[R18] 異世界は突然に……

あみにあ

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第五章

クリスマス企画(カミール&シナン)後編

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そうしてクッキーを焼いている間、飾り付けの為に生クリームもどきを作り、フルーツをカットしていると、ソファーで座っていたはずのカミールが目の前にやってくる。
どうしたのだろうかと思い……手を止め顔を上げると、カミールはカットされたフルーツへ手を伸ばし、そのままパクリと口へと運んだ。

「ちょっ、ちょっと、つまみ食いはダメよ!」

カミールの手をパシッと払いながらに注意してみると、カミールは口を動かしながらに私をじっと見下ろす。
そうしてまたフルーツを手に取ると、なぜか私の口の中へと押し込んだ。

「ちょっ、……ッッ」

「これであんたも共犯だな」

思ってもみなかったその一言に唖然とする中、口の中に甘酸っぱさが広がっていく。
なっ、何なの!?
こんな事するキャラじゃないでしょ!?

「カミールさん、ずるいです。僕もやりたいです」

シナンは横から手を伸ばすと、フルーツを掴み私の唇へと持ってくる。

「はい、お姉さん。あ~ん」

反射的に目の前に差し出されたフルーツをパクリと食べると、シナンは嬉しそうに尻尾を揺らす。

「……ッッ、もう、張り合うじゃないの。シナンは向こうで座ってなさい。もうすぐ出来るからね」

そう軽くしかりつけると、シナンはシュンと尻尾を下ろしながらに、ソファーへと戻っていく。
そんな私たちの様子に、カミールはニヤリと口角を上げると、またフルーツを奪っていったのだった。

全く反省のない彼の姿に自然とため息が漏れる中、私はさっさとフルーツを片付けると、オーブンの中、ふっくらと膨らみ始めたクッキーを覗き込んだ。
よかった、ちゃんとできているわね。

そうして無事にクッキーは完成し、先にみんなで晩御飯を食べ終えると、冷ましたクッキーをお皿へと並べていく。
用意していたクリームとフルーツを盛りつけ、デコレーションを完成させると、テーブルへと運び、私はシナンの隣へと腰かける。
やっぱりクリスマスと言えば、ジンジャークッキーよね。
こうやってお皿に盛りつけると、クリームが雪みたいで好きなのよね。
この世界ではまだ雪を見たことはないわね……。
真っ白なクリームを茫然と見つめていると、昔の暮らしが頭を掠める。
もう戻ることが出来ない……思い出がいっぱい詰まった私の世界。

「すごいですねぇ、とっても美味しそうです」

「お前……料理出来たんだな」

その言葉に顔を上げ、キッとカミールを睨みつけると、彼は気にした様子はなくクッキーへと手を伸ばす。
そんな姿にまた深く息を吐き出すと、私も出来上がったクッキーを口へと運んでいった。

テーブルを囲いながらにデザートを楽しむ中、突然にシナンは甘えるように私の膝へゴロンと寝転がると、愁いを帯びた瞳で見上げた。

「ねぇ~お姉さん……何だか僕、熱くて……」

シナンはトロンとした瞳を浮かべながらに、ゴソゴソと上着を脱ぎ始める。

「へぇっ、シナン、……ッッどうしたの!?」

止めようと手を伸ばす前にシナンは上着を脱ぎ捨てると、私をギュッと抱きしめた。
固い彼の胸板を感じ不謹慎ながらも、胸が高鳴ってしまう。

「お姉さんからも……とっても甘い匂いがする。ねぇ~食べてもいい?」

シナンは頬を火照らせながらにウルウルと瞳を潤ませると、素肌を摺り寄せる。
そんな彼のただならぬ様子に狼狽する中、ふとアルコールの臭いが鼻を掠めると、私は慌ててテーブルに置かれていたビンへ手を伸ばした。
まさか……ッッ。

ビンのラベルを凝視すると、そこにはアルコール10%との文字が書かれている。
嘘でしょう……なんでお酒がここに!?
私は買っていないわよ!?私じゃないとすれば……。
ビンを片手にカミールを睨みつける中、シナンは酔っぱらっているのだろう……スリスリと私の頬へすり寄ってくる。
そんなシナンは私から離れる様子はなく、抱きしめたままにお皿からクッキーを一つ摘まみ上げ、口へと運んでいった。

「これだけじゃ足りないよ。もっともっと欲しいんだぁ~」

そう囁くと、シナンは覆いかぶさるように私をソファーへ押し倒し、そのまま頬をペロペロと舐め始める。

「ちょ、ちょっとシナン落ち着きなさい。ひゃっ、シナン……ッッ。私はクッキーじゃないわよ!?」

熱い舌から逃れようと、必死に身をよじらせる中、カミールはニヤリと口角を上げながらに立ち上がると、私からビンを奪った。

「お子様にはまだ早かったか」

「やっぱりあなたが用意したのね!?もう、シナンが飲んでしまったじゃない!」

「そいつはもう大人だろう。ならこれぐらい飲めないとな……」

全く反省の色を見せないカミールの様子に立ち上がろうとすると、シナンは私を捕まえるように、ガバッとソファーへと引き戻す。
そのままギュッと強く抱きしめると、シナンの熱が伝わってきた。

「お姉さん、カミールさんの相手ばかりしちゃヤダ。ねぇ~こっちを向いて……僕の相手をして」

シナンは熱を帯びた瞳を浮かべたままに顔を近づけてくると、その瞳に思わず頬が熱くなる。
子供の時とは違う、大人っぽいその表情に熱を感じる中、シナンは意地悪しようとする子供の様に小さく口角を上げた。
その姿に私は慌ててシナンを止めようと彼の腕の中でもがいてみるが……外れる気配はない。

「シナン、ダメよ。おっ、落ち着きなさい!」

止めることが出来ぬままに、彼の熱い息が唇へかかると、私は思わずギュッと瞳を閉じた。
すると唇に柔らかい物が一瞬触れたが……その瞬間ドサッと胸の上に重さを感じる。
そっと目を開けてみると、シナンは酔いつぶれたのだろう……私の胸でスヤスヤと寝息を立てていた。

はぁ……よかった……じゃないわ。
こんなところで寝たら風邪をひいちゃう。
そう思いシナンを起こそうと試みるが、子供の時とは違う大きな体は私の力では持ち上げることが出来ない。
どうにかこうにか持ち上げようと工夫してみる中、ふと体が軽くなると、カミールがシナンの首根っこを掴みながら、楽しそうに私を見下ろしていた。

なんて持ち上げ方するのよ!?
そう抗議しようと口を開くと、カミールは眠っているシナンへ視線を向ける。
その姿に空いた口をゆっくりと閉じると、彼は満足げにシナンを担ぎ上げ、二階へと消えていった。

シナン……大丈夫かしら……?
心配をしながらに、テーブルの上に散乱したお皿を片付けていると、カミールが戻ってくる。
彼の姿にありがとうと素直に言葉にすると、彼は企むような笑みを浮かべたままに、私の傍へとやってきた。

「なぁ、クリスマスは恋人と過ごすんだったよな。なら最後までクリスマスを満喫しないとだろう?」

「どっ、どういう意味よ」

カミールは酒瓶を口へ運ぶと、そのまま私を強く引き寄せる。
アルコールの臭いが鼻を掠める中、エメラルドの瞳が真っすぐに向けられると、囚われたかのように動く事が出来ない。
見つめあう中、ゆっくりと彼の顔が近づき、そのまま私の唇を奪うと、口の中にお酒が流れ込んだ。
舌がピリピリと痺れ、熱さに立ち眩みすると、カミールの腕が私の腰を支える。
アルコールをかき混ぜるように、舌が奥へ深く暴れ始めると、痺れるような甘い感覚が熱さに交じっていった。

息も出来ぬほどの深いキスに、必死に彼の腕にしがみついていると、酒が唇からこぼれ落ちていく。
そうして……甘く痺れるような快楽からようやく解放されると、私は慌てて彼の胸を突き飛ばした。

「はぁ、はぁ、ゴホッ、……ッッ、やめてよ!あなたも酔っぱらっているの!?」

「……そうかもしれないな。なんだか今日のお前はいつもより可愛く見える。その真っ赤な頬に、潤んだ瞳に……俺を映したい。……ほら、こっちへ来い」

「なっ、何言ってるのよ!行くわけないでしょう!!!」

情熱的な甘い瞳に、私は真っ赤にして叫ぶ中、脇目も振らずに階段を駆け上り、そのまま部屋へ逃げ込むと、崩れ落ちるように座り込んだ。
視線の先にはベッドの上で、シナンが布団に包まりながらぐっすりと眠っている。

あの男……本当に何を考えているのかわからないわ……。
さっきのあんな……うぅ、悔しい……ッッ。
先ほど与えられた熱は引いてくる気配はなく、お酒のせいか……火照るようにさらに熱くなっていった。
カミールの色っぽい姿が脳裏に焼き付く中、先ほどのキスが蘇ると、またカッと体温が上がっていく。

「とんだクリスマスだわ……」

そんな自分に頭を抱える中、私は振り払うように首を横に振ると、熱が引くのをひたすらに待ったのだった。



*********************
今回の特別企画にて、玉子様@tamagokikaku様(Twitter)にイラストを頂く事が出来ました(*'▽')
しかもこちらもカラーイラスト!
主人公が羨ましい絵図……!!!
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございましたm(__)m

*********************
また最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
またこうやって企画出来たらなと……。
その際はまたリクエスト頂けるとありがたいです。

では次回より本編へと戻ります。
どうぞ宜しくお願い致します。

皆様に幸せなクリスマスを願って。
メリークリスマス(*´ω`*)
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