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照りつける太陽の下、レッドたちは難敵と対峙していた。
そいつらはあちこちに姿を現し、その数の多さと暑い陽射しが体力を奪い続けていく。
地面に滴り落ちる汗は止まらなかった。
「休憩にしませんか~」
のんびりとしつつも、レッドたちを心配する声が掛かり、レッドたちはこれ幸いと体を起こして、木陰に歩き出す。
畑の草むしりの依頼の最中だったのだ。
「あ~……。腰にくるなぁ……」
腰を軽く叩きながら、用意してくれた冷たい水を一気に飲み干す。
体の中に冷たいものが通っていく感覚が、熱を持った体に心地よかった。
「陽射しが強いですからねぇ……。汗だくになっちゃうのは、ちょっと嫌なんですけどね」
リベルテは持ってきていた布で、顔と首筋の汗を拭っていく。
拭い終わると、すっきりして生き返ったような表情になる。
モンスターと対峙している時に汗を気にしていたら危険なため、可能な限り汗をかかないように動くことを意識するしたりしているが、全く汗をかかないということは不可能だ。
だから、戦闘中は流れる汗を気にしないようにするしかないのだが、実際に流れ続ける汗と言うのは不快なものである。
完全に汗が引くまで、とはいかなくても、幾分か落ち着くまで休憩させてもらえるのは、ありがたいことだった。
「今年も悪くなさそうですね」
リベルテが日差しに煌く青々とした畑に目を細める。
これが王都や他の町などで、人々の食料となるのだ。
緑の鮮やかな色合いが、強めの陽差しに煌いて眩しかった。
「だな。今年は人が増えた分、ちゃんと取れないと大変なことになるからなぁ」
レッドも畑に目を向け、しみじみと頷く。
畑の持ち主である老人も、順調に育っている畑を嬉しそうに見ていた。
さすがにアクネシアの全ての人がオルグラントへ来たわけではないし、戦いがあったことで亡くなった人もそれなりの数になってしまっている。
しかし、オルグラント王国はアクネシア王国から逃げて来た人たちのほとんどを受け入れたことで、人口自体は増やすこととなったのである。
オルグラント王国には、まだまだ畑へと広げられる土地はあるが、畑とするにも時間は掛かるもの。
増えた人口に十分対応しきれるだけの食糧が集まるかは、少し心許なさを感じさせていたのだ。
肥沃な土地が広がっているので他の国に比べれば農地が多く、収穫量も通常通りであれば悪くは無い。
そんな国であっても、満足に食事が取れなくて、亡くなってしまう人と言うのは、居ないわけでもないのだ。
食糧が全ての人に満足出来るほど取れない時期はあるものだし、何よりお金が無ければ買うことも出来ないため、手に入らないという話もある。
近くの森などで探して取ってくることで飢えを凌いだり、量を増やしたりしている人も居るが、お金が無い人全員が探して取ってこれているかと言うと、そんなことはないのが実情である。
そこにアクネシアからの難民の受入である。
食糧事情に不安を覚えないわけが無いのである。
ただ、状態を保つ魔道具が作られるようになったことから、イドラ湖やウルクの港から王都へ魚介類を運べるようになってことで、食糧事情についていくらかの改善は見られてきている。
それでも、主食である小麦や日持ちの良い根菜などは、多く取れるようにするには畑の手入れは欠かせないものとなる。
今年の畑の依頼は、例年より貼りだされている数が多くなっていた。
レッドは木に背中を預けて、葉の間から空を見上げる。
それはのんびりとするためではなく、考え事をするためであり、その目には少し険しさがあった。
キスト聖国のことを考えていたのだ。
魔の薬。
オルグラント王国で度々広まり、魔の薬による被害者は少なく無い。
そして、度々広まる薬の被害者は症状が違っていた。
王都で魔の薬を作っていただろう人間は亡くなったのだが、それで魔の薬が終わることは無かったのだ。
どこから持ってこられたのか、誰が作っているのかははっきりとなっていないが、頬に縦傷がある男が広めていることを突き止め、一度は捕まえたのだが、捕まえたその日に逃げられ、行方がわからなくなってしまっていた。
だが、キスト聖国の聖職者として、王国に戻ってきていた。
以前に、魔の薬は聖国の魔法で癒せるため、聖国から持ち運ばれた物かもしれないとタカヒロたちと話の中で上がったことがあったが、アクネシアを挟んだ向こう側であったので、わざわざ一つはなれた国にまで手間なことをするものかと、あの時のレッドはそう考えてしまったのだ。
これは、レッドたちは王都からあまり離れないで済む依頼で済ませ、生活を送っていたことが理由となり、キスト聖国は教えを広める名目で、他の国へ赴く者たちのことが、理解出来なかったのだ。
