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承・個人恋愛?ルートへ

チャミエルルートへ

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その日から、俺は逃げた。

メイン攻略相手の生徒会メンバーが関わると否が応でもBLが始まってしまう為、俺が逃げるしか回避策がないからだ。


普段ならその一緒に逃げる相手はルームメイトにして相棒のラジエルなのだが、今日はどうしても担任からの頼まれごとで帰らないとなったラジエルの代わりに、チャミエルが放課後付き合ってくれることになった。


「キャハ☆ロードと一緒にデートできるなんて、チャーミーすっごくうれしい~!!」

「ハハハッ、デートではないんだけどね」


ただいま、チャミエルご自慢のピンクとゴールドでできた馬車に2人で乗っております。

はしゃぐチャミエルはロードと腕を組みながら、これから向かうお気に入りのカフェの話を嬉しそうに語っていた。

ロードとしてはただまっすぐに寮の自室へ帰りたかっただけなのだが、もちろんその気持ちは全く汲んでもらえない。


「あのね、チャーミーのおススメはね~スペシャルキューティーハニーラブエンジェル愛をこめて森のフルーツいっぱいパフェなの!あと~お忍びプリンスからの贈り物☆森の小人と一緒に作ったビューティートレビアンチーズケーキもおいしかったよ!」


キュー、キューティーハニー?

ハニーフラッシュ!ですか?


「す、すごいネーミングだね。たぶん俺何回聞いても覚えられないだろうから、チャミエルのおすすめでいいよ」


おかしい。『女子』だった記憶もあるはずなのに、別の言語か暗号のように聞こえてしまう。

ちなみにラファエル先輩からの襲撃が無いわけではないのだが、ロードの所へ来る前にチャミエルの執事さんやファンクラブの人達が身を呈して庇ってくれたり、チャミエルのか弱い?腕から繰り出されるウルトラスーパーコークスリューパンチ☆によって、被害が防がれていた。


「キャー!!こわ~~い☆」


とロードに抱きつきながらも、あざと可愛い笑顔で繰り出されるパンチはそれはもう全く容赦がなかった。

次から次へと一発で破壊され、粉々に打ち砕かれる草花達。

最凶の食虫植物が、その本能で恐怖に怯えているのがロードですら分かる。


いやコレ、俺もこわい。


ハニエル君、チャミエル相手の恋愛はさぞかし気苦労が絶えないだろう。

いやそれは全員かもしれないが。


「ここだよ~ロード!チャーミーお気に入りのカフェ☆アムール・エスポワール!」

「あ、アムール?」


愛と希望と乙女の夢が詰まった、レースと様々なお花いっぱいのファンタジーカフェは、なんというか正直いたたまれない。

ロードが注文したデザートは、チャーミーオススメの『スペシャルキューティーハニーラブエンジェル愛をこめて森のフルーツいっぱいパフェ』。

え?

ちょっと待て、これ乙女が食べてるんだよな?

まさか、これで1人分?

目の前にはロードがイメージしていた普通のパフェの何十倍もあるかのような、ラブエンジェルどころかラブキャッスル!という感じの巨大なフルーツパフェが威風堂々とその存在感を主張している。


「ロード、おいしい?」

「う、うん!おいしいよ」


味は文句なくおいしい。


「はい、あ~~ん☆」

「へ?えぇぇッ!!??」


なんのためらいもなく、チャミエルが自身の頼んだデザートをスプーンですくってロードの前に差し出す。

パッチリと長いまつげにふちどられた大きめの青い瞳がロードをまっすぐに見ていた。

くるんくるんのツインテールに結われた巻き髪は、本日チャミエルお気に入りの明るい黄色のリボンがつけられている。

どこから見たって女子にしか見えないし、そこらの女子よりも断然可愛い美少女だ。

チャミエルお手製・特別制服のミニスカートから覗く細身の足は、太ももまである長めのニーハイソックスとの組み合わせで『絶対領域』を作り出し、お店の中でカップルや友人と来ている男子達の目はチラチラとチャミエルをこっそり目で追っている。


信じられるか?


この美少女に、俺達と同じモノがくっついてるんだぞ?


「ロード・・・・チャミエルの手から食べるの、そんなに嫌?」

「へ!?」


たしかに『あーん』は周りに座る他人の目が気になったが、それよりも大きな目をウルウルさせて今にも泣きそうなチャミエルと、実は密かにあちこちで潜んでいらっしゃるチャミエル親衛隊達の恐ろしい圧力に負け、俺は溶けかけて今にもスプーンから落ちそうなアイスに慌ててパクリと自分から口を開いて飲み込んだ。


