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第二章
救出作戦 (其の二)
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彼の話を聞き、私は顎に手を当てると、疑問を口にした。
「ねぇ、頭領は……どうしてノア王子が来ると知っていたの?」
「ある教団から情報を仕入れたと話していたが……すまない、詳しくはわからないんだ」
教団……。
怪しい響き、一体何なのだろうか……?
ノア王子が隣国へ行くと決定したのは、数日前だったはず。
私達が暮らす王都は要塞と言われるほどに、外部からの侵入は難しい。
城に内通者が居て、外の住人に情報を流した?
この数日の間に?
王子からの護送命令が出た後、騎士の出入りチェックはかなり難しい。
ならどうやってその教団は……これ以上考えても答えはでないだろう。
「いいの、話はわかった。人質を救出すればいいのよね?相手の人数は把握してるの?」
「俺たちに協力してくれるのか?」
人狼の男へ笑みを浮かべると、私は深く頷いた。
「ありがとう、本当にありがとう。人数は20人ほどだが安心してくれ、臭いさえなんとかなれば、俺たちで何とか出来る」
私はわかったと答えると、男へ手を差し出した。
彼は私の手を見つめたかと思うと、後ろのエドウィンへ顔を向ける。
その様にエドウィンはコクリと頷くと、人狼の男はそっと私の手を握った。
私達は固い握手を交わすと、同時に立ち上がる。
「必ず何とかするわ。とりあえずここから出る方法を探さないとね。あまり時間はない。きっと私を売る時に、人狼も売ろうとするはずよ。人狼は珍しいから、裏市場では相当高値で売れるんじゃないかしら」
「売るだと……くそっ、あの男ッッ、抜け道ならある、こっちだ」
男を追おうとすると、体が後ろへ引き寄せられる。
ガクンッとバランスが崩れると、エドウィンの胸の中に沈んだ。
「主様の脚じゃ無理。俺が運んでいく」
エドウィンはおもむろに屈み私へ顔を近づけると、唇をペロリと舐めた。
驚き目を丸くしていると、彼の体が狼へと変わって行く。
どうやら私を舐めると、変身できるようだ。
背中に乗れと鼻さきを動かす姿に、私はハッと我に返ると、恐る恐る背に跨った。
暗い洞窟をすごいスピードで駆け抜ける。
私の脚じゃ到底追い付けない速さだ。
それに足場は不安定で、とても人間の脚で走れる道ではない。
すごいわね……。
彼の体にしがみつき、暫くすると薄っすらと明かりが差し込む。
出口が近づきはっきり見えると、そこはどうみても崖だった。
「ちょっ、えっ!?崖じゃない。ここからどうするの?」
「エディにしっかり捕まっているんだ」
男はそういうや否や、ためらうことなく崖へ飛び降りる。
えぇぇぇ!?ちょっと待って!?
「主様行くよ」
信じられない光景に唖然としていると、エドウィンの体が大きく跳ねる。
慌ててしがみつくと、私は宙に浮いていた。
あぁもう、どうにでもなれ!
そのまま真っ逆さまに落ちていくと、歯を食いしばり恐怖に目を閉じたのだった。
小さな衝撃と共に目を開けると、私は森の中にいた。
後ろを振りかえると、洞窟の入り口が小さく映る。
どうやら真下ではなく、崖の向こう側にあった地に着地したようだ。
すごい跳躍ね……人間とは比べ物にならない。
これだけの身体能力があれば、戦場で活躍していた理由もわかる。
恐怖と安心で腰が抜け、エドウィンの背中から転げ落ちると、仰向けに倒れ込む。
心を落ち好かせるように木漏れ日から差し込む光をぼんやり眺めていると、エドウィンの顔が近づいた。
また彼はペロッと私の唇を舐めると、人の姿に変わり、ローブを体に巻き付ける。
「ワオーーーーン」
その刹那。狼の遠吠えが轟いた。
鳥たちが一斉にとび、シーンと静まり返る。
「主様行こう。俺たちのテリトリーに人間が侵入した、ここから近い」
「へっ!?」
エドウィンは腰を抜かす私を軽々と抱きかかえると、凄まじい速さで山道を駆け下りる。
風が顔に当たり、ジェットコースターよりも怖い。
声にならない悲鳴を上げながら、彼の首にしがみついていると、大きく跳ね草むらの中へ着地した。
「誰だ、誰かいるのか?」
あれ、この声は……?
