[R18] 異世界は突然に……

あみにあ

文字の大きさ
上 下
303 / 358
第五章

新章8:立ちはだかる壁

しおりを挟む
《読まれる前に……新章8・9は、会話文が多めになっております。》
**************************************************

向こう側の只ならぬ様子に狼狽する中、私は口を閉ざし彼の言葉をじっと待っていた。
どうしたのかしら……何か問題が……?

「コホッ……すまないね。大人しく待てないようだ。はぁ……僕の話は後にして、先に彼らを紹介するよ」

少し疲れた様子の声が聞こえた瞬間、キキッ……と高い機械音が部屋に響く。
思わず頭に響くその音に身構える中、雑音に交じって、よく知った声がはっきりと耳にとどいた。

「そこに本当にいるのですか?彼女は無事なのですか!?」

無線機から響いた懐かしい声に、胸がジワッと温かくなると、私は前のめりに無線機へと顔をよせた。

「エヴァン!えぇ、無事よ!心配をかけてごめんなさい」

「よかった……元気そうで安心しました。しかし山賊に襲われた、なんて話知りませんでしたよ。怪我はありませんでしたか?どうして言わなかったのですか?はぁ……私がどれほど心配したとわかっているのですか!?……黒蝶はなかなか届かない上、こちらからはどうやっても連絡出来ない。なのにあなたの連絡は端的すぎます。アー……ジジッ、ちょっと何するんですか……ガガッ」

「バカ、余計な事を話すな」

エヴァンの言葉を遮るように、またも懐かしい声に自然と笑みがこぼれると、私は無線機へと話しかける。

「その声、もしかして……アーサー……様?そこにいるの?」

「……ジジッ、よっ、久しぶりだな。見つかって本当によかった。それに元気そうで安心した。だが本当にお前、壁の向こう側へ渡ったんだな。何か覚えている事はないのか?何でもいいんだ」

「いえ、ごめんなさい……。何も覚えてないの。それよりもみんなは元気かしら?」

「あぁ、ブレイクとレックスは東の国へ連れてきては居ないが、元気にやってる。俺もこの通りだ。ネイトは……まぁ、元気だな。後もう一人、一緒に来た奴がいるんだが、あれ……あいつどこへ行ったんだ。たぶんお前はまだ会ったことはないだろう。ずっと東の国へ出払っていたからな。あいつはエヴァンと同じ魔導師で、名前は……タ……ッッ、ムグッ、おぃ、……ジジッ、何すんだ、エヴァン、イテッ……ビビッ……ギギッ」

タ……?
誰かしら?

「どうかしたの?」

「いえ、何でもありません。アーサー殿の事は気にしないで下さい。それよりもどうやってこちらへ戻ってくるのか、考えているのですか?」

「いえ、まだ何も。とりあえず私はまだ壁を間近で見たことがないの。だから壁をこの目で確かめてから、考えようと思っているわ。そうだ、壁には二日後に向かう予定なの」

「わかりました。それなら私も壁へ向かいましょう。あなたが早く戻ってこられるよう、最善を尽くしますよ」

「ありがとう、エヴァンが力になってくれるのなら心強いわ。いつも……助けてもらってばかりね……」

私は熱くなる胸をギュッと掴むと、何とも言えない気持ちが込み上げてくる。

「いえ、あなたを助けられるのなら、何でも致します。言ったでしょ、一緒に戻って……あなたに伝えたい事あると。ちゃんと覚えておりますか?」

「えぇ、もちろんよ。今度は私があなたに会いに行く番よ。あなたの力を借りることになるかもしれない、でも必ず会いに行くから」

脳裏にエヴァンの笑みが浮かぶと、次第に心が穏やかになっていく。
彼が傍にいると感じると、なぜか不安な思いが消え去っていくの。
きっとこの世界で誰よりも一番傍に居たからでしょうね。
私は笑みを浮かべたままに、ゆっくりと息を吐き出す中、クィックィッと服の袖が引かれ視線を向けると、私を覗き込むシナンの瞳が映し出された。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

社長の奴隷

星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

処理中です...