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第五章
新章6:船旅編
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エメラルドの瞳が真っすぐに私を見下ろす中、迫る彼の姿に私は徐々に後退っていくと、ガンッと足場にひっかかった。
「ちょっ、ちょっと何をしようとしているのよ!」
「なんだ、恥ずかしいのか?大丈夫だ、大人しく身を委ねていればいい。俺はあんたの全部を見たんだ、今更だろう……」
「はぁ!?それならさっきの男たちと変わらないじゃない!」
「そんなは事はない。俺は無理矢理襲う趣味はないからな。だからあんたに触れる前に……こうやって許可を取っているだろう?」
カミールはニヤリと口角を上げると、私を壁へと追い詰めていく。
逃げ道がふさがれたじろぐ中、彼は私の髪へ手を伸ばすと、一房救い上げた。
そしてそっと髪へキスを落とす姿に、彼の手を払いのけると、近づいてくる胸を強く押し返す。
「待ちなさい、あのっ、ちょっと落ち着きなさい。私は嫌よ!相手が欲しいのなら……今からでもさっきの女性を追いかければいいじゃない。それが嫌なら……別の女性にしなさいよ!あなたなら相手をしてくれる人を見つけるなんて、造作もないことでしょう!」
そう必死に訴えかけてみるが、私の声は聞こえていないのか……カミールは首筋へ顔を寄せながらに、私の手を取ると、捕らえられた腕に力が入る。
「俺は自分から女に声をかけた事は一度もない、勝手によってくるんだ」
「はぁ!?嫌味!?それなら声を掛けられるまで待っていればいいじゃない!」
「チッ、どうしてそんなに嫌がるんだ?俺は一度あんたを抱いているんだ。だから気持ちよくしてやれる。俺も満足するし、あんたも気持ちよくなれる。……嫌がる理由はどこにもないだろう」
はぁ!?この男本気で言っているの?
信じられないその言葉に狼狽する中、徐に顔を上げてみると、彼の瞳は真剣そのものだった。
その様子に思いっきりに腕を振り払うと、私は威嚇するように、エメラルドの瞳を真っすぐに見つめ返す。
「私が言うのもなんだけれど……こういった事は……その……好きな人とするからこそ意味があるのよ。あなたやこの船にいる人たちの事を否定するわけじゃないわ。本人たちが良ければ、それはそれで良いと思う。でも私は……私は好きでもない人と、こういった事をしたいとは思わない。だってそんな事をしても……心は満たされないもの……」
そう言葉にすると、カミールは訝し気に眉を顰めてみせた。
「好き……?どういう意味だ。なぜそんなものが必要なんだ?愛情なんてものは目に見えない不確かな物。そんな物を必要とする理由がわからないな」
バカにしているのかと思うその言葉に怒りが沸き起こると、キッと彼を睨みつける。
するとカミールは本当にわからないといった様子で首を傾げると、考え込む様子を見せた。
この男……本気で言っているの……?
ダメだわ、この男……根っからの遊び人……理解してもらおうとするのが間違いね。
「わからないなら、それはそれで構わないわ。でも私は好きな人と以外に体を合わせるなんて嫌、だから他をあたって」
そう言い捨てるように顔を背け壁から離れようとする中、カミールはガンっと壁を思いっきりに蹴り上げると、逃げ道を塞いだ。
「待て、なら俺を好きになれ」
「はぁ!?ちょっと何言ってるの?正気!?……人を好きになるっていうのは、命令されてするものじゃないのよ!それに……女好き男なんてごめんよ!」
そう冷たく言い放ってやると、カミールはグイッと体を寄せた。
そのまま私の体を強く抱きしめると、熱い吐息が耳へかかる。
「あんたが抱かせてくれるなら、もう他の女の相手はしない。……あんたを抱いた日から俺はおかしいんだ。どんな女を抱いても、満たされない。だから俺のものになれ」
告白めいた言葉にギョッとする中、恐る恐るに顔を上げてみると、澄んだエメラルドの瞳がじっと私を見下ろしている。
彼の表情を見る限り……愛の告白ではないのだと察しがつく。
私の事を馬鹿にしているの……?
それともやりたいだけに、そんな歯の浮くようなセリフを……?
一体この男は……何が目的なの?
あぁもう……っっ、突然何なのよ……。
彼の真意が読めない今、なんと答えていいのかわからない。
見つめあったままに動きをとめると、突然ガタッと大きな音が入口から響く。
音に顔を向けてみると、薄暗い船内には、怒りの瞳を浮かべたシナンの姿が浮かび上がった。
「……シナン?」
「二人ともこんなところで何をやっているんですか?」
感情のこもっていないその言葉に、ビクッと肩を跳ねさせると、カミールは煩わしそうに私から体を離した。
「シナン落ち着け。この女がこんな真夜中に一人で徘徊していたんだ。そこに居合わせた俺が助けてやっただけだ」
その言葉にシナンは眉を顰めると、私の傍へとゆっくりと歩を進めてくる。
コツコツコツと足音が響く中、私はいつもと様子の違うシナンになぜか恐怖を感じると、凍り付いたように動く事が出来ない。
「お姉さん……部屋へ戻りましょう」
シナンはカミールと私の間へ割り込むと、冷たい笑みを浮かべて見せる。
その笑みにゾッと背筋が凍り付くと、私はただただ頷く事しかできなかった。
「ちょっ、ちょっと何をしようとしているのよ!」
「なんだ、恥ずかしいのか?大丈夫だ、大人しく身を委ねていればいい。俺はあんたの全部を見たんだ、今更だろう……」
「はぁ!?それならさっきの男たちと変わらないじゃない!」
「そんなは事はない。俺は無理矢理襲う趣味はないからな。だからあんたに触れる前に……こうやって許可を取っているだろう?」
カミールはニヤリと口角を上げると、私を壁へと追い詰めていく。
逃げ道がふさがれたじろぐ中、彼は私の髪へ手を伸ばすと、一房救い上げた。
そしてそっと髪へキスを落とす姿に、彼の手を払いのけると、近づいてくる胸を強く押し返す。
「待ちなさい、あのっ、ちょっと落ち着きなさい。私は嫌よ!相手が欲しいのなら……今からでもさっきの女性を追いかければいいじゃない。それが嫌なら……別の女性にしなさいよ!あなたなら相手をしてくれる人を見つけるなんて、造作もないことでしょう!」
そう必死に訴えかけてみるが、私の声は聞こえていないのか……カミールは首筋へ顔を寄せながらに、私の手を取ると、捕らえられた腕に力が入る。
「俺は自分から女に声をかけた事は一度もない、勝手によってくるんだ」
「はぁ!?嫌味!?それなら声を掛けられるまで待っていればいいじゃない!」
「チッ、どうしてそんなに嫌がるんだ?俺は一度あんたを抱いているんだ。だから気持ちよくしてやれる。俺も満足するし、あんたも気持ちよくなれる。……嫌がる理由はどこにもないだろう」
はぁ!?この男本気で言っているの?
信じられないその言葉に狼狽する中、徐に顔を上げてみると、彼の瞳は真剣そのものだった。
その様子に思いっきりに腕を振り払うと、私は威嚇するように、エメラルドの瞳を真っすぐに見つめ返す。
「私が言うのもなんだけれど……こういった事は……その……好きな人とするからこそ意味があるのよ。あなたやこの船にいる人たちの事を否定するわけじゃないわ。本人たちが良ければ、それはそれで良いと思う。でも私は……私は好きでもない人と、こういった事をしたいとは思わない。だってそんな事をしても……心は満たされないもの……」
そう言葉にすると、カミールは訝し気に眉を顰めてみせた。
「好き……?どういう意味だ。なぜそんなものが必要なんだ?愛情なんてものは目に見えない不確かな物。そんな物を必要とする理由がわからないな」
バカにしているのかと思うその言葉に怒りが沸き起こると、キッと彼を睨みつける。
するとカミールは本当にわからないといった様子で首を傾げると、考え込む様子を見せた。
この男……本気で言っているの……?
ダメだわ、この男……根っからの遊び人……理解してもらおうとするのが間違いね。
「わからないなら、それはそれで構わないわ。でも私は好きな人と以外に体を合わせるなんて嫌、だから他をあたって」
そう言い捨てるように顔を背け壁から離れようとする中、カミールはガンっと壁を思いっきりに蹴り上げると、逃げ道を塞いだ。
「待て、なら俺を好きになれ」
「はぁ!?ちょっと何言ってるの?正気!?……人を好きになるっていうのは、命令されてするものじゃないのよ!それに……女好き男なんてごめんよ!」
そう冷たく言い放ってやると、カミールはグイッと体を寄せた。
そのまま私の体を強く抱きしめると、熱い吐息が耳へかかる。
「あんたが抱かせてくれるなら、もう他の女の相手はしない。……あんたを抱いた日から俺はおかしいんだ。どんな女を抱いても、満たされない。だから俺のものになれ」
告白めいた言葉にギョッとする中、恐る恐るに顔を上げてみると、澄んだエメラルドの瞳がじっと私を見下ろしている。
彼の表情を見る限り……愛の告白ではないのだと察しがつく。
私の事を馬鹿にしているの……?
それともやりたいだけに、そんな歯の浮くようなセリフを……?
一体この男は……何が目的なの?
あぁもう……っっ、突然何なのよ……。
彼の真意が読めない今、なんと答えていいのかわからない。
見つめあったままに動きをとめると、突然ガタッと大きな音が入口から響く。
音に顔を向けてみると、薄暗い船内には、怒りの瞳を浮かべたシナンの姿が浮かび上がった。
「……シナン?」
「二人ともこんなところで何をやっているんですか?」
感情のこもっていないその言葉に、ビクッと肩を跳ねさせると、カミールは煩わしそうに私から体を離した。
「シナン落ち着け。この女がこんな真夜中に一人で徘徊していたんだ。そこに居合わせた俺が助けてやっただけだ」
その言葉にシナンは眉を顰めると、私の傍へとゆっくりと歩を進めてくる。
コツコツコツと足音が響く中、私はいつもと様子の違うシナンになぜか恐怖を感じると、凍り付いたように動く事が出来ない。
「お姉さん……部屋へ戻りましょう」
シナンはカミールと私の間へ割り込むと、冷たい笑みを浮かべて見せる。
その笑みにゾッと背筋が凍り付くと、私はただただ頷く事しかできなかった。
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