聞き覚えのある声に顔を向けると、木々の隙間から、泥だらけになったピーターの姿が見えた。
「ねぇ、頭領は……どうしてノア王子が来ると知っていたの?」
「ある教団から情報を仕入れたと話していたが……すまない、詳しくはわからないんだ」
教団……。
怪しい響き、一体何なのだろうか……?
ノア王子が隣国へ行くと決定したのは、数日前だったはず。
私達が暮らす王都は要塞と言われるほどに、外部からの侵入は難しい。
城に内通者が居て、外の住人に情報を流した?
この数日の間に?
王子からの護送命令が出た後、騎士の出入りチェックはかなり難しい。
ならどうやってその教団は……これ以上考えても答えはでないだろう。
「いいの、話はわかった。人質を救出すればいいのよね?相手の人数は把握してるの?」
「俺たちに協力してくれるのか?」
人狼の男へ笑みを浮かべると、私は深く頷いた。
「ありがとう、本当にありがとう。人数は20人ほどだが安心してくれ、臭いさえなんとかなれば、俺たちで何とか出来る」
私はわかったと答えると、男へ手を差し出した。
彼は私の手を見つめたかと思うと、後ろのエドウィンへ顔を向ける。
その様にエドウィンはコクリと頷くと、人狼の男はそっと私の手を握った。
私達は固い握手を交わすと、同時に立ち上がる。
「必ず何とかするわ。とりあえずここから出る方法を探さないとね。あまり時間はない。きっと私を売る時に、人狼も売ろうとするはずよ。人狼は珍しいから、裏市場では相当高値で売れるんじゃないかしら」
「売るだと……くそっ、あの男ッッ、抜け道ならある、こっちだ」
男を追おうとすると、体が後ろへ引き寄せられる。
ガクンッとバランスが崩れると、エドウィンの胸の中に沈んだ。
「主様の脚じゃ無理。俺が運んでいく」
エドウィンはおもむろに屈み私へ顔を近づけると、唇をペロリと舐めた。
驚き目を丸くしていると、彼の体が狼へと変わって行く。
どうやら私を舐めると、変身できるようだ。
背中に乗れと鼻さきを動かす姿に、私はハッと我に返ると、恐る恐る背に跨った。
暗い洞窟をすごいスピードで駆け抜ける。
私の脚じゃ到底追い付けない速さだ。
それに足場は不安定で、とても人間の脚で走れる道ではない。
すごいわね……。
彼の体にしがみつき、暫くすると薄っすらと明かりが差し込む。
出口が近づきはっきり見えると、そこはどうみても崖だった。
「ちょっ、えっ!?崖じゃない。ここからどうするの?」
「エディにしっかり捕まっているんだ」
男はそういうや否や、ためらうことなく崖へ飛び降りる。
えぇぇぇ!?ちょっと待って!?
「主様行くよ」
信じられない光景に唖然としていると、エドウィンの体が大きく跳ねる。
慌ててしがみつくと、私は宙に浮いていた。
あぁもう、どうにでもなれ!
そのまま真っ逆さまに落ちていくと、歯を食いしばり恐怖に目を閉じたのだった。
小さな衝撃と共に目を開けると、私は森の中にいた。
後ろを振りかえると、洞窟の入り口が小さく映る。
どうやら真下ではなく、崖の向こう側にあった地に着地したようだ。
すごい跳躍ね……人間とは比べ物にならない。
これだけの身体能力があれば、戦場で活躍していた理由もわかる。
恐怖と安心で腰が抜け、エドウィンの背中から転げ落ちると、仰向けに倒れ込む。
心を落ち好かせるように木漏れ日から差し込む光をぼんやり眺めていると、エドウィンの顔が近づいた。
また彼はペロッと私の唇を舐めると、人の姿に変わり、ローブを体に巻き付ける。
「ワオーーーーン」
その刹那。狼の遠吠えが轟いた。
鳥たちが一斉にとび、シーンと静まり返る。
「主様行こう。俺たちのテリトリーに人間が侵入した、ここから近い」
「へっ!?」
エドウィンは腰を抜かす私を軽々と抱きかかえると、凄まじい速さで山道を駆け下りる。
風が顔に当たり、ジェットコースターよりも怖い。
声にならない悲鳴を上げながら、彼の首にしがみついていると、大きく跳ね草むらの中へ着地した。
「誰だ、誰かいるのか?」
あれ、この声は……?
聞き覚えのある声に顔を向けると、木々の隙間から、泥だらけになったピーターの姿が見えた。
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