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中等部
ある日の屋上で:後編
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疑問を口にしようとした刹那、屋上の扉がバンッと大きく開いた。
同時に扉へと目を向けると、そこには乾いた笑みを浮かべる兄が佇んでいる。
「……彩華?どうしてここに、今は授業中のはずだよね?こんなところで何をしているのかな?」
「えぇ、へぇっ!?おっ、お兄様。なっなんで!?えーと、これはその……」
まずいと思いながら何とか取り繕うとしていると、お兄様の笑顔は次第に深くなっていく。
まずいますい、怒ってる……なんて説明しょう……。
「はぁ……まぁいい。彩華、理由は後でゆっくり聞くとするよ。それよりも亮、こんなところで何をやっているんだ?今すぐやるべきことがあるだろう?今日提出するはずのノート、亮の分だけまだ見当たらないんだけど」
「ああぁぁ!そうだった……。いや~それがねぇ~色々と忙しくて……ッッ。ちょっ、ちょっと、怖い、怖いって……ッッ。怒らない怒らない、落ち着いてよ、すぐに用意するからさ、ね!」
兄の威圧感にビビりながらもへらへらと笑う彼に、兄は笑顔のまま近づくと、ジリジリと後ず去り二人の距離が縮まらない。
しかし気がつくと彼は壁まで追いこまれ、小さく悲鳴を上げた。
追い詰められていく彼の様子に、私はそっとその場から離れる。
これは相当怒っているわ……恐ろしい。
彼には悪いけど、火の粉が飛ばないように離れておこう……。
触らぬ神に祟りなしよね……。
兄は亮を壁際まで追い込むと、ドンっと壁に手を付き見下ろした。
「なぁ亮、彩華に余計な事を喋るな。もちろん軽口も叩いてないよな……?」
「いや、その、まぁ~少しっ、ちょちょちょッ、あんまり過保護だと嫌われるぜ」
「ほう~、やっぱりわかってないようだな。よし明日は今日の倍やってもらう、覚悟しておけ」
「へぇ、ちょっ、ちょっと冗談だって!あんな可愛い妹がいたらそのぐらいの過保護、いやいや違う、違う、えーと、大事にしないとだよな!」
彼らの話声は聞こえないが、亮の焦った顔を見る限り、お兄様の雷が落ちているのだとわかる。
かわいそうだけど、そっとしておきましょう。
私はサッと屋上の扉へと向かうと、二人を残したまま屋上を後にした。
その後、兄と学園で会うことなく帰宅すると、仁王立ちした兄が玄関に佇んでいた。
「ひぃ……ッッおっ、お兄様、えーと、あーと、今戻りましたわ……」
「おかえり、彩華。早速だけど、話の続きを聞かせてもらおうかな。今日はどうしてあんな時間、屋上に居たのかな?」
ひぇぇぇ、怒ってる……。
表情は笑みを浮かべているが、目は笑っていない。
何も良い案が思い浮かばない現状……ここは正直に話そう。
「えーと、それは……屋上で休憩していたら、チャイムを聞き逃してしまって……。それで教室へ戻るタイミングを見失ってしまったと言いますか……モゴモゴ」
兄は私の言葉に呆れた様子を見せると、深いため息を吐いた。
「はぁ、次からは気を付けるんだよ。それと今日出会った彼とはあまり接触しないようにね。彼の傍に居るだけで妊娠してしまうかもしれない」
とんでもない言葉に私は目を見張っていると、兄は私の頭を優しく撫でる。
「彩華は可愛いからね、僕はとっても心配なんだ」
兄の表情を窺うと、まだ怒りは収まっていない様子だ。
怒りのオーラを纏う兄の姿に、私はコクコクと何度もうなずくと、鞄を抱きかかえ、これ以上怒らせないよう部屋へと戻って行ったのだった。
部屋へ戻り扉を閉めると、私は壁にもたれそのまま座り込む。
はぁ……シスコンがかなりひどくなっていっている気がする。
そろそろ本気で苦言を呈したほうがいいのかもしれない。
