攻略キャラは王子様の息子様

白雪狐 めい

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しかし、ついに王子のいないとても充実した毎日が終わりをつげた。
朝から周囲の人間にやたらと、よかったですね、と言われるのでなんでだろう、と思っていたら、朝の全校集会で留学から帰ってきたディルハムと新たにこちらに留学をすることになったディルハムの留学先の隣国の姫が全校生徒へ挨拶をした。
どうやら、ディルハムは完全に留学から帰ってきたらしい。
婚約者の帰還を彼の婚約者である私が後から聞かされるとは、どういうことなんだろう。とは思わなくもないが、まぁ、それはおいといて、とにかく、騒がしいあの日々が舞い戻ってくるのだ、なんとも嫌な予感がした。
だがしかし、予想に反して私の周りは思ったよりも静かだった。
その理由は、隣国のお姫様にあった。
こちらの国へ来て日が浅いからか、彼女はディルハムにべったりだった。いや、この場合はむしろディルハムのほうが姫様にべったり、なのだろうか。
とにかく、ふたりはこちらに帰ってからずっと一緒にいた。
まだこちらの社交界になれてないお姫様のために、あのたくさんあるパーティーやお茶会は彼女のパートナーとしてディルハムは出席していた。
そのとき、あの意地悪なディルハムが、彼女の前では、別人のように紳士的に優しく振る舞う。その姿はまるで、ゲームの中のディナール様のようだった。
そして、2年ぶりの再会だというのに、婚約者の私に対しては忙しいから、と挨拶を少し交わした程度の対応。
これは、もしかしてあれかな?親子2代揃っての婚約破棄イベントの危機ってやつかな?
別に私としては婚約破棄でもかまわない。楽しそうですね。勝手にやってろって感じだし、意地悪なあいつと結婚しなくてすんでせいせいする。だけど、だけど、なんだか悔しかった。親子二代で婚約破棄されるなんて恥ずかしいという気持ちもあるし、私にだって10年近くディルハムの婚約者をやってきたプライドもある。
婚約破棄をするにしても、姫と結婚したいから別れてくれ、なんて屈辱的なセリフは絶対にいわれたくない。
でも、こちらから王子を振るわけにはいかない。なぜなら、相手は王子様だ。伯爵家の人間である私のほうから婚約破棄なんて、失礼になることできるわけがない。母親同士が、仲が良いので、家ごと取り潰されたりはしないだろうけど、家名を汚すことになってしまう。
家名を汚せば両親の社交界での立場が悪くなる可能性もあるし、何より私の新しい結婚相手はまともな男の中からは見つからなくなってしまうだろう。
それならば、どうすればよいのか。考えてみるが、やっぱり簡単には方法が浮かばない。でも、とにかく何かをしなければいけない。だけど、なかなか良い解決策がどうしても浮かばなかった。そして、悩みに悩んだ私はもう本人になんとかしてもらうしかない、と考え、とりあえず、ディルハムに会って話してみることにした。
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