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それぞれのスタート

イヴリシアのマナーレッスン

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筆頭公爵家に産まれた以上、マナー、ダンス、勉学などに多岐に渡る事を学んできた。
私、イヴリシアはダンス、だけはどうしても苦手意識があった。


勉学は必死になって学べばいい。知らない世界や国は考えるとキリがない。
独自の発展などがあるからだ。それを真似て、そして教えを乞う。
それのどこが恥ずかしいのだろうか、私は大にして言いたい。



ダンスの方が鬼畜すぎるだろう。



身体はレッスンしてもらっているが、顔や癖が出たりする事もある。
でも次期公爵がこれでは、と私は思う。




それにアサギリ様に悪い印象を・・・と思うと手に力が入る。
せめて


「さすがは公爵令嬢」とは呼ばれたい。



アサギリ様の恥をかかすわけにはいかないのだ、女として。
婚約者なのにこんな事をできないの?と言われたら撃沈する。確実に。

執事のセワスとマリィにレッスンとマナーを叩き込まれいるわけですよ、はい。
領地経営は不作もなく、領民は穏やかに暮らしているらしいので、
ホッと一安心している状態。


我が王国よりも、ある帝国は順風満帆。
やはりトップと裁量と能力が違う。規模もまた。




我が王国の王は決して頭が悪くない、寧ろ賢王と呼ばれる。
だが第1王子の方が大問題だった。頭が悪い。
貴族第1主義だからだ。まだ貧困喘ぐ民は多いがそれを見ないというより、
奴隷か何かかと思っている。

人間は人間だ、差別など国の王子が言ってはならない。
その第1王子の恋人がそれに火を付けている。


公爵家に逃げてくる民も多く、また率先して働ければお金も出す。
奴隷ではなく1人の人間として働き、忠実した生活を送らせるのは公爵家としてやってきていて、
支持率は落ちた事がない。




寧ろ、第1王子の支持率が急降下。
どうやらそのとばっちりでアサギリ様が頭を抱えているという状態に。




結婚するのは先になるかもしれないともセワス、マリィから聞いている。
それは承知の上だが、内心ホッとしてるのもあり、まだレッスン出来る時間ができる。




でも残念だと思うのは、
やっぱりアサギリ様と特別な関係でありたいと思うから。
夫婦、結婚という言葉は重いようで、嬉しい言葉。


その人の特別になりたいと思うからこそ。



「少しでもいいからアサギリ様と対等でいなくっちゃね。
セワス、ダンスレッスンが終了したら領民からの苦情や疑問が来ていたでしょう。
そちらをさばきます。領民を不安にさせたくありませんので」

「かしこまりました、お嬢さま」
セワスは笑顔で頷くとマリィもダンスレッスンに参加した。













「穀物は十分に領民に渡っているはず、これは・・・」
私は書類に目を通すと父がため息を吐く。



「第1王子派のものが輸入を邪魔しているようでな。
どうやら、お前を目の敵にしている、アリス令嬢も目論見だろうな。」

第1王子、アルフォート殿下とその恋人のアリス・グリンゼ男爵令嬢。
アルフォート殿下とアサギリ様と同じ26歳。
かくいうアリス嬢は28歳。


王都学園に通っていた際にはアリス嬢から全く覚えのない嫌がらせを私は受けていた。
でも毎回、冤罪は判明し(裏でアサギリ様が暗躍し)、
名誉毀損で訴えをした。その事を逆恨みしているアリス嬢は大の大嫌い。





「第1王子もアリス・グリンゼ男爵令嬢も愚か。
もう家ごといっその事、潰してやりましょうか。」
「それはいいな、羽虫が消えてファースリング侯爵令息のアサギリ殿も安心するだろう。」
領民からの王子やアリス嬢からの嫌がらせ、作物没収など愚の骨頂。



「私から抗議も手紙を王にお送りすると不味いので、父上、頼んでもいいですか?」
「まかせない。確実に届ける手段は私もない訳ではないからな。」
私はため息をこぼすと父上は決意を込めた瞳で見ていた。

























続く





















ちょっとショートですが、一旦、アサギリsideに話をします。
少しは長くなる予定です。




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