先ほどの兄の姿が頭を掠めると、ドッと疲労が襲ってくる。
制服のままベッドへ倒れ込むと、私はそっと瞳を閉じたのだった。
同時に扉へと目を向けると、そこには乾いた笑みを浮かべる兄が佇んでいる。
「……彩華?どうしてここに、今は授業中のはずだよね?こんなところで何をしているのかな?」
「えぇ、へぇっ!?おっ、お兄様。なっなんで!?えーと、これはその……」
まずいと思いながら何とか取り繕うとしていると、お兄様の笑顔は次第に深くなっていく。
まずいますい、怒ってる……なんて説明しょう……。
「はぁ……まぁいい。彩華、理由は後でゆっくり聞くとするよ。それよりも亮、こんなところで何をやっているんだ?今すぐやるべきことがあるだろう?今日提出するはずのノート、亮の分だけまだ見当たらないんだけど」
「ああぁぁ!そうだった……。いや~それがねぇ~色々と忙しくて……ッッ。ちょっ、ちょっと、怖い、怖いって……ッッ。怒らない怒らない、落ち着いてよ、すぐに用意するからさ、ね!」
兄の威圧感にビビりながらもへらへらと笑う彼に、兄は笑顔のまま近づくと、ジリジリと後ず去り二人の距離が縮まらない。
しかし気がつくと彼は壁まで追いこまれ、小さく悲鳴を上げた。
追い詰められていく彼の様子に、私はそっとその場から離れる。
これは相当怒っているわ……恐ろしい。
彼には悪いけど、火の粉が飛ばないように離れておこう……。
触らぬ神に祟りなしよね……。
兄は亮を壁際まで追い込むと、ドンっと壁に手を付き見下ろした。
「なぁ亮、彩華に余計な事を喋るな。もちろん軽口も叩いてないよな……?」
「いや、その、まぁ~少しっ、ちょちょちょッ、あんまり過保護だと嫌われるぜ」
「ほう~、やっぱりわかってないようだな。よし明日は今日の倍やってもらう、覚悟しておけ」
「へぇ、ちょっ、ちょっと冗談だって!あんな可愛い妹がいたらそのぐらいの過保護、いやいや違う、違う、えーと、大事にしないとだよな!」
彼らの話声は聞こえないが、亮の焦った顔を見る限り、お兄様の雷が落ちているのだとわかる。
かわいそうだけど、そっとしておきましょう。
私はサッと屋上の扉へと向かうと、二人を残したまま屋上を後にした。
その後、兄と学園で会うことなく帰宅すると、仁王立ちした兄が玄関に佇んでいた。
「ひぃ……ッッおっ、お兄様、えーと、あーと、今戻りましたわ……」
「おかえり、彩華。早速だけど、話の続きを聞かせてもらおうかな。今日はどうしてあんな時間、屋上に居たのかな?」
ひぇぇぇ、怒ってる……。
表情は笑みを浮かべているが、目は笑っていない。
何も良い案が思い浮かばない現状……ここは正直に話そう。
「えーと、それは……屋上で休憩していたら、チャイムを聞き逃してしまって……。それで教室へ戻るタイミングを見失ってしまったと言いますか……モゴモゴ」
兄は私の言葉に呆れた様子を見せると、深いため息を吐いた。
「はぁ、次からは気を付けるんだよ。それと今日出会った彼とはあまり接触しないようにね。彼の傍に居るだけで妊娠してしまうかもしれない」
とんでもない言葉に私は目を見張っていると、兄は私の頭を優しく撫でる。
「彩華は可愛いからね、僕はとっても心配なんだ」
兄の表情を窺うと、まだ怒りは収まっていない様子だ。
怒りのオーラを纏う兄の姿に、私はコクコクと何度もうなずくと、鞄を抱きかかえ、これ以上怒らせないよう部屋へと戻って行ったのだった。
部屋へ戻り扉を閉めると、私は壁にもたれそのまま座り込む。
はぁ……シスコンがかなりひどくなっていっている気がする。
そろそろ本気で苦言を呈したほうがいいのかもしれない。
先ほどの兄の姿が頭を掠めると、ドッと疲労が襲ってくる。
制服のままベッドへ倒れ込むと、私はそっと瞳を閉じたのだった。
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