21 / 82
エリザベート嬢はあきらめない
生徒会長からの注文
しおりを挟む
「エレナ、配達お願い」
「はーい」
「はい!これを生徒会長のアルベール様まで」
「あのクールで素敵な生徒会長のところに届けに行けるなんて。いいなあ」
「ほんと!あの神秘的な黒い瞳に1度でいいから、見つめられたいわ」
「歳下とは思えないくらい、素敵だよね」
食堂で働く同僚達は、アルベール・ロレーヌの名前を聞くだけで、会話が盛り上がる。
「私はあんまり興味がないわ。
けれど、ご指名だから仕方がないのよ。
生徒会室ってここから遠いし、
行きたい人に変わってあげたいくらいよ」
エレナは注文の定食が入った宅配袋を手に、生徒会室に向かう。
アルベール・ロレーヌ。
オーバンさんに言われて彼に近づいて、魅了した覚えがある。
あれは何時だったかしら?
魅了した後のことは覚えていない。
それもどうでもいいわ。彼は私のタイプじゃないもの。
私も以前は彼女達のように、彼に憧れていたけれど、なんだか興味がなくなってしまったわ。
考え事をしている間に目的の部屋に到着した。
トントントン
生徒会室のドアをノックする。
「はい」
ドアを開けてくれたのは、ブラウンベージュの髪の青年だ。
「食堂のスタッフのエレナです。注文の定食をお届けに来ました」
「ああ。ありがとう。そこに置いてくれる?」
私は彼が指定した場所に『今日のお勧め定食』を置いた。
「エレナ。元気にしていたかい?こちらにおいで。」
そう言われた途端に全てを思い出した。
「もっと近くにおいで。秘密の話を聞かせてよ」
ああ!そうだった。
ああ!アルベール。
私のアルベール。
こんなに愛おしい貴方の事を、どうして忘れていたのかしら?
その黒い瞳を覗き込みたい。
私は映っているかしら?
「僕の瞳に君は映っているかい?」
ええ、私が映っているわ。
嬉しい。
貴方が私を見てくれるだけで嬉しい。
もっともっと・・
「今日は楽しかったかい?」
そう、やっぱり貴方ね。
貴方になら何でも何でも話せるもの。
オーバンさんの秘密やセザールの秘密を
知り得る限り彼に話した。
彼に話をすると心が軽くなる。
「可愛いエレナ。僕の人形。
今から話す事を、よく聞いて、覚えておくんだよ」
そう、私は貴方のお人形。
貴方の人形だと言われる事が嬉しいわ。
こんなに幸せな気持ちになれるなんて。
「ああ、愛しいアルベール。貴方が私に話すことなら、どんな事でも忘れないわ」
「3日後のお昼にセザールに会ったら、君は彼を、もっと、もっと、独り占めしたくなるんだよ。
彼は君の恋人なんだろう?
食堂に誰がいても関係ないさ。彼と2人でいる時間を楽しむんだよ。
今日の夜から、セザールに話しておこうね。3日後のお昼は、学園の食堂のVIP室で一緒に食事をしたいって」
「3日後のお昼、学園のVIP室でセザールと食事をするのね。ああ、今から楽しみだわ。
彼が私に夢中だという事を、皆んなに見せつけてあげるわ。
彼は誰にも渡さない。彼は私だけのものなのだから。
今日の夜に話をするわ。3日後のお昼、食堂のVIP室で一緒に食事をしたいって」
「ねえ、エレナ。1つ教えて欲しい事が有るんだ」
「愛するアルベール、どうしたの?」
「ねえ、エレナ。君は僕には嘘はつけないんだよね。心の秘密も何でも話せるんだよね」
「ええ。愛するアルベール。私は貴方には嘘はつかないわ。何でも何でも話せるわ」
「エレナ、君は宰相セザールを愛しているの?愛人になって幸せなの?本当の気持ちを教えてよ」
「ああ、アルベール。アルベール。
私はセザールを愛してはいないわ。
彼には妻も娘もいるもの。
私は彼のお金と地位を愛しているだけ。彼はいい人よ。私は結婚をしたいとは思わないから、今の関係に満足しているわ。
いえ、違う、違うわ!
