[R18] 異世界は突然に……

あみにあ

文字の大きさ
上 下
343 / 358
第五章

閑話:夢の中で:中編 (エレナ視点)

しおりを挟む
***********************************************************
大変お待たせしました(-_-;)
更新が遅くなってしまい、申し訳ございません(´;ω;`)
1月に始めた連載がようやく完結しましたので、またこちらの更新を始めます!
牛歩ではありますが、どうぞこれからもよろしくお願いしますm(__)m
***********************************************************

甘く甘美なひと時。
私たちは空白の時間を埋めるように、何度も愛し合った。
唇を重ね、体を重ね、愛しい愛しい彼の胸の中に何度も沈む。
離れたくない、離したくない。
このまま永遠に……。

幸せに浸りながらそっと目を閉じると、瞼裏に浮かび上がった彼女の姿。
(私の体を使って)そう笑みを浮かべ笑ったその姿。
うちがこの世界へもう一度戻ってこられたのは、彼女のおかげ。
ずっとここにいるわけにはいかへん。
この体は彼女のもんや、うちはこの世界に存在できへんのや。
彼女が戻ってくるまでの間だけの仮の存在。
こうやって会えただけで十分なんや。
うちがやらなあかんことは……過去の過ちを正すことや……。

私はノエルの体をギュッと抱きしめると、おもむろに顔を上げた。

「ノエル、一緒に帰ろう」

彼の頬を両手で包み引き寄せると、額へキスを落とす。
悲し気に揺れる瞳を見つめると、慰めるように頭を撫でた。

「……嫌だ、もう嫌なんだ。君のいない世界へ戻るなんて考えられない。ここに居ればずっと一緒に居られるだろう?」

縋るようなその声に胸がギュッと締め付けられる。

「ここは現実やない、夢なんや」

「夢でも何でもいいんだ。傍に居られればそれでいい。もうどこにもいかないでくれ。いなくならないでくれ」

彼は悲痛な声で叫ぶと、強く強く私を抱きしめた。
私は彼の背に手を伸ばすと、震える体を落ち着かせるように撫でる。

「ずっとは無理や、たとえここが夢だったとしても……。うちの時間はもう流れてへん。だからノエルにはノエルの幸せを見つけてもらいたいんや。こんなん言える立場やないけど……うちはあんたの笑った顔が好きやで」

そっと彼の胸を押し返すと、彼の瞳を見つめながらアクアブルーの髪を優しく撫でた。
青い瞳からポロポロと零れ落ちる、透き通った涙を拭うと、ノエルは拒否するように首を何度も横に振る。

「ッッ、無理だ、エレナ……君は僕の全てなんだ……」

よしよしと頭を撫でながら私は首を横に振ると、涙に揺れる彼の瞳を覗き込んだ。
深く息を吸い込むと、

「ノエル、探してくれてありがとう。だけどうちはこの世界には居てへん。うちの時間は終わってもたんや。けどなこれは終わりやない、始まりなんや。うちはどんな時でも、ずっとあんたの傍におる。だからノエルが幸せになれば、うちも幸せなんや」

「……どんな時でも……?」

子供のように泣きじゃくる彼の姿に、私は大きく頷いた。

「ノエル、ずっと秘密にしてたんやけどな……実はノエルが魔法を使えるようになったんは、うちの魔力を渡したからや。魔法が使えて喜んでた姿を見てたら、言い出せんくてな……。だから魔力を感じれば、そこにうちが居てる。そう思ってくれたらいい」

ノエルは驚いた様子で目を見開くと、泣きながらに笑った。

「ははは……突然魔法が使えたからおかしいと思ってたよ。……ずっと僕の中に居たんだね」

「これからもずっとそばにいてる。約束や」

私は彼の手を持ち上げると、小指と小指を絡ませる。
これは彼女の世界にあった約束の証。
時空の狭間からずっと見守ってるからな。
私は溢れ出しそうになる涙を拭うと、ニッコリとほほ笑み返した。

その刹那、バリンッとガラスが砕けたような音が響く。
目の前の景色にひびが入り、いくつもの破片が辺りに散らばると、繋いでいた小指が離れた。
そのまま破片と共に闇の中へ消えていくと、私は意識を手放したのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

社長の奴隷

星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

処理中です...