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第三章
閑話:過去の世界で5:後編
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悲しみに暮れるそんなある日、一通の伝書蝶が僕の元へと届いた。
「よっ~、オズワルド殿。嫁を返してほしければ、イサファミリーに協力しろ。もしノーと返答した場合、あんたの嫁は苦しみながら死ぬことになるぜ」
蝶と一緒に届けられたものは、僕が婚約の際プレゼントした青いネックレス。
その青いネックレスには血痕が飛び散っており……僕は頭の中が真っ白になった。
それから僕は彼らの言いなりになると、城で行われていたイサファミリーの捜査をかく乱した。
文官で出来ることは少ないが……、報告書などを偽造し、イサファミリーのアジトを突き止められない様画策していく。
城内でイサファミリーの捜査が難航を見せる中、僕は必死に妻を探していた。
妻は売られてはいない。
どこかへ囚われているんだ、でも一体どこに……。
そうしてイサファミリーについて調べながら、数か月たったある日、イサファミリー部下たちが僕の屋敷へとやってきたんだ。
妻に会わせてくれるのだろうか……そう希望を持って、僕は抵抗することなく、彼らについていった。
連れて行かれた先は、昔シモンとステラ、妻と4人で暮らしていた屋敷だった。
屋敷の中へ通されると、そこには成長したシモンの姿に目を見張った。
信じられなかった。
あそこからまさか生きて帰って来ているなんて。
息子の姿に仰天する中、息子が危ない事に手を染めている事実に、私は息子に詰め寄った。
イサファミリーを雇い、暴走するシモン止めようと試みるが……僕の言葉はシモンには届かなかった。
当たり前だ……こんなダメな親の言う言葉に、重みなどないだろう……。
そこで僕は妻を返して欲しい、そう懇願すれば、シモンはまだ僕にやってほしいことがあると言い放った。
シモンが僕を今日ここに呼び出した理由は、王族に話を繋げとの事だ。
今問題になっている、女性が減っていく現象の理由がわかったからだと……。
ありえない。
私たちがどんなに調べても見つけられていない原因をなぜ息子が……。
呆然とする中、息子は何かに気が付くと、悪態付き慌てた様子で階段を下りていってしまった。
僕は息子に蹴り飛ばされ蹲っていると、後ろから足音が耳に届いた。
痛みを堪えながらに、ゆっくり体を持ちげると、そこには見た事もない男が僕を見下ろす様に立っていた。
男の僕ですら見惚れるほどの端正な顔立ちに、美しいエメラルドの瞳。
服装を見ると、城の魔法師の証であるローブを着ている。
だが僕はこんな男を、城で見たことがない。
息子の仲間か……?
警戒するよう視線を向けると、男はそっと私の傍へしゃがみ込み、体を支えるよう持ち上げてくれた。
「大丈夫ですか?」
はい、そう返事をかえすと、彼の真剣な眼差しと視線が絡む。
「私がこの屋敷の魔法封じを解除します。魔法さえ解除すれば、彼を捕えることも出来るでしょう。それまで……あの男の足止めをお願いします」
「待て、あなたは一体?」
美しい男は徐に立ち上がると、廊下の奥をじっと見据えていた。
「私はある女性を、救いにきただけです」
そうポツリと話すと、そのまま彼は去っていった。
僕はすぐに立ち上がり、階段を下り、エントランスへやってくると、そこには大臣の姿があった。
どうしてここがわかったのか?
いるはずのない大臣の姿に、疑問符が浮かぶ中、彼は私の傍へと来ると、娘がこの場所を知らせてくれたのだと教えてくれた。
どうして娘が城に居たのか……それはわからないが、シモンは大臣がひきつれた部隊に捕まり、城へと連行されていったのだと。
妻も別室で保護されたと聞かされたが……妻は薬漬けにされ、狂っていると聞かされた。
治療には数年かかるだろうとも……。
大臣に魔導師が残っていると説明すると、私たちは急いで階段を駆け上がった。
魔導師が向かった扉を潜ると、そこには氷漬けにされたイサファミリーのボスと先ほどの彼……その彼の腕の中には美しい女性がスヤスヤ眠っていた。
先ほど息子から聞いた話だと、あの女性が何かしら、女性が減った現象の原因を知っている。
そう大臣に伝えてみると……二人を城に連れて行くことになった。
あの魔導師も、城のローブを着ているが、やはり城の者ではない。
人間を凍らせるほどの魔力を持つ者を野放しには出来ない。
褒美を与えると、そう話し彼らを連れて行こうと試みるが、男はかなり警戒しているだった。
慎重に慎重にと思っていたが……男から移転魔法の気配がすると、僕はそれを止める為に魔法を放つ。
しかし男は女性を抱いたまま、軽々と窓の外へと飛び出した。
慌てて外を覗き込むと、もうそこには誰の姿も見当たらなかった。
大臣は移転魔法を止めると、周りに居た騎士へ命令を出していく。
「お前たち、すぐに捜索しろ。後オズワルド、お前の処分は後日、王より通達が来るだろう。城へ戻るぞ。脅されていたとは言え、お前がやった事は重罪だ。覚悟はしておけ」
「わかりました」
