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第五章
新章10:捕らえられた先に
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光が闇へ溶け込むように消えていく中、彼女の周りにはキラキラと別の光粒が集まっていく。
「うちは元々迷い人や、どこへも行くことが出来へん……そんな存在。大切な人が死んで、それに耐えられへんくてな、世界を壊そうとおもた。その行為が世界の逆鱗に触れたんやろなぁ~。さっきの黒い靄に包まれたかとおもたら、ここにいたんや」
懐かし気な表情を浮かべると、こちらへ顔を向けた。
「そんな……あなたは育った世界を壊そうとしたの?」
そう問いかけてみると、彼女は小さく首を横へ振った。
「ちゃうちゃう、うちが生まれたんは別の世界。ここへはあんたと同じように飛ばされてきたんや」
「えぇっ……ちょっと待って、どういうこと、別の世界って……私と同じ……ッッ」
衝撃的な事実に目を大きく見開く中、彼女はまたゆっくりと話し始める。
「あんたと同じ世界ちゃうで。うちはここよりも魔法の技術が数段進んだ世界から来た異世界人。だから言葉使いもへんやろ。それにおかしいと思わんかったか、まだそれほど魔法が発達してないこの世界に、壊されへん壁があったり、高度な召喚魔法があったり、時空移転魔法やってそうや。あれは全部うちの世界の魔法。ここへ来るときに落としてもた魔法書を誰かが見つけたんやろうな」
彼女はそこまで話すと、手のひらに集まってきていた光の粒が強い光を放った。
光の中に浮かび上がったのは、高層ビルが立ち並び、カラフルなネオンの光が照らす街の姿。
街全体に魔力が溢れ、蛍のように光を放つながら飛散していた。
山や木々は一切なく、空はドームのようなもので覆われ、今が朝なのか夜なのかわからない。
人々は不思議な乗り物で飛び交い、地上には歩く人の姿映る。
映像は繁華街を抜け、薄暗い路地裏を映し出すと、そこには薄汚い姿でやせ細った老人が寝そべり、酔っぱらいだろうビンを片手に赤い顔で暴れる男の姿。
その映像は私の居た世界ととても良く似ていた。
そんな路地裏を抜けた先に、暗闇に包まれた小さな民家が現れた。
映像がその中へ入って行くと、薄っすらと蝋燭のような橙色の光が浮かび、そこには黒髪に黒い瞳をした少女が本を片手に佇んでいた。
視線の先には複数人の男に羽交い絞めされた女性の姿。
衣服は乱れ、男たちのゲスな笑いが小さな部屋に響き渡る。
「お……お母さん……?」
「いやッ、どうして!?、エレナ、来ちゃだめ!!!逃げて、あぁぁ、いやあああああああああ」
「おっ、黒魔の子供か。これは高く売れそうだ」
一人の男が少女へ近寄り抱き上げると、舐め合わすように彼女を見つめた。
母の悲痛な声と喘ぎ声が響く中、エレナはまるで人形のように動かない。
「母親に似て別嬪さんだ、よし俺が味見をしてやろう」
動かないエレナの口をふさぐと、男は子供服をはぎ取っていく。
「いや、お願い、やめて!!!子供には手を出さないで、あぁぁん、いやっ、あああああああ」
「うるせぇな、静かにしてろ」
男は煩わしそうに母親を殴ると、腰を激しく動かし始める。
痛み、屈辱、そして憎悪。
犯されながらも子供へと手を伸ばす母親の姿。
悲惨なその光景に私は言葉を失った。
「エレナ、エレナ、エレナ、……ッッ、ゆる……ッッさない、許さないわ、エレナから手を離しなさい!!!」
母親の瞳の色が漆黒の闇に染まっていくと、魔力が辺り一面を覆いつくす。
しかしその魔力は男たちの傍に置かれている楕円形の置物に吸収されていった。
