14 / 14
14 (義弟視点)
しおりを挟む
どうすればいいのかわからなくて、僕は毎夜彼女の部屋へ通った。
心をあいつに奪われているはずない、だけど別の何かが彼女を押し動かしている。
それが何かわからない、だから体だけでも自分の方に向けたかった。
聞いても言葉を詰まらせるだけで、何も話さない彼女。
それでも僕の腕の中で乱れる彼女の姿に、優越感がこみ上げる。
僕の手で甘い声を上げる彼女が愛しい。
そんな日が続いたある日、彼女の部屋に入ると、テーブルに便箋がおかれていた。
広げて読んでみると、そこはウェイン宛の手紙。
街へ出かけようとの逢瀬の誘いだった。
まだあいつを諦めていなかった事実に、僕は拳を強く握りしめる。
あいつとねぇさんを会わせたりなんてしない。
僕は書かれた日付と場所を覚えると、そっと便箋を元に戻したのだった。
そして約束の日。
僕はねぇさんを部屋に閉じ込めると、ウェインへ会いに行った。
この日のために用意した玩具をねぇさんにプレゼントして。
僕以外の男へ会いに行こうとする彼女に、ちょっとしたお仕置きのつもりだった。
約束の場所へやってくると、すでにウェインが待っていた。
こちらに気が付いた彼へ向かって大きく手を振って見せる。
「こんにちは、ウェイン殿。姉は来ませんよ。もうあきらめてくれませんか?彼女は僕を選んだんです」
選ばれていないが、この男を諦めさせるにはこう言うしかない。
心はともかく、彼女の体は僕を選んでいる。
ウェインは僕の言葉に顔を上げると、深く息を吐きだした。
「彼女が行かないと言ったのかい?」
「えぇ、だから代わりに伝えに来ました。さようなら」
「はぁ……わかった、今日はここで引いておこう。だが明日屋敷へ行かせてもらうよ。彼女が本当にそう思っているのか確認する」
ねぇさんに確認されては困る。
焦る気持ちを必死で押し隠すと、僕はなんとか頬を釣り上げた。
「しつこいですよ、もう連絡することもないでしょう」
ウェインはそうか、と余裕の笑みを浮かべると、明日屋敷に行くとそういって帰っていった。
まずい、まずい、まずい。
ねぇさんに会われるのは困る。
彼女の心はまだ僕に向いていない。
いっそのこと、あいつの前で彼女を抱いてしまおうか?
ふつふつとどす黒い感情が渦巻きながら、僕はベッドで乱れる彼女を抱きつぶした。
そしてその夜。
ねぇさんとあいつの邪魔をしたくても、運の悪いことに出資してくれる貴族が明日やってくる。
明日やってくるウェインをどうするべきか、悩みながら彼女の部屋のドアを開けた。
いつもと様子が違うねぇさんの姿に戸惑った。
大粒の涙をこぼしながら、僕を突き放す彼女。
こんなに取り乱したところを初めて見た。
彼女はそうそう怒ったりしない、ましてや僕にこんな怒り方をしたのは初めてだった。
それほどまでに否定され、僕は目の前が真っ暗に染まった。
ずっと一緒にと約束したじゃないか。
なのにどうして、僕からそんなに離れたいの?
悄然としながら冷静さを失う彼女を見つめていると、叫んだ言葉に首を傾げた。
僕が令嬢と婚約する?意味が分からない。
まさかそんな勘違いをしているとは想像もしていなかった。
僕に嫉妬し泣きじゃくる彼女が愛おしくて仕方がない。
恰好なんてつけず、もっと早くに伝えておけばよかった。
僕は彼女を大事に大事に抱きしめると、愛していると口づけを落としたのだった。
**********************************
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
読み返してみると、ストーリー性は薄かったかもしれません(-_-;)
ご意見ご感想等ございましたら、コメント頂けると嬉しいですm(__)m
改めまして、お付き合い頂きありがとうございました!
