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最終章
リリーと私 (其の四)
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私は一歩前へ踏み出すと、赤いレッドカーペットへ乗った。
「はぁ……同じなわけないじゃない。彼らはこの世界で生きているのよ。例え同じ事が起こったとしても、彼らは彼らの考えで行動している。だから同じとは限らない、だから違う。あなたの考えは間違っている。それに……あなたを陥れたのは彼らじゃない、クレア様よ」
彼女の記憶で見た真実。
この世界と同じことが起こっているのなら、きっとクレア様の事件も起こっているはず。
証拠をでっちあげ王都から追い出したその罪。
自身がされたことと同じように、証拠を捏造した。
その事件でリリーはもちろん、家族も王都から追放されただろう。
彼女は眉を寄せ首を傾げると、探るように視線を向けた。
「どういうこと……?どうしてクレアの名が出てくるのよ。私を嵌めて得をするのは、愛し合っていたあの二人だけよ。婚約者として存在する私が邪魔だったのよ。それにクレアとノアは犬猿の仲、私を蹴落とす理由がないわ」
私は首を横へ振ると、真っ直ぐに彼女を見つめる。
「あなたの両親が、証拠をでっち上げクレア様の家を潰したのよ。重鎮貴族になるためにね。両親の性格を知っているあなたならわかるでしょう。クレア様がその報復に、あなたを嵌め追い込……ッッ」
「あり得ない、嘘よ!」
彼女は私の言葉を遮ると、鬼の形相を浮かべこちらへ近づいてくる。
「嘘じゃない、本当よ。現にこの世界でもクレア様の家は、リリーの両親によって王都から追放されたわ。よく思い出してみて?あなたが断罪されたとき、クレア様は城にいなかったはずよ」
リリーは思い当たったのか唇を噛むと、キッこちらを睨み付ける。
「仮にそうだとしても、私を信用せず断罪した二人を許せるはずないわ!クレアが犯人かどうかなんてどうでもいいの。私は二人を友人だと思っていた!信用していたわ!だけど……違うと何度も否定しても、二人には届かなかった……信じてくれなかった!あなただってきっとそう。もしここに母親が居たら、復讐したいと思うでしょう?同じ苦しみを味合わせたいと思わない?捨てた理由があると信じていたのに裏切られた。私と同じ邪魔だと思われていたのよ。例えあなたを捨てた事実がなくても、そんな母親を許せるわけないわ。何も知らず幸せになる母親を、穏やかな気持ちで見守れるとでも?幸せを願えるとでも?無理でしょう。過去の私には足掻くすべも方法もわからなかった。だからこそこうして、二度目の人生を与えられたのよ」
リリーの言葉が胸に突き刺さる。
死んだはずの私がこの世界で生きている意味、考えたこともなかった。
もしこの世界に母が居たら、私はどうしたんだろう。
母が私を忘れ幸せに笑う姿が、頭から離れない。
押さえられないほどの憎しみがこみ上げてくる。
私は彼女から視線を反ら頭を垂れると、グッと拳を強く握りしめた。
爪が皮膚に食い込み痛みを感じる。
黙り混む私の姿に、リリーはニヤリと口角を上げ近づいてきた。
「ほら、やっぱり許せないでしょう。私も同じなのよ。裏切られた憎しみは消えないの。色あせることもないわ」
リリーは私の頬へ手を添え、強引に顔を持ち上げ視線を合わさせると、ニッコリとほほ笑む。
憎しみが浮かぶその瞳に、私の姿が映しだされた。
映った己の姿は酷く醜い醜悪。
母を許せない気持ちは消えていない。
だけどこの世界に母が現れたとしても、私の知る母ではないと理解できる。
そんな相手に復讐する意味なんてない、恨みは消えないわ。
「はぁ……同じなわけないじゃない。彼らはこの世界で生きているのよ。例え同じ事が起こったとしても、彼らは彼らの考えで行動している。だから同じとは限らない、だから違う。あなたの考えは間違っている。それに……あなたを陥れたのは彼らじゃない、クレア様よ」
彼女の記憶で見た真実。
この世界と同じことが起こっているのなら、きっとクレア様の事件も起こっているはず。
証拠をでっちあげ王都から追い出したその罪。
自身がされたことと同じように、証拠を捏造した。
その事件でリリーはもちろん、家族も王都から追放されただろう。
彼女は眉を寄せ首を傾げると、探るように視線を向けた。
「どういうこと……?どうしてクレアの名が出てくるのよ。私を嵌めて得をするのは、愛し合っていたあの二人だけよ。婚約者として存在する私が邪魔だったのよ。それにクレアとノアは犬猿の仲、私を蹴落とす理由がないわ」
私は首を横へ振ると、真っ直ぐに彼女を見つめる。
「あなたの両親が、証拠をでっち上げクレア様の家を潰したのよ。重鎮貴族になるためにね。両親の性格を知っているあなたならわかるでしょう。クレア様がその報復に、あなたを嵌め追い込……ッッ」
「あり得ない、嘘よ!」
彼女は私の言葉を遮ると、鬼の形相を浮かべこちらへ近づいてくる。
「嘘じゃない、本当よ。現にこの世界でもクレア様の家は、リリーの両親によって王都から追放されたわ。よく思い出してみて?あなたが断罪されたとき、クレア様は城にいなかったはずよ」
リリーは思い当たったのか唇を噛むと、キッこちらを睨み付ける。
「仮にそうだとしても、私を信用せず断罪した二人を許せるはずないわ!クレアが犯人かどうかなんてどうでもいいの。私は二人を友人だと思っていた!信用していたわ!だけど……違うと何度も否定しても、二人には届かなかった……信じてくれなかった!あなただってきっとそう。もしここに母親が居たら、復讐したいと思うでしょう?同じ苦しみを味合わせたいと思わない?捨てた理由があると信じていたのに裏切られた。私と同じ邪魔だと思われていたのよ。例えあなたを捨てた事実がなくても、そんな母親を許せるわけないわ。何も知らず幸せになる母親を、穏やかな気持ちで見守れるとでも?幸せを願えるとでも?無理でしょう。過去の私には足掻くすべも方法もわからなかった。だからこそこうして、二度目の人生を与えられたのよ」
リリーの言葉が胸に突き刺さる。
死んだはずの私がこの世界で生きている意味、考えたこともなかった。
もしこの世界に母が居たら、私はどうしたんだろう。
母が私を忘れ幸せに笑う姿が、頭から離れない。
押さえられないほどの憎しみがこみ上げてくる。
私は彼女から視線を反ら頭を垂れると、グッと拳を強く握りしめた。
爪が皮膚に食い込み痛みを感じる。
黙り混む私の姿に、リリーはニヤリと口角を上げ近づいてきた。
「ほら、やっぱり許せないでしょう。私も同じなのよ。裏切られた憎しみは消えないの。色あせることもないわ」
リリーは私の頬へ手を添え、強引に顔を持ち上げ視線を合わさせると、ニッコリとほほ笑む。
憎しみが浮かぶその瞳に、私の姿が映しだされた。
映った己の姿は酷く醜い醜悪。
母を許せない気持ちは消えていない。
だけどこの世界に母が現れたとしても、私の知る母ではないと理解できる。
そんな相手に復讐する意味なんてない、恨みは消えないわ。
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