「はっはっは、無駄無駄、いくら黒魔でも魔法さえ封じてしまえば只の女だ」
嘲笑う男たちの姿に、思わず怒りが込み上げる。
私は食い入るように映像を見つめながら、無意識に拳を握りしめていると、エレナに異変が起きた。
先ほどまで微動だにしなかった彼女の周りに魔力が集まっていく。
しかしその魔力はどこかおかしい。
目に見える黒い靄のような魔力が、彼女を守るように増幅すると、男たちに絡みついた。
異様なその様に、男たちの瞳には怯えが浮かび上がる。
エレナを捕らえていた男は、慌ててその場から離れようとした刹那、辺りに血しぶきが舞い上がった。
黒い魔力が男たちを包み、そのまま圧迫したのだ。
パンッ、バンッ、グシャッ、クチュッ。
聞くに堪えがたい音が響き、耐えきれなくなった体は肉片となって飛び散り血が散乱していく。
そうしてシーンと静まり返った部屋の中で、母親は慌ててエレナへ近づくと、小さな体を抱きしめた。
「エレナ、エレナ……怖かったでしょう……ごめんなさい」
「お母さん……」
ぼんやりとするエレナの姿に、母親は魔導書を拾い上げると、そのまま押し付けるように胸に抱きかかえさせる。
「エレナよく聞きなさい、あなたはもうこの世界では生きていけないわ。お役人様を殺してしまった。どんな理由があれ、黒魔の私たちが何を言っても聞いてはもらえない。あなたも私も追われることになる。だから……別の場所へ移動しましょう。時間がないわね……。お母さんはあなたを大好きだから、ずっとずっと愛しているからね」
意味のわからない言葉に首を傾げる中、母はエレナを魔力で包みこむと、ブツブツと呪文を唱え始める。
「お母さん、お母さん、ヤダ、待って、ねぇ、一緒じゃなきゃヤダ!」
「大丈夫……私もすぐに……」
母は優し気な笑みを浮かべると、エレナの体がゆっくりと消えていく。
そうして魔力が解放されると、彼女の姿はその場から消え去っていた。
「うちは元々迷い人や、どこへも行くことが出来へん……そんな存在。大切な人が死んで、それに耐えられへんくてな、世界を壊そうとおもた。その行為が世界の逆鱗に触れたんやろなぁ~。さっきの黒い靄に包まれたかとおもたら、ここにいたんや」
懐かし気な表情を浮かべると、こちらへ顔を向けた。
「そんな……あなたは育った世界を壊そうとしたの?」
そう問いかけてみると、彼女は小さく首を横へ振った。
「ちゃうちゃう、うちが生まれたんは別の世界。ここへはあんたと同じように飛ばされてきたんや」
「えぇっ……ちょっと待って、どういうこと、別の世界って……私と同じ……ッッ」
衝撃的な事実に目を大きく見開く中、彼女はまたゆっくりと話し始める。
「あんたと同じ世界ちゃうで。うちはここよりも魔法の技術が数段進んだ世界から来た異世界人。だから言葉使いもへんやろ。それにおかしいと思わんかったか、まだそれほど魔法が発達してないこの世界に、壊されへん壁があったり、高度な召喚魔法があったり、時空移転魔法やってそうや。あれは全部うちの世界の魔法。ここへ来るときに落としてもた魔法書を誰かが見つけたんやろうな」
彼女はそこまで話すと、手のひらに集まってきていた光の粒が強い光を放った。
光の中に浮かび上がったのは、高層ビルが立ち並び、カラフルなネオンの光が照らす街の姿。
街全体に魔力が溢れ、蛍のように光を放つながら飛散していた。
山や木々は一切なく、空はドームのようなもので覆われ、今が朝なのか夜なのかわからない。
人々は不思議な乗り物で飛び交い、地上には歩く人の姿映る。
映像は繁華街を抜け、薄暗い路地裏を映し出すと、そこには薄汚い姿でやせ細った老人が寝そべり、酔っぱらいだろうビンを片手に赤い顔で暴れる男の姿。
その映像は私の居た世界ととても良く似ていた。
そんな路地裏を抜けた先に、暗闇に包まれた小さな民家が現れた。
映像がその中へ入って行くと、薄っすらと蝋燭のような橙色の光が浮かび、そこには黒髪に黒い瞳をした少女が本を片手に佇んでいた。
視線の先には複数人の男に羽交い絞めされた女性の姿。
衣服は乱れ、男たちのゲスな笑いが小さな部屋に響き渡る。
「お……お母さん……?」
「いやッ、どうして!?、エレナ、来ちゃだめ!!!逃げて、あぁぁ、いやあああああああああ」
「おっ、黒魔の子供か。これは高く売れそうだ」
一人の男が少女へ近寄り抱き上げると、舐め合わすように彼女を見つめた。
母の悲痛な声と喘ぎ声が響く中、エレナはまるで人形のように動かない。
「母親に似て別嬪さんだ、よし俺が味見をしてやろう」
動かないエレナの口をふさぐと、男は子供服をはぎ取っていく。
「いや、お願い、やめて!!!子供には手を出さないで、あぁぁん、いやっ、あああああああ」
「うるせぇな、静かにしてろ」
男は煩わしそうに母親を殴ると、腰を激しく動かし始める。
痛み、屈辱、そして憎悪。
犯されながらも子供へと手を伸ばす母親の姿。
悲惨なその光景に私は言葉を失った。
「エレナ、エレナ、エレナ、……ッッ、ゆる……ッッさない、許さないわ、エレナから手を離しなさい!!!」
母親の瞳の色が漆黒の闇に染まっていくと、魔力が辺り一面を覆いつくす。
しかしその魔力は男たちの傍に置かれている楕円形の置物に吸収されていった。
「はっはっは、無駄無駄、いくら黒魔でも魔法さえ封じてしまえば只の女だ」
嘲笑う男たちの姿に、思わず怒りが込み上げる。
私は食い入るように映像を見つめながら、無意識に拳を握りしめていると、エレナに異変が起きた。
先ほどまで微動だにしなかった彼女の周りに魔力が集まっていく。
しかしその魔力はどこかおかしい。
目に見える黒い靄のような魔力が、彼女を守るように増幅すると、男たちに絡みついた。
異様なその様に、男たちの瞳には怯えが浮かび上がる。
エレナを捕らえていた男は、慌ててその場から離れようとした刹那、辺りに血しぶきが舞い上がった。
黒い魔力が男たちを包み、そのまま圧迫したのだ。
パンッ、バンッ、グシャッ、クチュッ。
聞くに堪えがたい音が響き、耐えきれなくなった体は肉片となって飛び散り血が散乱していく。
そうしてシーンと静まり返った部屋の中で、母親は慌ててエレナへ近づくと、小さな体を抱きしめた。
「エレナ、エレナ……怖かったでしょう……ごめんなさい」
「お母さん……」
ぼんやりとするエレナの姿に、母親は魔導書を拾い上げると、そのまま押し付けるように胸に抱きかかえさせる。
「エレナよく聞きなさい、あなたはもうこの世界では生きていけないわ。お役人様を殺してしまった。どんな理由があれ、黒魔の私たちが何を言っても聞いてはもらえない。あなたも私も追われることになる。だから……別の場所へ移動しましょう。時間がないわね……。お母さんはあなたを大好きだから、ずっとずっと愛しているからね」
意味のわからない言葉に首を傾げる中、母はエレナを魔力で包みこむと、ブツブツと呪文を唱え始める。
「お母さん、お母さん、ヤダ、待って、ねぇ、一緒じゃなきゃヤダ!」
「大丈夫……私もすぐに……」
母は優し気な笑みを浮かべると、エレナの体がゆっくりと消えていく。
そうして魔力が解放されると、彼女の姿はその場から消え去っていた。
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