59 / 82
エリザベート嬢はあきらめない
始まりの瘴気の浄化を終えて
しおりを挟む
ドリミア王国に発生した瘴気の浄化を終えたロリエッタは、歓喜に酔いしれる人々に迎えられながら、お城にある聖女の部屋に戻ってきた。
浄化が終わった事を国王陛下に報告した後、自分の部屋で寛いでいた彼女の元へ、ドルマンがやって来た。
「お久しぶりね、ドルマン。魔法が使えなくなったそうね?」
「ああ、この城にいる人間で、魔法が使えるのはお嬢だけだ」
「知っているわ。瘴気の浄化に同行していた人達も、生活魔法すら使えていなかったもの。何もかも魔法騎士団の隊員にしてもらっていたわ」
「魔法騎士団の隊員は魔法が使えていたのか?」
「ええ、使えていたわ」
「まずいな。もしかしたら、国王の側にいる親衛副隊長のホワイル・ブラウンも、魔法が使えるのかも知れない」
「いえ、それはないわ。さっき国王陛下に瘴気の浄化が終わった報告に伺った時、彼は魔法を使っていなかったわ。ドアも手で開けていたし、その他の事も全て、魔法ではなく自分でやっていたもの」
「そうか、それを聞いて安心した。だが、本当に奴(やつ)が魔法を使えないのか、もう暫く様子を探っておこう」
「相変わらず用心深いわね」
「こちらが魔法を使えないのに、監視されている側の人間が、魔法を使えるのはやっかいだからな」
「確かにそうね・・ドルマン、私は疲れてるの。もう部屋から出て行って貰えないかしら?」
「そうだったな。お嬢、それでもお前の魔力が消えてなくて良かっ」
「ありがとう。あ、もう一つ気になっている事があるんだけど・・あの瘴気は貴方達が呼んでいるの?」
「いや、この国に発生した瘴気を呼んだのは俺たちではない。俺たちが呼んだのは、この国の外に発生した瘴気だけだ。
だから、この国に瘴気が発生した時は、さすがの俺も驚いた。お嬢が浄化してくれて助かったよ。さすが我らの聖女ロリエッタさまだ」
そう言ってドルマンはロリエッタの部屋から出て行った。
ゲームの中でも同じように瘴気は発生していた。その時も、国外の瘴気を呼んでいたのはフェナンシル伯爵領にいる闇魔法の使い手達だった。
その瘴気を浄化するのが聖女レティシアで、一緒にやってきた魔物を退治するのがアフレイド・ノイズが率いる魔法騎士団だった。
ゲームの中でも、このドリミア王国にも瘴気は発生していた。そして、それを浄化するのが、聖女ロリエッタだったのだ。
(ドリミア王国に発生する瘴気は、フェナンシル伯爵領の闇魔法の使い手が呼んだのではなかったのね。)
これから発生する全ての瘴気を浄化して、ウィリアム殿下と婚約する自分を思い浮かべながら、ロリエッタは眠りについたのだった。
浄化が終わった事を国王陛下に報告した後、自分の部屋で寛いでいた彼女の元へ、ドルマンがやって来た。
「お久しぶりね、ドルマン。魔法が使えなくなったそうね?」
「ああ、この城にいる人間で、魔法が使えるのはお嬢だけだ」
「知っているわ。瘴気の浄化に同行していた人達も、生活魔法すら使えていなかったもの。何もかも魔法騎士団の隊員にしてもらっていたわ」
「魔法騎士団の隊員は魔法が使えていたのか?」
「ええ、使えていたわ」
「まずいな。もしかしたら、国王の側にいる親衛副隊長のホワイル・ブラウンも、魔法が使えるのかも知れない」
「いえ、それはないわ。さっき国王陛下に瘴気の浄化が終わった報告に伺った時、彼は魔法を使っていなかったわ。ドアも手で開けていたし、その他の事も全て、魔法ではなく自分でやっていたもの」
「そうか、それを聞いて安心した。だが、本当に奴(やつ)が魔法を使えないのか、もう暫く様子を探っておこう」
「相変わらず用心深いわね」
「こちらが魔法を使えないのに、監視されている側の人間が、魔法を使えるのはやっかいだからな」
「確かにそうね・・ドルマン、私は疲れてるの。もう部屋から出て行って貰えないかしら?」
「そうだったな。お嬢、それでもお前の魔力が消えてなくて良かっ」
「ありがとう。あ、もう一つ気になっている事があるんだけど・・あの瘴気は貴方達が呼んでいるの?」
「いや、この国に発生した瘴気を呼んだのは俺たちではない。俺たちが呼んだのは、この国の外に発生した瘴気だけだ。
だから、この国に瘴気が発生した時は、さすがの俺も驚いた。お嬢が浄化してくれて助かったよ。さすが我らの聖女ロリエッタさまだ」
そう言ってドルマンはロリエッタの部屋から出て行った。
ゲームの中でも同じように瘴気は発生していた。その時も、国外の瘴気を呼んでいたのはフェナンシル伯爵領にいる闇魔法の使い手達だった。
その瘴気を浄化するのが聖女レティシアで、一緒にやってきた魔物を退治するのがアフレイド・ノイズが率いる魔法騎士団だった。
ゲームの中でも、このドリミア王国にも瘴気は発生していた。そして、それを浄化するのが、聖女ロリエッタだったのだ。
(ドリミア王国に発生する瘴気は、フェナンシル伯爵領の闇魔法の使い手が呼んだのではなかったのね。)
これから発生する全ての瘴気を浄化して、ウィリアム殿下と婚約する自分を思い浮かべながら、ロリエッタは眠りについたのだった。
8
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢には、まだ早い!!
皐月うしこ
ファンタジー
【完結】四人の攻略対象により、悲運な未来を辿る予定の悪役令嬢が生きる世界。乙女ゲーム『エリスクローズ』の世界に転生したのは、まさかのオタクなヤクザだった!?
「繁栄の血族」と称された由緒あるマトラコフ伯爵家。魔女エリスが魔法を授けてから1952年。魔法は「パク」と呼ばれる鉱石を介して生活に根付き、飛躍的に文化や文明を発展させてきた。これは、そんな異世界で、オタクなヤクザではなく、数奇な人生を送る羽目になるひとりの少女の物語である。
※小説家になろう様でも同時連載中
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
やり直し令嬢の備忘録
西藤島 みや
ファンタジー
レイノルズの悪魔、アイリス・マリアンナ・レイノルズは、皇太子クロードの婚約者レミを拐かし、暴漢に襲わせた罪で塔に幽閉され、呪詛を吐いて死んだ……しかし、その呪詛が余りに強かったのか、10年前へと再び蘇ってしまう。
これを好機に、今度こそレミを追い落とそうと誓うアイリスだが、前とはずいぶん違ってしまい……
王道悪役令嬢もの、どこかで見たようなテンプレ展開です。ちょこちょこ過去アイリスの残酷描写があります。
また、外伝は、ざまあされたレミ嬢視点となりますので、お好みにならないかたは、ご注意のほど、お願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
噂の醜女とは私の事です〜蔑まれた令嬢は、その身に秘められた規格外の魔力で呪われた運命を打ち砕く〜
秘密 (秘翠ミツキ)
ファンタジー
*『ねぇ、姉さん。姉さんの心臓を僕に頂戴』
◆◆◆
*『お姉様って、本当に醜いわ』
幼い頃、妹を庇い代わりに呪いを受けたフィオナだがその妹にすら蔑まれて……。
◆◆◆
侯爵令嬢であるフィオナは、幼い頃妹を庇い魔女の呪いなるものをその身に受けた。美しかった顔は、その半分以上を覆う程のアザが出来て醜い顔に変わった。家族や周囲から醜女と呼ばれ、庇った妹にすら「お姉様って、本当に醜いわね」と嘲笑われ、母からはみっともないからと仮面をつける様に言われる。
こんな顔じゃ結婚は望めないと、フィオナは一人で生きれる様にひたすらに勉学に励む。白塗りで赤く塗られた唇が一際目立つ仮面を被り、白い目を向けられながらも学院に通う日々。
そんな中、ある青年と知り合い恋に落ちて婚約まで結ぶが……フィオナの素顔を見た彼は「ごめん、やっぱり無理だ……」そう言って婚約破棄をし去って行った。
それから社交界ではフィオナの素顔で話題は持ちきりになり、仮面の下を見たいが為だけに次から次へと婚約を申し込む者達が後を経たない。そして仮面の下を見た男達は直ぐに婚約破棄をし去って行く。それが今社交界での流行りであり、暇な貴族達の遊びだった……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
叶えられた前世の願い
レクフル
ファンタジー
「私が貴女を愛することはない」初めて会った日にリュシアンにそう告げられたシオン。生まれる前からの婚約者であるリュシアンは、前世で支え合うようにして共に生きた人だった。しかしシオンは悪女と名高く、しかもリュシアンが憎む相手の娘として生まれ変わってしまったのだ。想う人を守る為に強くなったリュシアン。想う人を守る為に自らが代わりとなる事を望んだシオン。前世の願いは叶ったのに、思うようにいかない二人の想いはーーー
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる