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第二章
帰ってきた王都 (其の二)
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その間数秒、私は怒る間もなく、目を丸くしたまま動きをとめる。
光を発しポンッと音共に、彼は狼の姿へ変わると、私は状況を理解し、恥ずかしさに手で顔を覆った。
「君、なっ、何をしているの!?」
「おい、お前なぁッッ、約束はどうした!」
驚き固まったノア王子が視界に映る。
ピーターは怒りながら狼になったエドウィンの首根っこへ掴みかかると、スルリと交わされた。
「待て、コラッ!」
まさかこんな公共の場でするとは思わなかった……。
それにしても今狼の姿に戻る必要があったのかな……うぅぅ……。
軽く頭痛がすると、私は深く息を吐き出す。
「……リリー、これはどういうことなのかな?」
気がつけば、ノア王子が目の前に居た。
ノア王子は笑みを浮かべ私の顔を覗き込むが、その目は笑っていない。
青い瞳に小さな炎が浮かんでいる。
怒っているのだと直感すると、私はしどろもどろで必死に説明した。
「いえ、あの、これは……彼の変身に必要な儀式みたいなもので……私もよくわかっていないんです。さっき話そうとしたんですけど、どうも私が彼の主になってしまたようで……。人狼は主を探す身で、えーと、その主が私で、人間と変わらぬ姿に変身するには、私へ触れなければいけないみたいで、ははは……」
ノア王子はムスッと顔を歪めると、ハンカチを取り出し私の唇を拭いた。
「ふぅ……よくわからないけれど、リリーは隙がありすぎだよ。もう少し危機感をもって。触れるだけなら唇じゃなくてもいいんじゃないの。リリーちゃんと聞いている?」
「あっ、はい、すみません……。まさかこんな公の場でするとは思わなくて、エドウィンにはちゃんと言っておきますので……」
「それは大衆の場じゃなければ、彼にキスされてもいいってこと?」
「いえいえいえいえ、そういうわけではないんです。あの、一つ訂正なんですけど、キスはされてません。あの、唇には触れてないですし、ただ舐めているだけで……」
「舐めッッ……十分問題じゃない。はぁ……もういい、エドウィンには僕から話をしておく。リリーは甘いからね」
ノア王子はサファイアの瞳をスッと細めると、ハンカチを片付け、追いかけっこする二人の姿を見据えたのだった。
・
・
・
わちゃわちゃとひと悶着?が片付き、私は城の中へ入ると、王との謁見を申し込んだ。
玉座の間にやってくると、以前話していた報酬を頂きたいと提言する。
人間が少ない田舎の土地が欲しいと。
そこに人狼たちを住まわせたいと説明すると、王は難色を示した。
人間とは違う者。
人狼の情報はあまりに少なく、すぐに了承を得られないのはわかっていた。
だから人狼たちと過ごした騎士たちの協力を仰ぎ、国のためになると熱弁すると、最後は納得してくれたの。
管理は公爵家の私が担当することになり、献上物を定める。
土地を与えるにあたり、様々な制約が定められ、無事に話がまとまったときには、一週間が経過していた。
結果をすぐに人狼たちへ伝え、新しい住まいへ移動させる。
山に面した広い土地。
もちろん開拓はされておらず、不便はあるだろう。
私は人狼たちのリーダーを集めると、これからの事を話し合ったのだった。
エドウィンはというと、ピーターの手配で、青年騎士への入隊が決まった。
それと同時に、宿舎へ入る事が決まる。
私と同じ部屋を希望したが、それはさすがにNG。
狼の姿ならともかく、人間の男の姿で一緒に寝るのはさすがに……。
彼はそういうつもりがなくても、モラル的にダメだろう。
それに加えノア王子とピーターの大反対に合い、エドウィンは渋々納得し、私の隣の部屋となった。
それに伴って、変わったことがもう一つある。
私の部屋がグレードアップして、ベッドと机がそろった広い部屋へ移動となったのだ。
これは本当に有難かった。
床で寝るよりも、ベッドの方が断然に体が休まる。
新しい部屋へやってくると、清潔感のある真っ白なシーツが敷かれたフカフカベッド。
それに新品の机とソファーまで用意してくれた。
窓は東にあり、日当たりも良く、窓を開けると風がよく通る。
ピーターと同じキッチン付きで、部屋で簡易な料理も可能。
そんな新しい部屋に感動しながら、ベッドへダイブすると、幸せな余韻に浸ったのだった。
こうして宿舎へ戻ったが、まだ腕のギブスは外れていない。
骨が折れ砕けているのだ、完治するまで数か月かかると、医者に言われている。
もちろん剣は振れず、筋トレもダメ。
安静にと口酸っぱく言われている為、練習する彼らを訓練場で眺める毎日。
エドウィンは剣の訓練をしたことがなく、基礎の基礎から学んでいた。
しかし持ち前の運動神経を生かし、みるみる成長していく。
元よりセンスがあったのだろう、技を教えてみるとすぐに覚え、あっという間に青年騎士達に追い付いた。
光を発しポンッと音共に、彼は狼の姿へ変わると、私は状況を理解し、恥ずかしさに手で顔を覆った。
「君、なっ、何をしているの!?」
「おい、お前なぁッッ、約束はどうした!」
驚き固まったノア王子が視界に映る。
ピーターは怒りながら狼になったエドウィンの首根っこへ掴みかかると、スルリと交わされた。
「待て、コラッ!」
まさかこんな公共の場でするとは思わなかった……。
それにしても今狼の姿に戻る必要があったのかな……うぅぅ……。
軽く頭痛がすると、私は深く息を吐き出す。
「……リリー、これはどういうことなのかな?」
気がつけば、ノア王子が目の前に居た。
ノア王子は笑みを浮かべ私の顔を覗き込むが、その目は笑っていない。
青い瞳に小さな炎が浮かんでいる。
怒っているのだと直感すると、私はしどろもどろで必死に説明した。
「いえ、あの、これは……彼の変身に必要な儀式みたいなもので……私もよくわかっていないんです。さっき話そうとしたんですけど、どうも私が彼の主になってしまたようで……。人狼は主を探す身で、えーと、その主が私で、人間と変わらぬ姿に変身するには、私へ触れなければいけないみたいで、ははは……」
ノア王子はムスッと顔を歪めると、ハンカチを取り出し私の唇を拭いた。
「ふぅ……よくわからないけれど、リリーは隙がありすぎだよ。もう少し危機感をもって。触れるだけなら唇じゃなくてもいいんじゃないの。リリーちゃんと聞いている?」
「あっ、はい、すみません……。まさかこんな公の場でするとは思わなくて、エドウィンにはちゃんと言っておきますので……」
「それは大衆の場じゃなければ、彼にキスされてもいいってこと?」
「いえいえいえいえ、そういうわけではないんです。あの、一つ訂正なんですけど、キスはされてません。あの、唇には触れてないですし、ただ舐めているだけで……」
「舐めッッ……十分問題じゃない。はぁ……もういい、エドウィンには僕から話をしておく。リリーは甘いからね」
ノア王子はサファイアの瞳をスッと細めると、ハンカチを片付け、追いかけっこする二人の姿を見据えたのだった。
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わちゃわちゃとひと悶着?が片付き、私は城の中へ入ると、王との謁見を申し込んだ。
玉座の間にやってくると、以前話していた報酬を頂きたいと提言する。
人間が少ない田舎の土地が欲しいと。
そこに人狼たちを住まわせたいと説明すると、王は難色を示した。
人間とは違う者。
人狼の情報はあまりに少なく、すぐに了承を得られないのはわかっていた。
だから人狼たちと過ごした騎士たちの協力を仰ぎ、国のためになると熱弁すると、最後は納得してくれたの。
管理は公爵家の私が担当することになり、献上物を定める。
土地を与えるにあたり、様々な制約が定められ、無事に話がまとまったときには、一週間が経過していた。
結果をすぐに人狼たちへ伝え、新しい住まいへ移動させる。
山に面した広い土地。
もちろん開拓はされておらず、不便はあるだろう。
私は人狼たちのリーダーを集めると、これからの事を話し合ったのだった。
エドウィンはというと、ピーターの手配で、青年騎士への入隊が決まった。
それと同時に、宿舎へ入る事が決まる。
私と同じ部屋を希望したが、それはさすがにNG。
狼の姿ならともかく、人間の男の姿で一緒に寝るのはさすがに……。
彼はそういうつもりがなくても、モラル的にダメだろう。
それに加えノア王子とピーターの大反対に合い、エドウィンは渋々納得し、私の隣の部屋となった。
それに伴って、変わったことがもう一つある。
私の部屋がグレードアップして、ベッドと机がそろった広い部屋へ移動となったのだ。
これは本当に有難かった。
床で寝るよりも、ベッドの方が断然に体が休まる。
新しい部屋へやってくると、清潔感のある真っ白なシーツが敷かれたフカフカベッド。
それに新品の机とソファーまで用意してくれた。
窓は東にあり、日当たりも良く、窓を開けると風がよく通る。
ピーターと同じキッチン付きで、部屋で簡易な料理も可能。
そんな新しい部屋に感動しながら、ベッドへダイブすると、幸せな余韻に浸ったのだった。
こうして宿舎へ戻ったが、まだ腕のギブスは外れていない。
骨が折れ砕けているのだ、完治するまで数か月かかると、医者に言われている。
もちろん剣は振れず、筋トレもダメ。
安静にと口酸っぱく言われている為、練習する彼らを訓練場で眺める毎日。
エドウィンは剣の訓練をしたことがなく、基礎の基礎から学んでいた。
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