自分の国で大よそは生活は出来るものである。
それなのに、モンスターや向かう先の国の人間に襲われるかもしれないというのに、今の生活を捨てて他の地へ向かう人たちの気が知れなかったのだ。
しかし、タカヒロたちの言ったとおりで、魔の薬に聖国が関わっていたのである。
様々な症状の薬をばら撒くことで、特定の薬の印象を薄めようとしていた可能性も今では考えられるし、様々な症状を作り出すことで、徐々に薬を改良していたとも考えられる。
元々、キスト聖国では、国民を兵にするために薬を使っている、と言う話を耳にしている。
であれば、何のために今以上に改良するのかとも思えてしまう。
しかし、戦争時に使用しているものと用途が別だと考えれば、試しているのだと言えそうであった。
どちらにせよ、オルグラント王国という、アクネシアを挟んで向こう側の国に薬を持ち込んで試し続け、隣り合ったらもっと手を出してくると言う侵略する気満々である国が、中立だと、聖職者だと言っていることが、不快で仕方が無い。
気が付けば、眉間に皺が寄っていたレッドであったが、リベルテが心配げにこちらを見ているに気づいて、眉間の皺を手で伸ばす。
しかし、込み上げてくる思いは止められない。
前に見かけた、頬に縦傷があるようだった男は、レッドを見て笑っていた。
レッドの顔を覚えていたからだろう。
レッドを見て、今度は簡単に手が出せないことをあざ笑ったのだ。
相手はレッドを覚えているのであれば、動ける範囲は狭くなる。
聖国から来ている人たちや聖職者たちを、レッドは見張ることが出来なくなっているのだ。
レッドが動けないのだから、一緒に行動しているリベルテも相手に覚えられている可能性があって、頼むわけにもいかなかった。
マイはもう冒険者ではないし、薬師として働かなくてはいけない。
かといって、タカヒロに頼むには心許なかった。
『神の玩具』であるから、その力に不安を覚えてはいない。
冒険者として生活をしているが、採取や討伐がほとんどで、だれかを見張るといったことに慣れては居無さそうだからである。
そういった経験がある、他の冒険者に依頼する方法もあるが、当然ながら支払う報酬が必要であり、明確な成果が決められない依頼となるため、報酬額が難しい。
場合によっては、まったく成果が無く報酬だけ支払うことだってあり得るのだ。
それでも依頼を出すとするならば、稼ぐ必要が出てくるのである。
自分たちの生活があるのだから、生活費を稼ぐ以上に報酬を得ていかないといけない。
依頼に精を出すしかないのだ。
「十分休んだし、続きいくか」
「そうですね。休んでばかりだと終わりませんからね」
レッドが立ち上がり、リベルテに手を差し出す。
リベルテはその手を取って、立ち上がる。
今、自分たちが出来ることがわかっているのだ。
雑草をしっかり取らないと、折角、実をつけても、実が細かったり、中がすかすかで取れる量が減ったりしてしまうことに繋がってしまうのだ。
そんなことになっては、生活に困るのは自分たちである。
手を抜くわけには行かない。
かなり根気のいる作業であるため、レッドたち以外にも依頼を受けている冒険者たちがいるのだが、極稀に伸びた雑草と間違えて抜いてしまったりして、怒られている声が聞こえてきていた。
レッドたちも、最初の頃は簡単な依頼と考えていて、やってみて実際は……、という経験をしている。
雑草と間違えて抜いたということも無かったわけでもない。
考えることは多いし、不安なことも多いが、昔のことを懐かしむことが出来る時間と、青々と茂る畑を眺める平穏な時間があることに、レッドとリベルテはどちらともなく、笑顔になっていくのがわかっていた。
「今日で終わるかねぇ」
「終わらせたいところですが、欲張ると倒れそうですよ」
日差しを遮るように額に手を翳して、空を見上げるリベルテ。
陽は段々と強さを増していき、頑張って動きすぎると、暑さで倒れてしまいそうなほどになっていた。
「まぁ、仕事として受けたんだ。文句を言われない程度にはやらんとだ」
「ですね。じゃないと、次から依頼を出してもらえなくなるかもしれませんから」
レッドたちが請け負った畑の持ち主は高齢であるため、自身で全てを行うのは無理だった。
他に手の空いている知り合いがいればそちらに頼むのだろうが、この時期であれば、他の知り合いも同じく畑の世話で忙しい。
それでも人手が必要となれば、冒険者ギルドに依頼を出すしかないのだが、出す出さないは依頼主側の判断でしかない。
手伝いに来た者が問題しか起こさないのであれば、次を頼む気にならなくなるものだ。
レッドとリベルテは改めて気合を入れなおして、また低い姿勢で雑草と戦い始める。
空は雲ひとつ無く青く広がり、見渡す畑も青く茂っている。
