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第二章
俺様王子再び:中編2
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彼の腕の中に閉じ込められ、身動きが取れない。
苦しいほどの強い力に戸惑う中、私はどうするべきか戸惑っていた。
ふと彼の肩越しにエヴァンの冷めた瞳が映り、私は慌てて彼の体から逃げようともがくと、抱きしめる腕が更に強くなっていく。
強く胸を圧迫され、息ができなくなるほどに強く強く私を抱きしめる。
苦しさに視線を落とすと、先ほど床へ落ちたネックレスは、窓から差し込む夕日の光が反射し、キラキラと輝いていた。
息苦しさに体の力が抜けていく中、私はグッタリと彼に体を預けていると、ようやくアーサーの腕の力が緩む。
私は慌てて彼を押しのけ、大きく息を吸い込むでいると、アーサーは私の左手を素早く捕え、薬指からシルバーのリングを外した。
「ちょっと、返して!」
慌てて取り返そうと必死にアーサーへ手を伸ばすも、彼は私を強く突き飛ばすと、私の体はリングに触れることなく、後ろへ倒れていく。
そのまま床へ尻餅をつき、痛みに顔を歪める中、アーサーはそんな私を琥珀色の瞳で一瞥すると、スタスタと窓際へと向かっていく。
すると彼はシルバーのリングを握りしめたまま、部屋の窓を大きく開け放った。
温かい風が部屋に吹き抜ける中、彼は腕を大きく振りかぶる。
「やめて!!!!!!!」
彼の姿に私は慌てて立ち上がり、必死に彼の背へそう叫ぶも、彼は止まることなく思いっ切り腕を振りぬいた。
予想だにしていなかった彼の行動に、私はアーサーを押しのけ窓の外へ体を出すが……リングはどこにも見当たらない。
怒りにわなわなと体が震え、瞳には涙が浮かんでくる。
私は震える拳を握りしめると、強く彼を睨みつけた。
「どうして……こんな事するのよ……!!!」
「お前が素直に、俺のネックレスを受け取らないからだ。あのリングはタクミって男から貰った物なのだろう。もうその男はここには居ない。さっさと忘れて俺の物になれ」
アーサーは全く悪びれる様子なくそう言い切ると、勝ち誇ったような表情で私を見下ろした。
私は必死に涙を耐えると、アーサーを押しのけ、わき目もふらずに、部屋を飛び出した。
後ろからエヴァンの声が聞こえたが、私は振り返ることなく廊下を駆け抜けていった。
リング……、リングを探さなきゃ……。
あのリングは、タクミと私の大事な思いで……。
彼がくれた最後の贈り物……。
私は長く続く廊下を必死に走っていくと、王宮のエントランスを抜ける。
そのまま外へ飛び出すと、目の前に広がる広大な庭園の前で立ち止まった。
私は見上げるように真っ白な城へ目を向けると、真上に彼の部屋が見える。
あそこから投げられたってことは……この辺り。
今日は風もそんに強くないし、遠くに飛んでいってはいないと思うけれど……。
私は落ちたであろう場所へしゃがみ込むと、手入れされた芝生を掻き分けていく。
この辺りには見当たらない……ならあの花のあたり……。
見た事もない美しい花が咲き乱れる庭の中へ入って行くと、チクチクと体に痛みが走る。
どうやらこの花は、薔薇の様に棘があるようだ。
痛いっ……でも絶対に、あのリングを見つけ出すわ。
私は傷だらけになりながらも、地面を這いずってみるが……一向にリングらしきものは見当たらない。
時間がたてばたつほど、見つかりにくくなってしまうだろうと思うと、次第に気持ちが焦っていく。
どれだけ探していただろうか……ふと顔を上げると、オレンジ色の夕日が沈みかけ、空が赤紫色に染まっていく。
次第に辺りが暗くなる中、私は躊躇することなく(オール)と魔法を唱えると、地面を明るく照らした。
どうして、こんなに探しているのに……見つからないの……。
あの距離からなら投げても、この周辺で間違いないはずなのに……。
向こうに見える、高い塀は超えないはず。
絶対にこの庭園にあるはずなんだから!!
土で服は汚れ、先ほど出来た擦り傷はすでに瘡蓋になっていた。
どれだけ探しても見つからない現状に涙が溢れそうになる中、必死に涙を堪える。
薄暗く、静かな広い庭園の中、私は手を止める事無く、がむしゃらに土の上を探していた。
そんな中、夕日が地平線へ沈んでいくと、辺りは真っ暗な闇に包まれた。
庭園に立っていた電灯のような柱から、魔法の光がポツポツと点灯する中、私はその場で座り込んでいた。
ダメ……こんなに暗くなってしまっては探すのは難しいわ……。
あぁ、そうだわ!魔法……。
私は咄嗟に顔を上げると、自分自身の魔力の流れを感じる。
集中するように瞳を閉じると、頭の中にシルバーのリングを鮮明にイメージしていく。
エヴァンが以前見せてくれたようにリングを引き寄せたいところだが……どこにあるかわからない物を引き寄せる事は出来ない。
ならどこにあるのか……周りの風景を写真の様に頭に映し出す……。
「シルバーのリングはどこにあるの?」
ボソボソとそう呟くと、脳裏にはシルバーのリングがはっきりと浮かび上がるが……魔力の力で浮かび上がったシルバーのリングは、暗闇の中にポツンと存在ししているだけだった。
「どこにあるのよ!!!教えて!!!」
私は放出する魔力を強めてみるが……シルバーリングの周りは暗闇だけ……どこにあるかは、全くわからない。
魔力を流しすぎた為か……次第に体にだるさを感じると、私は慌てて魔力を遮断した。
暗闇の中にあるのなら……光の当たらない場所を、手あたり次第探してみよう……。
私は注意深く辺りを見渡し、月の光や明かりがない場所を探す。
庭園内をあちらこちらへと移動する中、地面を這いずりまわってみるが……シルバーのリングはどこにも見当たらない。
次第に夜も深まり、肌寒さを感じる中、それでも私は一人庭園の中を探し続けていた。
苦しいほどの強い力に戸惑う中、私はどうするべきか戸惑っていた。
ふと彼の肩越しにエヴァンの冷めた瞳が映り、私は慌てて彼の体から逃げようともがくと、抱きしめる腕が更に強くなっていく。
強く胸を圧迫され、息ができなくなるほどに強く強く私を抱きしめる。
苦しさに視線を落とすと、先ほど床へ落ちたネックレスは、窓から差し込む夕日の光が反射し、キラキラと輝いていた。
息苦しさに体の力が抜けていく中、私はグッタリと彼に体を預けていると、ようやくアーサーの腕の力が緩む。
私は慌てて彼を押しのけ、大きく息を吸い込むでいると、アーサーは私の左手を素早く捕え、薬指からシルバーのリングを外した。
「ちょっと、返して!」
慌てて取り返そうと必死にアーサーへ手を伸ばすも、彼は私を強く突き飛ばすと、私の体はリングに触れることなく、後ろへ倒れていく。
そのまま床へ尻餅をつき、痛みに顔を歪める中、アーサーはそんな私を琥珀色の瞳で一瞥すると、スタスタと窓際へと向かっていく。
すると彼はシルバーのリングを握りしめたまま、部屋の窓を大きく開け放った。
温かい風が部屋に吹き抜ける中、彼は腕を大きく振りかぶる。
「やめて!!!!!!!」
彼の姿に私は慌てて立ち上がり、必死に彼の背へそう叫ぶも、彼は止まることなく思いっ切り腕を振りぬいた。
予想だにしていなかった彼の行動に、私はアーサーを押しのけ窓の外へ体を出すが……リングはどこにも見当たらない。
怒りにわなわなと体が震え、瞳には涙が浮かんでくる。
私は震える拳を握りしめると、強く彼を睨みつけた。
「どうして……こんな事するのよ……!!!」
「お前が素直に、俺のネックレスを受け取らないからだ。あのリングはタクミって男から貰った物なのだろう。もうその男はここには居ない。さっさと忘れて俺の物になれ」
アーサーは全く悪びれる様子なくそう言い切ると、勝ち誇ったような表情で私を見下ろした。
