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ちょっ、何を言い出すの!?
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へぇっ、どういうこと!?
お灸を据える……?
ちょっ、いやいやあなたが私を助けてくれたんじゃない!?
不穏な空気が漂う二人の様子に、割って入ろうとした刹那、王子が彼女へ詰め寄った。
「……ッッ、お前が他人を傷つけようとするやつだとは思わなかった!そんなやつとは結婚できない!婚約破棄を申し出る!」
とんでもない言葉に目を見開き固まると、頭が真っ白になった。
「結構ですわ。陛下に宜しくお伝えくださいませ」
彼女はニッコリと笑みを深め礼を見せると、私と視線が絡む。
そこでようやく我に返ると、私は掴まれた腕を振り払い、全力で首を横へ振った。
「ちょっ、ちょっ、何を言っているのよ、バカじゃないの!?ステイシー様は私を助けてくれたのよ!」
「彼女を庇う必要なんてないんだ。俺がお前を守る」
はぁ!?頭わいているの?
王子の言葉に絶句していると、騒ぎを聞きつけてきた他の学生たちが集まってきた。
なんなのこの状況は!
どうしてこんなことになっているの?
どうしてそんな嘘をつくのよ!
「だから違います!私の話をちゃんとッッ」
「今日からお前が俺の婚約者だ」
言葉を遮りそう言い放った王子に一気に血の気が引く。
何言っちゃってんの?婚約者、ありえない!
感情任せに叫ぼうとした刹那、ステイシーは含みのある笑みを浮かべると、野次馬とは逆の方角へ走り去っていった。
その姿に私は王子を突き飛ばし慌てて追いかける。
「おい、どこへ行くんだ?照れなくてもいいんだぜ」
気の抜けた勘違い王子の声にぶん殴りたいとの怒りが込み上げる。
ダメよ、落ち着きなさい、この王子とまともに話をするのは無理。
私は握った拳を収めると振り返ることなく走ったのだった。
令嬢なのに想像以上に足が速く、なかなか距離がつまらない。
見失わないように彼女の背を必死に追いかけていると、ふとスピードが緩んだ。
私は速度を上げると、ガッチリ彼女の肩を掴んで引き留める。
「はぁ、はぁ、はぁッッ、お待ちください、はぁ、はぁ、さっきのはどういことなんですか?……ッッ」
肩で息をしながらなんとか言葉を絞り出すと、ステイシーはおもむろに振り返った。
驚いたことに彼女は全く息を乱していない。
「あら……どうして追いかけてきたの?」
彼女は驚いた表情を浮かべながら、息が上がった私の背中を優しくさすった。
「はぁ、はぁ、はぁ、いやいやッッ、はぁ、はぁ、……追いかけない方がおかしいですよ」
「そうかしら?あなたジェシーを好きなのでしょう?」
とんでもない言葉に勢いよく顔を上げると、彼女の両肩をがっちり掴んだ。
「はぁ!?ありえないですよ!誰に聞いたんですか!私は王子の事なんて大嫌いですから!」
私の権幕に彼女は落ち着いてと手を上げると、困った笑みを浮かべて見せた。
「あらあら、そうだったの……ごめんなさいね、聞いていた話と違うわ……。うーん、でもよく考えてみて、平民から王族なんて素晴らしいことじゃない。誰も成し遂げていない偉業よ」
「偉業なんて成し遂げたくありません!あんな王子お断りです!」
「まぁそう言わずに、彼はあなたを好いているわ。もし貴族になることに不安があるのなら、私が全面的にフォローするから、ねぇ?」
「良くないです!何を言っているんですか!!!」
声を荒げ絶叫すると、彼女は眉を下げ困った表情を浮かべた。
お灸を据える……?
ちょっ、いやいやあなたが私を助けてくれたんじゃない!?
不穏な空気が漂う二人の様子に、割って入ろうとした刹那、王子が彼女へ詰め寄った。
「……ッッ、お前が他人を傷つけようとするやつだとは思わなかった!そんなやつとは結婚できない!婚約破棄を申し出る!」
とんでもない言葉に目を見開き固まると、頭が真っ白になった。
「結構ですわ。陛下に宜しくお伝えくださいませ」
彼女はニッコリと笑みを深め礼を見せると、私と視線が絡む。
そこでようやく我に返ると、私は掴まれた腕を振り払い、全力で首を横へ振った。
「ちょっ、ちょっ、何を言っているのよ、バカじゃないの!?ステイシー様は私を助けてくれたのよ!」
「彼女を庇う必要なんてないんだ。俺がお前を守る」
はぁ!?頭わいているの?
王子の言葉に絶句していると、騒ぎを聞きつけてきた他の学生たちが集まってきた。
なんなのこの状況は!
どうしてこんなことになっているの?
どうしてそんな嘘をつくのよ!
「だから違います!私の話をちゃんとッッ」
「今日からお前が俺の婚約者だ」
言葉を遮りそう言い放った王子に一気に血の気が引く。
何言っちゃってんの?婚約者、ありえない!
感情任せに叫ぼうとした刹那、ステイシーは含みのある笑みを浮かべると、野次馬とは逆の方角へ走り去っていった。
その姿に私は王子を突き飛ばし慌てて追いかける。
「おい、どこへ行くんだ?照れなくてもいいんだぜ」
気の抜けた勘違い王子の声にぶん殴りたいとの怒りが込み上げる。
ダメよ、落ち着きなさい、この王子とまともに話をするのは無理。
私は握った拳を収めると振り返ることなく走ったのだった。
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見失わないように彼女の背を必死に追いかけていると、ふとスピードが緩んだ。
私は速度を上げると、ガッチリ彼女の肩を掴んで引き留める。
「はぁ、はぁ、はぁッッ、お待ちください、はぁ、はぁ、さっきのはどういことなんですか?……ッッ」
肩で息をしながらなんとか言葉を絞り出すと、ステイシーはおもむろに振り返った。
驚いたことに彼女は全く息を乱していない。
「あら……どうして追いかけてきたの?」
彼女は驚いた表情を浮かべながら、息が上がった私の背中を優しくさすった。
「はぁ、はぁ、はぁ、いやいやッッ、はぁ、はぁ、……追いかけない方がおかしいですよ」
「そうかしら?あなたジェシーを好きなのでしょう?」
とんでもない言葉に勢いよく顔を上げると、彼女の両肩をがっちり掴んだ。
「はぁ!?ありえないですよ!誰に聞いたんですか!私は王子の事なんて大嫌いですから!」
私の権幕に彼女は落ち着いてと手を上げると、困った笑みを浮かべて見せた。
「あらあら、そうだったの……ごめんなさいね、聞いていた話と違うわ……。うーん、でもよく考えてみて、平民から王族なんて素晴らしいことじゃない。誰も成し遂げていない偉業よ」
「偉業なんて成し遂げたくありません!あんな王子お断りです!」
「まぁそう言わずに、彼はあなたを好いているわ。もし貴族になることに不安があるのなら、私が全面的にフォローするから、ねぇ?」
「良くないです!何を言っているんですか!!!」
声を荒げ絶叫すると、彼女は眉を下げ困った表情を浮かべた。
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