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ごるし

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【恋】

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ある平日に出勤した櫂。

紗理奈さんもいないし、少しローテンション気味。

でも神様からのお恵みが。

いつものように客引きしていると、紗理奈さんが横切った。

勇気リンリン。話しかけた。

『おはようござっす。今日出勤じゃないっすよね?どこかお出掛けすか?』

『櫂君!お疲れ。友達と飲みに行くんだったけど、遅れちゃってて・・・。』

客引きも忘れ、会話が途切れないように面白ろおかしく話しをした。

こんな子と付き合うことができれば、さぞ幸せだろうに。

会話が弾むにつれ、紗理奈さんの現状を聞いた。なんと彼氏にフラれて寂しいそうだ。

チャーンス!

こんないい女を振るなんて、馬鹿な奴もいるもんだ。

櫂は本日二度目の勇気リンリン。

『お店には言えないですけど、今度お食事でもしませんか?』

紗理奈の目を見れず言ったセリフ。

恐る恐る紗理奈の目を見ると、

『いーよー。じゃあ携帯番号交換しよっ。』

幸せーーー!

番号交換して、バイバイ。

その後の客引きの成果は考えられないほどに。

お店は櫂が引いた客でいっぱい。

店長に誉められるわ、紗理奈さんに近づけるわで、お腹いっぱい。

そして仕事終わりに紗理奈さんへメール。

(今日はありがとうございました。明日からまた学校頑張って下さい。)
すぐ返信が。

(こちらこそ!近々ご飯食べようねー)

幸せーーー!

毎日数分ごとに紗理奈さんにメールをしたいが、グッと堪えてニタった顔で毎日を過ごすの櫂。

あれから一週間。いよいよ本題のメールを。

(紗理奈さんいつごろ空いてますか?僕はいつでも時間とれますんで、いい日があれば教えて下さい!)

返信が送信から数時間後返ってきた。

待っている時間は地獄のような時間だった。

(今週は学校忙しいから、来週の水曜日あたりでいいかな?次の日学校休みだし、櫂君がいいなら。)

幸せーーー!

(もちろん大丈夫っす。楽しみにしてますっ)

ファッションには興味がなかったが、先輩方とつるむようになり、少しずつ興味を持ち出していた。

来週はデート。いつもは安いスーツしかお見せしたことがないので、私服くらいはビシッとキメよう。

バイトが休みの時を利用して、一人で買い物に出掛けた。

服はもちろん雑誌等を読み荒らしてリサーチ済み。

お目当ては、EMPORIO ARMANI。

俗に言う、お兄系だ。

車貯金を15万ほど切り崩し、インナーやアウター、ジーパンやベルト、ネックレスと靴を物色した。

なんとか予算内で収まるように妥協し、ルンルン気分で帰宅。

明日の活力のために、買ったばかりの服やアクセサリーを身に付けブリブリに。そのまま寝てしまった。

デート当日。この日は奇跡的に鳶の現場が休みだった。

予定は18時で、昼まで寝ようとするも朝6時起床。

いつもはやらないが、もしかしてという思いから、部屋をめちゃめちゃ掃除した。

現在17時。待つのは嫌いじゃないから早すぎだけど家を出た。

待ち合わせ場所に15分で到着。

缶コーヒーを飲みながら紗理奈さんを待った。

ワクワクしている時間は長く感じたが、紗理奈さんも予定より早く到着。
やっぱりとてつもなく可愛い。

鼻の下が伸びっぱなし。
デートなんか玲と適当にしか行ったことがなかったので、紗理奈さんの行きたい店や飯屋があって正直助かった。

ご飯を食べていると紗理奈さんが、

『櫂君?あたし年上だけど、敬語も呼び方も呼び捨てでいいからね。』

いいんすか?彼氏気取りで。

『すいません。じゃあ今からそうします。』

最初は変な感じだったが、次第にタメ口が当たり前になった。

ご飯も食べ終わり、櫂が会計を済ますと、

『どこ行く?特にないならあたしの家くる?』

えー!?マジっすか?

『いいの?なら行きたい!』

さすがに挙動不審な態度が露わになるが、本人は冷静なつもりでタクシーを乗り、紗理奈の家へ。

紗理奈は北海道でも帯広出身で、札幌の専門学校にくるため一人暮らしをしていた。

親からの仕送り額がギリギリ生活できるくらいなので、キャバクラで働いて余裕を作っていた。

部屋に入るといい匂いが。想像していた事が、今まさに現実となっていた。

整理された部屋だったが、紗理奈は細かい物の片付けをしていた。

櫂はその隙に部屋の隅々までチェック。

特になにもなく、落ち着いた紗理奈と砕けた話しを始めた。

話しも広がり、行き着いた話しはなんとガンジャに。

なんと紗理奈はガンジャ常用者。
事細かに聞くと、櫂の知らない単語がポンポン出てきた。

紗理奈はジャンキーだった。
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