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1.始まり
1-1 魔王討伐への第一歩
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レス「ふう…ここがフィーゾ城下町か。すごい活気だなー。」
とりあえずで来てみたけど、すごい活気だった。
ニュースでも聞いてた通り。
どうやら今ここを中心として勇者一行が活動している影響らしい。
勇者の影響力ってすごいなー…
それは一旦置いといて、僕がここに来た理由。
それは道具の調達。
武器は剣状に体を変形すれば大丈夫。
防御面はメタルスライム特有の強固すぎる素の防御力で安心しきっている。
問題は道具で、こればかりはどうしようもない。
だから道具だけを買いに来た。
道具屋のおじさん「いらっしゃい!何をお探しで?」
レス「とりあえず、全部見て回っていいかな?」
道具屋のおじさん「いいよ!じっくり見て回ってくれ!」
レス「ありがとう。」
その後売り物をじっくりと見て回った結果、回復薬を数個買った。
これで万全…じゃない。
実はこれだけ準備しても、運要素が1つある。
僕はこれから、この城下町付近にある魔物の砦を襲撃、破壊する。
その瞬間を、勇者一行に見てもらう必要がある。
人間の形をしたメタルスライムとして。
あとは用意しておいた手紙を置いていく。
これを2~3回やって、ついに勇者一行と接触。
そして話し合い、何らかの形で協力関係を築く。
これが僕の考えた作戦。
避けては通れない「勇者一行との接触」を攻略するための手順。
だけど、魔物の砦に関してはいいとして、問題はその次。
どうやって勇者一行に見てもらうかが運。
確立した方法がない現状だと、どれもリスクがあるから。
ここが今のところの課題。
さてと…どうしようかな?
とりあえず、魔物の砦に向かうけど…
どうしたら勇者を誘導できるだろう……
そうして考え込んでいるうちに、魔物の砦があるシーア森に入った。
偵察だけして、勇者一行をうまい具合に誘導できればいいけど。
あとはこっそりレベル上げでも…
???「誰か助けて!」
!?
右手から助けを求める声。
しまった!
僕は武器を持っていないから、ばれずに魔物を倒す方法が無い!
いや、落ち着け、自分。
魔物の動きを抑えて、襲われている人を逃がす。
その後その人の視界外に魔物を誘導して、倒す。
そうすれば冒険者を救いながら、僕の正体がばれることもない。
よし、これだ。
レス「大丈夫ですか!?」
僕は木々を抜けた先にいたゴブリンを咄嗟に抑えた。
ゴブリン「ギッ!?」
レス「逃げてください!早く!」
女冒険者「た、助かりました!」
冒険者バンドを身に着けているから、この人は冒険者か。
とりあえずこれで逃がして、あとはゴブリンを…
レス「うわっ!?」
突如として大きな力を加えられ、抑えていたゴブリンを手放してしまった。
ゴブリン「ギギギ!」
女冒険者「キャーーーッ!」
やらかした!
ゴブリンとはいえ、それぐらいの知能はあったか!
しかもよく見たら、この冒険者ボロボロだ!