私は必死に涙を耐えると、アーサーを押しのけ、わき目もふらずに、部屋を飛び出した。
後ろからエヴァンの声が聞こえたが、私は振り返ることなく廊下を駆け抜けていった。
リング……、リングを探さなきゃ……。
あのリングは、タクミと私の大事な思いで……。
彼がくれた最後の贈り物……。
私は長く続く廊下を必死に走っていくと、王宮のエントランスを抜ける。
そのまま外へ飛び出すと、目の前に広がる広大な庭園の前で立ち止まった。
私は見上げるように真っ白な城へ目を向けると、真上に彼の部屋が見える。
あそこから投げられたってことは……この辺り。
今日は風もそんに強くないし、遠くに飛んでいってはいないと思うけれど……。
私は落ちたであろう場所へしゃがみ込むと、手入れされた芝生を掻き分けていく。
この辺りには見当たらない……ならあの花のあたり……。
見た事もない美しい花が咲き乱れる庭の中へ入って行くと、チクチクと体に痛みが走る。
どうやらこの花は、薔薇の様に棘があるようだ。
痛いっ……でも絶対に、あのリングを見つけ出すわ。
私は傷だらけになりながらも、地面を這いずってみるが……一向にリングらしきものは見当たらない。
時間がたてばたつほど、見つかりにくくなってしまうだろうと思うと、次第に気持ちが焦っていく。
どれだけ探していただろうか……ふと顔を上げると、オレンジ色の夕日が沈みかけ、空が赤紫色に染まっていく。
次第に辺りが暗くなる中、私は躊躇することなく(オール)と魔法を唱えると、地面を明るく照らした。
どうして、こんなに探しているのに……見つからないの……。
あの距離からなら投げても、この周辺で間違いないはずなのに……。
向こうに見える、高い塀は超えないはず。
絶対にこの庭園にあるはずなんだから!!
土で服は汚れ、先ほど出来た擦り傷はすでに瘡蓋になっていた。
どれだけ探しても見つからない現状に涙が溢れそうになる中、必死に涙を堪える。
薄暗く、静かな広い庭園の中、私は手を止める事無く、がむしゃらに土の上を探していた。
そんな中、夕日が地平線へ沈んでいくと、辺りは真っ暗な闇に包まれた。
庭園に立っていた電灯のような柱から、魔法の光がポツポツと点灯する中、私はその場で座り込んでいた。
ダメ……こんなに暗くなってしまっては探すのは難しいわ……。
あぁ、そうだわ!魔法……。
私は咄嗟に顔を上げると、自分自身の魔力の流れを感じる。
集中するように瞳を閉じると、頭の中にシルバーのリングを鮮明にイメージしていく。
エヴァンが以前見せてくれたようにリングを引き寄せたいところだが……どこにあるかわからない物を引き寄せる事は出来ない。
ならどこにあるのか……周りの風景を写真の様に頭に映し出す……。
「シルバーのリングはどこにあるの?」
ボソボソとそう呟くと、脳裏にはシルバーのリングがはっきりと浮かび上がるが……魔力の力で浮かび上がったシルバーのリングは、暗闇の中にポツンと存在ししているだけだった。
「どこにあるのよ!!!教えて!!!」
私は放出する魔力を強めてみるが……シルバーリングの周りは暗闇だけ……どこにあるかは、全くわからない。
魔力を流しすぎた為か……次第に体にだるさを感じると、私は慌てて魔力を遮断した。
暗闇の中にあるのなら……光の当たらない場所を、手あたり次第探してみよう……。
私は注意深く辺りを見渡し、月の光や明かりがない場所を探す。
庭園内をあちらこちらへと移動する中、地面を這いずりまわってみるが……シルバーのリングはどこにも見当たらない。
次第に夜も深まり、肌寒さを感じる中、それでも私は一人庭園の中を探し続けていた。
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