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最終章
嵐の前 (其の二)
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鋭いブラウンの瞳にゴクリと唾を飲み込むと、私は姿勢を正し顔を上げる。
「君の両親は生粋の貴族、それはわかっているだろう?言っちゃっ悪いけれど、君の家が公爵家になれたのは先々代が優秀だったからだ。先々代が亡くなってから、これといって何の功績もあげていない。だから公爵家にも関わらず、重鎮貴族の一員になれていないんだ。その事実に彼らが焦っているのは周知の事実だろう」
公爵家のリリー。
小説では家について、あまり詳しく書かれていなかった。
私自身も小説のことばかりに気を取られ、リリーの家に興味を示したことはなかった。
記憶が戻ってすぐ家を出てしまったし……。
自分の家のことなのに初めて知ることばかりで私は内心狼狽していると、教官はおもむろに腕を上げ、私を指さした。
「そんな彼らが頼りにしているのが君だ。生粋の貴族である君の家が、騎士として育てることを由としたのもこれだろうね。普通の親なら大事な娘を男ばかりの世界に放りこんだりしないだろう。初の女性騎士として騎士団へ入団すれば注目の的。君の実力なら爵位もあり、すぐに昇進できるだろうしね。正式な護衛騎士になっても同じだ。それだけで彼らは功績をあげられる。功績さえあれば、君の家は重鎮貴族の席を得られる権利を獲得できるが……残念なことに今は空いている席がないのが現状だった」
だった……?
重鎮貴族。
前世で言えば政治家のようなもの。
国の法律や治安維持、政策について話し合い決議する。
王を中心に公爵家5名、侯爵家5名、伯爵家5名の者を集め、毎月定例会議が行われているのだ。
選ばれる家は、過去の功績により評価され王により選任。
それによって貴族としてのステータスと、重鎮貴族ならではの特権を得られるのだ。
ガブリエルの父は息子の犯罪により、重鎮貴族から外された。
しかし彼らは伯爵家、公爵家である私の家がその席へ座ることはできない。
「先日伯爵家の事件に便乗するように、君の家が動き始めたんだ。クレア嬢の家が重鎮貴族の一員から外され、王都外へ追いやられた。理由は彼らの不正疑惑が、君の家から告発されたからだ。君の家が持っていた証拠は完璧で、立証するには十分だった。だけどクレア嬢の家は最後までやっていないと否定していたらしい。"はめられた"のだと言っていたようだよ。正直君の家なら、喉から手が出るほどに欲しがっていた重鎮貴族の席のためなら、何でもするだろうね。それにクレア嬢の家と君の家は古からの付き合いだろう。クレア嬢の兄を君の婚約者にとの話も出ていたようだしね。だから証拠を捏造するのたやすいだろう。もしこれが仕組まれたものだったとしたら、ただじゃすまないはず。王都から追い出されたといっても、クレア嬢の力がなくなったわけじゃないからね。そんな疑惑を持たれている家に、君のような真っすぐな子が、戻るのはオススメできないかな」
クレア嬢が王都から追い出された?
だからノア王子のパートナーが決まっていないんだ。
全然知らなかった……。
「あの、クレア様は大丈夫なんですか?」
「あぁ今はね。だけど恨みつらみは凄まじいものだと思うよ。心配なのはわかるが、今はそっとしておいたほうがいい」
ですよね……。
クレア嬢とは幼いころから家を行き来する仲だった。
だけどここ数年、公爵家とは一切関わらず生活していた。
両親の記憶については、リリーの記憶が大きい。
記憶の中での両親は厳しく、私をノア王子の婚約者にさせるために必死だった。
あれも王妃という座を手に入れ、重鎮貴族というステータスを得たいがためだったのだろうか?
正直、無責任な発言で家に迷惑をかけ、騎士になるまで戻ってくるなと言われ、向こうからも連絡がないから必然的に関われなかった。
でも教官が言った通り、公爵家の令嬢が騎士学園に入学して、一切音沙汰がないのはおかしいのかも。
私が公の場でノア王子へ騎士になりたいと発言したことで、両親は婚約者という席をあきらめた。
その代わりに女性騎士という新たな道を考えた?