一撃で殺されてしまう可能性も捨てきれない…
………悩むな、自分。
勇気だ。
今必要なのは、勇気だ。
目の前には魔物。
魔物はその先にいる冒険者を襲おうとしている。
僕には魔物を倒せる秘密の力がある。
この秘密がバレたら、自分は殺されるかも。
だけど、魔物を倒さないと、冒険者が死ぬかも。
…なら、選択肢は1つ。
レス「やらせない!」
僕は右腕を剣に変形させ、ゴブリンを切り裂いた。
ゴブリン「グギャッ!?」
幸い威力が高かったようで、一撃で倒せた。
レス「あ、危なかった…」
もう少し判断が遅かったらやられていたかも。
レス「大丈夫でしたか?」
女冒険者「は、はい。大丈夫、ですけど…あなたは魔物なの?」
こうなることはわかっていた。
うーん、どういう言い訳なら…
いや、正直に話したほうがいいか。
レス「わからない。僕が人間か魔物かを決めるのは、人類の皆が決めることだと思うから。」
女冒険者「私は…人間だと思う。」
レス「ありがとう。」
女冒険者「…ねぇ。」
レス「ん、何?」
女冒険者「あなたのことを知りたいの。教えてくれない?」
レス「いいよ。」
何で知りたがるかはよくわからないけど、教えて欲しいというなら、教えるしかない。
レス「僕はレス。人間とメタルスライムの子供。魔物に幸せを奪われて、魔王討伐を誓った者。」
女冒険者「こ、子供!?」
レス「この際だから、全部教えるよ。」
それから僕は、今までのことを話した。
人間とメタルスライムの子供として産まれたこと。
皆で幸せに暮らしていたこと。
その幸せが、魔物に奪われたこと。
ニュースから真実を知り、魔王討伐を誓ったこと。
そして、勇者一行への接触作戦を考えていたこと。
女冒険者「…………………………」
レス「だ、大丈夫?」
女冒険者「うん。ちょっと衝撃がいくつも襲ってきて圧倒されただけ。それにしても…辛かったでしょ?」
レス「辛かった。誰にも話せない秘密って、とても辛かった。でも、それで挫けることはない。両親の…ミアとメタちゃんの為に。」
女冒険者「凄い…私だったら挫けそう。」
レス「そう言ってくれると助かる。それで、お願いがあるんだけど、もしよかったら…」
女冒険者「いいよ!私にできることなら任せて!」
レス「ありがとう!あ、そうだ。名前は?」
ニコ「私はニコ、宜しくね!」
レス「宜しく。」
ニコ「それで、これからどうするの?」
レス「仲間がいるなら話は別だ。質問だけど、勇者一行が次に何をする予定かわかる?」
ニコ「確か明日の12時ごろに出発して、この先にある魔物の砦を陥落させる予定だよ。あと、明確かつどうしてもな理由がない限り同行禁止だって。」
レス「なら僕も同じ時間に、魔物の砦を襲撃、壊滅させる。で、2回目以降の誘導に協力して欲しい。向こうが僕の存在に警戒するだろうから。」
ニコ「あとは作戦通り、だね。」
レス「うん。宜しく頼んだよ。」
ニコ「わかった。…あれ?レスが壊滅させに行くなら、私はどうすればいいの?」
レス「勇者一行に伝わるように、噂を流すんだ。『一瞬だけだったけど、メタルスライムのような色をした人が、シーア森に入っていった』って。」
ニコ「わかった。私に考えがあるの。今日の夜のラジオ番組にスペシャルゲストとして、勇者一行が出演するのがわかっているの。そのラジオのお便りコーナーに匿名で、さっきの内容を送るの。」
レス「いいね。それじゃ、僕は武器を買いに行くよ。」
ニコ「私は休憩しようかな?それじゃ、また後でね!」
レス「また後で…と言っても、城下町までは道同じだけど。」
ニコ「確かにね。」
その後シーア森付近で仕掛けをした後、城下町でニコと別れた僕は、鉄の剣を購入、宿屋で食事を摂りながら、ラジオが始まるのを待っていた。
確か、ラジオが始まるのは夜8時。
そろそろ始まると思うけど…
その時、ラジオから音楽が流れ始めた。
司会「どうもこんばんは、フィーゾラジオの時間がやってまいりました。今回のスペシャルゲストは…ななんと!勇者一行の4人です!宜しくお願いします!」
アルト「こんばんは、勇者アルトです。」
ソーマ「勇者ソーマです。」
ジャック「勇者ジャックです。」
ノーゼ「勇者ノーゼです。」
アルト「こちらこそ、宜しくお願いします。」
勇者一行については調べてある。
勇者アルトは勇者一行のリーダーポジション。
ジョブとしては戦士に分類される。
その華麗な剣捌きで相手の好きを伺い、奥義の『Maxスラッシュ』はありとあらゆる敵を切り裂く。
勇者ソーマは勇者一行の天然ポジション。
ジョブとしては僧侶に分類される。
