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第五章
新章6:雨降る街で
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抗うこともできずどこかへ落ちていく中、薄っすらと目を開けてみると、そこは何もない暗闇だった。
ここはなに……?
いえ、それよりも夢のはずなのにどうしてこんなにはっきりと魔力を感じる事が出来るの……?
暗闇の中、意識を集中させてみると、先ほどの魔力はまだ流れ出しているらしく……体が次第にだるくなっていく。
あまりにもリアルすぎるその感覚戸惑う中、私は恐る恐るに頬をつねってみると、鈍い痛みを感じた。
痛い……これは現実なの……?
でも私はルーカスの家に居て……シナンと本を眺めていたはず。
それに首を噛まれて……ひどい熱が……。
額に手を当ててみるも先ほどのような熱は感じられない。
一体どうなっているの……?
わけのわからない現状に戸惑う中、突然に落下速度が緩やかになると、辺りにフワッとした光がいくつも浮かび上がる。
それはまるで夜空に瞬く星の様で、幻想的な光景に感嘆とした声が漏れる中、その先に薄っすらと人影が浮かび上がった。
その影はこちらへゆっくりと近づいてくる。
目を凝らしてみると……そこにはレックスの姿が映った。
どっ、どうしてレックスが……?
「嘘だろう……なんであんたがここに?西の国にいるはずだろう?」
茫然とする中、レックスは慌てた様子で駆け寄ってくると、彼と視線が絡む。
懐かしい青い瞳に私の姿が映り込むと、彼は恐る恐るといった様子で、私へと手を伸ばした。
彼の大きな手が私の頬へ触れると、ほっとするような温もりが伝わってくる。
これは現実……それとも夢なのかしら……?
触れた手の感触を感じながらにレックスとじっと見上げていると、闇だった景色が一瞬にして変化していった。
暗闇は晴れ、光の粒子が辺りに散らばったかと思うと、レックスの仕事場が現れる。
その様子にレックスは辺りを見渡すと、なぜか大きく息を吐き出した。
「はぁ……なんだ……これは夢か……。やっとあんたに……再会出来たと思ったんだけどな……」
レックスは残念そうに眉を下げると、弱弱しい笑みを浮かべて見せる。
「えっ、待って!?あなたの夢……?あれ、これは私の夢じゃないの?……一体どうなっているのかしら……?」
「あんたの夢……?うん……この魔力……まさか本物……。いや、だが……俺の夢に入ってきたのか?」
夢に入る……?
その言葉……どこかで聞いたことがあるような……。
レックスはブツブツと呟くと、考え込むような仕草を見せる。
「ごめんなさい、自分でもわからなくて……。さっきまでベッドで本を読んでいたの。それで眠ってしまったのだと思うのだけれど……。でも夢にあなたが現れた。それでどこからかあなたの魔力を感じて追いかけたのだけれども……突然にあなたが女性と話している映像が流れて……気が付いたらここに居たの。ごめんなさい、何を言っているかわからないわよね。私自身も混乱しすぎて、うまく説明できないわ……」
私はそう一気に話すと、狼狽する頭を整理するように額に手をあてた。
「まいったな……あれを見られていたのか……。俺の姿だけじゃなく、周りも映し出せるなんて、さすが異世界の姫か……規格外だな。いやそれよりも、俺の魔力を追いかけてきたのなら間違いないな。あんたは俺の夢へ入り込んだ。夢に入るには強い思いが必要だ。あんたは俺に会いたい、と強く願ってくれたんだろう?だが夢の中へ入るには壮大な魔力が必要だが……あんたならその程度余裕だろう……。あとは……目覚めた後、暫くの間は外から魔力を供給出来なくなる。まぁ、もとより魔力を外から受け付けない異世界の姫には関係ないかもしれないがな……」
私がレックスに会いたいと願ったから……彼の夢の中に入ってしまったって事……?
それなら……ここにいるレックスは本当の彼。
願ってもない機会、薬草の事を聞くチャンスだわ!
「そうなの、あなたに聞きたいことがあるの。西の国で色々あって、薬草についてなんだけれど……毒を体から吸収してくれる桃色の薬草があるじゃない。今その薬草が必要なんだけれど、西の国にはないみたいなの。でもその薬草にそっくりな別の薬草を見つけた。その薬草は形は全く同じで、でも色が桃色ではなく、青色なのよね。ねぇ、この薬草だと同じ効果は見込めないのかしら……?」
問いかけてみると、レックスは優し気な笑みを浮かべて見せた。
「それは同じ薬草だな。西の国についての情報は少ないが……想像するに北の国よりも気温が低いんじゃないか?あの薬草は気温によって色が変化するんだ。だから魔法で温めてやれば、色が変わり同じ効果が得られるだろう。温めるすぎると枯れるから注意しろよ。……だがその薬草が必要になるって事は……一体何があったんだ?」
まぁ、そう聞かれるわよね……。
でも自分が毒に侵されていると言えば、変に心配させてしまうわ。
「えっ、あっ、その……。私じゃないのだけれど、遣い魔に噛まれた人がいて、今も高熱にうなされているのよね。その人を助けたくて……」
そう誤魔化してみると、レックスは考え込むように視線を落とした。
ここはなに……?
