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どうしてこんな……何が起こっているの?
こんなふうに取り乱す彼を初めて見た。
いつも穏やかで優しい彼ではない、力強く強引で鋭い瞳。
まるで知らない男の人のようだ。
状況についていけず、されるがままになっていると、気が付けば胸のボタンがすべて外されていた。
彼はニッコリと可愛い笑みを深めたかと思うと、手を絡め額を合わせる。
「ねぇさん、覚えてない?こうやって何度も約束したじゃないか、僕とずっと一緒にいるって」
その言葉に過去の記憶が蘇る。
それは子供の頃にした他愛ない約束。
二人で一緒にベッドに入り、寝る前に口癖のように呟いてた言葉。
手を繋いでずっと一緒だよと、額を合わせて笑いあった。
私もずっと一緒に居たい、その気持ちは今も変わらない。
だけどもう無理なの……邪な感情が私を壊れさせるから。
「あれは子供の頃の約束でしょう?大人になればずっと一緒になんて居られないわ。私がこうして家を出て行くように、あなたも……」
言葉を続けようとするが上手く出てこない。
彼が婚約してしまう、その現実を受け入れるほど、まだ心に余裕はないのだ。
「ねぇさん、僕は……」
「パトリック、そろそろ姉離れするいい機会だわ。彼ね、とってもいい方なのよ。きっとあなたも気に入ると思うの」
ごかます様に、心を押し殺し無理やりに笑って見せる。
彼の手をほどき胸を押し返すと、パトリックの青い瞳にはっきりとした怒りが浮かび上がった。
「本気でそう思っているの?」
パトリックは笑みを消すと、服を一気にはぎ取る。
慌てて体を起こそうとするが、させないと言わんばかりに腕を掴み、ベッドへ押し倒す。
「きゃぁッ、なにッ、んんっ、パトリックッッ」
彼の顔がゆっくりと近づいてくると、柔らかい唇が触れた。
あまりの事に大きく目を見開くと、青い瞳に私がはっきりと映し出される。
「誰にも渡さない」
囁かれた言葉に私は彼から逃れようと身をよじる。
「なっ、何をしているの!?いっ、いけないことだわ。私たち姉弟なのよ」
「わかってる、だけど本当の姉弟じゃない。僕とねぇさんは血がつながっていないんだ、そうでしょう?」
パトリックは逃げようとする私をベッドへ縫い付けると、肩にかかる下着の紐を噛んだ。
脱がせるように引っ張ると、シミーズがはらりとシーツの上へ落ちた。
「逃がさないよ。ねえさんが誰かのものになるなんて考えられない。奪われるぐらいなら、先に奪ってしまう」
暗い瞳を浮かべながらボソッと呟いたその様を、私は唖然と見つめていた。
どういう意味?
あなたが先に私から離れようとしているんじゃない。
叫びたい衝動に駆られるが、婚約の話をしていた彼の照れた表情が頭を過ると、言葉が上手く出てこない。
「……ッッ、パトリックやめて!どうしてこんなことするのッッ。私は彼の元へ行く……んんッッ」
はっきり拒絶を示すが、パトリックは無言のまま顔を近づけ、それ以上聞きたくないと言わんばかりに唇を重ねた。
恋人のように手を絡ませながら、彼の舌が唇をこじ開け中へ侵入する。
唾液を絡めうねる様に舌が動くと、しびれる様な感覚がはしった。
獣のように激しい口づけ。
体が溶けてしまいそうな刺激に、向きを変えながら何度もむさぼられる。
愛しい彼のキス、ずっと求めていたもの。
だけど彼は私のものじゃない。
そうわかっているが、呼吸も出来ぬほどの深い口づけに、体の奥から熱がこみ上げ頭がぼうっとしていった。
こんなふうに取り乱す彼を初めて見た。
いつも穏やかで優しい彼ではない、力強く強引で鋭い瞳。
まるで知らない男の人のようだ。
状況についていけず、されるがままになっていると、気が付けば胸のボタンがすべて外されていた。
彼はニッコリと可愛い笑みを深めたかと思うと、手を絡め額を合わせる。
「ねぇさん、覚えてない?こうやって何度も約束したじゃないか、僕とずっと一緒にいるって」
その言葉に過去の記憶が蘇る。
それは子供の頃にした他愛ない約束。
二人で一緒にベッドに入り、寝る前に口癖のように呟いてた言葉。
手を繋いでずっと一緒だよと、額を合わせて笑いあった。
私もずっと一緒に居たい、その気持ちは今も変わらない。
だけどもう無理なの……邪な感情が私を壊れさせるから。
「あれは子供の頃の約束でしょう?大人になればずっと一緒になんて居られないわ。私がこうして家を出て行くように、あなたも……」
言葉を続けようとするが上手く出てこない。
彼が婚約してしまう、その現実を受け入れるほど、まだ心に余裕はないのだ。
「ねぇさん、僕は……」
「パトリック、そろそろ姉離れするいい機会だわ。彼ね、とってもいい方なのよ。きっとあなたも気に入ると思うの」
ごかます様に、心を押し殺し無理やりに笑って見せる。
彼の手をほどき胸を押し返すと、パトリックの青い瞳にはっきりとした怒りが浮かび上がった。
「本気でそう思っているの?」
パトリックは笑みを消すと、服を一気にはぎ取る。
慌てて体を起こそうとするが、させないと言わんばかりに腕を掴み、ベッドへ押し倒す。
「きゃぁッ、なにッ、んんっ、パトリックッッ」
彼の顔がゆっくりと近づいてくると、柔らかい唇が触れた。
あまりの事に大きく目を見開くと、青い瞳に私がはっきりと映し出される。
「誰にも渡さない」
囁かれた言葉に私は彼から逃れようと身をよじる。
「なっ、何をしているの!?いっ、いけないことだわ。私たち姉弟なのよ」
「わかってる、だけど本当の姉弟じゃない。僕とねぇさんは血がつながっていないんだ、そうでしょう?」
パトリックは逃げようとする私をベッドへ縫い付けると、肩にかかる下着の紐を噛んだ。
脱がせるように引っ張ると、シミーズがはらりとシーツの上へ落ちた。
「逃がさないよ。ねえさんが誰かのものになるなんて考えられない。奪われるぐらいなら、先に奪ってしまう」
暗い瞳を浮かべながらボソッと呟いたその様を、私は唖然と見つめていた。
どういう意味?
あなたが先に私から離れようとしているんじゃない。
叫びたい衝動に駆られるが、婚約の話をしていた彼の照れた表情が頭を過ると、言葉が上手く出てこない。
「……ッッ、パトリックやめて!どうしてこんなことするのッッ。私は彼の元へ行く……んんッッ」
はっきり拒絶を示すが、パトリックは無言のまま顔を近づけ、それ以上聞きたくないと言わんばかりに唇を重ねた。
恋人のように手を絡ませながら、彼の舌が唇をこじ開け中へ侵入する。
唾液を絡めうねる様に舌が動くと、しびれる様な感覚がはしった。
獣のように激しい口づけ。
体が溶けてしまいそうな刺激に、向きを変えながら何度もむさぼられる。
愛しい彼のキス、ずっと求めていたもの。
だけど彼は私のものじゃない。
そうわかっているが、呼吸も出来ぬほどの深い口づけに、体の奥から熱がこみ上げ頭がぼうっとしていった。
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