主役だけど、推しに幸せを掴んでもらいたくて頑張ります！！

魔王たちは貞操を狙う。

アイルのお詫び。

「キシミアちゃんとティータイムを過ごすまでは帰らない！」
「駄々こねないでください！貴方は魔王なんですよ！」
「魔王だからって好きな事が出来ないのは嫌だー！アイルのバカー！」
サタンを担ぎあげたアイルに、キシミアはジト目で見るしかできない。

「とにかく、騎士のキシミア。これが迷惑かけてしまった事や人間たちにアホ魔王がやらかした罪はいずれ償いますんで。

さぁ帰りますよ！」

忽然と姿を消すアイルと呼ばれた青年とサタン。



「何だったんだ、あれは」
周囲がざわめく中でキシミアは溜め息つく。


街の人々にとりあえず状況を説明しなければならない。

騎士として務めを果たさなければならないが、
サタンが氷漬けをやった理由はキシミアにもある。
頭が痛くなるキシミアだった。





街中に喧騒はやみ、とりあえず危ないものは居なくなった。
というか静かにさせたのだ。

サタンの部下、アイル・クランツに。
アイルがまた現れたかと思えば、
食物や金塊を持って謝罪したのである。


「騎士よ、貴方には主あるじが迷惑かけてしまったのは事実ですから」
「いやアイルさん、貴方が来てくれて助かりましたよ」
アイル・クランツは実は『エンド・オブ・ファンタジー』の攻略キャラとしている。

厳しいところに冷徹な一面したアイル・クランツは優しい一面にギャップがあって人気キャラの1人。

「サタン様にはしばらく謹慎して頂きますのでご安心ください。何故かルシファル殿の加護も貴方にはされている様子。
これからは魔界全体に留まらず、天界にも広がりますのでご注意を。
では仕事が残ってますので」
そういって消えるアイルにキシミアは感謝しかない。

街中は食物や金塊で大騒ぎ。復旧も早いだろう。
農産物は使い物にならなくなったからこそ、アイルは金塊を街の人々に配ったのである。

食物も置いていったのはしばらく食に困らない為。

アイルの心遣いのおかげで街に活気が戻り、キシミアはひっそりと姿を消した。




「魔界や天界全土か、厄介だなぁ」
冷徹の魔王でもあるルシファルに嫁として認定されている以上、キシミアは魔界の繋がりを余儀なくされてしまっている。


「しまった、アイルさんやサタンにルシファルの初恋の人の話を聞けば良かった！」
くっそー！と呟くキシミアはまた帝国へと戻って報告しなければならない。


「まぁ堕天使のルシファルと言ったら、天界も黙ってはいないだろうな」

帝国フェイタスリアは首都だが、実際は魔界と天界、人間界の３つの世界が存在する。


３つの世界を合わせた世界はこう呼ぶ、

アウスティシア、と。


その中で救国の騎士で世界全土に希望をもたらすのがキシミア・ライティス。

『エンド・オブ・ファンタジー』の世界なのだと。


「とりあえず、天界……あぁー！！」
急にキシミアは叫び出した。


「もしかしてだけど、ルシファルの初恋の人って天界の人かも！」
堕天使なのだから、元を正せば天使である。


「そうと分かれば天界へレッツゴーだ！」
休暇も兼ねて天界へと行ってみようと考えることにして、天界の協力も取れたらいい。
人間界は天界の加護を受けているが、ルシファルという堕天使を生んでしまった負い目があるのか、
非協力的な面もある。


はしゃぐキシミアに馬車は帝国フェイタスリアへと急ぐのだった。