私の記憶にある母はプライドが高く生粋の貴族、父は野心家で家にいることが少なかった。
貴族としてあるべき姿ばかりを追い求めていた。
*************ご連絡*************
2月には完結予定だったのですが……気が付けば3月に……。
年明けから気が付けばもう2か月、早すぎる(;´Д`)
校正しているといつの間にか100話になっておりました(-_-;)
第三章も後半となってきましたが、
どうぞもう暫くお付き合い頂けると嬉しいです。
ご感想等ございましたら、いつもでコメントください。
いつも励みになっております(*'ω'*)
長編ですがここまでお読みいただき、
本当にありがとうございます(*´Д`)
「君の両親は生粋の貴族、それはわかっているだろう?言っちゃっ悪いけれど、君の家が公爵家になれたのは先々代が優秀だったからだ。先々代が亡くなってから、これといって何の功績もあげていない。だから公爵家にも関わらず、重鎮貴族の一員になれていないんだ。その事実に彼らが焦っているのは周知の事実だろう」
公爵家のリリー。
小説では家について、あまり詳しく書かれていなかった。
私自身も小説のことばかりに気を取られ、リリーの家に興味を示したことはなかった。
記憶が戻ってすぐ家を出てしまったし……。
自分の家のことなのに初めて知ることばかりで私は内心狼狽していると、教官はおもむろに腕を上げ、私を指さした。
「そんな彼らが頼りにしているのが君だ。生粋の貴族である君の家が、騎士として育てることを由としたのもこれだろうね。普通の親なら大事な娘を男ばかりの世界に放りこんだりしないだろう。初の女性騎士として騎士団へ入団すれば注目の的。君の実力なら爵位もあり、すぐに昇進できるだろうしね。正式な護衛騎士になっても同じだ。それだけで彼らは功績をあげられる。功績さえあれば、君の家は重鎮貴族の席を得られる権利を獲得できるが……残念なことに今は空いている席がないのが現状だった」
だった……?
重鎮貴族。
前世で言えば政治家のようなもの。
国の法律や治安維持、政策について話し合い決議する。
王を中心に公爵家5名、侯爵家5名、伯爵家5名の者を集め、毎月定例会議が行われているのだ。
選ばれる家は、過去の功績により評価され王により選任。
それによって貴族としてのステータスと、重鎮貴族ならではの特権を得られるのだ。
ガブリエルの父は息子の犯罪により、重鎮貴族から外された。
しかし彼らは伯爵家、公爵家である私の家がその席へ座ることはできない。
「先日伯爵家の事件に便乗するように、君の家が動き始めたんだ。クレア嬢の家が重鎮貴族の一員から外され、王都外へ追いやられた。理由は彼らの不正疑惑が、君の家から告発されたからだ。君の家が持っていた証拠は完璧で、立証するには十分だった。だけどクレア嬢の家は最後までやっていないと否定していたらしい。"はめられた"のだと言っていたようだよ。正直君の家なら、喉から手が出るほどに欲しがっていた重鎮貴族の席のためなら、何でもするだろうね。それにクレア嬢の家と君の家は古からの付き合いだろう。クレア嬢の兄を君の婚約者にとの話も出ていたようだしね。だから証拠を捏造するのたやすいだろう。もしこれが仕組まれたものだったとしたら、ただじゃすまないはず。王都から追い出されたといっても、クレア嬢の力がなくなったわけじゃないからね。そんな疑惑を持たれている家に、君のような真っすぐな子が、戻るのはオススメできないかな」
クレア嬢が王都から追い出された?
だからノア王子のパートナーが決まっていないんだ。
全然知らなかった……。
「あの、クレア様は大丈夫なんですか?」
「あぁ今はね。だけど恨みつらみは凄まじいものだと思うよ。心配なのはわかるが、今はそっとしておいたほうがいい」
ですよね……。
クレア嬢とは幼いころから家を行き来する仲だった。
だけどここ数年、公爵家とは一切関わらず生活していた。
両親の記憶については、リリーの記憶が大きい。
記憶の中での両親は厳しく、私をノア王子の婚約者にさせるために必死だった。
あれも王妃という座を手に入れ、重鎮貴族というステータスを得たいがためだったのだろうか?
正直、無責任な発言で家に迷惑をかけ、騎士になるまで戻ってくるなと言われ、向こうからも連絡がないから必然的に関われなかった。
でも教官が言った通り、公爵家の令嬢が騎士学園に入学して、一切音沙汰がないのはおかしいのかも。
私が公の場でノア王子へ騎士になりたいと発言したことで、両親は婚約者という席をあきらめた。
その代わりに女性騎士という新たな道を考えた?
私の記憶にある母はプライドが高く生粋の貴族、父は野心家で家にいることが少なかった。
貴族としてあるべき姿ばかりを追い求めていた。
*************ご連絡*************
2月には完結予定だったのですが……気が付けば3月に……。
年明けから気が付けばもう2か月、早すぎる(;´Д`)
校正しているといつの間にか100話になっておりました(-_-;)
第三章も後半となってきましたが、
どうぞもう暫くお付き合い頂けると嬉しいです。
ご感想等ございましたら、いつもでコメントください。
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