「お、おいしいです」

「でしょ~~!!ほら、こっちもおいしいよ☆」

「あ、ありがとう!いや、チャミエルの分が減っちゃ・・・・ムグッ!!??」

「おいしい~~?」


チャミエル、あまりに勢いよく奥まで一気にくるものだから喉の奥にスプーンが一瞬刺さったかと思ったよ。


「う、うぅん!」

「よかった☆いっぱいあるから、遠慮せず食べてね!」


ほとんど無理矢理口の中(いや外にもクリームがべったりついてたけど)へ入れられた一口大にしては大きすぎる生クリームたっぷりのケーキは、とてもおいしかった。

その後10個ほどのケーキを立て続けに食べさせられ、さすがに一般人であるロードはあまりの気持ち悪さに吐き気が止まらなくなってしまい、そのままチャミエルの自宅へと運ばれた。

ちなみにチャミエルは30個くらいペロリと食べてたが、なんら変化もなければまだまだ余裕がある感じだ。

そして、気持ち悪い俺をお姫様だっこで軽々と運んだのはまさかのチャミエル。

平凡な人生の中で、美少女(美少年)にお姫様だっこで運ばれる日が来るなんて!!






「ロード、大丈夫~~?」

「う、うん。ありがとう、チャミエル」


目覚めた先は、チャミエルの自室。

お姫様だっこがあまりに恥ずかしくて顔を両手で隠しながら激しく揺らされていたら、案の定気持ち悪さにさんざん吐いて気を失い今に至るというわけだ。

ロードが眠っていた、チャミエルのベッドであるキングサイズベッドはピンクと白のレースを基調に、あふれんばかりのぬいぐるみに囲まれたファンタジーの空間であった。

キングサイズベッド、直接見るのも寝るのも初めてだけどまじですごい!!

大きさもだけど、寝心地も半端ない!!

チャミエルが隣で座り込んでても、まだまだ全然空間が余ってるからね!

そう、チャミエルが隣にいても。


「って、ちょっとチャミエル!!何急に服脱ぎ出してんのッ!?」

「え~?ロードも起きたし、普段の服に着替えようと思って☆」

「!?」


胸元のリボンを外しシャツのボタンを脱ぎ出すその姿は、たしかに普通の男同士なら大して何も感じない姿だ。

ルームメイトのラジエルとは、お風呂上がりなどよく暑いからといって上半身はほぼ裸でお互いに過ごしてることもよくある。

チャミエルは紛れもなく男なのだから、別に目の前で脱ごうが平気なはずなのにやっぱり心がざわついてならない。


落ち着け俺、チャミエルは男!

チャミエルは男!!


「そ、そうだ!チャミエルはおと・・・・んぎゃっ!?」

「あ、そうそう☆ロード!これ新作なの~どう?」



そうだ、すっかり忘れていた。

チャミエルには『コレ』があったことを!!


「そうだ☆せっかくだから、ロード縛りなおしてくれる?」

「!!??」


きゃるん☆とそれはそれはあざと可愛い笑顔で首を傾げたチャミエルの上半身はかろうじてシャツを羽織ってるもののほとんど裸、下半身には制服のスカートとニーハイ。

そしてその上半身には、赤色の縄がある形で縛られていた。

乱れた服と半裸で縄縛り。

その場の空気に何か『イケナイ』雰囲気が大量に注がれ一気に漂う。

そのままシャツを脱ぎ捨てれば、真っ白い裸の胸元は彼が男の子だとすぐにわかるすらっとスレンダーなシルエットを描くものの、美少女としか思えない女装男子のあられもない姿は腐男子としてはやっぱり萌えてしまった。

あとはこの縄を縛る役目が、自分ではないイケメン執事とかなら最高に萌えるのだがそこは脳内補完で我慢しよう。


「・・・・・やん!」

「ご、ごめん!きつかった?」

「キャハ☆全然!もっときつくても大丈夫だよ!」

「そ、そっか」


さっきから縛るたびに気持ち良さそうな声が上がり、その艶を含んだチャミエルの声にロードの心臓がドキドキしてしまう。

まるでそういうプレイをしている最中みたいで、別にキスとかそういうことをしてるわけじゃないのに頭に血がどんどん上ってまた倒れそうだ。


「あぁ・・・・いいっ!」

「ーーーーーーーー」

「ロードぉ、そこ、もっと~」

「ーーーーーーーー」



とにかく、無心だ。

無心になれ、ロード!!

ほら、アレだ!無我の境地だ!!



「・・・・・・・お、終わったよっ!!!」

「うん!すっごいイイ感じ☆ありがと、ロード!」


よし!!

なんとか、やりきった!!

大佐、無事に試練を乗り越えました!!



ちなみにこれ、ハニエル君もやるのかな?

うわっ!

それはぜひとも影から一部始終を見させて頂きたい!!

きっと顔を真っ赤にして、アワアワしながら縛るに違いない。

そういえば、チャミエルとハニエル君だと受け攻めはどっちだろう?