お読み頂けて嬉しいです(*ノωノ)
また別のお話でもお会いできるよう、これからも頑張ります(*'ω'*)
心をあいつに奪われているはずない、だけど別の何かが彼女を押し動かしている。
それが何かわからない、だから体だけでも自分の方に向けたかった。
聞いても言葉を詰まらせるだけで、何も話さない彼女。
それでも僕の腕の中で乱れる彼女の姿に、優越感がこみ上げる。
僕の手で甘い声を上げる彼女が愛しい。
そんな日が続いたある日、彼女の部屋に入ると、テーブルに便箋がおかれていた。
広げて読んでみると、そこはウェイン宛の手紙。
街へ出かけようとの逢瀬の誘いだった。
まだあいつを諦めていなかった事実に、僕は拳を強く握りしめる。
あいつとねぇさんを会わせたりなんてしない。
僕は書かれた日付と場所を覚えると、そっと便箋を元に戻したのだった。
そして約束の日。
僕はねぇさんを部屋に閉じ込めると、ウェインへ会いに行った。
この日のために用意した玩具をねぇさんにプレゼントして。
僕以外の男へ会いに行こうとする彼女に、ちょっとしたお仕置きのつもりだった。
約束の場所へやってくると、すでにウェインが待っていた。
こちらに気が付いた彼へ向かって大きく手を振って見せる。
「こんにちは、ウェイン殿。姉は来ませんよ。もうあきらめてくれませんか?彼女は僕を選んだんです」
選ばれていないが、この男を諦めさせるにはこう言うしかない。
心はともかく、彼女の体は僕を選んでいる。
ウェインは僕の言葉に顔を上げると、深く息を吐きだした。
「彼女が行かないと言ったのかい?」
「えぇ、だから代わりに伝えに来ました。さようなら」
「はぁ……わかった、今日はここで引いておこう。だが明日屋敷へ行かせてもらうよ。彼女が本当にそう思っているのか確認する」
ねぇさんに確認されては困る。
焦る気持ちを必死で押し隠すと、僕はなんとか頬を釣り上げた。
「しつこいですよ、もう連絡することもないでしょう」
ウェインはそうか、と余裕の笑みを浮かべると、明日屋敷に行くとそういって帰っていった。
まずい、まずい、まずい。
ねぇさんに会われるのは困る。
彼女の心はまだ僕に向いていない。
いっそのこと、あいつの前で彼女を抱いてしまおうか?
ふつふつとどす黒い感情が渦巻きながら、僕はベッドで乱れる彼女を抱きつぶした。
そしてその夜。
ねぇさんとあいつの邪魔をしたくても、運の悪いことに出資してくれる貴族が明日やってくる。
明日やってくるウェインをどうするべきか、悩みながら彼女の部屋のドアを開けた。
いつもと様子が違うねぇさんの姿に戸惑った。
大粒の涙をこぼしながら、僕を突き放す彼女。
こんなに取り乱したところを初めて見た。
彼女はそうそう怒ったりしない、ましてや僕にこんな怒り方をしたのは初めてだった。
それほどまでに否定され、僕は目の前が真っ暗に染まった。
ずっと一緒にと約束したじゃないか。
なのにどうして、僕からそんなに離れたいの?
悄然としながら冷静さを失う彼女を見つめていると、叫んだ言葉に首を傾げた。
僕が令嬢と婚約する?意味が分からない。
まさかそんな勘違いをしているとは想像もしていなかった。
僕に嫉妬し泣きじゃくる彼女が愛おしくて仕方がない。
恰好なんてつけず、もっと早くに伝えておけばよかった。
僕は彼女を大事に大事に抱きしめると、愛していると口づけを落としたのだった。
**********************************
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
読み返してみると、ストーリー性は薄かったかもしれません(-_-;)
ご意見ご感想等ございましたら、コメント頂けると嬉しいですm(__)m
改めまして、お付き合い頂きありがとうございました!
お読み頂けて嬉しいです(*ノωノ)
また別のお話でもお会いできるよう、これからも頑張ります(*'ω'*)
55
お気に入りに追加
1,538
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(8件)
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
楽しく読ませていただきました!パトリックのような義弟最高ですね!ですが、私はウェイン推しですので、ウェインは私の法で預からせて頂きます笑
t 様
ご愛読いただきありがとうございます!
諸事情でなかなかサイトを見ることが出来ず、返事が遅くなってしまい申し訳ございませんでした(-_-;)
楽しんで頂けて嬉しいです(*'ω'*)
また活動を再開させますので、t様と別のお話でも再会できるようこれからも頑張ります!
こんなパトリックだけれど
好きだな!
erio 様
コメントありがとうございます🥰
お読み頂けて、嬉しいです🤗
少しストーリー性は薄かったかもしれませんが、パトリックを好きになって頂きありがとうございます!
また別の作品でもお会いできるよう、これからも頑張ります!
きゃぁ作者様 祝新作🍀
ちょ!パトリック!大好きな姉が他の人へ
暴走してますねΣ( ̄。 ̄ノ)ノ義弟の縁談
姉も勘違いしちゃうよね( T_T)\(^-^ )
きちんとプロポーズしなかった パトリックに姉様
お仕置きしてほしいけど パトリックが喜びそうな事に
返り討ちにされそうだわ(´∀`*)オホホホホ
ウェイン、、良さげな人なだけに気の毒にヽ(´o`;
ラフレシア 様
ありがとうございます!
今回はこっそりひっそり新作を投稿しておりました🤗
ゴールデンウィークに楽しんで頂けたらと思い書いたのですが、思ったよりウェインの扱いが雑になってしまいました(笑)
残り2わ話となりましたが、最後まで楽しんで頂けると嬉しいです😆