そう僕が返事をかえすと、大臣は僕の傍へやってくると、妻の事は俺に任せておけと優しい言葉をくれる。
僕は震える声で感謝の言葉を口にすると、大臣と共に、そのまま城へと戻っていった。
「よっ~、オズワルド殿。嫁を返してほしければ、イサファミリーに協力しろ。もしノーと返答した場合、あんたの嫁は苦しみながら死ぬことになるぜ」
蝶と一緒に届けられたものは、僕が婚約の際プレゼントした青いネックレス。
その青いネックレスには血痕が飛び散っており……僕は頭の中が真っ白になった。
それから僕は彼らの言いなりになると、城で行われていたイサファミリーの捜査をかく乱した。
文官で出来ることは少ないが……、報告書などを偽造し、イサファミリーのアジトを突き止められない様画策していく。
城内でイサファミリーの捜査が難航を見せる中、僕は必死に妻を探していた。
妻は売られてはいない。
どこかへ囚われているんだ、でも一体どこに……。
そうしてイサファミリーについて調べながら、数か月たったある日、イサファミリー部下たちが僕の屋敷へとやってきたんだ。
妻に会わせてくれるのだろうか……そう希望を持って、僕は抵抗することなく、彼らについていった。
連れて行かれた先は、昔シモンとステラ、妻と4人で暮らしていた屋敷だった。
屋敷の中へ通されると、そこには成長したシモンの姿に目を見張った。
信じられなかった。
あそこからまさか生きて帰って来ているなんて。
息子の姿に仰天する中、息子が危ない事に手を染めている事実に、私は息子に詰め寄った。
イサファミリーを雇い、暴走するシモン止めようと試みるが……僕の言葉はシモンには届かなかった。
当たり前だ……こんなダメな親の言う言葉に、重みなどないだろう……。
そこで僕は妻を返して欲しい、そう懇願すれば、シモンはまだ僕にやってほしいことがあると言い放った。
シモンが僕を今日ここに呼び出した理由は、王族に話を繋げとの事だ。
今問題になっている、女性が減っていく現象の理由がわかったからだと……。
ありえない。
私たちがどんなに調べても見つけられていない原因をなぜ息子が……。
呆然とする中、息子は何かに気が付くと、悪態付き慌てた様子で階段を下りていってしまった。
僕は息子に蹴り飛ばされ蹲っていると、後ろから足音が耳に届いた。
痛みを堪えながらに、ゆっくり体を持ちげると、そこには見た事もない男が僕を見下ろす様に立っていた。
男の僕ですら見惚れるほどの端正な顔立ちに、美しいエメラルドの瞳。
服装を見ると、城の魔法師の証であるローブを着ている。
だが僕はこんな男を、城で見たことがない。
息子の仲間か……?
警戒するよう視線を向けると、男はそっと私の傍へしゃがみ込み、体を支えるよう持ち上げてくれた。
「大丈夫ですか?」
はい、そう返事をかえすと、彼の真剣な眼差しと視線が絡む。
「私がこの屋敷の魔法封じを解除します。魔法さえ解除すれば、彼を捕えることも出来るでしょう。それまで……あの男の足止めをお願いします」
「待て、あなたは一体?」
美しい男は徐に立ち上がると、廊下の奥をじっと見据えていた。
「私はある女性を、救いにきただけです」
そうポツリと話すと、そのまま彼は去っていった。
僕はすぐに立ち上がり、階段を下り、エントランスへやってくると、そこには大臣の姿があった。
どうしてここがわかったのか?
いるはずのない大臣の姿に、疑問符が浮かぶ中、彼は私の傍へと来ると、娘がこの場所を知らせてくれたのだと教えてくれた。
どうして娘が城に居たのか……それはわからないが、シモンは大臣がひきつれた部隊に捕まり、城へと連行されていったのだと。
妻も別室で保護されたと聞かされたが……妻は薬漬けにされ、狂っていると聞かされた。
治療には数年かかるだろうとも……。
大臣に魔導師が残っていると説明すると、私たちは急いで階段を駆け上がった。
魔導師が向かった扉を潜ると、そこには氷漬けにされたイサファミリーのボスと先ほどの彼……その彼の腕の中には美しい女性がスヤスヤ眠っていた。
先ほど息子から聞いた話だと、あの女性が何かしら、女性が減った現象の原因を知っている。
そう大臣に伝えてみると……二人を城に連れて行くことになった。
あの魔導師も、城のローブを着ているが、やはり城の者ではない。
人間を凍らせるほどの魔力を持つ者を野放しには出来ない。
褒美を与えると、そう話し彼らを連れて行こうと試みるが、男はかなり警戒しているだった。
慎重に慎重にと思っていたが……男から移転魔法の気配がすると、僕はそれを止める為に魔法を放つ。
しかし男は女性を抱いたまま、軽々と窓の外へと飛び出した。
慌てて外を覗き込むと、もうそこには誰の姿も見当たらなかった。
大臣は移転魔法を止めると、周りに居た騎士へ命令を出していく。
「お前たち、すぐに捜索しろ。後オズワルド、お前の処分は後日、王より通達が来るだろう。城へ戻るぞ。脅されていたとは言え、お前がやった事は重罪だ。覚悟はしておけ」
「わかりました」
そう僕が返事をかえすと、大臣は僕の傍へやってくると、妻の事は俺に任せておけと優しい言葉をくれる。
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