いえ、それよりも夢のはずなのにどうしてこんなにはっきりと魔力を感じる事が出来るの……?
暗闇の中、意識を集中させてみると、先ほどの魔力はまだ流れ出しているらしく……体が次第にだるくなっていく。
あまりにもリアルすぎるその感覚戸惑う中、私は恐る恐るに頬をつねってみると、鈍い痛みを感じた。
痛い……これは現実なの……?
でも私はルーカスの家に居て……シナンと本を眺めていたはず。
それに首を噛まれて……ひどい熱が……。
額に手を当ててみるも先ほどのような熱は感じられない。
一体どうなっているの……?
わけのわからない現状に戸惑う中、突然に落下速度が緩やかになると、辺りにフワッとした光がいくつも浮かび上がる。
それはまるで夜空に瞬く星の様で、幻想的な光景に感嘆とした声が漏れる中、その先に薄っすらと人影が浮かび上がった。
その影はこちらへゆっくりと近づいてくる。
目を凝らしてみると……そこにはレックスの姿が映った。
どっ、どうしてレックスが……?
「嘘だろう……なんであんたがここに?西の国にいるはずだろう?」
茫然とする中、レックスは慌てた様子で駆け寄ってくると、彼と視線が絡む。
懐かしい青い瞳に私の姿が映り込むと、彼は恐る恐るといった様子で、私へと手を伸ばした。
彼の大きな手が私の頬へ触れると、ほっとするような温もりが伝わってくる。
これは現実……それとも夢なのかしら……?
触れた手の感触を感じながらにレックスとじっと見上げていると、闇だった景色が一瞬にして変化していった。
暗闇は晴れ、光の粒子が辺りに散らばったかと思うと、レックスの仕事場が現れる。
その様子にレックスは辺りを見渡すと、なぜか大きく息を吐き出した。
「はぁ……なんだ……これは夢か……。やっとあんたに……再会出来たと思ったんだけどな……」
レックスは残念そうに眉を下げると、弱弱しい笑みを浮かべて見せる。
「えっ、待って!?あなたの夢……?あれ、これは私の夢じゃないの?……一体どうなっているのかしら……?」
「あんたの夢……?うん……この魔力……まさか本物……。いや、だが……俺の夢に入ってきたのか?」
夢に入る……?
その言葉……どこかで聞いたことがあるような……。
レックスはブツブツと呟くと、考え込むような仕草を見せる。
「ごめんなさい、自分でもわからなくて……。さっきまでベッドで本を読んでいたの。それで眠ってしまったのだと思うのだけれど……。でも夢にあなたが現れた。それでどこからかあなたの魔力を感じて追いかけたのだけれども……突然にあなたが女性と話している映像が流れて……気が付いたらここに居たの。ごめんなさい、何を言っているかわからないわよね。私自身も混乱しすぎて、うまく説明できないわ……」
私はそう一気に話すと、狼狽する頭を整理するように額に手をあてた。
「まいったな……あれを見られていたのか……。俺の姿だけじゃなく、周りも映し出せるなんて、さすが異世界の姫か……規格外だな。いやそれよりも、俺の魔力を追いかけてきたのなら間違いないな。あんたは俺の夢へ入り込んだ。夢に入るには強い思いが必要だ。あんたは俺に会いたい、と強く願ってくれたんだろう?だが夢の中へ入るには壮大な魔力が必要だが……あんたならその程度余裕だろう……。あとは……目覚めた後、暫くの間は外から魔力を供給出来なくなる。まぁ、もとより魔力を外から受け付けない異世界の姫には関係ないかもしれないがな……」
私がレックスに会いたいと願ったから……彼の夢の中に入ってしまったって事……?
それなら……ここにいるレックスは本当の彼。
願ってもない機会、薬草の事を聞くチャンスだわ!
「そうなの、あなたに聞きたいことがあるの。西の国で色々あって、薬草についてなんだけれど……毒を体から吸収してくれる桃色の薬草があるじゃない。今その薬草が必要なんだけれど、西の国にはないみたいなの。でもその薬草にそっくりな別の薬草を見つけた。その薬草は形は全く同じで、でも色が桃色ではなく、青色なのよね。ねぇ、この薬草だと同じ効果は見込めないのかしら……?」
問いかけてみると、レックスは優し気な笑みを浮かべて見せた。
「それは同じ薬草だな。西の国についての情報は少ないが……想像するに北の国よりも気温が低いんじゃないか?あの薬草は気温によって色が変化するんだ。だから魔法で温めてやれば、色が変わり同じ効果が得られるだろう。温めるすぎると枯れるから注意しろよ。……だがその薬草が必要になるって事は……一体何があったんだ?」
まぁ、そう聞かれるわよね……。
でも自分が毒に侵されていると言えば、変に心配させてしまうわ。
「えっ、あっ、その……。私じゃないのだけれど、遣い魔に噛まれた人がいて、今も高熱にうなされているのよね。その人を助けたくて……」
そう誤魔化してみると、レックスは考え込むように視線を落とした。
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