「あ!見てロード!外すごい雨だよ~~♪」

「本当だ!さっきまであんなに晴れてたのに」


制服からピンクの袖なしワンピースの私服に着替えたチャミエルも、それはそれは可愛らしかった。

チャミエルとチャミエルの部屋の窓から外を見ていれば、先ほどまで青空だった空は灰色の暗い雲に覆われかなり強い雨が降り出している。


そして、雨だけでなく雷まで鳴り出した。


「キャッ!!雷怖~~い!!」

「ぐえっ!!」


一際大きな雷の音が鳴り響き、チャミエルが勢いよくロードに抱きつく。

ロードからするとそれはラグビーのタックルをされたような衝撃で、踏ん張れずそのままキングサイズのベッドに2人で倒れこんだ。


「いたた・・・・だ、大丈夫?チャミエル」

「ろ、ロード!お願いだから、チャーミーの側から離れないで!」

「!?」


ロードの腕の中で、チャミエルの身体が震えている。

いつも明るく弱さを見せることがないチャミエルと全然違うその姿に、ロードはしっかりとその華奢な身体を抱きしめ返した。


「大丈夫だよ、チャミエル。落ち着くまで、側についてるから」

「ロード・・・・・ありがと♪」

「!?」


涙をこぼしながらもニッコリと笑ったチャミエルの顔に、ロードの心臓が跳ねる。

本当に男とか関係なく、ただただ可愛いと思った。

なんだろう、俺が守ってあげなきゃって。


チュッ!


「!!??」


ほんの一瞬だったが、チャミエルの唇がロードの頰に優しく触れる。


「チャ、チャミエルッッ!!!」

「えへへ☆スキあり~~!」


今の俺達はキングサイズベッドの上に俺が倒れこみ、その上からチャミエルがくっついてその体を俺が抱きしめている状態。

見上げれば美少女であり、美少女に押し倒されてるかのような錯覚を起こす現状に心臓が勝手に早鐘をうっている。

なるほど。

女装男子はこうやって相手が女性から迫られてるかのような感覚にドキドキして、恋愛に繋がるのか。





その後、雷が中々鳴り止まず特大の雷が落ちた際一気に怖がったチャミエルがロードを抱き潰して締め上げてしまった為、意識を失いそのままチャミエルの自宅へ強制お泊りとなってしまった。

寮へはチャミエルの執事が外泊の連絡をしてくれたらしい。




「おはよう、チャミエル」

「ん・・・・・アレ?ラジエルだぁ~おはよ☆」


朝日が差し込む、起きるにはいつもよりもまだ早い時間。

寝ぼけまなこのチャミエルの前には、ラジエルがいまだにぐっすり眠っているロードをおんぶしながら佇んでいた。


「着替えとかもあるから、早めに連れて帰るぞ?」

「うん!わかった~~よろしくね☆」

「ところで、どこの誰が雷が怖いって?」

「へ?」

「前から雷鳴ると大興奮で喜んでたお前なら、昨夜の雷は相当テンション上がったんじゃないのか?」


寮へと帰る為にドアへと向かいながら、ニヤリとラジエルが横目でチャミエルに振り返る。


「キャハ☆そんなことないよ~!チャーミー、すっごい怖かったんだから~♪」

「全く、あんまりロードを困らせるなよな」

「はーーーい☆」

「それじゃ、また後でな」

「うん!また後でね~♪」


ニッコリと笑顔でラジエルに手を振り返すチャミエルの脳裏には、昨夜ロードが気絶してからのことが浮かんでいた。


「ふふふ~~ロードってば本当に可愛い☆」


チャミエルは意識のないロードの腰に乗ると、無防備な唇にそっと口付ける。


「いたずらしちゃうけど、許してね♪」

「・・・・・うーーーん」


夢見が悪いのか、うなされながらも起きる様子がないロードの姿を楽しそうに眺めながら今度はロードの身体のあちこちに唇を寄せた。






「ちゃ、チャ、ちゃ、チャミエルーーーーーーッ!!!!!」


寮の自室に無事ラジエルにおぶられながら帰宅した後、シャワーを浴びる為に着ていたシャツを脱ごうとボタンを外し始めた瞬間、ロードの悲鳴が部屋中に鳴り響いた。


「だ、大丈夫かロードッ!?」

「・・・・・・・ラジエル!!み、見るな!!頼むから俺を見るんじゃない!!」

「!!??」


何があったのかとロードのシャツを脱がせようとするラジエルと、頑なにそれを防ごうとするロードの戦いがしばらく続いたが、ロードよりもはるかに力が強いラジエルに敵うはずもなくロードのシャツはひん剥かれた。

その下から出てきたのは。


「な、なんだこれ?あざ、にしては量が多すぎないか?」

「・・・・・・ッ!!」

「ま、まさかコレ、キスマー」

「言うな!!頼むから、みなまで言うんじゃなーーーーーーいッ!!」


洋服で隠れるところ限定で、ハートの形をしたおびただしい数のキスマークが背中・胸元からかなり際どいところまでつけられていた。

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