圧倒的な回復力を持ち、防護魔法もお手のもの。
奥義の『フェニックス』は、全員の体力全回復+防御力2倍という圧倒的性能を誇る。
勇者ジャックは勇者一行の熱血ポジション。
ジョブとしては武闘家に分類される。
高速で繰り出される攻撃は1発1発が強力。
奥義の『リミットバースト』で全員の攻撃力と魔法攻撃力を2倍にするという、さながら魔法使いのような効果を持つ。
勇者ノーゼは勇者一行の冷静ポジション。
ジョブとしては魔法使いに分類される。
攻撃魔法よりも妨害魔法に長けており、
奥義の『紅蓮地獄の呪い』で敵全員の全ステータスを半減させるという恐ろしすぎる力を持つ。
総括すると、とんがっている3人をアルトがまとめ上げ、最強のパーティとして成り立っている。
特に奥義の力があまりにも強すぎる。
だから、味方という立場になっておきたい。
司会「さてそれでは、お便りコーナーの方に移らせていただきます。」
来た、質問コーナー。
司会「スペシャルゲストがバレていたようで、勇者一行宛のお便りが沢山届いてます。」
うっ…ちょっとまずいなー。
司会「まずは最初のお便り。ラジオネーム『バードウォッチング中』さんからのお便りです。
『私は今日、とても恐ろしいものを見てしまいました。それは今日の夕方ごろのこと。私が双眼鏡を使って、シーア森の近くでバードウォッチングをしていたところ、メタル系の色をした人間を見たんです。私は恐怖で目を逸らしました。もしかしたら幻覚かもしれない。そう思って改めて見てみたのですが、やっぱりいました。幻覚じゃないとわかった私は、慌てて写真を撮りました。後に写真を見て、記憶を辿って気づいたのですが、その人?は目や鼻を見られないようにしていました。写真を撮った後、また双眼鏡で見ると、こちらに向かって手招きした後、シーア森の奥に入っていったんです。私は怖くて、城下町へと逃げ戻りました。あの後魔物図鑑を見てみたのですが、写真としっかり見比べても、どの魔物ともあてはまりませんでした。もしかしたら、新種のメタルモンスターなのかもしれません。勇者さんたちはこの出来事をどう思いますか?もしこれが本当なら、気を付けてくださいね。』」
初手で来てくれた!
さてと…ここからどう反応するかなー?
司会「実はこちらに、その撮影した写真がございます。ラジオなので皆様にはお見せできないのが残念です。」
おお!
これなら信憑性も上がるはず!
司会「勇者一行の皆様はどう思いますか?」
アルト「自分は…いると思います。」
ソーマ「え、本当にいるの!?」
アルト「自分はそう思うけど…2人はどう?」
ジャック「うーん、俺もいると思うぜ。」
ノーゼ「私も同意見だ。」
ソーマ「皆がそういうなら、私も信じる!」
ジャック「新種のメタル系って、倒せれば美味いよな。見かけたら必ず倒そうぜ!」
アルト「そうだね。それじゃあ、次のお便りをお願い。」
司会「わかりました。それでは、次のお便りです………」
勇者一行に存在を認識された。
考えうる限り最高の状況。
これは失敗できないな。
プルルルル!
そんなことを考えていると、カバンに入れていた携帯電話が鳴り響く。
あ、いつでも連絡できるようにしてたんだった。
僕は電話に出た。
レス「ニコ、よくやった!」
ニコ「やったね、レス。」
レス「これで計画は万全。後はタイミングを合わせて、計画通りに進めるだけ!」
ニコ「うう…緊張するなぁ。」
レス「ニコが今これ以上緊張する必要はないよ。緊張してるのは僕の方だし。」
ニコ「そうね。それじゃあ、明日は頑張って。」
レス「わかった、おやすみ。」
ニコ「おやすみ。」
僕は電話を切って、ラジオの周波数を変える。
流れ出した波の音を聞きながら、僕は眠りにつく。
明日の作戦の成功を願いながら。
動き始めた子と勇者。
子は勇者と和解する目標を持つ。
勇者は子を討伐する目標を持つ。
相反する二つの目標の天秤は
果たしてどちらに傾くのだろうか。
均衡が崩れる時は、すぐそこに。
あとがき
1話目から展開が早いと思うかもしれませんが、
何とか調整しますので安心してください。
今思えば勇者一行の奥義が強すぎる気もしますが、
決めてしまったものは仕方ありません。
これがどう転ぶかはまだわかりませんから。
他にも質問のある方、感想を書いてくださる方は、
ぜひコメント欄にお書きください。
私が喜びながら返信します。
また、私『某勇者』をお気に入り登録しますと、
新作や近況ボードの更新が通知されます。
気に入ってくれた方は是非、登録してください。
それでは次回をお楽しみに!