どこまでも広がる景色は、気持ちの良いものだった。
そいつらはあちこちに姿を現し、その数の多さと暑い陽射しが体力を奪い続けていく。
地面に滴り落ちる汗は止まらなかった。
「休憩にしませんか~」
のんびりとしつつも、レッドたちを心配する声が掛かり、レッドたちはこれ幸いと体を起こして、木陰に歩き出す。
畑の草むしりの依頼の最中だったのだ。
「あ~……。腰にくるなぁ……」
腰を軽く叩きながら、用意してくれた冷たい水を一気に飲み干す。
体の中に冷たいものが通っていく感覚が、熱を持った体に心地よかった。
「陽射しが強いですからねぇ……。汗だくになっちゃうのは、ちょっと嫌なんですけどね」
リベルテは持ってきていた布で、顔と首筋の汗を拭っていく。
拭い終わると、すっきりして生き返ったような表情になる。
モンスターと対峙している時に汗を気にしていたら危険なため、可能な限り汗をかかないように動くことを意識するしたりしているが、全く汗をかかないということは不可能だ。
だから、戦闘中は流れる汗を気にしないようにするしかないのだが、実際に流れ続ける汗と言うのは不快なものである。
完全に汗が引くまで、とはいかなくても、幾分か落ち着くまで休憩させてもらえるのは、ありがたいことだった。
「今年も悪くなさそうですね」
リベルテが日差しに煌く青々とした畑に目を細める。
これが王都や他の町などで、人々の食料となるのだ。
緑の鮮やかな色合いが、強めの陽差しに煌いて眩しかった。
「だな。今年は人が増えた分、ちゃんと取れないと大変なことになるからなぁ」
レッドも畑に目を向け、しみじみと頷く。
畑の持ち主である老人も、順調に育っている畑を嬉しそうに見ていた。
さすがにアクネシアの全ての人がオルグラントへ来たわけではないし、戦いがあったことで亡くなった人もそれなりの数になってしまっている。
しかし、オルグラント王国はアクネシア王国から逃げて来た人たちのほとんどを受け入れたことで、人口自体は増やすこととなったのである。
オルグラント王国には、まだまだ畑へと広げられる土地はあるが、畑とするにも時間は掛かるもの。
増えた人口に十分対応しきれるだけの食糧が集まるかは、少し心許なさを感じさせていたのだ。
肥沃な土地が広がっているので他の国に比べれば農地が多く、収穫量も通常通りであれば悪くは無い。
そんな国であっても、満足に食事が取れなくて、亡くなってしまう人と言うのは、居ないわけでもないのだ。
食糧が全ての人に満足出来るほど取れない時期はあるものだし、何よりお金が無ければ買うことも出来ないため、手に入らないという話もある。
近くの森などで探して取ってくることで飢えを凌いだり、量を増やしたりしている人も居るが、お金が無い人全員が探して取ってこれているかと言うと、そんなことはないのが実情である。
そこにアクネシアからの難民の受入である。
食糧事情に不安を覚えないわけが無いのである。
ただ、状態を保つ魔道具が作られるようになったことから、イドラ湖やウルクの港から王都へ魚介類を運べるようになってことで、食糧事情についていくらかの改善は見られてきている。
それでも、主食である小麦や日持ちの良い根菜などは、多く取れるようにするには畑の手入れは欠かせないものとなる。
今年の畑の依頼は、例年より貼りだされている数が多くなっていた。
レッドは木に背中を預けて、葉の間から空を見上げる。
それはのんびりとするためではなく、考え事をするためであり、その目には少し険しさがあった。
キスト聖国のことを考えていたのだ。
魔の薬。
オルグラント王国で度々広まり、魔の薬による被害者は少なく無い。
そして、度々広まる薬の被害者は症状が違っていた。
王都で魔の薬を作っていただろう人間は亡くなったのだが、それで魔の薬が終わることは無かったのだ。
どこから持ってこられたのか、誰が作っているのかははっきりとなっていないが、頬に縦傷がある男が広めていることを突き止め、一度は捕まえたのだが、捕まえたその日に逃げられ、行方がわからなくなってしまっていた。
だが、キスト聖国の聖職者として、王国に戻ってきていた。
以前に、魔の薬は聖国の魔法で癒せるため、聖国から持ち運ばれた物かもしれないとタカヒロたちと話の中で上がったことがあったが、アクネシアを挟んだ向こう側であったので、わざわざ一つはなれた国にまで手間なことをするものかと、あの時のレッドはそう考えてしまったのだ。
これは、レッドたちは王都からあまり離れないで済む依頼で済ませ、生活を送っていたことが理由となり、キスト聖国は教えを広める名目で、他の国へ赴く者たちのことが、理解出来なかったのだ。
自分の国で大よそは生活は出来るものである。
それなのに、モンスターや向かう先の国の人間に襲われるかもしれないというのに、今の生活を捨てて他の地へ向かう人たちの気が知れなかったのだ。
