悪役令嬢はお断りです

あみにあ

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最終章

リリーの物語 (其の二)

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目論見は成功し、そこから爆発的に信者増えたわ。
そして王族とも戦える力を手に入れた。
準備が整い私は信者に"王族の忌み子が災いの元"そう伝えたの。
平和な暮らしを守るためには、忌み子を殺せとね。
ノア王子が迎えに来るまで時間がなかったから、手っ取り早く終わらせる必要があったから。

あなたの世界と違って、この世界で双子は普通に受け入れられていない。
王族であった二人は、ただ運がよかっただけ。
理解のある王と王妃に恵まれていただけなの。
城には元から双子をよく思わない連中がたくさんいたわ。
だからあっという間に私の言葉は広がった。

当然だけれど、簡単には殺せなかった。
時間が迫り、ノア王子の迎えの日が近くなって焦ったわ。
だから手を打ったの。

前世でもよく問題になっていた盗賊の存在。
彼らの居場所は前世の記憶で大体把握していた。
私は彼らに会いに行き、人狼の村を餌にノア王子の誘拐を命じたわ。

人狼については前世でエドウィンから聞いて知っていたの。
主であるノア王子に全てを話していたからね。
私も婚約者としてその場にいたのよ。
人狼の村の場所、彼らの特徴や苦手なもの。
全てを伝えて盗賊たちをこちら側へ抱き込んだ。

だけどそれも失敗してしまった。
このままでは二人が出会ってしまう、それは絶対にさせたくなかった。
どうすればいいのか、復讐できないまま終わってしまうのか、そう焦っていたころで、テラスにトレーシーが現れたのよ。
民衆に向かって演説する彼。
ここしかないと思って、一番の信者である彼を利用しトレーシーの殺害に成功した。

結果ノア王子は、トレイシーを連れて王都へ戻ったわ。
だけど大切な唯一無二の存在である弟の死。
その死で十分傷つけ、爪痕は残すことが出来た。
けれどこのまま終わらせるつもりはなかった。

そんな時にね、ガブリエルに出会ったの。
彼の事は誰よりも知っていたわ。
だって私の幼馴染ですもの。
性格、好み、趣味趣向、そしてあの性癖。

私はガブリエルを信者して、王都へ侵入する計画を立てた。
彼は重鎮貴族の一員だったし、なんとかなると思ったのよ。
成功すればご褒美を与えると言って、私は王都へ無事入街出来た。
ご褒美はあなたも知っているあのお茶よ。
あれもね、あなたの知識を借りたの。

この世界には麻薬はまだ知られていない。
だけどケシの実とそっくりな植物があるのよ。
それを粉末にしてお湯で溶かすと、あの効果が現れる。

復讐に使えるかと思って、ケシの実に似た植物をこっそり研究していたの。
あなたの世界はここよりも大分発展しているでしょう。
リリーの頃では考えもしなかったことが思いつけるのよ。
本当にあなたの知識は役にたったわ。

変態の彼にお茶を与えたらすぐに使ってた。
彼の好みにピッタリ合うトレイシーの存在を教えて、襲うように指示を出したわ。
でもそれも失敗して、まさか拘束されるなんて……。
私のことを話せれたら困る。
だから早急に消す必要があった。

城への侵入は難しいけれど、メイドや執事の行動は把握していたわ。
だってずっとここで暮らしていたのだから。
メイド長が毎日お昼過ぎにお城から出てくる、それを利用して彼女にお茶を飲ませ殺害を命じた。
最後は自害するように指示してね。

その後も色々計画したんだけれど、どれも上手く機能しなくてね。
王都の中に信者は一人。
布教活動するにも街中に厳重な警戒態勢がとられていて難しかった。
これ以上信者を入街させる手立てもない。

悩んでいたらあっという間に時間が過ぎ、ノア王子の誕生祭が迫ってきた。
私が公の場で吊るしあげられた場所。
このまま何もせず終わらせるなんて考えられなかった。
だから私は最後の手段に出たの。

彼を利用して二人を殺す算段を立てた。
会場への侵入は、お茶を使ってメイドを操り簡単に入れたわ。
彼に私の身代わりを頼み、油断させてから私が二人を殺す計画だった。

気が付かなったのでしょうけれど、私もあの会場内に紛れ込んでいたのよ。
貴族の振る舞いは完璧だったでしょう。
彼が殺される現場を見て、ノア王子の隣にいたのが、弟のトレーシーだわかった。
それは即ち、隣国で殺したのがトレイシーだった事実。
復讐が成功して内心喚起していたわ。
残るターゲットはノア王子一人。
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