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第二章
作戦開始 (其の四)
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私はキッと彼を睨み付け、折れていない手で土を握ると、顔面狙って投げつけた。
「グッ、このアマッ!!」
彼の視界を奪い怯んだ隙に、私は体を反転させると、急所へ蹴りを一発おみまいする。
そのまま巨体を押し退け、立ち上がろうと脚に力を入れた刹那、背中に激痛が走った。
「ぃたあぁっ、がはぁッッ」
拳で叩きつけられたのだろうか……。
衝撃に一瞬意識を飛ばし、気が付くと私はうつぶせで地面へ倒れ込んでいた。
後ろから馬乗りになり私の体を抑え込むと、折れた腕を痛めつける。
「くぅッ、はぁッ、離して、あぁ、あ”あ”ああああああああ」
胸を押さえつけられ、バキバキと骨が割れる音が頭に響く。
あまりの痛みに目の前がチカチカ光った。
息をするのも困難なほどの激痛。
私はぐったりと倒れ込むと、頭領は私の髪を引っ張り顔を上げさせた。
「あぁ、いてぇ!やるじゃねぇか、まだ反抗できる気力があったか。いいね、いいね~面白い。お前は売らずに、俺の女にしてやろう」
頭領は嘲笑いながら、胸元へ手を伸ばすと、膨らみを強く握る。
「いたっ、くっ、あ”あ”ぁぁぁッッ、はぁ、はぁ、ィヤッ」
「俺に逆らったらどうなるか……じっくり体に教え込んでやるからよ」
体を動かすだけで、全身に激痛が走り、もう力が入らない。
気力だけでどうこうできる限界を超えていた。
動かなくなった私の様子に、彼は私の足首を持ち上げ後ろへ引きずると、股の間へ体を入れる。
ゲスな笑いが頭に響き、気持ち悪さに嘔吐がこみあげた。
悔しさと惨めさ、屈辱に嗚咽が込み上げるが、私はそれを必死にこらえ、拳を握りしめた。
頭領は短剣を取り出し、ズボンをズタズタに切り裂む。
最後に残った布を剥がすと、下着があわらになった。
素肌が土に触れ、砂利にこすりつけられると、血が滴っていく。
今から始まるのだろう凌辱を想像すると、体が勝手に震え始める。
ゴツゴツした手が太ももをまさぐると、堪えていた涙が溢れだした。
こんな男に……ッッ。
「ワオオオオオオン、ガウッガウッ、ガッ、グルルルルッ」
諦めかけたその瞬間、獣の声が響いたかと思うと、私を抑え込んでいた重さがなくなった。
何が起こったのか、状況を把握できない。
私は何とか体を起こし恐る恐るに振り返ると、そこには白狼が頭領に乗りかかり、腕に噛み付いていた。
「なっ、いてぇッ、クソッ、退けええええ!」
頭領は手にしていた短剣を振り回すと、白狼は一度腕から離れ土を蹴り、また頭領へ向かって牙を向けた。
しかし牙は剣で受け止めると、力で弾き返され、白狼が後ろへ吹き飛ばされる。
白狼は空中で一回転し華麗に着地すると、また頭領へと向かって行った。
あの姿は……。
「エドウィン……」
ようやく脳が動き始める。
痛みが麻痺しているのだろう、先ほどの激痛が嘘のように消えていた。
けれど思うように体は動かない。
ゆっくりと辺りを見渡すと、柵の方で狼たちと盗賊との戦闘が始まっていた。
その姿に煙が全て消せたのだと、ほっと胸をなでおろす。
村から盗賊たちの悲鳴が轟き、阿鼻叫喚の様子だ。
よかった……作戦は無事成功したんだ……。
しかしまだ終わっていない。
頭領とエドウィンが戦う姿に、ボロボロになった体へ喝を入れる。
痛みはもう振り切れた、まだいける、あと少し……。
折れていない腕に力を入れ何とか立ち上がろうとしていると、先ほどの手とは違う、優しく温かい手が肩へ触れた。
「リリー、遅くなってすまない」
ピーターはボロボロになった私の姿を見ると、言葉をつまらせる。
そんな彼に大丈夫と頷くと、心配させないよう無理矢理に笑って見せた。
「へへ、ごめんなさい、思ったより苦戦してしまって……でも大丈夫」
彼は私から視線を逸らせ無言のまま上着を脱ぐと、私の肩へかける。
大きな上着をギュッと握りしめると、彼の匂いが鼻孔を擽った。
温かくて優しい香り。
ピーターはそっと私の体を抱きしめると、腰の剣を抜刀し立ち上がった。
彼を纏う空気がいつもと違う。
訓練で戦うときに感じる威圧感ではない、これは殺意。
いつもの紅の瞳ではない、赤く燃えるような憎悪が浮かぶ瞳が目に映る。
その瞳を見た瞬間、私は初めてピーターに恐怖を感じたのだった。
「グッ、このアマッ!!」
彼の視界を奪い怯んだ隙に、私は体を反転させると、急所へ蹴りを一発おみまいする。
そのまま巨体を押し退け、立ち上がろうと脚に力を入れた刹那、背中に激痛が走った。
「ぃたあぁっ、がはぁッッ」
拳で叩きつけられたのだろうか……。
衝撃に一瞬意識を飛ばし、気が付くと私はうつぶせで地面へ倒れ込んでいた。
後ろから馬乗りになり私の体を抑え込むと、折れた腕を痛めつける。
「くぅッ、はぁッ、離して、あぁ、あ”あ”ああああああああ」
胸を押さえつけられ、バキバキと骨が割れる音が頭に響く。
あまりの痛みに目の前がチカチカ光った。
息をするのも困難なほどの激痛。
私はぐったりと倒れ込むと、頭領は私の髪を引っ張り顔を上げさせた。
「あぁ、いてぇ!やるじゃねぇか、まだ反抗できる気力があったか。いいね、いいね~面白い。お前は売らずに、俺の女にしてやろう」
頭領は嘲笑いながら、胸元へ手を伸ばすと、膨らみを強く握る。
「いたっ、くっ、あ”あ”ぁぁぁッッ、はぁ、はぁ、ィヤッ」
「俺に逆らったらどうなるか……じっくり体に教え込んでやるからよ」
体を動かすだけで、全身に激痛が走り、もう力が入らない。
気力だけでどうこうできる限界を超えていた。
動かなくなった私の様子に、彼は私の足首を持ち上げ後ろへ引きずると、股の間へ体を入れる。
ゲスな笑いが頭に響き、気持ち悪さに嘔吐がこみあげた。
悔しさと惨めさ、屈辱に嗚咽が込み上げるが、私はそれを必死にこらえ、拳を握りしめた。
頭領は短剣を取り出し、ズボンをズタズタに切り裂む。
最後に残った布を剥がすと、下着があわらになった。
素肌が土に触れ、砂利にこすりつけられると、血が滴っていく。
今から始まるのだろう凌辱を想像すると、体が勝手に震え始める。
ゴツゴツした手が太ももをまさぐると、堪えていた涙が溢れだした。
こんな男に……ッッ。
「ワオオオオオオン、ガウッガウッ、ガッ、グルルルルッ」
諦めかけたその瞬間、獣の声が響いたかと思うと、私を抑え込んでいた重さがなくなった。
何が起こったのか、状況を把握できない。
私は何とか体を起こし恐る恐るに振り返ると、そこには白狼が頭領に乗りかかり、腕に噛み付いていた。
「なっ、いてぇッ、クソッ、退けええええ!」
頭領は手にしていた短剣を振り回すと、白狼は一度腕から離れ土を蹴り、また頭領へ向かって牙を向けた。
しかし牙は剣で受け止めると、力で弾き返され、白狼が後ろへ吹き飛ばされる。
白狼は空中で一回転し華麗に着地すると、また頭領へと向かって行った。
あの姿は……。
「エドウィン……」
ようやく脳が動き始める。
痛みが麻痺しているのだろう、先ほどの激痛が嘘のように消えていた。
けれど思うように体は動かない。
ゆっくりと辺りを見渡すと、柵の方で狼たちと盗賊との戦闘が始まっていた。
その姿に煙が全て消せたのだと、ほっと胸をなでおろす。
村から盗賊たちの悲鳴が轟き、阿鼻叫喚の様子だ。
よかった……作戦は無事成功したんだ……。
しかしまだ終わっていない。
頭領とエドウィンが戦う姿に、ボロボロになった体へ喝を入れる。
痛みはもう振り切れた、まだいける、あと少し……。
折れていない腕に力を入れ何とか立ち上がろうとしていると、先ほどの手とは違う、優しく温かい手が肩へ触れた。
「リリー、遅くなってすまない」
ピーターはボロボロになった私の姿を見ると、言葉をつまらせる。
そんな彼に大丈夫と頷くと、心配させないよう無理矢理に笑って見せた。
「へへ、ごめんなさい、思ったより苦戦してしまって……でも大丈夫」
彼は私から視線を逸らせ無言のまま上着を脱ぐと、私の肩へかける。
大きな上着をギュッと握りしめると、彼の匂いが鼻孔を擽った。
温かくて優しい香り。
ピーターはそっと私の体を抱きしめると、腰の剣を抜刀し立ち上がった。
彼を纏う空気がいつもと違う。
訓練で戦うときに感じる威圧感ではない、これは殺意。
いつもの紅の瞳ではない、赤く燃えるような憎悪が浮かぶ瞳が目に映る。
その瞳を見た瞬間、私は初めてピーターに恐怖を感じたのだった。
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