい外に出るのを邪魔されてしまった。

寮長によるとラジエルからは、ロードが明日部屋の移動で今夜は準備があるからと別室に行くことの了承を得たらしい。


知ってはいたが、なんて仕事の早い男なんだ!


明日の荷物を取りに戻るかもしれないと、かなり遅くまで起きてラジエルの帰りを待っていたのだが、ロードがほんの少しうたた寝してしまったスキに戻ってきたようで、目覚めた時にはもうラジエルの荷物や制服はなかった。
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