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第二章
※偽りの彼:前編
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夜会がお開きとなり、部屋へ戻ると、私は言われた通りにセーフィロへ黒蝶を飛ばした。
窓から出て行く黒蝶を眺める中、先ほどまで夜空に浮かんでいた月は雲に隠れている。
彼はタクミの親友……でも念の為に……防御魔法を纏っておいたほうがいいわよね……。
私は魔力で体を包み込んでいると、部屋にノックの音が響く。
すぐに外を確認し、静かに扉を開けた先には……セーフィロがニッコリと笑みを浮かべながら佇んでいた。
何を考えているのか……企むような笑みを浮かべる彼を部屋の中へ招き入れると、椅子へと腰かけさせた。
「異世界のお姫様、呼んで頂けて嬉しいよ」
「……あなたが呼べって言ったんでしょ」
そう冷たく言い返してみると、彼は肩を震わせ笑い始める。
「ははっ、そうだったね。僕の元へ君の蝶が飛んできて、アーサーがとても驚いていたよ」
何がおかしいのか……笑い続ける彼を訝し気に眺めていると、ふと視線が絡んだ。
すると彼は静かに口を閉じ……また最初の時の様な、仮面の笑顔を張り付ける。
「それで僕に聞きたい事って何かな?」
私は見据えるように彼へ視線を向けると、自分自身を落ち着かせるように、深く息を吸い込んだ。
「もう一度問うわ。あなたタクミいえ……ターキィーミを知っているのでしょう?」
「知っているか否かなら、知っているさ。彼はこの国でとても優秀な魔導士だったからね~。っとその前に、君の事を少し調べさせてもらった。君は一人で魔法を使えるようになってどうするつもりなんだい?君は攻撃魔法や防御魔法、それに……自分自身で魔力を得る事を考えてただろう?それは即ち……この城を出ようとしていると、予測しているのだけれど正解かな?」
確信をつく言葉に思わず視線を反らせると、彼は私の元へゆっくりと近づいてくる。
「その反応はあたっているようだねぇ~」
「……えぇ、そうよ。私は……近々この城を出て行こうと思っているわ」
そう言葉をこぼすと、彼の冷たい指先が私の頬へ触れた。
そっと顔を上げると、優しそうに見える表情の中に、アメジストの瞳が静かに揺れている。
「一人で生きていく……そう言っているのかな?」
私は静かに頷くと、彼の瞳がスッと細められる。
その冷たく氷のような眼差しに小さく肩が跳ねる中、彼は私の体を強く突き飛ばした。
突然の事にバランスを崩し、私の体は後ろへ倒れ込むんでいくと、ベッドの上に沈んでいく。
彼はそんな私を捕えるように上に跨ると、強くベッドへと縫い付けていった。
「ねぇ……君は一人で生活することになって……もしこうやって知らない男に組み敷かれでもしたら、どうするつもりなんだい?」
試す様に見下ろす彼の姿に、私は慎重に体の魔力を集めていく。
試しているのかしら……なら捕縛魔法で捕えてやるわ。
私はセーフィロを睨みつけながら、手に集めた魔力を解き放とうとした瞬間……彼の指先が私の唇へ触れると、なぜか魔法が発動しない。
驚き目を丸くする中、彼はニヤリと口角を上げると、私をそっと覗き込んだ。
「ははっ、こうやって魔力を封じ込める魔法もある。こうなってしまえば君は……か弱い只の女だ」
セーフィロは私の手首を軽々と頭の上で一つにまとめると、ドレスに手を伸ばしていく。
布がこすれる音に、必死に抵抗して見せるも……彼の腕の力は弱まる気配がない。
身動きがとれないまま背にあるドレスの紐が彼によって解かれていくと、熱い吐息が肌に触れた。
っっ、どうして……?
防御魔法は解いていないわ。
なのにどうして彼の魔法が効くのよ!
狼狽する中、彼は肌へ舌をそわせると、私の体は自然と大きく跳ねる。
湿った彼の柔らかい舌の感触に、ゾワゾワとした刺激が何度も背筋へ走っていった。
襲われる恐怖に、必死で彼の腕から逃れようと身をよじらせてみるが……男の力に敵うはずがない。
私はもう一度魔法を試みてみるが……、やはり発動しなかった。
「んんっ……ぃやぁっ……っっ」
「こんな状態で、どうやって一人生きていくの?君は彼に命を救われた身だろう……命を粗末にするな」
突然の低くドスの聞いた声に、思わず目を見張ると、彼の腕に力が入る。
「この世界で女が一人で生きていくなんてありえない。あんたはさっさと誰かを選べいいんだ。それでこの城で暮らせ。あいつの為にも……」
豹変した彼の様子にゴクリと唾を飲み込むと、彼から目を反らせる事が出来ない。
底冷えにするような彼のアメジストの眼差しに、次第に恐怖で体が震えていく。
ここで弱い所を見せてはダメよ……。
私は震える体に力を入れると、大きく息を吸い込んだ。
「嫌よ……このままいけばこの国は亡びるわ……私はそれを何とかしたい。彼に守られた命、彼の愛したこの国の為に使いたいの!!」
そう強く言い放つと、彼は表情を消した。
薄暗い部屋の中、ベッド傍にある窓から月明かりが差し込むと、アメジストの瞳には深い怒りが浮かび上がっていた。
窓から出て行く黒蝶を眺める中、先ほどまで夜空に浮かんでいた月は雲に隠れている。
彼はタクミの親友……でも念の為に……防御魔法を纏っておいたほうがいいわよね……。
私は魔力で体を包み込んでいると、部屋にノックの音が響く。
すぐに外を確認し、静かに扉を開けた先には……セーフィロがニッコリと笑みを浮かべながら佇んでいた。
何を考えているのか……企むような笑みを浮かべる彼を部屋の中へ招き入れると、椅子へと腰かけさせた。
「異世界のお姫様、呼んで頂けて嬉しいよ」
「……あなたが呼べって言ったんでしょ」
そう冷たく言い返してみると、彼は肩を震わせ笑い始める。
「ははっ、そうだったね。僕の元へ君の蝶が飛んできて、アーサーがとても驚いていたよ」
何がおかしいのか……笑い続ける彼を訝し気に眺めていると、ふと視線が絡んだ。
すると彼は静かに口を閉じ……また最初の時の様な、仮面の笑顔を張り付ける。
「それで僕に聞きたい事って何かな?」
私は見据えるように彼へ視線を向けると、自分自身を落ち着かせるように、深く息を吸い込んだ。
「もう一度問うわ。あなたタクミいえ……ターキィーミを知っているのでしょう?」
「知っているか否かなら、知っているさ。彼はこの国でとても優秀な魔導士だったからね~。っとその前に、君の事を少し調べさせてもらった。君は一人で魔法を使えるようになってどうするつもりなんだい?君は攻撃魔法や防御魔法、それに……自分自身で魔力を得る事を考えてただろう?それは即ち……この城を出ようとしていると、予測しているのだけれど正解かな?」
確信をつく言葉に思わず視線を反らせると、彼は私の元へゆっくりと近づいてくる。
「その反応はあたっているようだねぇ~」
「……えぇ、そうよ。私は……近々この城を出て行こうと思っているわ」
そう言葉をこぼすと、彼の冷たい指先が私の頬へ触れた。
そっと顔を上げると、優しそうに見える表情の中に、アメジストの瞳が静かに揺れている。
「一人で生きていく……そう言っているのかな?」
私は静かに頷くと、彼の瞳がスッと細められる。
その冷たく氷のような眼差しに小さく肩が跳ねる中、彼は私の体を強く突き飛ばした。
突然の事にバランスを崩し、私の体は後ろへ倒れ込むんでいくと、ベッドの上に沈んでいく。
彼はそんな私を捕えるように上に跨ると、強くベッドへと縫い付けていった。
「ねぇ……君は一人で生活することになって……もしこうやって知らない男に組み敷かれでもしたら、どうするつもりなんだい?」
試す様に見下ろす彼の姿に、私は慎重に体の魔力を集めていく。
試しているのかしら……なら捕縛魔法で捕えてやるわ。
私はセーフィロを睨みつけながら、手に集めた魔力を解き放とうとした瞬間……彼の指先が私の唇へ触れると、なぜか魔法が発動しない。
驚き目を丸くする中、彼はニヤリと口角を上げると、私をそっと覗き込んだ。
「ははっ、こうやって魔力を封じ込める魔法もある。こうなってしまえば君は……か弱い只の女だ」
セーフィロは私の手首を軽々と頭の上で一つにまとめると、ドレスに手を伸ばしていく。
布がこすれる音に、必死に抵抗して見せるも……彼の腕の力は弱まる気配がない。
身動きがとれないまま背にあるドレスの紐が彼によって解かれていくと、熱い吐息が肌に触れた。
っっ、どうして……?
防御魔法は解いていないわ。
なのにどうして彼の魔法が効くのよ!
狼狽する中、彼は肌へ舌をそわせると、私の体は自然と大きく跳ねる。
湿った彼の柔らかい舌の感触に、ゾワゾワとした刺激が何度も背筋へ走っていった。
襲われる恐怖に、必死で彼の腕から逃れようと身をよじらせてみるが……男の力に敵うはずがない。
私はもう一度魔法を試みてみるが……、やはり発動しなかった。
「んんっ……ぃやぁっ……っっ」
「こんな状態で、どうやって一人生きていくの?君は彼に命を救われた身だろう……命を粗末にするな」
突然の低くドスの聞いた声に、思わず目を見張ると、彼の腕に力が入る。
「この世界で女が一人で生きていくなんてありえない。あんたはさっさと誰かを選べいいんだ。それでこの城で暮らせ。あいつの為にも……」
豹変した彼の様子にゴクリと唾を飲み込むと、彼から目を反らせる事が出来ない。
底冷えにするような彼のアメジストの眼差しに、次第に恐怖で体が震えていく。
ここで弱い所を見せてはダメよ……。
私は震える体に力を入れると、大きく息を吸い込んだ。
「嫌よ……このままいけばこの国は亡びるわ……私はそれを何とかしたい。彼に守られた命、彼の愛したこの国の為に使いたいの!!」
そう強く言い放つと、彼は表情を消した。
薄暗い部屋の中、ベッド傍にある窓から月明かりが差し込むと、アメジストの瞳には深い怒りが浮かび上がっていた。
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