152 / 214
152
しおりを挟む
陽が昇り、まだ賑やかさの続く外を眺め、レッドたちは深刻そうに向き合っていた。
「あれは……どういうことなんだ?」
黙っていても始まらなく、分かっていることから確認していくしかない。
「え~と、アンリさんが宰相さんの養女となったんですよね? びっくりですよね」
「……驚きましたけど、そんなに簡単に言って終われる話ではありませんよ」
マイの気楽そうな言葉に、リベルテが額に手を当てつつ嗜める。
「普通、平民が貴族の養女となることはありません。それは貴族としての体面に瑕疵をつけることに他なりません。あったとしても、何かしらの事情で捨てざるを得なかったけれど、状況が変わって引き取れるようになった、と言うような場合でしょうか? それであっても対面的に良い話ではありませんし、養女という話ではありませんね」
「え~と、結局どういうことなんですか?」
「タカヒロ、ファルケン伯が王とこの手の話をしていたとか、聞いたことは無いか?」
マイの言葉を無視して、この中で唯一、城勤めであるタカヒロに訪ねてみるるが、タカヒロは首を横に振る。
「僕は下っ端ですからねぇ。王様にお目通りするようなことは、ほとんどありませんよ。前に城に来てましたから、そこで何かしらの話があったのかもしれませんね」
「ファルケン伯しかないだろうが、それにしても、年齢がな……。あ~、ファルケン伯の娘じゃなくて親族ってところか?」
「え? アンリさんてファルケン伯爵の親族だったんですか?」
タカヒロを含め、皆がマイにじとっとした目を向ける。
「え? え?」
本当にわかっていないようで、タカヒロがため息を漏らす。
「あの人、僕が向こうで知ってる人だって言ったよね?」
「うん、そうだね。あれ? あっちでも良い所の人だった?」
処置なしとタカヒロは首を振って、レッドたちの方に向き直る。放置することにしたらしい。
「それだけ功績を重く見たのでしょうか?」
「未来が分かるなら、今の国にとっては何よりも欲しい力かもしれないな。帝国の行動からすべて何も分からなくて、後手に回った結果があの騒乱だからな。かなり国の力を落としてたって、言えるだろうな」
長年の敵であったグーリンデとは国交が開かれるようになったが、帝国との一戦で多くの兵を失い、そこからさらにアクネシアからのモンスターによって疲弊させられ、先の騒乱で王都で被害を受けたのだ。
これから先に対応していくためには、未来が分かると言う力が本当であれば、飛びつきたいのはよくわかるものである。
「文官だとかそんなので城に勤めるってならともかく、貴族として城に居るんじゃ変わってくるな」
「彼女も貴族となって何をしたいのでしょうか? いくら国から要望があったとしても、いきなり身分の違う家の養女になるのは、相当な苦労が伴いますよ?」
「そんなに大変なんですか?」
リベルテが思いつく限りと、指を折りながら挙げていく。
「貴族と言う体面を重視する身分になりますから、礼儀作法は徹底されますし、国に使える貴族と言うことで、この国について知っていなければならないことが多くあります。他の貴族の方々への面通しもありますし、貴族はよくお茶会と言うのを開くそうですが、気楽にお茶を飲む催しではないらしいですし……」
マイがあまりの堅苦しさと大変さに、げんなりとした表情になる。
側で聞かされていたタカヒロは、下っ端でよかったと胸を撫で下ろしていた。
「自身の先もわかっていたなら、最初から準備とかしてたかもな」
「貴族になるために、ファルケン伯に寄っていた、と言う線はありそうですね」
先を見据えた行動をする、と言うのは実行できれば素晴らしいものであるが、それが何のためかによって、だいぶ意味が違ってしまう。
就きたい職を目指して努力したと言うことであれば、その努力は称賛されるべきものとなるが、誰かに復讐するために努力したと言うことであれば、それ称賛されるものにはならないだろう。
ただ先が分かるだけで、権力など何も持たないままであれば、直接的な被害も無く、警戒する必要もなかったかもしれないが、宰相の養女となれば権力や権威と言う物が付属することになる。
そうなってしまえば、未来が分かる分、奮える力が広がることになり、警戒せざるを得なくなる。
そして、これまでの『神の玩具』のあり様からすれば、考えられる所は……。
そっとタカヒロが手を上げると、皆がタカヒロに注目する。
「たぶんですけど……。彼女の目的と言うか、やりたいことってわかると思います」
「彼女は一体、何をしたいと願っているのですか!?」
「あいつが何をやろうとしているか、わかるのか!?
先が分かるとする者が何を見、目指して動いているかがわかる、と言うのはその力を持つ者と同じ力を持っている、と言えるほどである。
もうこれでは、誰がどこまで先がわかるのかが、わからなくなりそうなほどに。
レッドたちの勢いに押されながらも、たぶんですよ、と強調した上でタカヒロは自身の考えを述べる。
「一番は王子と結婚すること、かなと。他は、新しい宰相か、騎士団長だとか、そういった人たちの相手になることだと」
「あ~、なんか、ちょっとわかるかも!」
今まで良く分かっていなかったマイがわかる、と口にする。
逆に、レッドたちは意味が分からなく、固まるしかなかった。
「あ~……、どういうことだ?」
「……玉の輿を目指している、と言うことでしょうか?」
かろうじて、リベルテが思い当たりそうな言葉を口にすれば、タカヒロたちが頷き、リベルテは頭を抱えた。
「いや、待ってくれ。今の王子は、まだ子どもだったはずだぞ? いくらなんでも結婚を、だなんて無理な話だ。お前たちと同じくらいの年齢だったよな?」
「まぁ……。なら、新しい宰相か騎士団長ですかね? あのお二人も、若いですよね?」
レッドはわからなくて、リベルテの方を見る。
「私も新しく任命された方々の情報を持ってませんよ。ずっと家に居たのですから」
じろっと目を向け返されて、レッドはサッと目をそらす。
自分のかけた迷惑を棚に上げてしまったことに、後悔していた。
「私たちは顔見れなかったからな~。タカヒロ君が若そうだったって言うなら、そうなんじゃないかな? そうなると、かなり格好良い男性なんだよね? 見たかったかも~。あ、そう言えば、今の王様もそんなに年じゃないよね? レッドさんより、少し上くらいですよね?」
「……それでも30代の後半に入ってる」
「それくらいなら、あり、かな?」
自分の話ではないのに、共感するように相手を吟味し始めるマイに、レッドとリベルテは完全に置いてきぼりだった。
「その……、マイさん? 新しい宰相や騎士団長の方、それと王のお相手となりたいと動いていたとして、それからどうするのですか?」
「どうするって?」
きょとんとして言葉を繰り返す。
「いえ……、例えば、騎士団をまとめる長となった方の妻となって、どうしたいのかな、と。そう言った立場の妻となれば、相応にやらなければならないことや負わなければいけないことなど、出てきてしまいますから」
「えぇーー!? そんなに面倒なものなんですか? なんか良い所の奥さんとして、ゆったりとして煌びやかな生活を送れたりしないんですか?」
「むしろ、何故そんな考えに? それだけの地位に居る方であれば、それを支えるためにやらなければいけないことは多いものですよ」
リベルテが呆れたように答えると、マイは不平こそ口にするものの、そうだよね、とゆっくりと背もたれに寄りかかった。
「やっぱり、そんな甘い話じゃないよね。物語って良い所で終わって、その後についてなんて、一切無いからねぇ」
「実際にあったら、あの後ってこうドロドロした話が進むか、これまでの雰囲気が無くなって、仕事を送る地味でつまらない日々ばかりになりそうだよ。やっぱり、そんなもんでしょ」
マイは、その先が煌びやかな物では無さそうだと分かっていると口にする。
分かっていて、何故先ほどは違うことを言っていたのか、リベルテにはわからなくなる。
ふと視線をずらせば、マイの言葉に、タカヒロも共感していた。
どうしてかはわからないが、マイとタカヒロたちは、わかっていながら、有り得ない願望を口にしていた様子であった。
「……なぁ、それって誰かの妻となる所までは考えるが、その後は何も考えていない、てことで良いのか?」
レッドが恐る恐る訪ねると、これまたマイが頷き、タカヒロがたぶん、と答えた。
「最悪じゃねぇか……」
「地位が高い人のお相手になろうとしてますからね。実際にそうなった場合、その方がどうなるか……。外で苦労して内でも、ですからね」
「かと言って、この話こそ、外から口を挟める話じゃないよなぁ……」
ある意味、人を悪し様に言うことなのだ。
例え真実だとしても外部からの声では、聞こえないか、かえって反発を招くだけになってしまう。
結局、レッドたちに出来るのは、アンリについて情報は集めるだけと言うことになる。
騒ぎ続けた人たちが、そろそろ休みに入いるようで、騒がしくも賑やかな声が、少しずつその音を小さくしていく。
新たな年を祝い、騒いでいる人たちを、羨ましそうに眺めるくらいしか、今のレッドたちには出来なかった。
「あれは……どういうことなんだ?」
黙っていても始まらなく、分かっていることから確認していくしかない。
「え~と、アンリさんが宰相さんの養女となったんですよね? びっくりですよね」
「……驚きましたけど、そんなに簡単に言って終われる話ではありませんよ」
マイの気楽そうな言葉に、リベルテが額に手を当てつつ嗜める。
「普通、平民が貴族の養女となることはありません。それは貴族としての体面に瑕疵をつけることに他なりません。あったとしても、何かしらの事情で捨てざるを得なかったけれど、状況が変わって引き取れるようになった、と言うような場合でしょうか? それであっても対面的に良い話ではありませんし、養女という話ではありませんね」
「え~と、結局どういうことなんですか?」
「タカヒロ、ファルケン伯が王とこの手の話をしていたとか、聞いたことは無いか?」
マイの言葉を無視して、この中で唯一、城勤めであるタカヒロに訪ねてみるるが、タカヒロは首を横に振る。
「僕は下っ端ですからねぇ。王様にお目通りするようなことは、ほとんどありませんよ。前に城に来てましたから、そこで何かしらの話があったのかもしれませんね」
「ファルケン伯しかないだろうが、それにしても、年齢がな……。あ~、ファルケン伯の娘じゃなくて親族ってところか?」
「え? アンリさんてファルケン伯爵の親族だったんですか?」
タカヒロを含め、皆がマイにじとっとした目を向ける。
「え? え?」
本当にわかっていないようで、タカヒロがため息を漏らす。
「あの人、僕が向こうで知ってる人だって言ったよね?」
「うん、そうだね。あれ? あっちでも良い所の人だった?」
処置なしとタカヒロは首を振って、レッドたちの方に向き直る。放置することにしたらしい。
「それだけ功績を重く見たのでしょうか?」
「未来が分かるなら、今の国にとっては何よりも欲しい力かもしれないな。帝国の行動からすべて何も分からなくて、後手に回った結果があの騒乱だからな。かなり国の力を落としてたって、言えるだろうな」
長年の敵であったグーリンデとは国交が開かれるようになったが、帝国との一戦で多くの兵を失い、そこからさらにアクネシアからのモンスターによって疲弊させられ、先の騒乱で王都で被害を受けたのだ。
これから先に対応していくためには、未来が分かると言う力が本当であれば、飛びつきたいのはよくわかるものである。
「文官だとかそんなので城に勤めるってならともかく、貴族として城に居るんじゃ変わってくるな」
「彼女も貴族となって何をしたいのでしょうか? いくら国から要望があったとしても、いきなり身分の違う家の養女になるのは、相当な苦労が伴いますよ?」
「そんなに大変なんですか?」
リベルテが思いつく限りと、指を折りながら挙げていく。
「貴族と言う体面を重視する身分になりますから、礼儀作法は徹底されますし、国に使える貴族と言うことで、この国について知っていなければならないことが多くあります。他の貴族の方々への面通しもありますし、貴族はよくお茶会と言うのを開くそうですが、気楽にお茶を飲む催しではないらしいですし……」
マイがあまりの堅苦しさと大変さに、げんなりとした表情になる。
側で聞かされていたタカヒロは、下っ端でよかったと胸を撫で下ろしていた。
「自身の先もわかっていたなら、最初から準備とかしてたかもな」
「貴族になるために、ファルケン伯に寄っていた、と言う線はありそうですね」
先を見据えた行動をする、と言うのは実行できれば素晴らしいものであるが、それが何のためかによって、だいぶ意味が違ってしまう。