私はセザールを愛している。
そう、何時の間にか本当に。
私のアルベール。
どうしよう、どうしよう。
気がついてしまったわ」
「エレナ、大丈夫だよ。忘れておしまい。今は忘れておしまい。可愛いエレナ。
3日後のお昼。宰相セザールに君の本当の気持ちを伝えるといいよ。
食事が終わってVIP室から食堂に出て、2人で楽しく話をしている時に、君の本当の気持ちを思い出すんだよ」
その時セザールはどうするだろうね。
楽しみだね。
「さあ、もう職場に戻る時間だ。
僕のことは忘れるんだよ。
楽しい楽しい夢を見たんだよ。
君はアルベール・ロレーヌには興味がないんだ。
3日後のお昼。頑張ってね。可愛いエレナ。
僕は君を応援しているよ。
何があっても冷静に対応するんだよ。
4日後のお昼。またここにおいで可愛いエレナ。」
その時、全てを忘れさせてあげるよ。
そして僕からも解放してあげる。
その時、君が幸せならいいね。
もし泣いていたら
セザールのことも忘れさせてあげるよ。
だから、もうしばらくは、
僕の人形でいてね。
可愛いエレナ。
食堂の女性スタッフのエレナは、
急いで職場に戻ってきた。
疲れているのね。
配達が終わってすぐに、眠ってしまうなんて。
まあいいわ。
とてもいい夢をみたから。
内容は忘れてしまったけれど。
とっても幸せな夢だったような気がするもの。
エレナは軽い足取りで、職場に戻って行ったのだった。
「はーい」
「はい!これを生徒会長のアルベール様まで」
「あのクールで素敵な生徒会長のところに届けに行けるなんて。いいなあ」
「ほんと!あの神秘的な黒い瞳に1度でいいから、見つめられたいわ」
「歳下とは思えないくらい、素敵だよね」
食堂で働く同僚達は、アルベール・ロレーヌの名前を聞くだけで、会話が盛り上がる。
「私はあんまり興味がないわ。
けれど、ご指名だから仕方がないのよ。
生徒会室ってここから遠いし、
行きたい人に変わってあげたいくらいよ」
エレナは注文の定食が入った宅配袋を手に、生徒会室に向かう。
アルベール・ロレーヌ。
オーバンさんに言われて彼に近づいて、魅了した覚えがある。
あれは何時だったかしら?
魅了した後のことは覚えていない。
それもどうでもいいわ。彼は私のタイプじゃないもの。
私も以前は彼女達のように、彼に憧れていたけれど、なんだか興味がなくなってしまったわ。
考え事をしている間に目的の部屋に到着した。
トントントン
生徒会室のドアをノックする。
「はい」
ドアを開けてくれたのは、ブラウンベージュの髪の青年だ。
「食堂のスタッフのエレナです。注文の定食をお届けに来ました」
「ああ。ありがとう。そこに置いてくれる?」
私は彼が指定した場所に『今日のお勧め定食』を置いた。
「エレナ。元気にしていたかい?こちらにおいで。」
そう言われた途端に全てを思い出した。
「もっと近くにおいで。秘密の話を聞かせてよ」
ああ!そうだった。
ああ!アルベール。
私のアルベール。
こんなに愛おしい貴方の事を、どうして忘れていたのかしら?
その黒い瞳を覗き込みたい。
私は映っているかしら?
「僕の瞳に君は映っているかい?」
ええ、私が映っているわ。
嬉しい。
貴方が私を見てくれるだけで嬉しい。
もっともっと・・
「今日は楽しかったかい?」
そう、やっぱり貴方ね。
貴方になら何でも何でも話せるもの。
オーバンさんの秘密やセザールの秘密を
知り得る限り彼に話した。
彼に話をすると心が軽くなる。
「可愛いエレナ。僕の人形。
今から話す事を、よく聞いて、覚えておくんだよ」
そう、私は貴方のお人形。
貴方の人形だと言われる事が嬉しいわ。
こんなに幸せな気持ちになれるなんて。
「ああ、愛しいアルベール。貴方が私に話すことなら、どんな事でも忘れないわ」
「3日後のお昼にセザールに会ったら、君は彼を、もっと、もっと、独り占めしたくなるんだよ。
彼は君の恋人なんだろう?
食堂に誰がいても関係ないさ。彼と2人でいる時間を楽しむんだよ。
今日の夜から、セザールに話しておこうね。3日後のお昼は、学園の食堂のVIP室で一緒に食事をしたいって」
「3日後のお昼、学園のVIP室でセザールと食事をするのね。ああ、今から楽しみだわ。
彼が私に夢中だという事を、皆んなに見せつけてあげるわ。
彼は誰にも渡さない。彼は私だけのものなのだから。
今日の夜に話をするわ。3日後のお昼、食堂のVIP室で一緒に食事をしたいって」
「ねえ、エレナ。1つ教えて欲しい事が有るんだ」
「愛するアルベール、どうしたの?」
「ねえ、エレナ。君は僕には嘘はつけないんだよね。心の秘密も何でも話せるんだよね」
「ええ。愛するアルベール。私は貴方には嘘はつかないわ。何でも何でも話せるわ」
「エレナ、君は宰相セザールを愛しているの?愛人になって幸せなの?本当の気持ちを教えてよ」
「ああ、アルベール。アルベール。
私はセザールを愛してはいないわ。
彼には妻も娘もいるもの。
私は彼のお金と地位を愛しているだけ。彼はいい人よ。私は結婚をしたいとは思わないから、今の関係に満足しているわ。
いえ、違う、違うわ!
私はセザールを愛している。
そう、何時の間にか本当に。
私のアルベール。
どうしよう、どうしよう。
気がついてしまったわ」
「エレナ、大丈夫だよ。忘れておしまい。今は忘れておしまい。可愛いエレナ。
3日後のお昼。宰相セザールに君の本当の気持ちを伝えるといいよ。
食事が終わってVIP室から食堂に出て、2人で楽しく話をしている時に、君の本当の気持ちを思い出すんだよ」
その時セザールはどうするだろうね。
楽しみだね。
「さあ、もう職場に戻る時間だ。
僕のことは忘れるんだよ。
楽しい楽しい夢を見たんだよ。
君はアルベール・ロレーヌには興味がないんだ。
3日後のお昼。頑張ってね。可愛いエレナ。
僕は君を応援しているよ。
何があっても冷静に対応するんだよ。
4日後のお昼。またここにおいで可愛いエレナ。」
その時、全てを忘れさせてあげるよ。
そして僕からも解放してあげる。
その時、君が幸せならいいね。
もし泣いていたら
セザールのことも忘れさせてあげるよ。
だから、もうしばらくは、
僕の人形でいてね。
可愛いエレナ。
食堂の女性スタッフのエレナは、
急いで職場に戻ってきた。
疲れているのね。
配達が終わってすぐに、眠ってしまうなんて。
まあいいわ。
とてもいい夢をみたから。
内容は忘れてしまったけれど。
とっても幸せな夢だったような気がするもの。
エレナは軽い足取りで、職場に戻って行ったのだった。
11
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢には、まだ早い!!
皐月うしこ
ファンタジー
【完結】四人の攻略対象により、悲運な未来を辿る予定の悪役令嬢が生きる世界。乙女ゲーム『エリスクローズ』の世界に転生したのは、まさかのオタクなヤクザだった!?
「繁栄の血族」と称された由緒あるマトラコフ伯爵家。魔女エリスが魔法を授けてから1952年。魔法は「パク」と呼ばれる鉱石を介して生活に根付き、飛躍的に文化や文明を発展させてきた。これは、そんな異世界で、オタクなヤクザではなく、数奇な人生を送る羽目になるひとりの少女の物語である。
※小説家になろう様でも同時連載中
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
やり直し令嬢の備忘録
西藤島 みや
ファンタジー
レイノルズの悪魔、アイリス・マリアンナ・レイノルズは、皇太子クロードの婚約者レミを拐かし、暴漢に襲わせた罪で塔に幽閉され、呪詛を吐いて死んだ……しかし、その呪詛が余りに強かったのか、10年前へと再び蘇ってしまう。
これを好機に、今度こそレミを追い落とそうと誓うアイリスだが、前とはずいぶん違ってしまい……
王道悪役令嬢もの、どこかで見たようなテンプレ展開です。ちょこちょこ過去アイリスの残酷描写があります。
また、外伝は、ざまあされたレミ嬢視点となりますので、お好みにならないかたは、ご注意のほど、お願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
噂の醜女とは私の事です〜蔑まれた令嬢は、その身に秘められた規格外の魔力で呪われた運命を打ち砕く〜
秘密 (秘翠ミツキ)
ファンタジー
*『ねぇ、姉さん。姉さんの心臓を僕に頂戴』
◆◆◆
*『お姉様って、本当に醜いわ』
幼い頃、妹を庇い代わりに呪いを受けたフィオナだがその妹にすら蔑まれて……。
◆◆◆
侯爵令嬢であるフィオナは、幼い頃妹を庇い魔女の呪いなるものをその身に受けた。美しかった顔は、その半分以上を覆う程のアザが出来て醜い顔に変わった。家族や周囲から醜女と呼ばれ、庇った妹にすら「お姉様って、本当に醜いわね」と嘲笑われ、母からはみっともないからと仮面をつける様に言われる。
こんな顔じゃ結婚は望めないと、フィオナは一人で生きれる様にひたすらに勉学に励む。白塗りで赤く塗られた唇が一際目立つ仮面を被り、白い目を向けられながらも学院に通う日々。
そんな中、ある青年と知り合い恋に落ちて婚約まで結ぶが……フィオナの素顔を見た彼は「ごめん、やっぱり無理だ……」そう言って婚約破棄をし去って行った。
それから社交界ではフィオナの素顔で話題は持ちきりになり、仮面の下を見たいが為だけに次から次へと婚約を申し込む者達が後を経たない。そして仮面の下を見た男達は直ぐに婚約破棄をし去って行く。それが今社交界での流行りであり、暇な貴族達の遊びだった……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
叶えられた前世の願い
レクフル
ファンタジー
「私が貴女を愛することはない」初めて会った日にリュシアンにそう告げられたシオン。生まれる前からの婚約者であるリュシアンは、前世で支え合うようにして共に生きた人だった。しかしシオンは悪女と名高く、しかもリュシアンが憎む相手の娘として生まれ変わってしまったのだ。想う人を守る為に強くなったリュシアン。想う人を守る為に自らが代わりとなる事を望んだシオン。前世の願いは叶ったのに、思うようにいかない二人の想いはーーー
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する
影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。
※残酷な描写は予告なく出てきます。
※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。
※106話完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる