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第五章
閑話:雨降る街で:中編2
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月明かりに照らされ映ったものは、獣耳をした男の姿。
それは紛れもなく獣人の姿だ。
長い尻尾が揺れ、その手には女が力なく抱きかかえられている。
その腕の中でグッタリとする女の姿をよく見てみると、それはあの魔法使いだった。
「お前……何者だ……?」
「……その声……カミールさん!!助けて、お姉さんが!!!」
予想だにしなかった返答にひるむ中、獣人をよく見てみると、赤みを帯びたブラウンの髪……グレー瞳や感じる雰囲気が、シナンにとてもよく似ていた。
「お前……まさかシナンか?」
「お姉さん助けて!!!お願いします、早くしないと……お姉さんが……っっ」
必死に訴えるシナンの様子に、彼女を覗き込んでみると、その顔から血の気が引いている。
恐る恐るに触れてみると、生きているのかと思うほどに肌が冷たくなっていた。
「おい、シナンこれはどういうことだ!!」
「説明は後でします、どんな罰でも受けます……。だからお姉さんを助けて下さい……お願いします……」
シナンは悲痛な声でそう叫ぶと、成長したシナンの体が大きく揺れる。
その様子に慌てて支えてやると、シナンの腕から彼女を受け取った。
彼女の体が離れるや否や、シナンは荒く息を繰り返すと、今にも倒れてしまいそうなほどに衰弱している。
その様子に俺はシナンのボロボロになったローブを掴むと、彼女を担ぎながらに家の中へと引きずっていった。
そうしてシナンを一階のソファーへ寝かせ、俺は彼女を2階へ運ぶと、そこには爺さんが待っていた。
「ほっほっほ、愛しい恋人が見つかったようじゃなぁ」
「爺さん、診てくれ」
俺は彼女をベッドへ寝かせる中、爺さんはカバンからナイフを取り出すと、手首へと傷をつける。
爺さんの腕から流れ出る血から蜂のような遣い魔が浮かび上がると、彼女首筋へと飛んでいった。
そうしてまた爺さんはカバンから何やら道具を取り出すと、横たわる彼女へと触れていく。
「こりゃ……まずいな。この娘さん魔力切れを起こしておる」
「魔力切れ……どういうことだ?」
「魔力切れは魔力切れじゃ。彼女はどこかで魔力を使いすぎたのじゃろうて……だがこれは……」
爺さんは再びペタペタと彼女の体へ触れると、考え込むように顎に手を添えた。
彼女は深く眠っている様子で、ピクリとも動く気配はない。
「おかしいの~、魔法使いであれば外から魔力を吸収するはずなんじゃが……この娘さんの体は魔力を弾いているようじゃの。これだと魔力は補充できん」
「うん……?ならどうするんだ?」
「外から魔力を与えられないとなると……無理矢理に中へ注ぐしかないじゃろうな」
「注ぐ……?どうすればいいんだ?」
「そりゃお前さん、魔力を渡すには、彼女の中に魔力を流し込むんじゃよ」
「だからそれはどうするんだと聞いているんだ!」
「魔力を他人に渡す方法はただ一つ、彼女とつながることじゃな」
「つながるだと……本気で言っているのか?」
「あぁ、この娘さんを助けたければ、魔力を持った者がこの娘さんを抱くしかないの~。口移しでもできなくはないじゃろうが……果たしてどうじゃろうな。この娘さんかなり魔力をもっておったようじゃしなぁ。いやはや……これはすごい魔法使いじゃの~」
爺さんが興味津々の様子で彼女を眺める姿を横目に、俺はその場に固まっていた。
はあ……どうなってるんだ?
抱くってことは……そういうことなのか……?
真意を確かめるように爺さんを睨みつけてみるが……どうやら本気の様子だ。
俺がこの魔法使いを……寝ている女を抱く趣味は無いんだが……。
「わしがもう少し若ければなぁ……残念じゃ……。まぁ恋人がいる以上お前さんが抱いてあげんしゃい。あとはそうじゃ、この首の噛まれた傷と毒を解読してみたんじゃが、それほど強い毒ではないからのぉ、安静にしておれば問題はないようじゃ。魔力さえ補充できれば、彼女は目覚めるじゃろうて」
爺さんは遣い魔を帰還させると、俺を肩を強く叩き、ニヤリと口角を上げたかと思うと、そのまま部屋から去っていった。
残された俺は彼女を目の前に、暫し頭を抱えていた。
この女を助ける為には……くそっ、どうして俺が……。
とりあえず……。
俺はそっと彼女の元へ近づいてくと、冷たい頬へと触れる。
爺さんは口づけでも何とかなると言っていたな……。
まるで死んでしまっているかのような冷たさにたじろぐ中、意を決して彼女の唇へ近づけていった。
女に口づけるのに、これほどまで緊張したことはない……。
真っ赤に染まる唇へそっと重ねてみると、突然体に巡る血が一気に湧き上がった。
何かが吸い取られる感覚に、思わず体を離そうとしたその刹那、彼女の舌が俺の中へ侵入してくる。
頬の冷たさと相まって熱いその舌に一瞬怯むと、先ほどまでピクリとも動かなかった彼女の腕が俺の首へと巻き付いてきた。
クチュッ、クチュッ、チュッ、
唾液が混ざり深くなる口づけに下半身が反応すると、その甘く痺れるような感覚に犯されていく。
彼女の甘さを求めるように舌を絡ませ続ける中、気がつけば俺は彼女をベッドへと押さえつけていた。
甘美なその舌を堪能するように、無我夢中に何度も何度も口づけを交わしていく。
こんなに心地いいと感じたのは、初めてだな。
もっと味わいたい。
彼女の香りに、甘さに酔いしれる中、俺は何度も彼女の舌を求めていった。
それは紛れもなく獣人の姿だ。
長い尻尾が揺れ、その手には女が力なく抱きかかえられている。
その腕の中でグッタリとする女の姿をよく見てみると、それはあの魔法使いだった。
「お前……何者だ……?」
「……その声……カミールさん!!助けて、お姉さんが!!!」
予想だにしなかった返答にひるむ中、獣人をよく見てみると、赤みを帯びたブラウンの髪……グレー瞳や感じる雰囲気が、シナンにとてもよく似ていた。
「お前……まさかシナンか?」
「お姉さん助けて!!!お願いします、早くしないと……お姉さんが……っっ」
必死に訴えるシナンの様子に、彼女を覗き込んでみると、その顔から血の気が引いている。
恐る恐るに触れてみると、生きているのかと思うほどに肌が冷たくなっていた。
「おい、シナンこれはどういうことだ!!」
「説明は後でします、どんな罰でも受けます……。だからお姉さんを助けて下さい……お願いします……」
シナンは悲痛な声でそう叫ぶと、成長したシナンの体が大きく揺れる。
その様子に慌てて支えてやると、シナンの腕から彼女を受け取った。
彼女の体が離れるや否や、シナンは荒く息を繰り返すと、今にも倒れてしまいそうなほどに衰弱している。
その様子に俺はシナンのボロボロになったローブを掴むと、彼女を担ぎながらに家の中へと引きずっていった。
そうしてシナンを一階のソファーへ寝かせ、俺は彼女を2階へ運ぶと、そこには爺さんが待っていた。
「ほっほっほ、愛しい恋人が見つかったようじゃなぁ」
「爺さん、診てくれ」
俺は彼女をベッドへ寝かせる中、爺さんはカバンからナイフを取り出すと、手首へと傷をつける。
爺さんの腕から流れ出る血から蜂のような遣い魔が浮かび上がると、彼女首筋へと飛んでいった。
そうしてまた爺さんはカバンから何やら道具を取り出すと、横たわる彼女へと触れていく。
「こりゃ……まずいな。この娘さん魔力切れを起こしておる」
「魔力切れ……どういうことだ?」
「魔力切れは魔力切れじゃ。彼女はどこかで魔力を使いすぎたのじゃろうて……だがこれは……」
爺さんは再びペタペタと彼女の体へ触れると、考え込むように顎に手を添えた。
彼女は深く眠っている様子で、ピクリとも動く気配はない。
「おかしいの~、魔法使いであれば外から魔力を吸収するはずなんじゃが……この娘さんの体は魔力を弾いているようじゃの。これだと魔力は補充できん」
「うん……?ならどうするんだ?」
「外から魔力を与えられないとなると……無理矢理に中へ注ぐしかないじゃろうな」
「注ぐ……?どうすればいいんだ?」
「そりゃお前さん、魔力を渡すには、彼女の中に魔力を流し込むんじゃよ」
「だからそれはどうするんだと聞いているんだ!」
「魔力を他人に渡す方法はただ一つ、彼女とつながることじゃな」
「つながるだと……本気で言っているのか?」
「あぁ、この娘さんを助けたければ、魔力を持った者がこの娘さんを抱くしかないの~。口移しでもできなくはないじゃろうが……果たしてどうじゃろうな。この娘さんかなり魔力をもっておったようじゃしなぁ。いやはや……これはすごい魔法使いじゃの~」
爺さんが興味津々の様子で彼女を眺める姿を横目に、俺はその場に固まっていた。
はあ……どうなってるんだ?
抱くってことは……そういうことなのか……?
真意を確かめるように爺さんを睨みつけてみるが……どうやら本気の様子だ。
俺がこの魔法使いを……寝ている女を抱く趣味は無いんだが……。
「わしがもう少し若ければなぁ……残念じゃ……。まぁ恋人がいる以上お前さんが抱いてあげんしゃい。あとはそうじゃ、この首の噛まれた傷と毒を解読してみたんじゃが、それほど強い毒ではないからのぉ、安静にしておれば問題はないようじゃ。魔力さえ補充できれば、彼女は目覚めるじゃろうて」
爺さんは遣い魔を帰還させると、俺を肩を強く叩き、ニヤリと口角を上げたかと思うと、そのまま部屋から去っていった。
残された俺は彼女を目の前に、暫し頭を抱えていた。
この女を助ける為には……くそっ、どうして俺が……。
とりあえず……。
俺はそっと彼女の元へ近づいてくと、冷たい頬へと触れる。
爺さんは口づけでも何とかなると言っていたな……。
まるで死んでしまっているかのような冷たさにたじろぐ中、意を決して彼女の唇へ近づけていった。
女に口づけるのに、これほどまで緊張したことはない……。
真っ赤に染まる唇へそっと重ねてみると、突然体に巡る血が一気に湧き上がった。
何かが吸い取られる感覚に、思わず体を離そうとしたその刹那、彼女の舌が俺の中へ侵入してくる。
頬の冷たさと相まって熱いその舌に一瞬怯むと、先ほどまでピクリとも動かなかった彼女の腕が俺の首へと巻き付いてきた。
クチュッ、クチュッ、チュッ、
唾液が混ざり深くなる口づけに下半身が反応すると、その甘く痺れるような感覚に犯されていく。
彼女の甘さを求めるように舌を絡ませ続ける中、気がつけば俺は彼女をベッドへと押さえつけていた。
甘美なその舌を堪能するように、無我夢中に何度も何度も口づけを交わしていく。
こんなに心地いいと感じたのは、初めてだな。
もっと味わいたい。
彼女の香りに、甘さに酔いしれる中、俺は何度も彼女の舌を求めていった。
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