就きたい職を目指して努力したと言うことであれば、その努力は称賛されるべきものとなるが、誰かに復讐するために努力したと言うことであれば、それ称賛されるものにはならないだろう。
ただ先が分かるだけで、権力など何も持たないままであれば、直接的な被害も無く、警戒する必要もなかったかもしれないが、宰相の養女となれば権力や権威と言う物が付属することになる。
そうなってしまえば、未来が分かる分、奮える力が広がることになり、警戒せざるを得なくなる。
そして、これまでの『神の玩具』のあり様からすれば、考えられる所は……。
そっとタカヒロが手を上げると、皆がタカヒロに注目する。
「たぶんですけど……。彼女の目的と言うか、やりたいことってわかると思います」
「彼女は一体、何をしたいと願っているのですか!?」
「あいつが何をやろうとしているか、わかるのか!?
先が分かるとする者が何を見、目指して動いているかがわかる、と言うのはその力を持つ者と同じ力を持っている、と言えるほどである。
もうこれでは、誰がどこまで先がわかるのかが、わからなくなりそうなほどに。
レッドたちの勢いに押されながらも、たぶんですよ、と強調した上でタカヒロは自身の考えを述べる。
「一番は王子と結婚すること、かなと。他は、新しい宰相か、騎士団長だとか、そういった人たちの相手になることだと」
「あ~、なんか、ちょっとわかるかも!」
今まで良く分かっていなかったマイがわかる、と口にする。
逆に、レッドたちは意味が分からなく、固まるしかなかった。
「あ~……、どういうことだ?」
「……玉の輿を目指している、と言うことでしょうか?」
かろうじて、リベルテが思い当たりそうな言葉を口にすれば、タカヒロたちが頷き、リベルテは頭を抱えた。
「いや、待ってくれ。今の王子は、まだ子どもだったはずだぞ? いくらなんでも結婚を、だなんて無理な話だ。お前たちと同じくらいの年齢だったよな?」
「まぁ……。なら、新しい宰相か騎士団長ですかね? あのお二人も、若いですよね?」
レッドはわからなくて、リベルテの方を見る。
「私も新しく任命された方々の情報を持ってませんよ。ずっと家に居たのですから」
じろっと目を向け返されて、レッドはサッと目をそらす。
自分のかけた迷惑を棚に上げてしまったことに、後悔していた。
「私たちは顔見れなかったからな~。タカヒロ君が若そうだったって言うなら、そうなんじゃないかな? そうなると、かなり格好良い男性なんだよね? 見たかったかも~。あ、そう言えば、今の王様もそんなに年じゃないよね? レッドさんより、少し上くらいですよね?」
「……それでも30代の後半に入ってる」
「それくらいなら、あり、かな?」
自分の話ではないのに、共感するように相手を吟味し始めるマイに、レッドとリベルテは完全に置いてきぼりだった。
「その……、マイさん? 新しい宰相や騎士団長の方、それと王のお相手となりたいと動いていたとして、それからどうするのですか?」
「どうするって?」
きょとんとして言葉を繰り返す。
「いえ……、例えば、騎士団をまとめる長となった方の妻となって、どうしたいのかな、と。そう言った立場の妻となれば、相応にやらなければならないことや負わなければいけないことなど、出てきてしまいますから」
「えぇーー!? そんなに面倒なものなんですか? なんか良い所の奥さんとして、ゆったりとして煌びやかな生活を送れたりしないんですか?」
「むしろ、何故そんな考えに? それだけの地位に居る方であれば、それを支えるためにやらなければいけないことは多いものですよ」
リベルテが呆れたように答えると、マイは不平こそ口にするものの、そうだよね、とゆっくりと背もたれに寄りかかった。
「やっぱり、そんな甘い話じゃないよね。物語って良い所で終わって、その後についてなんて、一切無いからねぇ」
「実際にあったら、あの後ってこうドロドロした話が進むか、これまでの雰囲気が無くなって、仕事を送る地味でつまらない日々ばかりになりそうだよ。やっぱり、そんなもんでしょ」
マイは、その先が煌びやかな物では無さそうだと分かっていると口にする。
分かっていて、何故先ほどは違うことを言っていたのか、リベルテにはわからなくなる。
ふと視線をずらせば、マイの言葉に、タカヒロも共感していた。
どうしてかはわからないが、マイとタカヒロたちは、わかっていながら、有り得ない願望を口にしていた様子であった。
「……なぁ、それって誰かの妻となる所までは考えるが、その後は何も考えていない、てことで良いのか?」
レッドが恐る恐る訪ねると、これまたマイが頷き、タカヒロがたぶん、と答えた。
「最悪じゃねぇか……」
「地位が高い人のお相手になろうとしてますからね。実際にそうなった場合、その方がどうなるか……。外で苦労して内でも、ですからね」
「かと言って、この話こそ、外から口を挟める話じゃないよなぁ……」
ある意味、人を悪し様に言うことなのだ。
例え真実だとしても外部からの声では、聞こえないか、かえって反発を招くだけになってしまう。
結局、レッドたちに出来るのは、アンリについて情報は集めるだけと言うことになる。
騒ぎ続けた人たちが、そろそろ休みに入いるようで、騒がしくも賑やかな声が、少しずつその音を小さくしていく。
新たな年を祝い、騒いでいる人たちを、羨ましそうに眺めるくらいしか、今のレッドたちには出来なかった。
0
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。


転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

追放された魔女は、実は聖女でした。聖なる加護がなくなった国は、もうおしまいのようです【第一部完】
小平ニコ
ファンタジー
人里離れた森の奥で、ずっと魔法の研究をしていたラディアは、ある日突然、軍隊を率いてやって来た王太子デルロックに『邪悪な魔女』呼ばわりされ、国を追放される。
魔法の天才であるラディアは、その気になれば軍隊を蹴散らすこともできたが、争いを好まず、物や場所にまったく執着しない性格なので、素直に国を出て、『せっかくだから』と、旅をすることにした。
『邪悪な魔女』を追い払い、国民たちから喝采を浴びるデルロックだったが、彼は知らなかった。魔女だと思っていたラディアが、本人も気づかぬうちに、災いから国を守っていた聖女であることを……

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!
IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。
無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。
一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。
甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。
しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--
これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話
複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

姉の陰謀で国を追放された第二王女は、隣国を発展させる聖女となる【完結】
小平ニコ
ファンタジー
幼少期から魔法の才能に溢れ、百年に一度の天才と呼ばれたリーリエル。だが、その才能を妬んだ姉により、無実の罪を着せられ、隣国へと追放されてしまう。
しかしリーリエルはくじけなかった。持ち前の根性と、常識を遥かに超えた魔法能力で、まともな建物すら存在しなかった隣国を、たちまちのうちに強国へと成長させる。
そして、リーリエルは戻って来た。
政治の実権を握り、やりたい放題の振る舞いで国を乱す姉を打ち倒すために……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる