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最終章
欠けたピース (其の四)
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次に目覚めると、私は床に這いつくばっていた。
頭がガンガンと痛み、視界が揺れる。
一体何だったんだろうと、虚ろな視界の中辺りを見渡すと、気絶していたのは、ほんの一瞬だったようだ。
おもむろに体を起こそうとするが動かない。
どうして……?
意識が徐々に回復してくると、胸が圧迫され言葉が発せない。
一体何が起こっているのか理解できない。
おもむろに視線を上げると、なぜか目の前にリリーの姿。
これは……なんで、どうして……リリーが目の前に?
彼女の瞳を見つめると、そこに私の姿が映し出された。
私……?嘘……まさか……私が私に戻ったの……?
信じたくない、信じられない。
私は恐る恐る自分の姿を見ると、真っ黒なローブを着ていた。
黒く長い髪が頬に張り付き、視界を掠める。
圧迫感の正体を確認するため、後方へ視線を向けると、ピーターが私を押さえつけていた。
嘘でしょう……。
動いたからだろう、腕が締め上げられ痛みに顔を歪めると、侮蔑を込めた瞳が向けられる。
「無駄な抵抗はやめろ」
どうしてこんなことに……?
ピーターは私の髪を引っ張りながら腕を引き上げ立ち上がらせると、リリーがニヤリと口角をあげた。
彼女は私へ見せつけるようにノア王子の手を取ると体を寄せる。
ノア王子は驚いた表情を見せながらも、頬を赤く染めると彼女の手を握り返した。
肩を抱きしめると、私の視界から彼女を隠す。
どうなってるの……?
私が私になって……リリーがそこにいる。
リリーの中にいるのは……?
「リリー、助けてくれてありがとう。危機一髪だった。さっき死んだ男は教祖じゃなかったようだね。どうして気が付いたんだい?また女の勘というやつなのかな?」
違う、救ったのは私!
声を上げようと口を開くと、すかさずピーターが首を絞める。
「動くな、大人しくしろ」
かすれた声が響くと、苦しさに顔を歪めた。
リリーはそんな私の姿をあざ笑うように一瞥すると、ノア王子へ顔を向ける。
「はい、お守り出来てよかったですわ」
もしかしてこの体にいたのはリリーだったの?
「リリー、腕から血が……」
ノア王子は痛々しそうに腕の傷を見ると、リリーはニッコリとほほ笑んだ。
「このぐらい平気ですわ」
ノア王子は布を用意すると、優しく彼女の腕に巻き付ける。
そして寄り添いながら去っていく二人の姿に、目の前が絶望に染まっていった。
なんで、どうして……嘘、嘘だと言って……。
瞳からポロポロと涙が溢れ出すと、去っていく二人の姿が滲んでいった。
★おまけ(リリーとノア王子)★
あの場所へ戻ってきたリリーとノア王子は、真上に登った月の真下で立ち止まる。
月明りが庭を照らし、幻想的な風景の中、冷たい風が吹き抜け、草木が揺れ心地よい音が響いた。
ノア王子はゆっくりと振り返ると、彼女の手をギュッと握りしめる。
「リリー、これでやっと終わりったかな。本当に長かったね」
「はい、そうですわね……」
リリーはニッコリほほ笑むと、サファイアの瞳を見つめる。
「ねぇ、誕生祭が終わった後、大事な話があると言っただろう。このタイミングで伝えるのもどうかと思うけれど、聞いてくれるかな?」
優し気なノア王子の声に、リリーはコクリと頷いた。
「驚くかもしれなけれど、僕は出会ったあの日から君を愛していた、騎士としてではなくパートナーとして僕の傍にいてほしい」
ノア王子はそう告げると、ポケットから指輪を取り出した。
「私もです。嬉しいですわ!ずっとノア王子を愛しておりました」
ノア王子はリリーの即答に驚きながらも頬を染めると、嬉しそうに笑った。
そして彼女の頬へ手を伸ばし引き寄せると、二人の姿が重なる。
唇が触れると、月はゆっくりと傾き始めたのだった。
頭がガンガンと痛み、視界が揺れる。
一体何だったんだろうと、虚ろな視界の中辺りを見渡すと、気絶していたのは、ほんの一瞬だったようだ。
おもむろに体を起こそうとするが動かない。
どうして……?
意識が徐々に回復してくると、胸が圧迫され言葉が発せない。
一体何が起こっているのか理解できない。
おもむろに視線を上げると、なぜか目の前にリリーの姿。
これは……なんで、どうして……リリーが目の前に?
彼女の瞳を見つめると、そこに私の姿が映し出された。
私……?嘘……まさか……私が私に戻ったの……?
信じたくない、信じられない。
私は恐る恐る自分の姿を見ると、真っ黒なローブを着ていた。
黒く長い髪が頬に張り付き、視界を掠める。
圧迫感の正体を確認するため、後方へ視線を向けると、ピーターが私を押さえつけていた。
嘘でしょう……。
動いたからだろう、腕が締め上げられ痛みに顔を歪めると、侮蔑を込めた瞳が向けられる。
「無駄な抵抗はやめろ」
どうしてこんなことに……?
ピーターは私の髪を引っ張りながら腕を引き上げ立ち上がらせると、リリーがニヤリと口角をあげた。
彼女は私へ見せつけるようにノア王子の手を取ると体を寄せる。
ノア王子は驚いた表情を見せながらも、頬を赤く染めると彼女の手を握り返した。
肩を抱きしめると、私の視界から彼女を隠す。
どうなってるの……?
私が私になって……リリーがそこにいる。
リリーの中にいるのは……?
「リリー、助けてくれてありがとう。危機一髪だった。さっき死んだ男は教祖じゃなかったようだね。どうして気が付いたんだい?また女の勘というやつなのかな?」
違う、救ったのは私!
声を上げようと口を開くと、すかさずピーターが首を絞める。
「動くな、大人しくしろ」
かすれた声が響くと、苦しさに顔を歪めた。
リリーはそんな私の姿をあざ笑うように一瞥すると、ノア王子へ顔を向ける。
「はい、お守り出来てよかったですわ」
もしかしてこの体にいたのはリリーだったの?
「リリー、腕から血が……」
ノア王子は痛々しそうに腕の傷を見ると、リリーはニッコリとほほ笑んだ。
「このぐらい平気ですわ」
ノア王子は布を用意すると、優しく彼女の腕に巻き付ける。
そして寄り添いながら去っていく二人の姿に、目の前が絶望に染まっていった。
なんで、どうして……嘘、嘘だと言って……。
瞳からポロポロと涙が溢れ出すと、去っていく二人の姿が滲んでいった。
★おまけ(リリーとノア王子)★
あの場所へ戻ってきたリリーとノア王子は、真上に登った月の真下で立ち止まる。
月明りが庭を照らし、幻想的な風景の中、冷たい風が吹き抜け、草木が揺れ心地よい音が響いた。
ノア王子はゆっくりと振り返ると、彼女の手をギュッと握りしめる。
「リリー、これでやっと終わりったかな。本当に長かったね」
「はい、そうですわね……」
リリーはニッコリほほ笑むと、サファイアの瞳を見つめる。
「ねぇ、誕生祭が終わった後、大事な話があると言っただろう。このタイミングで伝えるのもどうかと思うけれど、聞いてくれるかな?」
優し気なノア王子の声に、リリーはコクリと頷いた。
「驚くかもしれなけれど、僕は出会ったあの日から君を愛していた、騎士としてではなくパートナーとして僕の傍にいてほしい」
ノア王子はそう告げると、ポケットから指輪を取り出した。
「私もです。嬉しいですわ!ずっとノア王子を愛しておりました」
ノア王子はリリーの即答に驚きながらも頬を染めると、嬉しそうに笑った。
そして彼女の頬へ手を伸ばし引き寄せると、二人の姿が重なる。
唇が触れると、月はゆっくりと傾き始めたのだった。
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