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幼少期
父と対面:後編
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控室へ向かっている途中で、天然パーマでブロンドヘヤーをした少年が、足をブラブラとさせ、隅っこでつまらなそうに座っているのを見つけた。
興味本位でその少年に近づいてみると、彼は私の存在に気が付いたのか顔を上げると、透き通ったブルーアイズと視線が絡む。
綺麗な瞳、ハーフ……うーん、どこの子供かな?
「アッ、エッ、ゴメンナサイ……。ワタシコトバワカラナイ」
片言の日本語でしゃべった彼はとても困った様子に映った。
やっぱりハーフじゃないんだね、なら……。
”Well...Where are you from?"
試しに英語で話しかけてみると、彼は驚いた様子で私をじっと見つめていた。
”Oh,I am France"
フランスね、ネイティブレベルは厳しいけど。お稽古事で身に着けたフランス語を試してみよう。
[えーと、あー、こんにちは、初めまして!私は彩華っていいます。こんなところで何をしているの?]
拙いフランス語で話してみると、彼は目を丸くし驚きながらも小さく笑った。
[すごいね、とっても上手。こんな可愛いお嬢様に話しかけられるなんて思ってもいなかったよ。僕はアベル、初めまして]
ペラペラと話す彼のフランス語は半分ぐらいしかわからない。
だけど彼の名と、初めましては理解出来た。
こうやって実際に役立つと、やっぱり何でも勉強しておくべきと実感する。
[アベル、宜しくね]
アベルは嬉しそうに笑うと、握手を求めるように手を差し出した。
その手を握り返した刹那、グィッと引き寄せられると、頬に彼の唇が触れる
ビックリし目を丸くしていると、彼は立ち上がった。
思っていたよりも身長が高く唖然と彼を見上げていると、挨拶なのだろうかハグをされる。
慣れないスキンシップに一瞬思考停止するが、すぐ我に返ると照れながらハグを返してみた。
さすが外国人、こういった挨拶は恥ずかしいな。
[ははっ、アヤカ可愛すぎ。みんな僕のわからない言葉で話すからここに逃げてきたんだ、君はこんなところで何をやっているの?]
早口ではっきりと聞き取れないが、何をしてるの?と尋ねられた言葉に、控室に行かなければいけないことを思い出した。
[ごめん!私行かなきゃ!また会場で会えたらお話しようね!]
そう元気よく手を振ると、私は控室へと急いだのだった。
控室へ入ると、母は私の顔を見るなり待ちくたびれました、との様子で深いため息をついた。
私は慌ててごめんなさいと頭を下げると、すぐに鏡の前へ腰かける。
そうして女中たちに着飾られること数十分、揉みくちゃにされ私の疲れはピークに達していた。
はぁ、始まる前に疲れ切っちゃったよ……。
深くため息をつき、ようやく解放された時には、お披露目の開始15分前となっていた。
長すぎ……まぁでも主役だから仕方がないのかな。
これからみんなの挨拶を受けると思うと、憂鬱だなぁ
時計を確認しながらテキパキと片付けを終えた女中たちは、慌てた様子で控室を出て行った。
母と二人となった控室で、鏡に映った和装姿の自分をじっくりと眺めてみる。
薄く化粧もされており、益々狐目が目立っていた。
こうしてみると12歳とは思えないこの色気は何なのだろうか。
そんな事を考えていると、隣で母は空を見つめながら一人ため息をついていた。
恋煩いのようにずっと悩み続ける母の様子に、私は思わず母の顔を覗き込んでみる。
「お母様、最近変よ。一体どうなさったの?」
「……何でもないわ。放っておいて頂戴」
冷たく言い放たれた言葉に、私は眉を寄せると、立ち上がり母の前へと回り込んだ。
「そればっかりね、お母様。言いたいことがあるなら言わないと、抱え込んでいても何も解決しないわ!」
私は腰に手を置き、強く母を見据えると、母の表情が歪んでいく。
「知った風な事を言わないで!子供のくせに!」
母は泣きそうな瞳を私へと向けた。
その姿は迷子になってしまった子供のように儚く揺れていたのだった。
興味本位でその少年に近づいてみると、彼は私の存在に気が付いたのか顔を上げると、透き通ったブルーアイズと視線が絡む。
綺麗な瞳、ハーフ……うーん、どこの子供かな?