しかし、タカヒロたちの言ったとおりで、魔の薬に聖国が関わっていたのである。
様々な症状の薬をばら撒くことで、特定の薬の印象を薄めようとしていた可能性も今では考えられるし、様々な症状を作り出すことで、徐々に薬を改良していたとも考えられる。
元々、キスト聖国では、国民を兵にするために薬を使っている、と言う話を耳にしている。
であれば、何のために今以上に改良するのかとも思えてしまう。
しかし、戦争時に使用しているものと用途が別だと考えれば、試しているのだと言えそうであった。
どちらにせよ、オルグラント王国という、アクネシアを挟んで向こう側の国に薬を持ち込んで試し続け、隣り合ったらもっと手を出してくると言う侵略する気満々である国が、中立だと、聖職者だと言っていることが、不快で仕方が無い。
気が付けば、眉間に皺が寄っていたレッドであったが、リベルテが心配げにこちらを見ているに気づいて、眉間の皺を手で伸ばす。
しかし、込み上げてくる思いは止められない。
前に見かけた、頬に縦傷があるようだった男は、レッドを見て笑っていた。
レッドの顔を覚えていたからだろう。
レッドを見て、今度は簡単に手が出せないことをあざ笑ったのだ。
相手はレッドを覚えているのであれば、動ける範囲は狭くなる。
聖国から来ている人たちや聖職者たちを、レッドは見張ることが出来なくなっているのだ。
レッドが動けないのだから、一緒に行動しているリベルテも相手に覚えられている可能性があって、頼むわけにもいかなかった。
マイはもう冒険者ではないし、薬師として働かなくてはいけない。
かといって、タカヒロに頼むには心許なかった。
『神の玩具』であるから、その力に不安を覚えてはいない。
冒険者として生活をしているが、採取や討伐がほとんどで、だれかを見張るといったことに慣れては居無さそうだからである。
そういった経験がある、他の冒険者に依頼する方法もあるが、当然ながら支払う報酬が必要であり、明確な成果が決められない依頼となるため、報酬額が難しい。
場合によっては、まったく成果が無く報酬だけ支払うことだってあり得るのだ。
それでも依頼を出すとするならば、稼ぐ必要が出てくるのである。
自分たちの生活があるのだから、生活費を稼ぐ以上に報酬を得ていかないといけない。
依頼に精を出すしかないのだ。
「十分休んだし、続きいくか」
「そうですね。休んでばかりだと終わりませんからね」
レッドが立ち上がり、リベルテに手を差し出す。
リベルテはその手を取って、立ち上がる。
今、自分たちが出来ることがわかっているのだ。
雑草をしっかり取らないと、折角、実をつけても、実が細かったり、中がすかすかで取れる量が減ったりしてしまうことに繋がってしまうのだ。
そんなことになっては、生活に困るのは自分たちである。
手を抜くわけには行かない。
かなり根気のいる作業であるため、レッドたち以外にも依頼を受けている冒険者たちがいるのだが、極稀に伸びた雑草と間違えて抜いてしまったりして、怒られている声が聞こえてきていた。
レッドたちも、最初の頃は簡単な依頼と考えていて、やってみて実際は……、という経験をしている。
雑草と間違えて抜いたということも無かったわけでもない。
考えることは多いし、不安なことも多いが、昔のことを懐かしむことが出来る時間と、青々と茂る畑を眺める平穏な時間があることに、レッドとリベルテはどちらともなく、笑顔になっていくのがわかっていた。
「今日で終わるかねぇ」
「終わらせたいところですが、欲張ると倒れそうですよ」
日差しを遮るように額に手を翳して、空を見上げるリベルテ。
陽は段々と強さを増していき、頑張って動きすぎると、暑さで倒れてしまいそうなほどになっていた。
「まぁ、仕事として受けたんだ。文句を言われない程度にはやらんとだ」
「ですね。じゃないと、次から依頼を出してもらえなくなるかもしれませんから」
レッドたちが請け負った畑の持ち主は高齢であるため、自身で全てを行うのは無理だった。
他に手の空いている知り合いがいればそちらに頼むのだろうが、この時期であれば、他の知り合いも同じく畑の世話で忙しい。
それでも人手が必要となれば、冒険者ギルドに依頼を出すしかないのだが、出す出さないは依頼主側の判断でしかない。
手伝いに来た者が問題しか起こさないのであれば、次を頼む気にならなくなるものだ。
レッドとリベルテは改めて気合を入れなおして、また低い姿勢で雑草と戦い始める。
空は雲ひとつ無く青く広がり、見渡す畑も青く茂っている。
どこまでも広がる景色は、気持ちの良いものだった。
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