13 / 18
その後編2
しおりを挟む
そして、家に戻ってきてから数日が経ちました。
ソレルはというと、相変わらず声をかけても揺さぶっても何も反応を示さず、日がな一日虚空を見つめて、ぼーっとし続けていましたが、返事がなく、基本的にじっとしているというだけで、立ち上がるように促せば立ち上がるし、トイレは場所を教えると行きたいときに勝手に行ってくれたし、ご飯も食べるようにスプーンを握らせれば、勝手に食べてはくれましたので、そこまでお世話をしなければならないわけではなく、二人きりなのに反応が返ってこないことは、少し寂しくもありましたが、あまり困りはしませんでした。
ですが、我が家の食料はもうほとんどありませんでした。
昔、暮らしていたときのように木の実や魚を獲りつつ、のんびり生活していたのですが、私一人ならともかく、ソレルの分も、となると、食料は意外と必要で、それにもう少しお腹が大きくなったら、湖の魚を釣ったり、小動物を狩ることは難しいため、私はどうにかして食べ物を調達する新たな方法を考えねばなりませんでした。
半日悩んだ結果、私は村へと行くことに決めました。
お腹が大きくなって、産まれるという時になれば、ソレルでは当てにならないし、村には医者はいないので、出産経験のある人や、産婆さんを頼る必要があります。
その時の人脈作りと食料確保のために、村で仕事を探そう、と。
村で仕事といってもおそらく、大きな街とは違い、ほとんど仕事はないと思いますが、探せば何かある可能性もあります。
無かった時は別の方法を考えねばなりませんが、とりあえず、私は行動してみることにしました。
村はこの家から徒歩で30分ほどかかる少し離れた場所にあります。
ソレルに村に行ってくるから、大人しくしているように伝え、家を出ました。
こんな風に村に行くのは、何年ぶりでしょうか。
祖母が生きていた頃は、村に遊びに行くことも多かったですが、一人暮らしをするようになってからは、必要なものを買いに行く時くらいしか、村に出かけることはありませんでした。
私はソレルについて行く際には、一応、村長にだけは、貴族に見初められたので、家を出ることを伝えて出て行きました。
私の話を聞いた村長は、そうか、おめでとう、とか無難な返事をしただけだったと思いますし、帰ってきた直後の家の荒れ放題の様をみるに、私のことは特に気にしてはいない様子です。
村に行っても私のことを覚えている人間はいるのでしょうか。
誰も私のことを覚えていなければ、職探しは難航するでしょう。
こんな小さな村では余所者は邪魔な存在でしかないのです。
私は不安でした。
ソレルはというと、相変わらず声をかけても揺さぶっても何も反応を示さず、日がな一日虚空を見つめて、ぼーっとし続けていましたが、返事がなく、基本的にじっとしているというだけで、立ち上がるように促せば立ち上がるし、トイレは場所を教えると行きたいときに勝手に行ってくれたし、ご飯も食べるようにスプーンを握らせれば、勝手に食べてはくれましたので、そこまでお世話をしなければならないわけではなく、二人きりなのに反応が返ってこないことは、少し寂しくもありましたが、あまり困りはしませんでした。
ですが、我が家の食料はもうほとんどありませんでした。
昔、暮らしていたときのように木の実や魚を獲りつつ、のんびり生活していたのですが、私一人ならともかく、ソレルの分も、となると、食料は意外と必要で、それにもう少しお腹が大きくなったら、湖の魚を釣ったり、小動物を狩ることは難しいため、私はどうにかして食べ物を調達する新たな方法を考えねばなりませんでした。
半日悩んだ結果、私は村へと行くことに決めました。
お腹が大きくなって、産まれるという時になれば、ソレルでは当てにならないし、村には医者はいないので、出産経験のある人や、産婆さんを頼る必要があります。
その時の人脈作りと食料確保のために、村で仕事を探そう、と。
村で仕事といってもおそらく、大きな街とは違い、ほとんど仕事はないと思いますが、探せば何かある可能性もあります。
無かった時は別の方法を考えねばなりませんが、とりあえず、私は行動してみることにしました。
村はこの家から徒歩で30分ほどかかる少し離れた場所にあります。
ソレルに村に行ってくるから、大人しくしているように伝え、家を出ました。
こんな風に村に行くのは、何年ぶりでしょうか。
祖母が生きていた頃は、村に遊びに行くことも多かったですが、一人暮らしをするようになってからは、必要なものを買いに行く時くらいしか、村に出かけることはありませんでした。
私はソレルについて行く際には、一応、村長にだけは、貴族に見初められたので、家を出ることを伝えて出て行きました。
私の話を聞いた村長は、そうか、おめでとう、とか無難な返事をしただけだったと思いますし、帰ってきた直後の家の荒れ放題の様をみるに、私のことは特に気にしてはいない様子です。
村に行っても私のことを覚えている人間はいるのでしょうか。
誰も私のことを覚えていなければ、職探しは難航するでしょう。
こんな小さな村では余所者は邪魔な存在でしかないのです。
私は不安でした。
0
お気に入りに追加
237
あなたにおすすめの小説
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
今夜で忘れる。
豆狸
恋愛
「……今夜で忘れます」
そう言って、私はジョアキン殿下を見つめました。
黄金の髪に緑色の瞳、鼻筋の通った端正な顔を持つ、我がソアレス王国の第二王子。大陸最大の図書館がそびえる学術都市として名高いソアレスの王都にある大学を卒業するまでは、侯爵令嬢の私の婚約者だった方です。
今はお互いに別の方と婚約しています。
「忘れると誓います。ですから、幼いころからの想いに決着をつけるため、どうか私にジョアキン殿下との一夜をくださいませ」
なろう様でも公開中です。
「地味でブサイクな女は嫌いだ」と婚約破棄されたので、地味になるためのメイクを取りたいと思います。
水垣するめ
恋愛
ナタリー・フェネルは伯爵家のノーラン・パーカーと婚約していた。
ナタリーは十歳のある頃、ノーランから「男の僕より目立つな」と地味メイクを強制される。
それからナタリーはずっと地味に生きてきた。
全てはノーランの為だった。
しかし、ある日それは突然裏切られた。
ノーランが急に子爵家のサンドラ・ワトソンと婚約すると言い始めた。
理由は、「君のような地味で無口な面白味のない女性は僕に相応しくない」からだ。
ノーランはナタリーのことを馬鹿にし、ナタリーはそれを黙って聞いている。
しかし、ナタリーは心の中では違うことを考えていた。
(婚約破棄ってことは、もう地味メイクはしなくていいってこと!?)
そして本来のポテンシャルが発揮できるようになったナタリーは、学園の人気者になっていく……。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる