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第一章
花咲いた気持ち (其の一)
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少年騎士を卒業し、無事に青年騎士になると、私は16歳になった。
体が丸みを帯び、胸が膨らんでいく。
正直剣を振るうには邪魔でしかない。
私は育った胸をさらしで抑えると、木刀を腰に差し学園へと向かった。
青年騎士になって暫くすると、周りの生徒たちの変化に気が付く。
体格がよくなり、身長がグッと伸び、あっという間に抜かされた。
私の変化とは違い、隆々とした筋肉に暑い胸板。
今まで私より低かった少年も、気が付けば同じ目線にいる。
去年まで私と同じ身長だったピーターもみるみる成長し、今では見上げなければ目が合わない。
力は負けていても、体つきは大差なかったはずなのに……。
ピーターの体にはしなやかな筋肉がついて、パワーも格段に上がっていった。
周りのみんなが少年から青年へと成長し、力も体系も男の作りになっていく中、私は彼らの成長スピードに、一人取り残されていた。
どれだけ体を鍛えても、彼らのような筋肉はつかない。
パワーを付けようとしても、彼らのように伸びない。
身長も女の中では高い方だが、これ以上伸びることはないのだろう。
周りの大きな変化に、不安と焦りが出始めた。
訓練場にやってくるノア王子と話してても、上の空になってしまう。
どうしたのかと聞かれても、素直に相談できない自分がいた。
私は彼の護衛騎士になりたい。
そんな私が彼に弱音を吐くわけにはいかない、そう思ったから。
だけど私の訓練はいつも通りで、何も変わっていない。
皆それぞれ自分たちの変化に対応するように、練習内容が変わっているのに。
何とかしなければいけない、でもどうすればいいの?
そんな疑問ばかりが頭に何度も浮かんだ。
自分は変われないのだろうか、どうすればいいのだろうか。
このままじゃダメなことはわかっている。
だけど私には彼らのような剣術にとってプラスの変化はなく、マイナスの変化ばかり。
思い悩むが解決はしない。
がむしゃらに練習に打ち込む中、気が付けば騎士達の休日という名の祝日がやってきた。
青年騎士になって初めてお休み。
予定もなく訓練でもしようかと考えていると、令嬢だった頃の友人に呼び出され、私はお城へと向かった。
本当はお茶会に誘われたのだが、生憎宿舎にドレスなど持ってきていない。
私は騎士の制服で城へやってくると、中庭に彼女が待っていた。
ブロンドのウェーブのかかった長い髪に、切れ長の瞳。
淡いピンク色のドレスに、透き通るような白い肌。
手はスベスベで私の剣ダコが出来たゴツゴツした手とは違いすぎる。
私もあのまま記憶が戻らなければ、そっち側だったのだろう。
「リリー様お久しぶりですわ。ご活躍お噂でうかがっておりますの。最初は騎士になると聞いて驚きましたわ。でもその御姿とても似合っておりますわね」
私は騎士帽を取ると、セミロングの髪が頬にかかる。
「ありがとう、クレアこそ以前よりも可愛くなってわからなかった」
「まぁ~リリー様、お言葉まで男前になってしまって素敵ですわ~。令嬢たちの間でも噂しているのです。そこらにいる令息なんて比べ物にならないほど、お優しくて上品でスマートで、令嬢たちの理想の王子様だと専らの評判ですわ~」
クレアはうっとりした表情で腕を絡ませると、キャキャと楽し気に話し始める。
こんな形で令嬢と話すのは何年振りだろうか。
剣ばかりで令嬢たちと会う暇なんてなかった。
私になる前、リリーだった頃の記憶は残っている。
いつも令嬢たちを呼んで、大層なお茶会を開いていた。
こうやってあの頃を改めて思い出してみると、参加していた令嬢たちの表情はいつも強張っていた。
クレアのように自然な笑みはなく、上辺だけの相槌と作られた笑み。
あんな世界は正直遠慮したい。
そう考えれば、この道に進んでよかったのだろう。
体が丸みを帯び、胸が膨らんでいく。
正直剣を振るうには邪魔でしかない。
私は育った胸をさらしで抑えると、木刀を腰に差し学園へと向かった。
青年騎士になって暫くすると、周りの生徒たちの変化に気が付く。
体格がよくなり、身長がグッと伸び、あっという間に抜かされた。
私の変化とは違い、隆々とした筋肉に暑い胸板。
今まで私より低かった少年も、気が付けば同じ目線にいる。
去年まで私と同じ身長だったピーターもみるみる成長し、今では見上げなければ目が合わない。
力は負けていても、体つきは大差なかったはずなのに……。
ピーターの体にはしなやかな筋肉がついて、パワーも格段に上がっていった。
周りのみんなが少年から青年へと成長し、力も体系も男の作りになっていく中、私は彼らの成長スピードに、一人取り残されていた。
どれだけ体を鍛えても、彼らのような筋肉はつかない。
パワーを付けようとしても、彼らのように伸びない。
身長も女の中では高い方だが、これ以上伸びることはないのだろう。
周りの大きな変化に、不安と焦りが出始めた。
訓練場にやってくるノア王子と話してても、上の空になってしまう。
どうしたのかと聞かれても、素直に相談できない自分がいた。
私は彼の護衛騎士になりたい。
そんな私が彼に弱音を吐くわけにはいかない、そう思ったから。
だけど私の訓練はいつも通りで、何も変わっていない。
皆それぞれ自分たちの変化に対応するように、練習内容が変わっているのに。
何とかしなければいけない、でもどうすればいいの?
そんな疑問ばかりが頭に何度も浮かんだ。
自分は変われないのだろうか、どうすればいいのだろうか。
このままじゃダメなことはわかっている。
だけど私には彼らのような剣術にとってプラスの変化はなく、マイナスの変化ばかり。
思い悩むが解決はしない。
がむしゃらに練習に打ち込む中、気が付けば騎士達の休日という名の祝日がやってきた。
青年騎士になって初めてお休み。
予定もなく訓練でもしようかと考えていると、令嬢だった頃の友人に呼び出され、私はお城へと向かった。
本当はお茶会に誘われたのだが、生憎宿舎にドレスなど持ってきていない。
私は騎士の制服で城へやってくると、中庭に彼女が待っていた。
ブロンドのウェーブのかかった長い髪に、切れ長の瞳。
淡いピンク色のドレスに、透き通るような白い肌。
手はスベスベで私の剣ダコが出来たゴツゴツした手とは違いすぎる。
私もあのまま記憶が戻らなければ、そっち側だったのだろう。
「リリー様お久しぶりですわ。ご活躍お噂でうかがっておりますの。最初は騎士になると聞いて驚きましたわ。でもその御姿とても似合っておりますわね」
私は騎士帽を取ると、セミロングの髪が頬にかかる。
「ありがとう、クレアこそ以前よりも可愛くなってわからなかった」
「まぁ~リリー様、お言葉まで男前になってしまって素敵ですわ~。令嬢たちの間でも噂しているのです。そこらにいる令息なんて比べ物にならないほど、お優しくて上品でスマートで、令嬢たちの理想の王子様だと専らの評判ですわ~」
クレアはうっとりした表情で腕を絡ませると、キャキャと楽し気に話し始める。
こんな形で令嬢と話すのは何年振りだろうか。
剣ばかりで令嬢たちと会う暇なんてなかった。
私になる前、リリーだった頃の記憶は残っている。
いつも令嬢たちを呼んで、大層なお茶会を開いていた。
こうやってあの頃を改めて思い出してみると、参加していた令嬢たちの表情はいつも強張っていた。
クレアのように自然な笑みはなく、上辺だけの相槌と作られた笑み。
あんな世界は正直遠慮したい。
そう考えれば、この道に進んでよかったのだろう。
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