とりあえずで来てみたけど、すごい活気だった。
ニュースでも聞いてた通り。
どうやら今ここを中心として勇者一行が活動している影響らしい。
勇者の影響力ってすごいなー…
それは一旦置いといて、僕がここに来た理由。
それは道具の調達。
武器は剣状に体を変形すれば大丈夫。
防御面はメタルスライム特有の強固すぎる素の防御力で安心しきっている。
問題は道具で、こればかりはどうしようもない。
だから道具だけを買いに来た。
道具屋のおじさん「いらっしゃい!何をお探しで?」
レス「とりあえず、全部見て回っていいかな?」
道具屋のおじさん「いいよ!じっくり見て回ってくれ!」
レス「ありがとう。」
その後売り物をじっくりと見て回った結果、回復薬を数個買った。
これで万全…じゃない。
実はこれだけ準備しても、運要素が1つある。
僕はこれから、この城下町付近にある魔物の砦を襲撃、破壊する。
その瞬間を、勇者一行に見てもらう必要がある。
人間の形をしたメタルスライムとして。
あとは用意しておいた手紙を置いていく。
これを2~3回やって、ついに勇者一行と接触。
そして話し合い、何らかの形で協力関係を築く。
これが僕の考えた作戦。
避けては通れない「勇者一行との接触」を攻略するための手順。
だけど、魔物の砦に関してはいいとして、問題はその次。
どうやって勇者一行に見てもらうかが運。
確立した方法がない現状だと、どれもリスクがあるから。
ここが今のところの課題。
さてと…どうしようかな?
とりあえず、魔物の砦に向かうけど…
どうしたら勇者を誘導できるだろう……
そうして考え込んでいるうちに、魔物の砦があるシーア森に入った。
偵察だけして、勇者一行をうまい具合に誘導できればいいけど。
あとはこっそりレベル上げでも…
???「誰か助けて!」
!?
右手から助けを求める声。
しまった!
僕は武器を持っていないから、ばれずに魔物を倒す方法が無い!
いや、落ち着け、自分。
魔物の動きを抑えて、襲われている人を逃がす。
その後その人の視界外に魔物を誘導して、倒す。
そうすれば冒険者を救いながら、僕の正体がばれることもない。
よし、これだ。
レス「大丈夫ですか!?」
僕は木々を抜けた先にいたゴブリンを咄嗟に抑えた。
ゴブリン「ギッ!?」
レス「逃げてください!早く!」
女冒険者「た、助かりました!」
冒険者バンドを身に着けているから、この人は冒険者か。
とりあえずこれで逃がして、あとはゴブリンを…
レス「うわっ!?」
突如として大きな力を加えられ、抑えていたゴブリンを手放してしまった。
ゴブリン「ギギギ!」
女冒険者「キャーーーッ!」
やらかした!
ゴブリンとはいえ、それぐらいの知能はあったか!
しかもよく見たら、この冒険者ボロボロだ!
一撃で殺されてしまう可能性も捨てきれない…
………悩むな、自分。
勇気だ。
今必要なのは、勇気だ。
目の前には魔物。
魔物はその先にいる冒険者を襲おうとしている。
僕には魔物を倒せる秘密の力がある。
この秘密がバレたら、自分は殺されるかも。
だけど、魔物を倒さないと、冒険者が死ぬかも。
…なら、選択肢は1つ。
レス「やらせない!」
僕は右腕を剣に変形させ、ゴブリンを切り裂いた。
ゴブリン「グギャッ!?」
幸い威力が高かったようで、一撃で倒せた。
レス「あ、危なかった…」
もう少し判断が遅かったらやられていたかも。
レス「大丈夫でしたか?」
女冒険者「は、はい。大丈夫、ですけど…あなたは魔物なの?」
こうなることはわかっていた。
うーん、どういう言い訳なら…
いや、正直に話したほうがいいか。
レス「わからない。僕が人間か魔物かを決めるのは、人類の皆が決めることだと思うから。」
女冒険者「私は…人間だと思う。」
レス「ありがとう。」
女冒険者「…ねぇ。」
レス「ん、何?」
女冒険者「あなたのことを知りたいの。教えてくれない?」
レス「いいよ。」
何で知りたがるかはよくわからないけど、教えて欲しいというなら、教えるしかない。
レス「僕はレス。人間とメタルスライムの子供。魔物に幸せを奪われて、魔王討伐を誓った者。」
女冒険者「こ、子供!?」
レス「この際だから、全部教えるよ。」
それから僕は、今までのことを話した。
人間とメタルスライムの子供として産まれたこと。
皆で幸せに暮らしていたこと。
その幸せが、魔物に奪われたこと。
ニュースから真実を知り、魔王討伐を誓ったこと。
そして、勇者一行への接触作戦を考えていたこと。
女冒険者「…………………………」
レス「だ、大丈夫?」
女冒険者「うん。ちょっと衝撃がいくつも襲ってきて圧倒されただけ。それにしても…辛かったでしょ?」
レス「辛かった。誰にも話せない秘密って、とても辛かった。でも、それで挫けることはない。両親の…ミアとメタちゃんの為に。」
女冒険者「凄い…私だったら挫けそう。」
レス「そう言ってくれると助かる。それで、お願いがあるんだけど、もしよかったら…」
女冒険者「いいよ!私にできることなら任せて!」
レス「ありがとう!あ、そうだ。名前は?」
ニコ「私はニコ、宜しくね!」
レス「宜しく。」
ニコ「それで、これからどうするの?」
レス「仲間がいるなら話は別だ。質問だけど、勇者一行が次に何をする予定かわかる?」
ニコ「確か明日の12時ごろに出発して、この先にある魔物の砦を陥落させる予定だよ。あと、明確かつどうしてもな理由がない限り同行禁止だって。」
レス「なら僕も同じ時間に、魔物の砦を襲撃、壊滅させる。で、2回目以降の誘導に協力して欲しい。向こうが僕の存在に警戒するだろうから。」
ニコ「あとは作戦通り、だね。」
レス「うん。宜しく頼んだよ。」
ニコ「わかった。…あれ?レスが壊滅させに行くなら、私はどうすればいいの?」
レス「勇者一行に伝わるように、噂を流すんだ。『一瞬だけだったけど、メタルスライムのような色をした人が、シーア森に入っていった』って。」
ニコ「わかった。私に考えがあるの。今日の夜のラジオ番組にスペシャルゲストとして、勇者一行が出演するのがわかっているの。そのラジオのお便りコーナーに匿名で、さっきの内容を送るの。」
レス「いいね。それじゃ、僕は武器を買いに行くよ。」
ニコ「私は休憩しようかな?それじゃ、また後でね!」
レス「また後で…と言っても、城下町までは道同じだけど。」
ニコ「確かにね。」
その後シーア森付近で仕掛けをした後、城下町でニコと別れた僕は、鉄の剣を購入、宿屋で食事を摂りながら、ラジオが始まるのを待っていた。
確か、ラジオが始まるのは夜8時。
そろそろ始まると思うけど…
その時、ラジオから音楽が流れ始めた。
司会「どうもこんばんは、フィーゾラジオの時間がやってまいりました。今回のスペシャルゲストは…ななんと!勇者一行の4人です!宜しくお願いします!」
アルト「こんばんは、勇者アルトです。」
ソーマ「勇者ソーマです。」
ジャック「勇者ジャックです。」
ノーゼ「勇者ノーゼです。」
アルト「こちらこそ、宜しくお願いします。」
勇者一行については調べてある。
勇者アルトは勇者一行のリーダーポジション。
ジョブとしては戦士に分類される。
その華麗な剣捌きで相手の好きを伺い、奥義の『Maxスラッシュ』はありとあらゆる敵を切り裂く。
勇者ソーマは勇者一行の天然ポジション。
ジョブとしては僧侶に分類される。
圧倒的な回復力を持ち、防護魔法もお手のもの。
奥義の『フェニックス』は、全員の体力全回復+防御力2倍という圧倒的性能を誇る。
勇者ジャックは勇者一行の熱血ポジション。
ジョブとしては武闘家に分類される。
高速で繰り出される攻撃は1発1発が強力。
奥義の『リミットバースト』で全員の攻撃力と魔法攻撃力を2倍にするという、さながら魔法使いのような効果を持つ。
勇者ノーゼは勇者一行の冷静ポジション。
ジョブとしては魔法使いに分類される。
攻撃魔法よりも妨害魔法に長けており、
奥義の『紅蓮地獄の呪い』で敵全員の全ステータスを半減させるという恐ろしすぎる力を持つ。
総括すると、とんがっている3人をアルトがまとめ上げ、最強のパーティとして成り立っている。
特に奥義の力があまりにも強すぎる。
だから、味方という立場になっておきたい。
司会「さてそれでは、お便りコーナーの方に移らせていただきます。」
来た、質問コーナー。
司会「スペシャルゲストがバレていたようで、勇者一行宛のお便りが沢山届いてます。」
うっ…ちょっとまずいなー。
司会「まずは最初のお便り。ラジオネーム『バードウォッチング中』さんからのお便りです。
『私は今日、とても恐ろしいものを見てしまいました。それは今日の夕方ごろのこと。私が双眼鏡を使って、シーア森の近くでバードウォッチングをしていたところ、メタル系の色をした人間を見たんです。私は恐怖で目を逸らしました。もしかしたら幻覚かもしれない。そう思って改めて見てみたのですが、やっぱりいました。幻覚じゃないとわかった私は、慌てて写真を撮りました。後に写真を見て、記憶を辿って気づいたのですが、その人?は目や鼻を見られないようにしていました。写真を撮った後、また双眼鏡で見ると、こちらに向かって手招きした後、シーア森の奥に入っていったんです。私は怖くて、城下町へと逃げ戻りました。あの後魔物図鑑を見てみたのですが、写真としっかり見比べても、どの魔物ともあてはまりませんでした。もしかしたら、新種のメタルモンスターなのかもしれません。勇者さんたちはこの出来事をどう思いますか?もしこれが本当なら、気を付けてくださいね。』」
初手で来てくれた!
さてと…ここからどう反応するかなー?
司会「実はこちらに、その撮影した写真がございます。ラジオなので皆様にはお見せできないのが残念です。」
おお!
これなら信憑性も上がるはず!
司会「勇者一行の皆様はどう思いますか?」
アルト「自分は…いると思います。」
ソーマ「え、本当にいるの!?」
アルト「自分はそう思うけど…2人はどう?」
ジャック「うーん、俺もいると思うぜ。」
ノーゼ「私も同意見だ。」
ソーマ「皆がそういうなら、私も信じる!」
ジャック「新種のメタル系って、倒せれば美味いよな。見かけたら必ず倒そうぜ!」
アルト「そうだね。それじゃあ、次のお便りをお願い。」
司会「わかりました。それでは、次のお便りです………」
勇者一行に存在を認識された。
考えうる限り最高の状況。
これは失敗できないな。
プルルルル!
そんなことを考えていると、カバンに入れていた携帯電話が鳴り響く。
あ、いつでも連絡できるようにしてたんだった。
僕は電話に出た。
レス「ニコ、よくやった!」
ニコ「やったね、レス。」
レス「これで計画は万全。後はタイミングを合わせて、計画通りに進めるだけ!」
ニコ「うう…緊張するなぁ。」
レス「ニコが今これ以上緊張する必要はないよ。緊張してるのは僕の方だし。」
ニコ「そうね。それじゃあ、明日は頑張って。」
レス「わかった、おやすみ。」
ニコ「おやすみ。」
僕は電話を切って、ラジオの周波数を変える。
流れ出した波の音を聞きながら、僕は眠りにつく。
明日の作戦の成功を願いながら。
動き始めた子と勇者。
子は勇者と和解する目標を持つ。
勇者は子を討伐する目標を持つ。
相反する二つの目標の天秤は
果たしてどちらに傾くのだろうか。
均衡が崩れる時は、すぐそこに。
あとがき
1話目から展開が早いと思うかもしれませんが、
何とか調整しますので安心してください。
今思えば勇者一行の奥義が強すぎる気もしますが、
決めてしまったものは仕方ありません。
これがどう転ぶかはまだわかりませんから。
他にも質問のある方、感想を書いてくださる方は、
ぜひコメント欄にお書きください。
私が喜びながら返信します。
また、私『某勇者』をお気に入り登録しますと、
新作や近況ボードの更新が通知されます。
気に入ってくれた方は是非、登録してください。
それでは次回をお楽しみに!
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