「アッ、エッ、ゴメンナサイ……。ワタシコトバワカラナイ」
片言の日本語でしゃべった彼はとても困った様子に映った。
やっぱりハーフじゃないんだね、なら……。
”Well...Where are you from?"
試しに英語で話しかけてみると、彼は驚いた様子で私をじっと見つめていた。
”Oh,I am France"
フランスね、ネイティブレベルは厳しいけど。お稽古事で身に着けたフランス語を試してみよう。
[えーと、あー、こんにちは、初めまして!私は彩華っていいます。こんなところで何をしているの?]
拙いフランス語で話してみると、彼は目を丸くし驚きながらも小さく笑った。
[すごいね、とっても上手。こんな可愛いお嬢様に話しかけられるなんて思ってもいなかったよ。僕はアベル、初めまして]
ペラペラと話す彼のフランス語は半分ぐらいしかわからない。
だけど彼の名と、初めましては理解出来た。
こうやって実際に役立つと、やっぱり何でも勉強しておくべきと実感する。
[アベル、宜しくね]
アベルは嬉しそうに笑うと、握手を求めるように手を差し出した。
その手を握り返した刹那、グィッと引き寄せられると、頬に彼の唇が触れる
ビックリし目を丸くしていると、彼は立ち上がった。
思っていたよりも身長が高く唖然と彼を見上げていると、挨拶なのだろうかハグをされる。
慣れないスキンシップに一瞬思考停止するが、すぐ我に返ると照れながらハグを返してみた。
さすが外国人、こういった挨拶は恥ずかしいな。
[ははっ、アヤカ可愛すぎ。みんな僕のわからない言葉で話すからここに逃げてきたんだ、君はこんなところで何をやっているの?]
早口ではっきりと聞き取れないが、何をしてるの?と尋ねられた言葉に、控室に行かなければいけないことを思い出した。
[ごめん!私行かなきゃ!また会場で会えたらお話しようね!]
そう元気よく手を振ると、私は控室へと急いだのだった。
控室へ入ると、母は私の顔を見るなり待ちくたびれました、との様子で深いため息をついた。
私は慌ててごめんなさいと頭を下げると、すぐに鏡の前へ腰かける。
そうして女中たちに着飾られること数十分、揉みくちゃにされ私の疲れはピークに達していた。
はぁ、始まる前に疲れ切っちゃったよ……。
深くため息をつき、ようやく解放された時には、お披露目の開始15分前となっていた。
長すぎ……まぁでも主役だから仕方がないのかな。
これからみんなの挨拶を受けると思うと、憂鬱だなぁ
時計を確認しながらテキパキと片付けを終えた女中たちは、慌てた様子で控室を出て行った。
母と二人となった控室で、鏡に映った和装姿の自分をじっくりと眺めてみる。
薄く化粧もされており、益々狐目が目立っていた。
こうしてみると12歳とは思えないこの色気は何なのだろうか。
そんな事を考えていると、隣で母は空を見つめながら一人ため息をついていた。
恋煩いのようにずっと悩み続ける母の様子に、私は思わず母の顔を覗き込んでみる。
「お母様、最近変よ。一体どうなさったの?」
「……何でもないわ。放っておいて頂戴」
冷たく言い放たれた言葉に、私は眉を寄せると、立ち上がり母の前へと回り込んだ。
「そればっかりね、お母様。言いたいことがあるなら言わないと、抱え込んでいても何も解決しないわ!」
私は腰に手を置き、強く母を見据えると、母の表情が歪んでいく。
「知った風な事を言わないで!子供のくせに!」
母は泣きそうな瞳を私へと向けた。
その姿は迷子になってしまった子供のように儚く揺れていたのだった。
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