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エリックルート
8卒業式当日
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馬車が止まり、執事が私に声をかけると、エスコートで馬車を降りていく。
いつもとは違うビップな対応に困惑する中、私はチラリと執事へ視線を向けた。
まるで夜会へ来たようなエスコートだな、どうしたんだ一体。
頭に疑問符が浮かぶ中、私はいつものように学園の門を潜り、エントランスへ向かっていると、回りの学生たちがざわつき始める。
どうしたのかと思うと辺りを見渡す中、彼らの視線が私に集中していることに気が付いた。
顔見知り生徒を見つけ、笑顔を向けると、なぜか頬を染め目を逸らされる。
不思議に思いながらエントランスへ向かうと、良く知るブロンドの髪が目に入った。
「エリック、おはよう」
エリックは私の声に振り返ると、大きく目を見開き固まった。
そんな彼の様子に近づいて行くと、グイッと腕を引っ張られ人目から隠すように廊下の隅へと移動する。
「うん?どうしたんだ?」
「どうしたじゃないよ。なんでそんな恰好してるの?」
格好……?
私は窓に映った自分の姿へ顔を向けると、いつもと全く違う自分の姿に、大きく目を見開いた。
櫛でとかれたストレートな黒髪がアップにまとめられ、シンプルなドレスを身に着けている。
顔には薄く化粧、唇には赤い紅、肩には軽いストールがかけられていた。
「あー、思い出した。今日は卒業式だ」
「そうだけど、それとどういう関係があるの?」
「あぁ、昨日学園長に正装で来てほしいと頼まれたんだ」
朝起こされたのはこの為だったんだな。
ふぅ、母に言っておいてよかった、すっかり忘れていた。
母が着替えさせてくれていなければ、きっといつもと同じ服装で来ていただろう。
一人ほっと胸を撫で下ろしていると、エリックはなぜか小さく顔を歪ませ、何も言わず私の腕を取り、研究室の方へと引っ張っていく。
背中から感じる彼の怒りに戸惑う中、彼は何も話さない。
バンッと怒りにまかせ扉を開けると、エリックは私を壁に押し付け逃げ道を塞ぐ。
「エッ、エリック……?」
「先生、なんでそんな恰好出来たの?正装ならタキシードにすればいいじゃないか。なのに……そんな格好で学園へ来たら女だと皆に知れ渡ってしまう」
「待て待て!?私は女であることを隠していたわけじゃない。それにこの先催し物や夜会に参加することが増えればすぐにばれるだろ?だから……ッッ」
「違う、そういう事を言ってるんじゃない!あぁもう……先生は本当に何もわかってないよね」
青い瞳がスッと細められると、その瞳の奥に怒りが映る。
彼から放たれる威圧感に目を逸らせなくなる中、顔がゆっくりと近づいてくると、そのまま私の唇を奪った。
「やぁっ、んんっ、うっん、ぅぅぅん……ふぅ」
唇を強引にこじ開け、舌が奥へと入り込んでくると、甘い快楽に体の力が抜けていく。
荒々しい舌に唾液が溢れ出すと、必死に彼へしがみ付いた。
息苦しさに視界が霞む中、ようやく解放されると、私は酸素を求めるように深く息を吸い込む。
「はぁ、はぁ、……エリックッッ」
「ねぇ先生、女だとわかって、他の生徒たちがこういう事をしてきたらどうするつもりなの?」
彼の言葉に目線を上げると、鬼気迫る彼の視線が私を射抜いていた。
「いや、その……エリックは考えすぎだ。そんな事あるはずないだろう。私はここの教員で、彼らは生徒だ」
「何言ってるの?僕も生徒の一人だったでしょ」
エリックは私を壁に押し付けたまま、片手で口元を覆うと、空いている手でスカートをたくし上げていく。
慌てて下半身へ伸ばされている手を止めようと必死になるが、男の力に勝てるはずがない。
「んうぅ、んんんんッ、ふぅっ、うぅぅぅん」
大きな彼の手のひらが邪魔で、呻き声しか上げられない。
こんな事するのはエリック以外にいないだろう!そう言いたいのだが、やはり声にならない。
彼の手が太ももに触れ、慌ててエリックの胸を強く押してみるが、ビクともしない。
そのまま内側へと添わされていく中、冷たいエリックの手が布の上から割れ目へ触れると、私の体が大きく跳ねた。
「ほら、先生。このままだと卒業式に参加できないよ?」
「んっ、うぅん、んんんんっ……ッッ」
耳元で囁かれる言葉に、どうすることもできない自分に泣きそうになっていると、予鈴の合図が部屋に鳴り響いた。
その音にエリックが一瞬緩むと、私は思いっきりエリックの胸を押しのける。
「はぁ、はぁ、エリック、冗談が過ぎるぞ!あぁ、まずい、まずい。エリックも早く講堂へ向かうんだ」
私はエリックを置いて教室を飛び出すと、荒くなった息を落ち着かせながら、急いで会場へを向かって行った。
チャイムの音が小さくなる中、滑り込みで何とか卒業式の会場へ間に合うと、身なりを整え壇上へあがり、送りの言葉を届けると、無事に卒業式は閉会していった。
いつもとは違うビップな対応に困惑する中、私はチラリと執事へ視線を向けた。
まるで夜会へ来たようなエスコートだな、どうしたんだ一体。
頭に疑問符が浮かぶ中、私はいつものように学園の門を潜り、エントランスへ向かっていると、回りの学生たちがざわつき始める。
どうしたのかと思うと辺りを見渡す中、彼らの視線が私に集中していることに気が付いた。
顔見知り生徒を見つけ、笑顔を向けると、なぜか頬を染め目を逸らされる。
不思議に思いながらエントランスへ向かうと、良く知るブロンドの髪が目に入った。
「エリック、おはよう」
エリックは私の声に振り返ると、大きく目を見開き固まった。
そんな彼の様子に近づいて行くと、グイッと腕を引っ張られ人目から隠すように廊下の隅へと移動する。
「うん?どうしたんだ?」
「どうしたじゃないよ。なんでそんな恰好してるの?」
格好……?
