[R18] 異世界は突然に……

あみにあ

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第二章

迷宮の屋敷:前編1

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妖魔との一件後、私はレックスの治療を受ける事になると、一週間ほど寝たきり状態で部屋にこもることになってしまった。
そうしてあっという間に一週間すぎ、体も動くようになり、体調は普段通りに戻ったが……レックスが部屋へ戻ることを許可してくれない為戻ることが出来なかった。
私は彼が部屋に治療に来るたび、何度も……もう大丈夫だと、元気に体を動かして見せてみるも……レックスはまだダメだと一点張り。

渋々元気にもかかわらず彼の言う通りベッドで大人しくすること2週間……その間エヴァンの魔法指導は一時お休みとなっていた。
せっかく彼とまた魔法の勉強出来るのに……、そんな気落ちする中、暇を持て余す私の元へレックスがやってくると、治癒魔法について教えてくれると提案してくれた。
私は彼が居ない間は彼の部屋にある本を読んだりし時間を潰し、彼が部屋に戻ってくると治癒魔法について勉強が始まった。

レックスとの勉強の中で、どうやら魔法には向き不向きがあるようだとわかった。
レックスは治癒魔法に特化し、エヴァンはあれだけの魔力を持っているにも関わらず、治癒魔法は全く使えないそうだ。
でもまぁ……簡単な応急処置程度は出来るみたいだけどね。
私はどっちなんだろう……そう思いレックスに問いかけてみると、困った笑みを浮かべ、どうだろうなと言葉を濁していた。
そんなレックスの様子が気になったが……私は深く追求せず、治癒魔法の勉強に励んでいた。

治癒魔法を身に着ける為には、まず人体について知らなければいけないそうだが……そこは前世で学んだ生物学の知識があった為、私は易々とクリアできた。
後は魔力の流れと、魔力の量の調整の方法を学び、自分自身の魔力の量をしっかり把握する事と口酸っぱく言われたのは記憶に新しい。

一度、人の怪我を直した経験からわかるが……小さな傷でも完治させるとなると、かなり魔力を消耗する。
ブレイクが私にやってくれたような血を止めたり、傷を塞いだりすることには、あまり魔力を消費しないようだが……傷を跡形もなく消したり、毒を中和したり……応急処置以外となると、結構な魔力が必要になる。
あの時私は、傷を跡形もなく消してしまった為、多くの魔力を消費してしまったと推測できた。

治癒魔法を習うにあたり、レックスの言う、魔力の微調整が中々難しい。
魔力を感じ、流れを操り、遮断できるようになったが……まだどこかぎこちない。
これがスムーズにいかないと、必要以上の魔力を消費し、魔力枯渇になる可能性があるようだ。
私は療養中の間、一人になると、本を見ながら、魔力を一点に集め遮断する練習をひたすらに行っていた。
毎日何時間も練習していた為か……一週間たつ頃には、遮断のコツが掴めてきていた。

そんな中、レックスは薬学についても説明してくれた。
薬学に至っては……前の世界の知識はないので、一からのスタートだ。
なので、まず薬草の知識を身につけるところから。
これが中々難しい……見た事もない植物や、ややこしい名前……薬学を学ぶ際は、私のベッドの周りは紙だらけになっていった。

そうしてまた一週間の月日が流れ、ようやく部屋から出ることを許されると、私はレックスに連れられ自分の部屋へと戻った。
部屋は綺麗に掃除され、埃一つない。
一体誰が掃除しているのだろう……そんな事を考えながら、私はレックスへと向き直った。

「色々とありがとうございました。あの……また治癒魔法や薬学について教えてくれると嬉しいです」

そうレックスへ笑みを向けると、彼は柔らかい表情を返してくれた。


レックスが帰り、部屋で一人になると、私は新しいシーツの上に寝そべっていた。
呆然と天井を見上げる中、ふと妖魔の言葉が蘇る。
そういえば……あの妖魔の話……気になるわ。
やっと復活した事だし、さっそくネイトに聞いてみようかな。
私は徐に体を起こすと、伝書蝶を呼び出し、ネイトへと飛ばす。
森に帰っているみたいだし、来るのに時間がかかるかな。
先にお風呂でも入っておこう。

私は浴槽へ足を向け、水色の魔石に触れると、温かいお湯が浴槽を埋めていく。
以前いた私の世界とは違い、あっという間にお湯がたまると、私は服を脱ぎ、体を洗い、ゆっくり浴槽へ浸かった。
あぁ……気持ちいい。
療養中はレックスの魔法で体を洗っていたが……やはりお湯に浸かるのが幸せね……。

暫く温かいお湯に身を委ねていると、外からドンドンドンとノックの音が響く。
えぇ!?もう来たの!?
思っていたよりも早い到着に私は慌てて脱衣所へ向かい、緑色の魔石へ触れ、体と髪を乾かすと、すぐにローブを羽織る。
急いで扉へ向かうと、私はそのまま勢いよく扉を開けた。
あっ……魔石に触れるのを忘れたわね……。

開けた先には目を丸くした、獣の姿のネイトがいた。
彼は私の様子にすぐに人型に変わると、彼の紅の瞳と視線が絡む。

「姫……いつもそのように扉を開けているのか?」

彼の静かな言葉に私はビクッと体を跳ねさせると、必死に言い訳を口にする。

「いえ……いつもはちゃんと魔石に触れてます!ちょっと湯あみをしていて……待たせてしまったと思って……慌ててドアを開けてしまいました。ごめんなさい」

「はぁ……姫気を付けくれ。外は本当に危ないんだ……」

真剣な表情で話す彼の様子にごめんなさいと謝ると、再度深く頭を下げた。
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