私は窓に映った自分の姿へ顔を向けると、いつもと全く違う自分の姿に、大きく目を見開いた。
櫛でとかれたストレートな黒髪がアップにまとめられ、シンプルなドレスを身に着けている。
顔には薄く化粧、唇には赤い紅、肩には軽いストールがかけられていた。
「あー、思い出した。今日は卒業式だ」
「そうだけど、それとどういう関係があるの?」
「あぁ、昨日学園長に正装で来てほしいと頼まれたんだ」
朝起こされたのはこの為だったんだな。
ふぅ、母に言っておいてよかった、すっかり忘れていた。
母が着替えさせてくれていなければ、きっといつもと同じ服装で来ていただろう。
一人ほっと胸を撫で下ろしていると、エリックはなぜか小さく顔を歪ませ、何も言わず私の腕を取り、研究室の方へと引っ張っていく。
背中から感じる彼の怒りに戸惑う中、彼は何も話さない。
バンッと怒りにまかせ扉を開けると、エリックは私を壁に押し付け逃げ道を塞ぐ。
「エッ、エリック……?」
「先生、なんでそんな恰好出来たの?正装ならタキシードにすればいいじゃないか。なのに……そんな格好で学園へ来たら女だと皆に知れ渡ってしまう」
「待て待て!?私は女であることを隠していたわけじゃない。それにこの先催し物や夜会に参加することが増えればすぐにばれるだろ?だから……ッッ」
「違う、そういう事を言ってるんじゃない!あぁもう……先生は本当に何もわかってないよね」
青い瞳がスッと細められると、その瞳の奥に怒りが映る。
彼から放たれる威圧感に目を逸らせなくなる中、顔がゆっくりと近づいてくると、そのまま私の唇を奪った。
「やぁっ、んんっ、うっん、ぅぅぅん……ふぅ」
唇を強引にこじ開け、舌が奥へと入り込んでくると、甘い快楽に体の力が抜けていく。
荒々しい舌に唾液が溢れ出すと、必死に彼へしがみ付いた。
息苦しさに視界が霞む中、ようやく解放されると、私は酸素を求めるように深く息を吸い込む。
「はぁ、はぁ、……エリックッッ」
「ねぇ先生、女だとわかって、他の生徒たちがこういう事をしてきたらどうするつもりなの?」
彼の言葉に目線を上げると、鬼気迫る彼の視線が私を射抜いていた。
「いや、その……エリックは考えすぎだ。そんな事あるはずないだろう。私はここの教員で、彼らは生徒だ」
「何言ってるの?僕も生徒の一人だったでしょ」
エリックは私を壁に押し付けたまま、片手で口元を覆うと、空いている手でスカートをたくし上げていく。
慌てて下半身へ伸ばされている手を止めようと必死になるが、男の力に勝てるはずがない。
「んうぅ、んんんんッ、ふぅっ、うぅぅぅん」
大きな彼の手のひらが邪魔で、呻き声しか上げられない。
こんな事するのはエリック以外にいないだろう!そう言いたいのだが、やはり声にならない。
彼の手が太ももに触れ、慌ててエリックの胸を強く押してみるが、ビクともしない。
そのまま内側へと添わされていく中、冷たいエリックの手が布の上から割れ目へ触れると、私の体が大きく跳ねた。
「ほら、先生。このままだと卒業式に参加できないよ?」
「んっ、うぅん、んんんんっ……ッッ」
耳元で囁かれる言葉に、どうすることもできない自分に泣きそうになっていると、予鈴の合図が部屋に鳴り響いた。
その音にエリックが一瞬緩むと、私は思いっきりエリックの胸を押しのける。
「はぁ、はぁ、エリック、冗談が過ぎるぞ!あぁ、まずい、まずい。エリックも早く講堂へ向かうんだ」
私はエリックを置いて教室を飛び出すと、荒くなった息を落ち着かせながら、急いで会場へを向かって行った。
チャイムの音が小さくなる中、滑り込みで何とか卒業式の会場へ間に合うと、身なりを整え壇上へあがり、送りの言葉を届けると、無事に卒業式は閉会していった。
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